副業禁止の企業が多いのはなぜ?副業をする時の注意点やできない場合の選択肢とは

創業手帳

副業を解禁する企業がある一方で禁止にしている企業は多い現状


副業解禁する企業が増加する一方で、未だに禁止にしている企業も少なくありません。従業員の副業を認めない理由はどこにあるのでしょうか。

この記事では、企業が副業禁止にしている理由をはじめ、副業する際の注意点やできない場合の選択肢をご紹介しています。副業に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

創業手帳オリジナルの「副業確定申告ガイド(無料)」を配布中です。副業を始めた、これから副業を始めたい方向け確定申告のガイドブックをご用意。企業に副業がバレない方法も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください!


※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

副業禁止をすることに法律的な問題はある?


結論から言えば、企業側が従業員の副業を禁止することについて、法的な問題はありません。以下では、なぜ副業を禁止できるのかについて、その理由を詳しく解説します。

副業をすることも禁止にすることも自由

副業禁止にするか否かは、企業側で決定することができます。企業側は雇用契約によって従業員に対する業務命令権を持ち、従業員はこれに従う必要があるためです。
したがって、従業員が業務命令違反をした場合、企業側は解雇することも可能です。

ただし、副業を禁止できるのは合理的な理由がある場合です。
例えば、長時間労働によって本業に影響が出たり、複数の企業で働くことで機密情報が洩れる恐れがあったりする場合、副業禁止は合理的であると判断されます。

また、競合相手の会社で業務を行うことも、競業避止の観点から副業の禁止・制限が認められています。
しかしながら、従業員の副業について法律上のルールは定められていません。基本的には、労働者の意志に任せられています。

モデル就業規則から副業禁止の規定が削除された

2018年に厚生労働省が作成した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、モデル就業規則から副業禁止の規定が削除され、副業解禁を後押しする内容が追加されたことで話題を集めました。
政府が副業を制限する文言を削除したことで、企業側は副業禁止を定める規則が認められなかったり、副業に関する訴訟が発生したりした場合のリスクが懸念され、副業解禁の動きが広まります。

副業解禁の動きが広まったことで、大手企業を中心に副業を認める会社が増加し、副業する人も増えています。
容認派の企業としては、副業によって社員がスキルアップする、収入が増えモチベーションアップにつながる、といったことを期待するケースが多いです。

副業の解禁にはメリットもある!

副業の解禁は、従業員のみならず、企業にとってもメリットがあります。まず、従業員にとってのメリットは「収入が増える」「スキルアップが期待できる」の2点です。

本業の他に仕事を持つことで収入の増加が見込めるため、仕事へのモチベーションアップも期待できるでしょう。
また、本業とは異なる仕事に携わることで、新たなスキルやノウハウを獲得できる可能性もあります。

一方、企業側にとっては「離職者が減る」「従業員のスキルアップ」といった点がメリットです。
副業を認めることで従業員は転職せずとも自分のやりたいことができ、結果的に優秀な人材が流出するリスクを抑えられます。

また、従業員のスキルアップは、従業員本人だけでなく、企業にとってもメリットです。副業により、新たなスキルや知識が身に付くことで業務効率の向上に加え、社員同士の競争力を高める効果も期待できます。

会社は就業規則で副業ルールの明確化が求められる

副業禁止と解禁のどちらを選ぶにしても、企業側はルールを明確化する必要があります。副業禁止にする場合は、なぜできないのかという合理的な理由が必要です。
副業によって企業が受ける悪影響が大きい場合は、副業を禁止することが可能です。
その場合は、就業規則にその内容を盛り込む必要があります。就業規則で副業禁止に関する規定がない場合、従業員が副業したとしても処分することはできません。

一方、副業解禁にする場合はどのような副業なら認めるか、労働時間の把握や社内への理解はどうするかといった問題を検討する必要があるでしょう。
副業を認めるのであれば、就業規則に認める内容と規則を盛り込むことが大切です。なお、これまで許可制だった副業は、届出制にする動きが広まっています。

公務員は法律で副業の制限あり

多くの企業が副業を容認する流れになっている中、国家公務員は国家公務員法、地方公務員は地方公務員法によって承認や許可がない限り副業禁止とされています。

これは、公務員は憲法によって、特定の国民ではなく、国民全体の奉仕者として尽くすことが求められているからです。
特定の業種や企業に利益を与えていると取られかねない行為をしてはいけないため、公務員は副業をすることはできません。
なお、国家公務員は営利企業での役員や自営業との兼業は認められていないほか、営利企業以外でも団体の役員や顧問、評議員などの職であっても、内閣総理大臣や所轄の長の許可が必要です。

未だに副業禁止とする企業が多い理由


副業解禁する流れが広まっているとはいえ、まだまだ副業禁止の企業は多くなっています。
副業解禁には様々なメリットもあるのに、なぜ未だに副業を禁止しているのでしょうか。その理由を詳しく解説します。

本業に支障が出ることを危惧している

副業を解禁することで、従業員の業務効率が落ち、本業に支障が出るのではないかと危惧している企業もあります。
副業するとなると、1日あたりの労働時間は本業のみに比べると当然長くなるでしょう。

労働時間が長くなればなるほど疲れから本業が疎かになり、悪影響を及ぼすと不安視されています。
特に労働時間や拘束時間の長い企業ほど、従業員の副業には否定的な傾向にあります。

仕事内容によっては企業ブランドの毀損が起きる

風俗業といった公序良俗に反する仕事や、詐欺など反社会的な仕事を従業員が行っている事実が明らかになれば、企業ブランドのイメージ低下は免れません。
最近は何か問題が起これば、SNSやネット上で瞬く間に拡散する恐れがあります。
副業の仕事内容によっては、企業そのもののイメージや信用を低下させ、企業活動そのものにダメージを与える可能性があることも、未だに副業禁止とする企業が多い理由のひとつです。

機密情報漏洩の懸念

企業では様々な機密情報を取り扱っており、それらの情報が外部に漏れる心配から副業を禁止としているケースもあります。
業務を進行するノウハウや財務状況、新製品開発に関する情報などは、企業にとって重要な情報です。

たとえ従業員に情報漏洩をしたという認識がなくても、これらの情報が外部に流出することで、企業の経済活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、従業員が同業種で副業する場合、機密情報が洩れるリスクが高まることから認めない傾向にあるようです。

勤怠管理や保険管理の誤認リスク

法定労働時間は、本業の労働時間に副業の労働時間を加算することで算出します。副業を認める場合、従業員の労働時間をこれまで以上に細かい管理が必要です。

しかし、雇用保険や労災保険のように通算されないものもあり、これらの制度や法律を正確に把握していない場合、トラブルにつながる恐れがあります。
誤認を避けるためには、人事や労務に関する幅広い知識が求められるため、企業にとっても副業解禁は負担が大きいのが現状です。

離職者が増える可能性がある

副業解禁することで離職者が減るのではと期待される一方で、反対に離職者が増えるのではといった懸念があるのも事実です。
開始当初はお小遣い稼ぎ程度の認識だったとしても、場合によっては本業よりも利益を生み出すようになる可能性があります。
副業のほうが稼げるようになれば、むしろそちらを本業にしようと考える人がでてもおかしくはなく、結果的に離職者が増える可能性もないわけではありません。

副業が禁止されている場合の選択肢


副業をしたいが企業側から禁止されている場合には、どのような選択肢が考えられるでしょう。以下では、それぞれの方法について詳しい内容を解説していきます。

容認されやすい副業をする

副業禁止の企業でも、投資やアフィリエイト、ポイ活やフリマ・オークションサイトでの物販などは認められるケースが多くなっています
本業の労働時間外でできることもありますが、何よりも本業に支障をきたす可能性が少ないからです。

特に株式やFXのような投資で出た利益は仕事で得た報酬ではないと考えられており、副業には該当しないことがほとんどです。
副業禁止の企業でも認められている手段を使って、収入を得る方法もあります。

副業を解禁している企業に転職する

副業禁止の企業で働いている場合、副業を解禁している企業に転職するのもひとつの方法です。

ただし、転職する場合は仕事に慣れるまでに時間がかかるため、すぐに副業に取り掛かるのが難しい可能性があります。
本業に影響が出る恐れもあるため、副業を始めるのは本業の業務に慣れてからがおすすめです。
転職する際は、必ずしも希望する条件とマッチする企業に転職できるわけではないというリスクを覚悟しておくことも大切です。

独立開業を検討する

個人事業主やフリーランスとなって独立開業すれば、そもそも副業を禁止されることもありません。
会社員時代に比べ、時間調整もしやすく、仕事も自分で選べるため、自由度は格段に上がるほか、リスクヘッジとしても副業は有効な手段でしょう。

「やりたいことがたくさんある」「新しい商品やサービスを提供したい」など、アイディアがありチャレンジ精神が強い方は、独立開業がおすすめです。
ただし、無計画では失敗する可能性が高くなります。独立するのであれば、綿密な下準備が必要です。

副業をする場合の注意点


最後に、副業をする場合の注意点について解説します。トラブルを未然に防ぐためには、気をつけるべき点がいくつかあります。
副業を検討している方は、これから紹介する項目をぜひチェックしてください。

会社の就業規則や許可・申請の必要性を確認する

副業を始める前に、まずは副業が認められているのか、会社の就業規則を確認しましょう。
副業が認められている場合でも、開始する際は事前に許可や申請が必要なこともあります。
もしも、許可が必要な場合は、どのように申請すれば良いのか確認することが大切です。

中には、副業に関する規定がない企業もありますが、だからといって何も報告せずに始めるとトラブルに発展する恐れがあるので注意が必要です。

本業に影響がない・会社に損失を与えない仕事を選ぶ

副業を始める際は、本業への影響や損失が出ない仕事を選ぶことが大切です。
副業が解禁されていても、業務に支障が出ていると判断した場合、禁止になる可能性もあります。長時間労働により、本業に影響が出ないよう気をつけましょう。

また、競合他社での副業のように、会社に損失を与える可能性がある仕事は、許可を得るのは難しいです。
余計なトラブルを招かないためにも、副業は本業とは関連のない仕事を選ぶことをおすすめします。

社会保険が二重加入にならないか確認する

会社員の場合、副業する際は社会保険料の支払いにも注意が必要です。社会保険には加入義務が発生する要件があります。
もしも副業先でも加入要件を満たした場合、どちらの会社で保険料を納めるかを決める手続きが必要になります。

要件を満たした日の翌日を起算日とし、10日以内に必要書類を提出する必要があるので注意しましょう。

労働時間の管理をしっかり行う

一般的に、企業が従業員に対して労働させて良い時間は、1日8時間・週40時間までと上限が定められており、超過した場合は割増賃金を支払う必要があります。
加えて、超過勤務にも様々な決まりがあるため、いくらでも労働ができるわけではありません。

副業の場合、労働時間は通算して計算するというルールがあります。
本業と副業で雇用主が違う場合でも通算ルールは適用されるため、労働時間は正確に管理する必要があります。

副業の収入は確定申告や住民税の納付を必ず行う

本業の収入以外に所得を得る場合、確定申告や住民税の納付手続きが必要です。
納税しなければならない金額を納めていない場合は罰則の対象となり、延滞税や加算税が課される恐れがあるので注意してください。

原則として副業での所得が20万円以下であれば、確定申告は必要ありません。
しかし、本業の収入が2,000万円を超えたり、医療費控除や住宅ローン控除を受けたりする場合など、確定申告が必要なケースもあるので、事前に確認しておくことが大切です。

確定申告に関するより詳しい情報を知りたい方は、確定申告ガイドもぜひご確認ください。

まとめ

今回は、副業禁止の企業が多い理由をはじめ、副業をする際の注意点など、副業に関する内容をご紹介しました。
厚労省が定めるガイドラインから副業禁止に関する規定が削除されたことにより副業解禁の動きが広まる一方で、まだまだ副業を禁止にしている企業は少なくありません。
もしも就業先で副業を禁止されている時は、メリットや注意点を踏まえた上で、自分に合った選択をすることが大切です。

創業手帳では、「副業確定申告ガイド」を無料配布中です。すでに副業をされている方、これから副業を始めたい方向けに確定申告の基礎から簡単に分かるガイドブックです。本業の企業にバレない方法などもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。


創業手帳(冊子版)」では、副業に関係する内容も含め、起業前後に役立つ情報やノウハウを多数掲載しています。無料で利用できるため、起業前後のサポートにぜひお役立てください。
関連記事
社員の副業・兼業は認めるべき?メリットや注意点、禁止の可否などを解説
副業で稼いだら確定申告は必要?ペナルティや税制メリットを解説!

(編集:創業手帳編集部)

創業手帳は、起業の成功率を上げる経営ガイドブックとして、毎月アップデートをし、今知っておいてほしい情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能です。

創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
将来的に起業や独立を考えている人はこちらの記事も参考にしています

カテゴリーから記事を探す