飲食店開業における5つの資金調達方法

飲食開業手帳

飲食店の開業資金を工面するには?

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(執筆:「飲食店開業融資専門税理士」ITA大野税理士事務所 大野晃)
まず、飲食店開業資金融資を検討する前に、開業に必要な資金を整理しましょう。飲食店を開業する際に必要な資金は、不動産取得費と設備投資資金、数ヶ月分の運転資金となり大きな金額になります。こうした飲食店資金調達を自己資本だけでまかなえるならばいいのですが、大半はそうはいかないのが実情です。飲食店開業資金融資を利用する人がほとんど。

しかし、「飲食店開業資金融資」には実にたくさんの種類があります。開業するときの状況や自分の周囲との関係などに基づき、最適な資金調達を選択することが大切。ましてや、コロナ禍で飲食点が苦境にさらされている現状では、当たり前のことをしていても資金調達が難しいかもしれません。ここでは、飲食店融資を加えた5つの方法とそれぞれのメリット、デメリットを紹介します。

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飲食店開業資金調達方法の種類

飲食店を開業しようとして、飲食店資金調達が必要になった際、あなたはどのくらいの方法を思いつきますか。
ぱっと思いつくのは金融機関からの借り入れなどの「飲食店融資」でしょう。日本政策金融公庫を始めとする銀行では、飲食店開業資金融資に関する制度が整っているので、これらを利用する場合もあるでしょう。

しかし、飲食店資金調達は「資金を調達」することなので、金融機関からの融資だけではありません。親族や知人から融資を受けるーーつまり借金をして調達するというやりかたもあるのです。また、最近のDXの進化やコロナの影響も受けて、ネット銀行やクラウドファンディング(応援による飲食店資金調達)も利用されるようになりつつあります。以下は、資金調達の主な種類です。

【参考記事】開業当初に必要になる創業融資・財務の知識 前編

  • 日本政策金融公庫からの融資制度を用いた飲食店資金調達
  • 地方銀行・信用金庫の制度融資(東京都又は市区町村の保証協会付き)
  • ネット銀行やクラウドファンディングなどの新たな飲食店資金調達
  • 血縁・親族関係からの資金調達
  • 他人からの資金調達

これらの方法は、どれか一つしか選べないというものではありません。うまく利用すると、他の資金調達のプラスに働く資金調達方法もあるのです。

まずは、金融機関からの飲食店資金調達の方法について見ていきましょう。

日本政策金融公庫からの融資制度を用いた資金調達

金融機関からの飲食店融資は、メガバンク、地方銀行などが思いつくでしょうが、日本政策金融公庫の飲食店開業資金融資は、メリットが多いのが特徴です。

特に、私がお勧めするのは、認定経営革新等支援機関と協力しながらの飲食店融資を申請する「中小企業経営力強化資金」です。他の金融機関からの借入と比べて、様々なメリットがあります。

1.利率が「新創業融資制度」より約1%低い

同じくよく利用される「新創業融資制度」というのがあるのですが、これと比べると利率が約1%低く、上限が2000万円にあがるのもメリットです。

仮に融資額が2000万円で、返済期間が7年を想定した場合、返済するまでの利息差額は、100万円以上違うものとなるになります。

2.無担保 無保証

飲食店開業資金融資などのように事業でお金を借りる際に、担保や保証人が必要になることが多いです。保証人は責任が重いため、保証人を探すのは非常に大変なことです。
しかし、この「中小企業経営力強力化資金」であれば、担保や保証人が不要です。
なお、「中小企業経営力強力化資金」で重要なポイントを占める専門家選びは慎重に行ってください。なによりも実績が重要です。
専門家に相談しに行った場合、「中小企業経営力強力化資金」について聞いてください。今回の内容などをしっかりと答えられない専門家は、辞めた方が良いです。また、実績や、資金使途違反の話を知っているか確認をした方がよいです。

日本政策金融公庫の融資制度についてもっと詳しく知りたい方は、資金調達手帳を参考にするとよいでしょう。融資制度だけでなく、申請時に必要となる創業計画書の書き方もわかりやすく解説しています。

3.税理士のフォローを受けられる

これから開業をしようとしている人は、仕入れ先の確定、メニューの確定、内装の進行具合の確認などお店の準備に大忙しな方が多いです。

通常であれば、飲食店開業資金調達として、本人が金融機関に行かなければなりません。審査が通るまで何度も足を運ばなければならないことも多いです。それが認定経営革新等支援機関の支援がついている「中小企業経営力強化資金」であれば、認定経営革新等支援機関の専門家がフォローすることができるのです。

金融機関に何度も足を運ぶ時間を、メニューや仕込みの準備に当てることができるのです。

4.金融機関との融資面談は、認定経営革新等支援機関の事務所で行え、専門家を同席させることができる

飲食店融資の可否に重要な判断となるのが、金融機関の担当者との融資面接です。この面接の場で、あなたの開店への思いを熱く語ると、当落線上にある場合はプラスに働きます。

ただし、うまく回答できないとマイナスになってしまいます。ここで、認定経営革新等支援機関の専門家が同席していると、うまく回答をしたり、フォローをしたりすることができるのです。

また、場所は金融機関ではなく、認定経営革新等支援機関の事務所となります。ただでさえ緊張する面接ですが、事前に本番と同じ認定経営革新等支援機関の事務所で予行演習をすることで、落ち着いて実際の面接に対応することができるようになります。

他の支援の場合、専門家は同席しませんので、全て自分で考えて行わないといけません。

地方銀行・信用金庫の制度融資(東京都又は市区町村の保証協会付き)・東京都の融資制度

(地方銀行・信用金庫)

(利用されるもので有名な制度に、保証協会付きの融資があります。多くの業界で利用されています。ただし、融資まで少なくとも審査結果がでるのに最低2ヶ月は考えていなければなりませんので注意が必要です。

また、こうした金融機関の融資を受ける飲食店の場合、営業許可書が発行されることを条件に飲食店融資が実行されるケースが多いので。開業前に必要な内装工事などの支払いに、この融資をあてることが難しいということになります。銀行などでの融資を受ける際にはこのようにいくつか留意する必要があります。

地方銀行などの地方金融機関は、融資だけでなく、創業支援を行っているところがあります。たとえば、事業計画書や資金計画の策定支援や、創業セミナーなどです。こうしたセミナーを事前に受けて事前に受けて飲食店資金調達に必要な知識をインプットしておくとよいでしょう。

冊子版の創業手帳(無料)では、創業支援に熱心な金融機関を一覧にまとめています。それぞれ特徴的な支援を行っていますので、ぜひチェックしてみてください。(創業手帳編集部)

(東京都による融資制度)

対象が女性やシニアに限られてはしまいますが、東京都による「女性若者シニア創業サポート」があります。こちらを利用すると金利が低く、長期で借りられることができます。条件が合致する人はこちらも飲食店資金調達の一つとして利用してもよいでしょう。

【参考記事】東京都内限定・低利融資を受けられる「女性・若者・シニア創業サポート」を受ける~経営者 畑中さんの事例~

ネット銀行やクラウドファンディングによる調達

(ネット銀行)

飲食店融資の金額は大きくはありませんが、最大で500万円程度ならネット銀行からの飲食店資金調達が可能となります。もちろん、審査を通貨しなくてはいけませんが、個人事業主であっても申請できる所もあるので、試してみるのもよいでしょう。

オンラインで24時間いつでも申請できるのがメリットになります。また、銀行によっては、キャッシュレス決済との連携が進んでいるので、運営後の売上会回収などにも活用できます。創業手帳には、ネット銀行の記事がありますので参考にしてください。

(クラウドファンディング)

銀行でも、信用金庫でもなど新たな飲食店資金調達方法として「クラウドファンディング」の活用もあります。様々なクラウドファンディングサイトがありますので特長によって適切なところを選択してください。また、コロナの影響を受けて店舗経営が難しくなる場合もあるので、認知度の向上やファンを得るなど広報的機能としても活用できる可能性もあります。飲食店開業資金調達だけでなく、副次的効果も視野に入れながら検討するとよいでしょう。創業手帳では、クラウドファンディングを活用した事例を紹介していますので参考にしていただけると思います。

血縁・親族関係からの資金調達

最もポピュラーな方法です。配偶者や親、兄弟・姉妹、親戚などからお金を借りるというものです。

ただし、配偶者や親でも、お金の問題はきっちりとしておいた方が良いです。そのお金は返済義務があるのか、ないのか? 返済義務がある場合は、利子はどうするのか? 返済期間はどうするのか?こういった内容を紙にまとめておくことを勧めます。

POINT
実は血縁・親族関係からの資金調達は、他の資金調達にも関わってくる重要な方法です。そのため、一番初めに説明をしました。これがうまくいくと、他の方法での資金調達がよりスムーズになる可能性があります。

一般的にお金を借りる際、あなたの「資産」と「収入」で借り入れるできる金額や返済期間、利子が決まります。住宅ローンなどを考えれば、すぐにイメージがつくでしょう。

ただし、これから飲食店を開業しようとする人にとって、現在の確固とした収入はありません。そのため、融資を受ける際に資産が重要になります。あなたが土地などを持っていれば別ですが、基本的には資産=自己資金です。

通常、自己資金は自分が貯めたお金ですが、後で説明をする日本政策金融公庫の場合、「親族関係からの資金調達」が自己資金として認定されるケースがあります。自己資金が多いと判断されるため、融資の審査が通過しやすくなります。

特に、完全に返済義務がない譲渡されたお金なら、ほとんどのケースで自己資金として認定されることが多いです。ただし、返済義務がある場合は、自己資金とは認められないです。

かなりグレーな所にはなりますが、血縁・親族関係からの資金調達であれば出世払い=「あるとき払いの催促なし」というあいまいなケースもあります。その場合でも自己資金として認められる可能性があります。

自己資金扱いになるかのまとめ

  • 血縁・親族からの返済義務なしの出資 〇△
  • 血縁・親族からの返済義務ありの借入 ×
  • 血縁・親族からの出世払い      △

友人やパトロンからの資金調達

これから開業しようとしている人でネットワークをしっかりとお持ちの方は、この方法で資金調達されることも多いかと思います。常連のお客様や、友人から融資をしてもらうことがあると思います。

パトロンなどは、銀座などの繁華街で働いていた方で良く聞きますが、これから開業しようとする人の魅力や、それまでに培ってきた人脈、ネットワークによっては繁華街でなくてもあることです。

POINT
血縁・親族からの資金調達と、友人やパトロンからの資金調達が同じように思ってしまいますが、実は違います。過去に知り合いからの資金調達を「見せ金」として融資を有利にしようとした人がいたため、現在では融資担当者が厳しくチェックするようになっています。

「見せ金」とは、開業時だけ知人などからお金を借りて、資金が多くあるように見せる方法です。金融機関から融資がおりたら、その資金をすぐに返してしまいます。

融資担当者としては、運転資金が豊富にあると判断して融資をOKしたのに、じつは運転資金が少なく、潰れるリスクが高いということになり、だまされたことになります。

友人やパトロンからの資金調達をする方法は良いのです。さらに日本政策金融公庫の融資制度を有利に利用したいと考えている場合は、出資者の身元確認や、贈与契約書をしっかり作成する必要があります。

運営後の助成金について

飲食店開業資金調達ではなく、運営後の資金調達の方法として飲食店でよく使われるものに、キャリアアップ助成金やがあります。キャリアアップ助成金は人を雇用するためのもので正社員登用コースがあります。最初は契約社員でスタートして6か月経過したのちに正社員へ登用。さらに6か月経って申請することで取得できるものです。
飲食店を開業してからは有効な資金調達方法ですから、必要になった際には、利用を検討してみてください。

補助金・助成金は、複雑な要件が設定されています。また、毎年更新されるため、最新の情報を手に入れなくてはなりません。創業手帳の別冊、補助金ガイド(無料)は、最新の補助金・助成金をわかりやすく解説しています。特に創業期に使えるものについて解説していますので、補助金・助成金の申請を考えている方は手にとってみるとよいでしょう。

(監修:ITA大野税理士事務所 大野晃 飲食店開業融資専門税理士)
(編集:創業手帳編集部)

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