【法人決算ガイド】初心者でも流れがわかる!決算申告の3ステップ
決算の流れを確認しよう
(2017/12/05更新)
起業すると、経営、資金繰り、人材育成…とやることは目白押し。
そして、初めての事業年度が終わると、避けては通れない「法人決算」がやってきます。
難しそう、ユウウツだ……と思うかもしれませんが、基本的な考えと流れをおさえておけば、怖がることはありません。
このページでは、これから法人決算に挑む方のために、「法人決算とは何か」「どのような作業や手続きが必要なのか」を分かりやすく解説します。
この記事の目次
そもそも法人決算ってなに?
法人決算とは、1年間の売上や経費をまとめて申告を行うことです。
個人事業主の場合は、1月から12月までの売上について、翌年2月15日~3月15日の期間に確定申告を行います。その法人版が、法人決算です。
法人決算の目的は、主に3つあります。
- 法人決算の目的
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- 適切に税金を申告し、納税する
- 株主へ業績を報告する
- 経営分析と改善に活用する
確定申告と違い、行うべき時期は会社ごとに異なり、各会社が定めた事業年度の翌日から2ヶ月以内に行います。大企業などでは、事業年度が4月~翌3月の企業が多いため、5月末が期日となる企業が多いです。
法人決算の流れ
法人決算の大まかな流れは、以下の3ステップです。
- 法人決算の流れ
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- 会計帳簿への記帳
- 決算書類等の作成
- 申告書の作成と税務申告・納税
それぞれ詳しくみていきましょう。
ステップ1. 会計帳簿への記帳を完了させる
まずは、決算作業の準備のために帳簿の整理を行います。
具体的には、請求書、領収書、通帳コピーの整理を行い、お金の動きを記帳(データ入力)していきます。
会計ソフトは導入していますか?
法人の場合、個人事業主と比べても入力すべきデータの数が膨大になります。スムーズに決算業務を行うために欠かせないのが、会計ソフト。経理業務の初心者であっても、項目の指示に従って入力すれば簡単に記帳を終えることができます。
また、クラウドソフトを活用すれば、クレジットカード・インターネット銀行などの利用履歴を自動で同期してくれるので、記帳の手間を大幅に削減できます。
さらに、決算書類の作成サポートもしてくれます。
会計ソフトはさまざまな種類があるので、使用感や料金プランを比較したり、顧問税理士などに相談するなどして、自社に適したものを導入しておきましょう。
ステップ2. 決算書等の作成
次に、決算書を作成するために「決算整理仕訳」を行います。これを行わなければ、法人税を確定させることができません。
決算整理仕訳では、棚卸資産、減価償却、貸倒引当金、未払税金、未払費用・前払費用などを計上します。
決算整理仕訳が完了したら、いよいよ決算に必要な書類を作成していきます(会計ソフトを導入していれば、決算書類の作成までを一部サポートしてくれます)。
会社法において、法人決算で作成すべき書類は、以下のとおりです。
- 計算書類
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
- 計算書類に係る附属明細書
- 事業報告書
- 事業報告に係る附属明細書
決算に必要な書類の作成などは、煩雑なうえに誤りがあると後々面倒なので、税理士などの専門家にサポートしてもらうことをおすすめします。
なお、専門家に決算業務をお願いした場合には、税務代理権限証書を併せて提出する必要があります。
ステップ3. 申告書の作成と税務申告・納税
法人決算が終わったら、各種税金を申告し納税します。
法人が納めるべき「法人税」「法人事業税」「法人住民税」「消費税」の4つについて、提出先や期限、必要書類を確認しておきましょう。
提出先はそれぞれ異なりますが、申告期限・納付期限はいずれも期末日より2ヶ月以内です(事業税・住民税の納付期限については、自治体により異なる場合があります)。
スケジュールを組み、遅滞なく完了するようにしましょう。
法人税
税務署に対して申告します。提出に必要なのは、法人税申告書、決算書(計算書類)、法人事業概況説明書、勘定科目内訳明細書、適用額明細書(必要な場合)です。
法人税申告書には複数の別表があり、「別表一・別表四・別表五(一)」は必ず作成します。一般的な会社であれば、「別表二・別表五(二)・別表七・別表十一・別表十五・別表十六」の準備も必要です。
参考:2017年版|法人税入門。申告のしかた/納税方法を徹底解説します!
法人事業税
都道府県の税務事務所に申告します。自治体によって申告書類が異なるので、事前に確認しておきましょう。
法人事業税は、所得に税率をかけた額を支払います。赤字の場合は、所得がありませんから支払う税金はありません。法人税や法人住民税と違って「翌年度の損金に算入できる」という点が大きな特徴です。
法人住民税
法人住民税には、「都道府県民税」と「市町村民税」の2種類があります。例外として、東京23区に事業所がある場合は、「都民税」として一括で課税されます。
それぞれ、都道府県や市区町村の税務事務所に申告します。自治体によって申告書類が異なるので、事前に確認しておきましょう。
法人住民税は、所得から算出された税額に税率をかけた「法人税割」と、資本金によって定額の「均等割」から構成され、その合計額を支払うことになります。均等割は資本金額に応じて定額課税されているため、所得が赤字であっても必ず発生するという点に注意が必要です。
消費税
法人にかかる消費税は、税務署に申告するので、法人税と合わせて作業しましょう。なお、創業後、条件を満たしていれば最大2年間の消費税免除が受けられます。
参考:消費税は2年間の免税や簡易課税制度を活用しよう!起業/法人登記予定者は要チェック。
消費税を申告する際は、消費税及び地方消費税の確定申告書を作成し、税務署へ提出します。
還付申告を行う場合は、「消費税の還付申告に関する明細書」が別途必要となります。
書類の保存も忘れずに
税務申告が完了しても、決算書類などには保存が義務付けられています。
それぞれの書類によって最低保存年数が決められているので、よく確認して、忘れず保存しましょう。
法人決算は自分でやる?専門家に頼む?
法人決算は、自分でやるべきか、専門家に頼むべきか迷う経営者も多いと思います。
記帳業務などであれば会計知識が無くても行うことができますが、決算業務となると一定の経理・会計の知識がある方がスムーズでしょう。最低でも、「複式簿記」の知識は必須です。
もっとも、会計の勉強や実務に振り回されて、経営がおろそかになっては本末転倒です。
決算業務に不安があれば、税理士の手を借りるのも賢い選択です。自力決算に費やす時間を考えると、専門家にアウトソーシングするほうがコストカットになるかもしれません。
専門家によって、相性や得意分野、料金体系が大きく異なります。できれば複数の税理士に相談して、自社にピッタリの専門家を選ぶようにしましょう。
また、法人決算の依頼を行う場合、決算直前で依頼先を選ぶのはもったいないです。
決算の期限に間に合わせることが第一になり、節税対策が間に合わず、会計についてのアドバイスも薄くなってしまいます。
一方、事業開始直後や事業立ち上げ時から専門家のアドバイスを入れておくと、毎月の経営状況も正しく可視化できるようになるので、決算時だけでなく、資金繰りと経営計画にも良い影響を与えてくれます。
また、専門家に依頼するからと言って、「お金のことは丸投げ」という意識はNGです。経営状況やお金の流れを客観的に把握するためにも、作業を依頼したとしても決算の内容確認しておきましょう。
法人決算は1年の総まとめ
経営者にとって、法人決算は避けては通れないイベントです。煩わしいと思われるかもしれませんが、会社の1年を振り返り、次の1年に踏み出すための良い機会でもあります。
専門家の力も借りながら、なるべく手間を削減して法人決算を進めましょう。
そして、決算の内容を次の事業年度の経営へと活かしてください。
(執筆:創業手帳編集部)
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