消費税は2年間の免税や簡易課税制度を活用しよう!起業/法人登記予定者は要チェック。

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税額計算・簡易課税制度・免税など、知っておきたい消費税のまとめ

消費税入門

(2016/11/09 更新)

起業家にとっても、事業を行う以上、黒字だろうと赤字だろうと関係なく、必ず納めなければならない税金が消費税だ。大企業だろうと起業したてのベンチャーだろうと、消費税を避けて通れない。

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2014年春に消費税が8%に引き上げによって景気が腰折れし、当初2015年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げは延期された。さらに、2016年には消費税10%引き上げ再延期が正式表明された。

税制関連法案を閣議決定 消費税率10%を17年4月に延期

政府は17日、2015年度税制改正の関連法案を閣議決定した。消費税率を10%に引き上げる時期を17年4月に延期することや、法人税の実効税率を現在の34.62%(標準税率)から15~16年度に3.29%以上引き下げることを盛り込んだ。

(中略)

 消費税率は15年10月に引き上げる予定だったが、デフレ脱却を優先し、1年半延期する。消費増税の可否を判断する「景気条項」は法案から削除した。税率の引き上げ時期を17年4月からさらに延期するには法改正が必要になる。

(後略)

日本経済新聞 電子版 2015/2/17より引用

安倍首相、消費税10%引き上げ延期を正式表明 「これまでの約束と異なる判断。公約違反の批判受け止める」

安倍晋三首相は1日夕、官邸で記者会見し、来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを平成31年10月まで2年半延期することを正式に表明した。 「これまでの約束とは異なる新しい判断だ」と説明し、参院選で「国民の信を問いたい」と述べた。衆院を解散して衆参同日選を行う考えはないことも明らかにした。

産経ニュース2016.6.1より引用

このようなニュースがあり、実質消費税増税がいつなされるのか未確定ではあるが、消費税額の基本的な仕組みとルールを押さえておけば、いつ税率が何%になっても慌てずに対応することができるだろう。

そこで今回は、消費税納付額の計算方法から、容易に納付額が計算できて上手く活用すれば節税にもなる簡易課税制度について、また納税義務の免除など、消費税に関する納税や免税ルールについてまとめた。

消費税納税の流れ

消費税は会社が預かって納税する

消費税という税金は、「消費者は会社に消費税を預け、会社がまとめて国に納税する」システムになっている。

例えば、コンビニで100円のガムを買った場合を想像してみよう。レジで『本体100円+消費税8円=108円』を支払うはずだ。コンビニ(事業者)の立場からすると「消費税を8円預かっている」状態なので、後日この預かった8円を国に納税する。

消費税納税の仕組み1|消費税は会社が預かって納税する

納税時期の資金ショートに注意

この「預かっている」というのがポイントで、黒字だろうと赤字だろうと預かった分の消費税は、納めなければならない。

一度は自分の懐にキャッシュが入ってくるため、ついつい他の支払いに充てたり・・・といったことができてしまう。消費税の納税時期に資金ショートしないように十分注意しよう。

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消費税納税額の計算方法

前述の通り、消費税は、基本的には消費者から「預かっている」ものを国へ納めるシステムとなっているのだが、実際はもう少し複雑だ。なぜなら、事業者は消費税を預かるばかりではなく、逆に事業者へ預けることがあるからである。

先ほどコンビニで100円のガムを売ったケースを取り上げたが、一方で、ガムを売るためにはガムを仕入れなければならない。

例えば、80円でガムを仕入れたとすると、『本体80円+消費税6円=86円』を支払うこととなる。「消費税を6円預けている」状態だ。前述のように、その後、108円でガムを販売するので、「消費税を8円預かっている」状態になる。

消費税納税の仕組み2|消費税納税額の計算方法

一連の流れをまとめると「8円預かって、6円預けている」状態なので、差額の2円を納税すればよい。結果、コンビニが2円、仕入先が6円納税することで、消費者が負担すべき8円が国へ納税されることになる。

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消費税の簡易課税制度とは?

消費税における仕入

一口に「仕入」といっても、消費税法上の仕入れは一般的な感覚の「仕入」よりも幅が広く、商品仕入の他、事務所の家賃や水道光熱費・電話代なども「仕入」となる。

感覚的に『仕入 + 経費 = 消費税法上の仕入』と思っておけば良いだろう。ただし、給与などは消費税がかからないため「人件費は除く」と覚えておこう。

簡易課税制度の適用条件

仕入は売上に比べて種類・量ともに多くなるため、集計に手間がかかる。そのため、一定規模以下の中小事業者については簡単な方法が認められている。

これが「簡易課税制度」と呼ばれる納税方法だ。

消費税の簡易課税制度

  • 2年前の売上が5,000万円以下であること
  • 適用を受けたい事業年度開始の日の前日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出すること

簡易課税制度による納税額の計算方法

簡易課税制度には、事業の種類に応じて「みなし仕入率」が定められている。

売上に「みなし仕入率」を乗じた金額が、その年の仕入とみなされる。売上金額だけですべての計算が終了するため、仕入伝票を集計する必要がないのでラクだ。つまり、

売上の消費税 - (売上 × みなし仕入率)の消費税 = 消費税納税額

となる。

みなし仕入率と実際仕入率
(平成24年10月 会計検査院報告より)
みなし仕入率 実際の仕入率
第1種事
(卸売業)
90% 82.3%
第2種事業
(小売業)
80% 73.5%
第3種事業
(製造業等)
70% 62.1%
第4種事業
(その他の事業)
60% 48.7%
第5種事業
(サービス業等)
50% 32.4%

※平成27年4月1日以降は、金融業及び保険業を第4種→第5種へ変更し、不動産事業を第5種→第6種(新設:40%)へ変更することとなっている。

例えば、卸売業を営んでおり、売上が100万円、仕入が80万円だった場合、簡易課税制度であれば90%の「みなし仕入率」になる。

  • 預かっている消費税は 100万円 × 8% = 8万円
  • 預けている消費税は 100万円 × 90% × 8% = 7.2万円

したがって、消費税の納税額は 8万円-7.2万円=0.8万円(8,000円)になる。

簡易課税制度で節税する

簡易課税制度で節税する前章の表を見ると、多くの場合「みなし仕入率>実際仕入率」になっているのがよく分かる。

簡易課税制度では、実際の「仕入率」と関係なく、「みなし仕入率」を使って計算されるため、差額分が事業者の利益となる。

例えば、卸売業を営んでおり、売上が100万円、仕入が80万円だった場合、前章で計算した通り、簡易課税制度であれば90%の「みなし仕入率」となり、

  • 預かっている消費税 100万円 × 8% = 8万円
  • 預けている消費税 100万円 × 90% × 8% = 7.2万円

納税額は 8万円-7.2万円=0.8万円 だけでよい。

簡易課税制度を利用しない場合は、実際の仕入率が80%(一般的に「みなし仕入率」より低い。)だったと仮定すると、

  • 預かっている消費税 100万円 × 8% = 8万円
  • 預けている消費税は 80万円 × 80% × 8%=5.1万円

納税額は 8万円–5.1万円=2.9万円 を納付しないといけなくなる。

よって、簡易課税制度を利用すれば、『2.9万円 – 0.8万円 = 2.1万円』分が利益になる。

このように、事業者の利益になるので消費税が「益税」と呼ばれる所以なのだが、簡易課税制度を利用すれば、うまく節税できるということなので、ぜひ覚えておきたい。

簡易課税制度のデメリット

消費税簡易課税制度のデメリット簡易課税制度は納税額の計算も簡単で、かつうまく活用すれば節税することもできる。創業期は売上規模も小さく、適用条件に該当する場合がほとんどだろう。

よって、せっかく「多少なりとも利益が出る(節税になる)ならば・・・」と飛びつきたくなるが、もちろんデメリットも存在する。簡易課税制度を選択した場合、最低でも2年間は簡易課税を継続しなければならない。

詳しくは述べないが、例えば、高額な固定資産を購入した場合など、通常であれば税金の還付を受けられるケースがあるが、簡易課税制度では、支出や費用に関係なく、納税額の計算が『売上 × みなし仕入率』で計算されるため、還付を受けることはできない。

還付できたはずのものが還付できなくなってしまったら、そのダメージは計り知れない。どんなデメリットがあるかは、税理士にしっかり確認しておこう。

簡易課税制度は、このようなデメリットも考慮した上で、検討すべきである。

2年間消費税が免税される?!

納税義務が免除される条件

消費税の納税義務と免除起業にあたって「2年間は消費税が免除される」という話を聞いたことが無いだろうか?

正確には「2年前の売上が1,000万円以下である場合」は消費税が免除される。

創業1年目・2年目については2年前の売上が存在しないため、起業したてのスタートアップベンチャーは「2年間は消費税が免除される」ことになる。

しかし、これには様々な例外が存在する。ここでは納税が免除されないこととなる代表的なものを2点紹介する。

免税されない例外1:創業1・2年目で事業年度開始日の資本金が1,000万円以上

創業1年目の途中で増資をして資本金が1,000万円以上になった場合には、2年目は納税は免除されない。なお、この規定は法人にのみ適用されるため、個人事業者の場合は無視して構わない。

免税されない例外2:前年の上半期の売上が1,000万円を超えた

前年の上半期の売上が1,000万円を超えてしまうと、納税は免除されない。

これは、創業2年目以降気にすべき点だが、売上の代わりに「給与等の支払額によって納税が免除されるかどうか?」を判定することもできる。前年の上半期の売上が1,000万円を超えていても、給与等が1,000万円以下であれば消費税の納付は免除される。幸いにも売上が伸びてしまった場合は、給与設定を慎重に調整して、うまく免税の条件にあてはまるようにしたい。

消費税の納税・免税ルールまとめ

消費税は「2年前の売上」がものを言う。逆説的に言うと「今年の売上が2年後の消費税を決定付ける」と言える。

起業してから消費税の納税が実際に始まるまで、準備と覚悟の時間が2年間あるので、よほどのノンビリ屋さんの経営者でなければ、勉強や対策を練る時間は十分にある。

納付額の計算方法や簡易課税制度といった納税ルールや、納税義務免除等の免税ルールなど、消費税の基本的な仕組みを押さえておけば、慌てずに対応することができるはずだ。

ただし、消費税の扱いは、テクニカルで専門知識を必要とする部分も多いため、税理士を上手く活用しながら対応を進めていこう。

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(監修:渋谷税理士法人 中村剛士
(編集:創業手帳編集部)

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