法人でも青色申告できる?個人との違いや手続き・メリットを解説

創業手帳

青色申告は正しい理解で節税効果を最大化しよう


個人事業主も法人も青色申告を選択すれば、欠損金の繰越控除や各種特例を活用した節税を利用できます。
ただし、法人の青色申告は、個人事業主の青色申告とは手続きや帳簿の範囲が異なるため、法人独自の要件を理解しておいてください。

正しい申請と帳簿管理は、税務上の信頼性向上や経営判断に必要な情報を得るためにも役立ちます。法人の青色申告についてまとめました。

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法人でも「青色申告」はできる?


青色申告を選ぶと聞いた時、個人事業主の確定申告をイメージするかもしれません。
しかし、法人も青色申告を行うことができ、個人事業主と同様に税務上の特典を受けることができます。
具体的には、欠損金の繰越控除や各種特例を適用できるので白色申告よりも高い節税効果が期待できます。

ただし、法人と個人では税制上の扱いが異なり、法人の青色申告は法人税の確定申告の一部です。
法人の場合には提出書類や手続きが個人とは異なるので混同しないようにしなければいけません。 法人の青色申告について把握しておいてください。

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法人の「青色申告」とは?


個人事業主にも法人にも、確定申告は青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告を受けるためには承認が必要なので、事前にどちらにするか選ばなければいけません。
ここでは法人の青色申告についての概要や選択する時の注意点を紹介します。

法人税の確定申告の中で行う「青色申告」

個人事業主の所得に所得税が課税されるように、法人には法人税が課されます。法人は、事業年度ごとに決算を実施してそれに基づいて確定申告を行います。

法人の青色申告では、法人税の確定申告書に基づき、損益計算書や貸借対照表を添付しなければいけません。
青色申告では、法人税法に基づき正確な帳簿を作成するように求められますが、欠損金の繰越控除などの税務上の優遇を受けられます。
申告は事業年度ごとに行って必ず税務署に提出しなければいけません。
毎年のことであり準備も必要なので、企業の年間スケジュールにも組み込んでおくようにしてください。

法人が青色申告するための要件

法人も個人事業主も、青色申告を行うには、税務署に青色申告承認申請書を提出し、承認を受けなければいけません

また、承認を受けるためには正規の簿記の原則に従った帳簿を備え、事業年度ごとに記録する義務があります。
正規の簿記では正確な会計帳簿の作成と財務諸表の作成が要件です。白色申告では簡易的な単式簿記の記帳が認められていますが、青色申告では複式簿記で記帳して記載します。

青色申告承認を受けて、決算書作成や法人税申告を青色申告で適切に実施すれば申告控除や特例を適用できます。記帳が複雑になると聞くと不安に感じるかもしれません。
青色申告に対応した会計システムもあるので利用を検討してみてください。

青色申告承認申請書の提出期限

青色申告承認申請書は、原則として青色申告を受けようとする事業年度の開始の日の前日までです。

ただし、新規設立法人は、事業開始から3カ月以内または最初の事業年度終了日の前日までに提出する必要があります。
期限内に提出しないと青色申告の承認を受けられず、白色申告として処理されます。
当然、青色申告の優遇措置が受けられるのも翌年以降になるため、節税面でも早めに青色申告承認申請書を提出するようにしてください。

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個人事業主と法人の青色申告の違い


個人事業主でも法人でも青色申告を利用して税制優遇を受けられます。それぞれの青色申告にはどのような違いがあるのかまとめました。

申告書の種類と添付書類の違い

個人事業主と法人は確定申告に限らず、納めている税金や必要な書類、申告時期がまったく違います。
個人事業主が納めるのは所得税と住民税等です。所得税の確定申告書を税務署に提出します。

一方で、法人に課せられるのは法人税や法人住民税、法人事業税等です。法人税は、法人税申告書を税務署に提出します。
個人事業主でも法人でも書類の提出先は同じ税務署ではありますが、法人は法人番号を基に処理され、申告書の様式や添付書類が異なります

法人の申告書には貸借対照表や損益計算書を添付する義務があり、個人事業主より記載内容が詳細な点も大きな違いです。

控除制度の有無の違い

青色申告の控除制度も個人事業主と法人では扱いが違います。個人事業主は、条件を満たせば青色申告特別控除65万円が適用されます。

法人は個人事業主と同じ青色申告控除はありませんが、様々な損金参入を利用可能です。
具体的には、欠損金の繰越控除や繰戻還付を活用できるようになるので、税負担を平準化できます。

個人と法人では控除の適用範囲や計算方法が異なり、節税効果の内容も変わります。

損失の繰越・繰戻の違い

個人事業主も法人も、青色申告にすれば赤字を翌年以降に繰り越せる制度があります。しかし、それぞれに違う点もあるので押さえておいてください。

個人事業主は青色申告の場合、損失を3年間繰越できます。ただし、繰戻還付は原則として認められていません。
この繰戻還付とは、前期に納税していて当期の赤字の場合には税金の一部または全額の還付を受けられる制度です。

法人は欠損金を最大10年間繰越可能で、過去の黒字に対して税額還付を受ける繰戻還付も利用できます。
損失が出た時の扱いは所得税と法人税で大きく異なり、法人のほうが長期的な節税メリットが大きいです。

記帳義務・帳簿の範囲の違い

青色申告で義務とされている複式簿記での記帳と帳簿の範囲も個人事業主と法人で違います。

個人事業主は青色申告の場合は複式簿記で仕訳帳と総勘定元帳、補助簿を備え付けます。
法人は商法および法人税法に基づいて、すべての取引きを正規の簿記で記帳しなければいけません。

帳簿の範囲は法人のほうが広く、貸借対照表や損益計算書など詳細な資料作成が必要です。

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法人が青色申告を行うメリット


青色申告を選択すると手続きが必要な上、記帳は煩雑になってしまう点がデメリットです。では青色申告を選ぶことにどのようなメリットがあるでしょうか。

欠損金の繰越控除・繰戻還付が使える

法人は赤字(欠損金)がでた時に翌年度以降に繰越して所得から控除できます。当年で控除しきれなくても、将来的な負担を減らせるので税負担を平準化可能です。
加えて、青色申告にすれば過去の黒字に対して税金を還付してもらえる繰戻還付制度も活用できます。

赤字になった時に、まず気になるのは当面の資金繰りです。この制度であれば、すでに支払った税金が手元に戻るのでキャッシュフローの安定に寄与します。
欠損金の繰越控除は最大10年間適用可能で、長期的な経営戦略に合わせて節税対策を実施できます。
ただし、2018年4月1日前に開始した事業年度において生じた欠損金額の繰越期間は9年です。

減価償却や引当金などの特例が使える

青色申告を選ぶと使えるようになる特例もあります。
少額減価償却資産の特例は、中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を購入した時に、取得価額を即時に損金算入できる制度です。

通常の減価償却では、耐用年数に応じて減価償却して損金算入する減価償却が必要です。段階的に経費になり取得したタイミングで費用全額を損金算入はできません。
しかしこの制度であれば購入年に全額損金算入できるので所得を圧縮して節税するために役立ちます。

貸倒引当金の損金算入も青色申告の特典です。
事業の売掛金や貸付金がある場合、その合計額の5.5%以下(金融業の場合は3.3%以下)の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れて損金算入できます。
貸倒引当金の損金算入は、資金の支出がなくても所得を圧縮できるので資金繰りにも悪影響がない節税策です。

税務上の信頼性が高まる

青色申告を選択すること自体にもメリットがあります。
青色申告を行う法人は、確定申告のために作成している正確な帳簿と決算書を提出できるので、税務署や金融機関からの信頼が高まります

日常的な仕訳を適切に行っている、会社の資金の流れを把握していることは事業において重要です。
積み上げた信頼によって、融資審査や取引先との契約交渉が有利になる場合もあります。
青色申告の制度を遵守した経理処理は、将来の税務調査や監査リスクを低減し、税務調査での対応にも備えやすくなります。

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青色申告をしない法人のリスク


法人が青色申告をしない場合は白色申告をすることになります。青色申告を選ぶには、青色申告承認申請書を提出しますが、白色申告の場合には手続きは不要です。
何も手続きしない時には白色申告になります。
青色申告を選ばない、つまり白色申告にする場合はリスクもあります。どういったリスクがあるのか知っておいてください。

損失の繰越ができない

白色申告では、赤字になった時にも損失の繰り越しや繰り戻しが認められていません。
つまり、ある年に赤字が出たとしてもその年限りの損失であり、翌年以降に利益が出た時に差し引かれずにそのまま課税されます。

一部白色申告でも赤字繰越が認められているケースはあるものの、被災事業用資産の損失などの限られたケースです。
特に開業時は赤字になりやすいので、青色申告をしないとその赤字を活用できないまま、黒字になった時に多くの税金を払うケースがあります。

経理処理が煩雑になりやすい

白色申告では簡易記帳が可能であり、青色申告のように複式簿記は不要です。
しかし、税制上では問題なくても、白色申告の経理処理や帳簿では実務上の取引記録整理が不十分になる可能性があります。

簡便な処理を選択すると、内部管理や経営判断に必要な情報が不足しやすくなる、法人の意思決定に支障をきたすといったリスクにもつながります。
加えて、経理処理や帳簿の不備があると、適正に手続していないとみなされて税務署から修正や追徴課税の指摘を受ける可能性も考えなければいけません。

白色申告であっても、経営上必要な帳簿は備え付け、適切な会計処理を徹底するようにしてください。

税務上の信用が低くなるおそれがある

白色申告を選択する法人は、税務署や金融機関からの信頼性が低くなる可能性があります。
適切な会計処理や帳簿の備え付けができていないとして信用が低下により、融資の審査や取引条件で不利になるかもしれません。

もしも、正確な帳簿を保持していないと、税務調査を受けた時の対応にも時間がかかってしまいます。
事業の内容を適切に会計処理、帳簿付けするのは、自社を守るためにも大切であると考えてください。

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法人が青色申告を行うための手続き方法


法人が青色申告を行うためには、一定の手続きが必要です。どういった手続きが必要なのかまとめました。

①「青色申告の承認申請書」を提出する

青色申告を選択するには、法人設立後、税務署に「青色申告の承認申請書」を提出して承認を受けなければいけません。
承認を受けることで、法人税の申告時に青色申告特典を適用できます。

申請書提出には、会社名や事業年度、帳簿の種類など必要事項を正確に記載してください。作成した書類は納税地を所轄する税務署に、持参か郵送、e-Taxで提出します。

②申請期限に注意する

青色申告は提出期限が定められていて、新規法人は事業開始から3カ月以内か設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までに申請する必要があります。
この期限を過ぎてしまうと承認が受けられません。

既存法人が青色申告に切り替える場合も、適用開始年度の初日までに申請しなければいけません。
期限を守れないと青色申告の特典が受けられず、白色申告扱いとなってしまいます。

③正しい帳簿付けと決算申告を行う

青色申告の承認を受けた後は正規の簿記に従い、日々の取引きを記帳する義務があります。
期末には貸借対照表や損益計算書を作成し、法人税申告書に添付して提出してください。
日々の正しい帳簿付けにより、青色申告特典の適用や税務上の信頼性が確保されると考えて取り組んでください。

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青色申告をスムーズに行うためのポイント


青色申告は多くのメリットがあり、可能であれば利用したい優遇制度です。
ここでは青色申告を正しくできるか不安に感じる人のために、スムーズに行うためのポイントをまとめました。

会計ソフトを活用する

会計ソフトを利用することで、帳簿付けや決算書作成を効率化し、記帳ミスや入力忘れを防止できます。
弥生会計などの主要ソフトは青色申告対応のものがあり、各種控除や特例計算を自動で実施可能です。
会計ソフト活用を普段から活用していれば、税理士への相談や申告書作成もスムーズに進められます。
会計まで手が回らないという人も会計ソフトの導入を検討してみてください。

税理士への相談・顧問契約を検討する

決算や確定申告に不安がある時には、税理士への相談や顧問契約も検討してください。税理士に相談することで、青色申告の要件や控除の適用について正確に理解できます。
さらに顧問契約を結んでおけば、定期的な帳簿チェックや申告書作成を専門家に任せられるので安心して事業に集中できます。

税理士のサポートにより、税務調査への対応や節税戦略の立案も円滑に進められるはずです。

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まとめ:法人でも青色申告は可能。正しい手続きで節税効果を最大化しよう

法人でも青色申告を行うことで、欠損金の繰越控除や各種特例を活用した節税ができます。
青色申告に求められる正確な帳簿付けと決算書作成は、税務上の信頼性や経営判断に必要な情報を確保するためにも大切です。
手続きに不安がある人も会計ソフトや税理士を活用して、青色申告の承認申請を期限内に行います。青色申告で手続きの効率化と節税効果の最大化を目指してください。



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(編集:創業手帳編集部)

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