コンビニ開業の始め方|メリット・デメリットや収益性を解説

創業手帳

フランチャイズによる手厚いサポートと景気に左右されにくい安定性が魅力


大手のコンビニはフランチャイズの仕組みが整備されていて、個人での初めての店舗経営でもスムーズに進められます。一方で、ロイヤリティの負担が重い点や、24時間営業であるために生活リズムが不規則になりがちな点がネックです。

今回は、コンビニ開業の始め方や収益性、メリット・デメリット、経営を軌道に乗せるポイントを紹介します。この記事をふまえて、自分にとってコンビニ経営が合っているかを考えてみましょう。

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この記事の目次

コンビニ開業とは?

コンビニを開業すると、店舗の経営を担うことになります。ほとんどの開業家は大手のコンビニとフランチャイズ契約を結んで、低リスクな形で経営を進めます。単独店舗での経営では、経営者=店長のケースが多いです。一方で、事業を拡大すると店長業務もアルバイト・パートに任せる形となります。

コンビニの店舗経営を担う仕事

コンビニを開業すると、店舗を経営することになります。最初は1つのコンビニを経営するケースが多いですが、軌道に乗れば複数の店舗経営へ事業を拡大する方も少なくありません。

コンビニ経営とは、売上・仕入れや管理費をコントロールしながら、利益を上げていく仕事です。お金周りの管理だけでなく、レジ対応や仕入れ発注、店舗の清掃など、円滑に営業するためのあらゆる業務に対応しなければなりません。

全ての業務を自分だけで行うのは不可能なので、主にアルバイト・パートで構成される従業員を雇って複数人で運営します。トラブルを防ぎ安定した経営を維持するためには、従業員に適切な教育を施すのも経営者の大事な役割です。

フランチャイズ契約で始めるのが一般的

コンビニ開業するときは、ほとんどの方が大手のコンビニブランドとフランチャイズ契約を結んで経営を始めます。全国レベルで知名度の高いコンビニブランドとしては、セブンイレブン、ファミリーマートやローソンがあります。

フランチャイズ契約とは、本部に加盟料やロイヤリティを支払う代わりに、大手ブランドの名前を使用して店舗経営ができる仕組みです。コンビニの大手ブランドは知名度が高いため、お客さんを呼び込むうえで大きなアドバンテージとなります。また、コンビニのフランチャイズは経営支援も手厚いため、店舗経営の経験がない方でもスムーズに運営しやすいのが特徴です。

店舗経営と店長は異なる

コンビニでは店舗経営と店長は同じものと捉えがちですが、両者の役割は異なります。特に単店舗で経営していて、売上もさほど大きくない時期は、経営者が店長として店舗の管理も担うケースも少なくありません。

本来、経営者はコンビニ事業の収支管理や取引業者、本部とのコミュニケーションなど事業経営を担います。一方で店長は、コンビニ店舗を円滑に営業する役割の仕事です。特に、複数店舗での経営を視野に入れているなら、両者の違いを理解してコンビニ店長の育成を進める必要があります。

コンビニ経営者の仕事内容

コンビニ経営者の仕事内容は以下の通りです。ただし、店長を別に配置する場合には、一部の業務は二人で協力して進めます。

  • 接客対応
  • 商品管理
  • 売り場管理
  • 収支管理
  • 従業員の教育
  • 付帯サービスの管理

接客対応

コンビニに来店するお客さまの応対をします。最も基本的なレジ対応や決済対応のほか、お弁当の温め、宅配便の受け渡しや切手の販売などさまざまな業務があります。お客さまの要望に応じてスムーズに対応し、顧客満足度を高めていかなければなりません。

混雑時には、スピーディな対応がより多くのお客さまに対応するうえでも重要です。経営者も当面は店長として接客対応をするため、作業やプロセス、接客マナーを一通り身に着けておく必要があります。

商品管理

必要な商品をお客さまが購入できるよう、商品管理を継続的に行います。売上を予測して多様な商品を仕入れていきます。また、惣菜をはじめとした食品は賞味期限・消費期限があるため、期限切れによる食品ロスが出ないように発注しなければなりません。

商品管理を適切に行わないと、よく売れる商品の欠品が増えたり、逆に不要な商品を過剰に仕入れたりして、利益拡大の阻害要因となります。日々の売上状況と季節、立地、客層などを加味しながら、過不足なく商品を仕入れる必要があります。

売り場管理

お客さまが快適に買い物をしスムーズに売上につなげるためには、コンビ二店舗の適切な管理が重要です。仕入れた商品の適切な陳列や店舗内の清掃、店舗内調理の総菜の管理(賞味期限・消費期限切れなどのチェックなど)など多様な業務があります。

シフト時間であれば経営者が対応しますが、シフト外には従業員が売り場管理を任せなければなりません。そのため、売り場管理のマニュアル作成や、店舗管理の効率化などの工夫も必要です。

収支管理

経営者にとって最も重要な仕事は収支管理です。ほかの仕事は事業規模が拡大すれば従業員や店長に任せる部分が増えていきますが、収支管理だけは最後まで経営者が主として行います。

売上と原価、ロイヤリティや管理費用などをうまく予算内に抑えて、黒字経営を維持する必要があります。売上・利益が少ないと、自身の収入減少につながり、やがて店舗経営が継続できなくなります。

従業員の教育

コンビニを円滑に運営していくうえで、従業員の教育はとりわけ重要です。24時間営業するコンビニでは、店長・経営者が常に店舗対応をするのは現実的ではありません。

経営者の目が届かないときの従業員のミスによりお客さまに被害が及べば、店舗経営に致命的なダメージを与えるリスクがあります。従業員だけでも円滑な運営ができるように、店舗管理のノウハウや接客対応、マナーなどを適切に伝えなければなりません。

付帯サービスの管理

現代のコンビニでは、商品の販売以外にも様々な付帯サービスを提供しているため、これらのサービスの円滑な管理もコンビニ経営者の仕事です。

  • 宅配便の取次
  • ネットショッピングなどの決済
  • イベントのチケットなどの販売や決済
  • 提携金融機関のATM管理
  • 税金や公共料金支払いの対応

コンビニブランドによって取り扱っているサービスは異なります。フランチャイズ加盟店として運用を継続するうえで、そのブランドが扱うサービスの円滑管理も重要な役割です。

コンビニ開業のメリット

コンビニで開業するメリットは、主に次の4点です。

  • 初めてでも本部の手厚いサポートで始めやすい
  • 景気変動の影響を受けにくい
  • 実は多様なサービスを提供できる
  • 他店舗展開での事業拡大もスムーズ

売上を安定させやすく、本部のサポートにより失敗するリスクが低いため、コンビニ開業は事業経営の実績がない方でもチャレンジしやすい事業です。

初めてでも本部の手厚いサポートで始めやすい

コンビニは、以前からフランチャイズ形式で店舗拡大を進めてきたため、制度が整備されています。本部の支援体制も整っていて、スムーズに店舗経営を進められるのが特徴です。

大手のコンビニの場合、各地にスーパーバイザーなどと呼ばれる本部の担当者がいて、管轄コンビニの管理やサポート、アドバイスなどを行ってくれます。仕入れに関しても、本部が一括対応する商品が多く、大量発注により割安で仕入れられるシステムです。

大手のコンビニはいずれも、不動産を持たなくても店舗経営を始められます。なかには、一度社員として従業員を経験したうえで、独立できるスキームを用意しているコンビニもあります。フランチャイズ本部の多面的なサポートにより、低リスクで開業できるのが魅力です。

景気変動の影響を受けにくい

コンビニは、数ある事業の中で相対的に景気変動の影響を受けにくい業態の一つです。扱う商品の多くは生活必需費や食品なので、景気動向に関らず安定した売上が期待できます。

24時間営業している利便性やブランド力が強みとなって、価格をいたずらに下げる必要もなく、安定した利益を産み出しやすいビジネスといえます。

実は多様なサービスを提供できる

コンビニというと商品販売だけのイメージがありますが、近年ではサービスが多様化しています。ネット決済や金融機関、チケット販売などはすでにコンビ二の一事業として定着しました。

最近では、デリバリーサービスや高齢者向けの宅配サービスを手掛けるブランドもあります。多様なサービスにより、その地域にさまざまな付加価値を提供できる点で、やりがいにつながります。

提供できるサービスが増えれば増えるほど、コンビニは「なくてはならない」存在となるため、長期的に安定経営していくうえでもプラスに働くでしょう。

多店舗展開での事業拡大もスムーズ

コンビニは、基本的に多店舗展開して事業を拡大していきます。本部側には多店舗展開のノウハウが蓄積しているため、経営者の意向さえあればスムーズに事業拡大の道筋をつけられます。

店長を育成して多店舗展開に成功すれば収入が拡大し、自分は経営当初ほど店舗に立つ必要はなくなります。特に身体的な負担の軽減にもつながるでしょう。

コンビニ開業のデメリット


コンビニ企業においては、次の様なデメリットがあります。

  • 本部へのロイヤリティがコストに
  • 24時間経営で生活リズムが崩れやすい
  • 中途解約で違約金が発生する場合がある
  • 裁量権が小さい

デメリットに留意して、対策を取りながらスムーズにコンビニ経営を進めましょう。

本部へのロイヤリティがコストに

フランチャイズに加盟すると、本部にロイヤリティを支払わなければなりません。一般に、フランチャイズのロイヤリティには次の3タイプがあります。

  • 粗利分配方式:売上総利益の一定割合を徴収
  • 売上歩合方式:売上高の一定割合を徴収
  • 定額方式:決まった額を毎月徴収

コンビニでは粗利分配方式がほとんどです。利益が増えるとロイヤリティも増えるため、売上が拡大した割に自分の収入が出ないと感じる場合もあるでしょう。さらに、総利益の計算に含まれない販売管理費などを増やしてしまうと、最終利益はわずかなのに重いロイヤリティ負担を強いられる恐れもあります。

24時間経営で生活リズムが崩れやすい

現代のコンビニのほとんどは24時間経営で、単店舗経営で店長を兼ねている内は、深夜にシフトに入らなければならない状況に陥りがちです。昼夜逆転や不規則なシフトにより心身に負担がかかり、健康を害してしまうリスクも小さくありません。

夜間の仕事が苦手な方には、コンビニ経営は不向きです。早期に自身での夜間対応を減らすには、事業を拡大して夜間にシフトに入ってくれるスタッフを増やしていく必要があります。

中途解約で違約金が発生する場合がある

コンビニのフランチャイズは長期契約になっている場合が多く、中途解約すると違約金が発生するケースも少なくありません。

辞めてしまうと、収入が途絶えたうえで違約金が発生するため、急激に生活に困窮するリスクがあります。長期で継続して経営する覚悟を持ったうえで、加盟を検討しましょう。

裁量権が小さい

本部の対応が手厚いことの裏返しとして、経営者としては裁量権が小さいのがデメリットです。店舗に陳列できる製品の制約が大きく、また、多くの部分で本部を通じて仕入れする必要があります。

自分のセンスで仕入れ先を開拓したり、陳列商品を工夫する余地が小さいのです。また、ATMの設置や付帯サービスの対応も実質的に義務化され、逆に、ブランド全体として取り扱わないサービスを独自に扱うハードルは高いといえます。

コンビニ開業の必要資金


コンビニ企業に最低限必要な資金の目安は以下の通りです。なお、店舗と土地は本部が用意するスキームを利用するものとします。

必要資金の目安
加盟金(+出資金)合計 150万円~300万円程度
加盟金に含まれる資金
 店舗運営必要資金< 50万円~100万円程度
 研修費など 50万円~100万円程度
 開店準備金 50万円程度
自己資金 100万円程度

店舗・土地を自分で手配しない場合、ロイヤリティの負担率が上がりますが、家賃などは支払う必要がありません。そのため、不動産に関するコストはかからない仕組みです。初期の店舗内装工事なども、本部側が負担するケースが多いです。

加盟金の中には初期の運転資金が含まれているため、必要最低限の初期費用で経営を始めるなら、ほぼ加盟金≒必要資金となります。

ただし、不測の事態に対応できるようにしておくためには、100万円程度は自己資金を確保しておいた方が良いでしょう。以上を踏まえると、300万円程度がコンビニの開業資金の目安となります。

コンビニの売上と収入の目安

店舗によりますが1日の売上が50~70万円程度というのが目安です。セブンイレブン・ジャパンのデータによると、2022年度の1店舗あたりの平均日販(1日の売上)は67万円でした。また、ローソンの場合2023年の1店舗あたりの日販は53~57万円程度で推移しています。

仮に1日の売上60万円として、原価率を70%程度、粗利を30%とすると、月の売上が1,800万円、粗利が540万円となります。

ここからロイヤリティ料を引きます。ロイヤリティ料はコンビニブランドや契約条件によって異なりますが、ここでは60%として計算します。すると、ロイヤリティ料控除後の利益は216万円です。

人件費は時給平均1,100円で、自分が店舗に入る工数を除いて平均二人分のアルバイトを要するとすると、30日×24時間×1,100円×2人=158万円です。

このほかに店舗の光熱費や管理コストなどがかかりますが、光熱費などを一部負担する制度などもあります。管理コストの自己負担額にもよりますが、月の最終利益は50万円程度が一つの目安です。売上が上振れる店舗なども加味すると年収600~700万円と想定されます。

コンビニの収支目安
項目 収支
売上月次(売上日販) 1,800万円(60万円)
 原価(原価率70%として)< ▲1,260万円
売上総利益 540万円
 ロイヤリティ料(60%と仮定) ▲324万円
店舗の利益 216万円
 人件費 ▲158万円
 店舗管理費(本部の負担分除く) ▲~10万円
最終利益(月次) 50万円程度

コンビニ開業で成功するポイント

コンビニ開業で成功するためには、次の6点を意識して経営を進めるのが大切です。

  • フランチャイズ本部選びを間違えない
  • 従業員教育を丁寧に行う
  • 幅広い年齢層の従業員を雇う
  • フランチャイズ本部と良好な関係を築く
  • 地域・客層・季節をふまえて仕入れ商品を工夫する
  • 食品の在庫管理に注意する

フランチャイズ本部選びを間違えない

自分に合ったフランチャイズ本部を選ぶのが重要です。コンビニのフランチャイズは、それぞれ次のようなポイントで差があります。

  • 開業時に必要な加盟金
  • ロイヤリティの割合
  • 本部のサポート体制
  • 運営の裁量

自己資金が少ない方は加盟金に着目するのが良いですし、経営が不安ならサポート体制が手厚いところを選びましょう。

従業員教育を丁寧に行う

コンビニ事業を拡大する上では、従業員の教育を丁寧に行うのが重要です。経営者が店長として長時間店舗に立っていると、収支管理や事業拡大の計画策定など、本来の経営者の仕事に時間を割きづらくなります。

従業員を丁寧に教育して任せられる業務を増やしていき、経営者自ら店舗に立つ頻度を減らしていきましょう。また、丁寧で礼儀正しい接客により顧客満足度を高めるためにも、従業員への接客の指導を徹底し、常に質の高い対応ができる体制を整える必要があるのです。

幅広い年齢層の従業員を雇う

スタッフのシフトを組みやすくする上で、実は幅広い年齢層を雇うのが有効です。年代が近いと、しばしばシフトに入りやすい時間、入りにくい時間が近接しがちです。たとえば大学生ばかり雇うと、学校期間の平日はシフトに入りづらくなります。

主婦のパートが多いと、今度は夕方~夜間の人材が確保がしづらくなるでしょう。シフトが組めなければ、自分が店舗に立つ時間が増えます。多様な年齢・バックグラウンドの従業員を雇って、安定したシフトを組める体制を整備しましょう。

フランチャイズ本部と良好な関係を築く

フランチャイズの本部と良好な関係を築き、ブランド全体の成長につながるよう、業務に取り組んでいきましょう。店舗の経営をブランドイメージに沿って円滑に行い、課題は早めに本部と相談し、連携して解決してください。

あくまで経営者としての視点を持ち、店舗およびブランドの改善につながる戦略は積極的に提案していきましょう。フランチャイズとの関係を良好に保っておくと、他店舗経営の相談もしやすくなりますし、承認も得やすくなります。

地域・客層・季節をふまえて仕入れ商品を工夫する

コンビニがあるエリア層の特性や季節をふまえて、需要の高い商品を仕入れましょう。オフィス周辺なら文房具やランチ用のお弁当、飲み物などを充実させるのが有効です。周辺にスーパーなどがない地方のコンビニでは、調味料や野菜などを扱っている場合も少なくありません。

また、夏はアイスや冷蔵の菓子類、冬は暖かい麺類や汁物といったように、季節によって売れ筋商品も変わります。立地や季節を踏まえて必要な商品をおいておけば、お客さまにとって利便性が高まり、売上が安定します。

食品の在庫管理に注意する

お弁当やお惣菜など、賞味期限が短い商品の在庫管理には特に気を配りましょう。賞味期限が切れた商品は廃棄になるので、過剰に仕入れてしまうと廃棄が増えて無駄なコストがかかります。

だからといって、仕入れを減らしすぎると欠品が相次ぎ、お客さまに不便を強いる形になりかねません。需要と供給をうまく見ながら、過不足のない仕入れを行うのが大切です。本部のアドバイスも聞きながら、売上状況を分析して食品の在庫を適切に管理しましょう。

コンビニ開業のプロセス


コンビニでの開業を具体的に検討し始めてから、実際に経営を始めるまでのプロセスは次の通りです。

フランチャイズの説明会に参加

コンビニ開業に興味を持ったら、まずはフランチャイズ説明会に参加しましょう。大手のコンビニはいずれも定期的に各地で説明会を行っています。説明会では、具体的なビジネスモデルやそのコンビニブランドの特色、開業までのプロセスやサポート体制などの説明を受けます。

Webサイトやフランチャイズのマッチングサイトの情報だけで、開業の是非を判断するのは困難です。複数ブランドの説明会に参加して、費用体系やブランドのコンセプトなどが合ったコンビニを選んでください。

加盟企業との面談

本格的に開業を検討する場合は、特定のブランドに問い合わせて面談を行います。開業の背景や本人以外に経営できる方、自己資金や土地の有無などについて相談しましょう。フランチャイズによっては、本人以外に一人以上の経営参加者を必須とする場合もあります。

経営者として信頼を得るためには、ビジネスマナーを守って礼儀正しく対応しましょう。また、開業までの道筋や意欲があまりに不明瞭な方も承認を得にくいので、自分なりに計画を立てて、熱意があることを示してください。

契約形態のすり合わせ

面談を受けて具体的に開業に向けて進められることとなった場合は、契約形態のすりあわせを行います。大手コンビニは、土地の有無や初期費用・ロイヤリティのルールの違いなどにより複数の契約を用意しています。

本部の担当者と相談しながら、自分に合った契約で準備を進めましょう。本部が用意したコンビニで経営する場合には、開業予定の空き物件から収益性が見込める店舗を選択します。

コンビニ経営の研修受講

開業前にコンビニの研修を受講します。基本的な接客マナー、収支管理や店舗管理のテクニックなどを一通り学んでいきます。たとえば、ファミリーマートのケースでは次のような日程です。

  • 店舗オペレーションプログラム:5日間
  • 店舗経営マネジメントプログラム:5日間
  • 店舗運営実践プログラム:4日間
  • 加盟者向けプログラム:1日間
  • 修了認定

参考:ファミリーマート

コンビニ経営を早期に軌道に乗せるためにも、研修の内容を充分に理解しておきましょう。

必要なリソースの準備

研修を受ける前後で、コンビニ経営に必要なものをリストアップして本部が準備しないものがあれば対応します。

少なくとも、従業員の雇用は確実に必要です。従業員が少ないほど経営者の負担は増えますが、雇いすぎると人件費がかさんでしまうので、バランスを取って雇用を進めましょう。

店舗を自前で用意する場合は、内外装の工事などが必要ですが、本部が用意した店舗の場合は、基本的に本部が対応します。自己資金が不足するなら、融資借入などを検討する必要があります。日本政策金融公庫や地域金融機関などに相談しましょう。

店舗経営の開始

研修が修了しリソース確保も完了したら、オープン日を決めて店舗営業を始めます。近所に広告などで告知を行って、早期から集客を進めましょう。

コンビニは生活必需品を多く置いているため、ある程度認知されて利用者が満足すれば、次第に近隣の住民やオフィス勤務の方などが日常利用してくれます。

コンビニフランチャイズ大手3社の特徴

日本のコンビニフランチャイズとしては、全国的に次の3つが有名です。

  • セブンイレブン
  • ファミリーマート
  • ローソン

それぞれの特徴について簡単にまとめました。

セブンイレブン


もともとはアメリカで誕生したコンビニブランドですが、いまは日本最多の店舗数を誇るコンビニブランドです。コンビニで唯一、日本国内で2万店を超える店舗数となっています。2023年現在、全都道府県に店舗展開しているため、地方在住でも開業できます。契約の概要は次の通りです。

Aタイプ
店舗・土地を自分で用意
Cタイプ
店舗・土地は本部が用意
加盟金 315万円 260万円
ロイヤリティ* 売上総利益の43% 売上総利益の56%~(総利益額に応じて変動)
オーナー保証収入 2,000万円
(総利益からロイヤリティを差し引いたベース
2,000万円
(総利益からロイヤリティを差し引いたベース

*24時間店舗のケース。また、ロイヤリティは別途条件を満たすと減額するケースあり
参考:セブンイレブンの横顔2023-2024
参考:セブン-イレブン・ジャパンオーナー募集

ファミリーマート


もともとスーパーマーケットチェーンの西友のコンビニ部門として立ち上がったブランドで、いまでは全都道府県に1.6万店舗を構えています。ファミリーマートは「エリアフランチャイズ制度」を導入していて、各地域毎に本部機能を現地の法人に委譲しています。

そのため、きめ細やかなサポートや地域に根ざした迅速な出店戦略を実行可能です。ファミリーマートは、4つの契約タイプがあります。ここでは、相対的に手軽に始められる「ファミリーマートが土地・建物を用意するタイプ」の契約概要を紹介します。

1FC-C 2FC-N
内装設備工事費用 オーナーが負担 本部が負担
加盟条件 2名で専業できる方
1,000万円程度を手元資金として用意できる方
同居する夫婦・事実婚・同性パートナーなど親族2名で専業できる方
20歳以上70歳以下の方
契約期間 10年 10年
加盟金 150万円 150万円
必要な開業資金 総額1,000万円程度 契約時必要資金150万円
許認可申請
店長研修受講時の交通費・宿泊費
2~3ヶ月程度の生活費
ロイヤリティ >売上総利益の49%~59%
(総利益額に応じて変動)
売上総利益の59%~
(総利益額に応じて変動)

参考:ファミリーマート|契約内容・開店までの流れ

ローソン

ローソンも実は米国発祥のコンビニチェーン店で、1974年にダイエー(現イオングループ)が現地会社とコンサルティング契約を締結して開業したコンビニブランドです。2023年時点で全都道府県におよそ1.4万店舗を展開しています。

コンビニ内のチケット販売や、美と健康を重視した「ナチュラルローソン」の展開など、先進的なサービスを積極的に取り入れる傾向にあるのが特徴です。ローソンは3つの契約形態がありますが、そのうち土地・建物を本部が用意するタイプはこちらです。

【FC-Cn 契約】 【FC-5Cn 契約】
加盟条件 20歳以上
三親等以内の親族かつ同一生計の方と店舗経営が可能な方
20歳以上
三親等以内の親族かつ同一生計の方と店舗経営が可能な方
契約期間 オープンより10年 オープンより5年
加盟金+出資金 210万円 210万円
必要な開業資金 総額310万円~ 総額310万円~
ロイヤリティ 売上総利益の45%~70%
(総利益額に応じて変動)
売上総利益の46%~71%
(総利益額に応じて変動)
初年度支援金 5万円 × 12ヶ月

参考:ローソン|各種制度のご紹介 フランチャイズ契約

なお、このほかに社員として入社して店舗経営を学んだ後に独立する制度もあります。

本部と良好な関係を築き、コンビニ開業をスムーズに進めよう

コンビニ開業は、フランチャイズ本部の手厚いサポートや景気変動の影響を受けにくい事業モデルなどが特徴で、初心者でも経営を軌道に乗せやすい業態の一つです。

一方で、24時間経営であることによる心身の負荷や重いロイヤリティ負担などがネックとなりがちに。メリット・デメリット両面を理解したうえで、本部と良好な関係を築きながら、順調に事業を拡大していきましょう。今回の記事を参考に、自分に合ったコンビニブランドを検討してみてください。

創業手帳(冊子版)」では、起業をスムーズに進めるための様々な情報をお届けしています。これから起業を検討されている方も、ぜひご利用ください。
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(編集:創業手帳編集部)

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