資金繰りの悪化を引き起こす原因とは?各原因に対する改善策もご紹介

資金調達手帳

資金繰りの悪化は倒産リスクを高める!


「売上げは立っているのに手元にお金が残らない」「支払いのたびに資金のやりくりに追われている」といった状態が続いている場合、資金繰りの悪化が始まっている可能性があります。
資金繰りは企業にとって血液のような存在であり、少しの乱れが経営全体に大きな影響を及ぼすでしょう。

本記事では、なぜ資金繰りが悪化するのか、その代表的な原因を整理し、各原因に対する改善策について解説します。
資金ショートを防ぎ、安定した経営を続けるための第一歩として、ぜひ参考にしてください。

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資金繰り悪化のサイン・兆候とは


資金繰りの悪化は基本的にいきなり訪れることはありません。実は資金繰り悪化のサインや兆候がみられる場合もあります。
例えば、毎月売上げは伸びているのに、手元の現金残高が減ってきていると、資金繰りが悪化するサインといえます。
まだ余裕がある状態だったとしても、預金・現金の増減に注目することが大切です。

資金繰り計画を立てていない場合も、資金繰り悪化につながるサインです。資金繰り計画は入出金を予想し、お金の流れを可視化するために立てられます。
資金繰りが厳しい企業は、資金繰り計画を立てていないケースが多いです。資金繰り計画を立てておかないと、現金不足による黒字倒産を招く恐れがあります。

ほかにも、過剰な値引き・サービスを提供している場合や利益がほとんど出ない仕事を引き受けている場合、どんぶり勘定で資金管理を行っている場合などは注意が必要です。

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資金繰りが悪化する主な原因7つ


資金繰りが悪化する主な原因として、以下で紹介する7つが挙げられます。
資金繰り悪化の原因として、売上げの減少や入金遅れ、コストの高騰、債務超過などはイメージする人も多いかもしれません。
実は売上げの急激な増加や過剰在庫、過剰な設備投資なども資金繰りの悪化につながりやすいです。

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資金繰り悪化の原因①売上げの大幅な減少


資金繰りが悪化する原因として、まず売上げの大幅な減少が挙げられます。売上げが減少した場合、固定費を支払うのが難しくなります。
特に固定費の中でも売上げと連動しない、家賃・人件費などの支払いには注意が必要です。
固定費は一定でありながら、売上げだけが減少してしまえば、売上げに対する支出の割合が増えてしまい、資金繰りの悪化につながります。

売上げが下がる要因

売上げが下がってしまう要因は主に「外的要因」と「内的要因」の2つです。
外的要因は流行・トレンドによる影響や周囲の環境が変わったことによる影響、競合他社の出現や業績アップなどが挙げられます。
例えば、トレンドによって爆発的に売れた商品があった場合、流行が過ぎ去ってしまうことで思うように売れなくなり、大幅に売上げが減少するなどです。

内的要因は、主に事業内容や社内の環境、戦略などが影響しており、新規顧客の減少やリピート率の減少、顧客離れ、商品・サービスや接客などの質が低下したことで、売上げが低迷する可能性があります。
例えば、新規顧客向けに施策を打ったものの、それが原因で既存顧客が離れてしまい、新規顧客も定着しなかったことで売上げが下がってしまいます。

改善策

売上げの大幅な減少を食い止め、資金繰りを改善させるためには、まず現状を把握し、何が原因となっているのか分析することが重要です。
さらに、売上げを伸ばすためにも新規顧客数と既存顧客のリピート率を向上させていく必要があります。

例えば、新規顧客数を増やすには、潜在顧客への認知を拡大させるためにWeb広告やSNSアカウントの運用などがおすすめです。
また、再購入がない顧客・購入頻度の低い顧客にはリピート率を上げるために、既存顧客向けのお得なセールやクーポンの発行、メルマガやLINE公式アカウントから定期的に情報を発信することで、購入のきっかけを与えることが可能です。

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資金繰り悪化の原因②取引先からの入金遅れ


取引先からの入金遅れも、資金繰り悪化の原因として挙げられます。
特に売上金が入ることを前提に資金繰りを立ててしまうと、取引先からの入金遅れが発生した際に、資金繰りを悪化させてしまう恐れがあります。

入金遅れが発生する要因

取引先からの入金遅れが発生する要因として、自社の経理担当者が事務処理上ミスを起こすことや支払期日の認識を誤ったこと、取引先の資金不足などが挙げられます。

事務処理上のミスの場合は、経理に請求書を渡し忘れていたり、ケアレスミスで請求漏れが起きていたりすることなどです。
取引先で起こることもありますが、自社のミスにより入金が遅れてしまう場合もあります。

また、契約書に取引代金の締め日または支払日までの期間(支払サイト)が明記されている場合、その日付に従って支払いが行われるものです。
しかし、契約書に明記されていないと双方で支払日の認識が間違っている可能性も否定できません。
さらに、取引先の資金繰りが悪化したことが原因で、支払いがストップしてしまうケースもあります。

改善策

取引先の入金遅れによるリスクを回避するためには、まず契約書の見直しが必要です。契約書には「期限の利益喪失条項」を明記しておいてください。
期限の利益喪失条項とは、一定の事由が起きた場合、期限の利益(返済期限までは支払いをしなくてもいいという債務者側の利益)を主張できなくなることを示した条項です。
万が一取引先の財務状況が悪化した場合でも、期限の利益喪失条項によってまだ期限が来ていない売掛金に関しても、素早く回収に向けて動けます。

また、未回収の売掛金がある場合は、ファクタリングサービスを活用するのもおすすめです。
ファクタリングは、企業が保有する売掛金などの債権を買い取ってもらえるサービスです。
手数料はかかってしまうものの、将来得られる利益を確実に現金化できる手段になります。
ただし、近年は貸金業登録をしていないのにファクタリングサービスを行う悪徳業者も増えているため、必ず貸金業登録がされているか確認してから依頼してください。

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資金繰り悪化の原因③コストの高騰


資金繰りが悪化する原因に、コストの高騰も挙げられます。企業にとってコストは、経営を継続する上で必要なお金です。
コストが高騰しているのに売上げが一定、または増加していてもコストが上回っている場合は、資金繰りの悪化につながってしまいます。

物価高にともなう企業への影響

近年は原材料費・仕入れ価格などが継続的に高騰している状況です。
物価高に陥っている原因には、国際的な資源価格の上昇や円安の影響、世界的サプライチェーンの混乱などが挙げられます。
これらの原因によってあらゆる業界でも原材料費と仕入れ価格の増加につながっています。

また、近年は電気代・ガス代といったエネルギーコストも上昇しており、ウクライナ情勢の長期化や、国際的に燃料価格が高騰していることや化石エネルギーの市場価格の推移なども原因の1つです。
電気代・ガス代は毎月の固定費であり、特に飲食業や小売業、宿泊業などのエネルギー消費量が多い業種にとっては、固定費の増加により経営の圧迫につながります。

改善策

コスト高騰による資金繰り悪化を改善するためには、まず固定費の見直しが必要です。
例えば、オフィスの賃料は固定費の中でも大部分を占める傾向にあるため、減額交渉を試みる価値はあります。
また、テレワークを本格的に導入し、オフィスの規模を縮小したりサテライトオフィスに切り替えたりすることも有効です。

また、原材料費や仕入れ価格が高騰している場合は、現在の仕入先だけでなくほかのサプライヤーからも見積もりを取り、定期的に比較検討することも大切です。
さらに、同業他社や近くの中小企業と連携を取り、共同で購入するのもコスト削減に一役買ってくれます。
共同購入によって仕入れ量が増えれば、サプライヤーに対する交渉力も高まり、単価引き下げのメリットも期待できます。

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資金繰り悪化の原因④売上げの急激な増加


売上げが大幅に減少することで資金繰り悪化につながりますが、実は売上げが急激に増加した場合でも資金繰り悪化の原因となります。
特に売上げを増加させるためには、人件費や仕入れ費用を増やさなくてはいけない業種は注意が必要です。

売上げの増加でなぜ資金繰りが悪化するのか?

売上げは増加しているのに資金繰りが悪化する原因として、「必要運転資金」の増加が挙げられます。
例えば、新規顧客の獲得によって売上げが先月の倍になった場合、まずは売上げの増加にともなって仕入れ費用や外注費、人件費などの運転資金がかかってきます。
売上げが倍になっているということは、先月よりも確実に多くの運転資金が必要になってくるでしょう。

しかし、売上げは伸びたものの、実際に企業の口座へ入金されるのは数カ月先になるケースも少なくありません。
売上げが入ってくるまでは、自己資金で支払いを賄う必要があります。
この入金のタイムラグが発生し、さらに運転資金が増加することで資金繰りの悪化につながってしまいます。

改善策

売上げの急激な増加によって資金繰りが悪化しないようにするには、徐々に売上げを拡大させていくか、売上げが急激に増加したら売上げ拡大を一時ストップし、資金繰りの改善に注力するなどの方法が挙げられます。

例えば、必要運転資金は(売上債権+棚卸資産)-仕入債務によって算出されるため、売上債権・棚卸資産を減らしたり、仕入債務を増やしたりすることで、必要運転資金を抑えることが可能です。
売上債権は回収サイト(売掛金として計上してから入金されるまでの期間)を短縮させ、棚卸資産は過剰在庫をなくし在庫管理を徹底することで減らせます。
また、仕入債務の場合は支払サイトをできるだけ延ばしてください。

必要運転資金を抑えられれば、不足資金が軽減され資金繰りの改善につながります。

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資金繰り悪化の原因⑤過剰在庫


小売業や卸売業、製造業などで特に起きやすいのが、過剰在庫です。商品を大量に仕入れた結果、売れ行きが芳しくなく、在庫を過剰に抱えてしまっている状態を指します。
在庫が少なすぎると機会損失を招くため、ある程度の在庫が必要といえますが、大量に抱えすぎてしまうと資金繰りの悪化につながりかねません。

過剰在庫が起こる要因

過剰在庫に陥ってしまう原因には、需要予測のミスや商品価値の低下、返品在庫の増加、発注時のミス、管理体制の不備などが挙げられます。
特に原因として多いのが、需要予測のミスです。
需要予測はこれまでの販売実績や季節性、キャンペーンの影響などを元に予測を立てていきますが、実際の需要が予測よりも下回ってしまうと、在庫は余ってしまいます。

また、管理体制の不備も代表的な原因の1つです。
手作業での管理や古いシステムに依存していた場合、リアルタイムの在庫状況を把握できず、現場と経営層で認識にズレが生じてしまう可能性があります。
特に古いシステムを使っていると部門ごとにデータが分断されやすく、市場の変化などに素早く対応するのが難しいです。

改善策

過剰在庫の改善策として、需要予測の精度向上や在庫管理を徹底することなどが挙げられます。
まず需要予測は勘や経験に頼るよりも、客観的なデータをもとに予測することで精度の向上につながります。
近年はAIや機械学習の活用によって自動化・高度化させることも可能です。
次に、在庫管理を徹底させることも重要です。具体的には、在庫管理の健全性を示す「在庫回転率」を定期的に確認し、過剰在庫につながりそうなサインを早期に発見します。

需要予測の精度を上げ、在庫の可視化を図るのに「在庫管理システム」の導入もおすすめです。
在庫管理システムではリアルタイムで商品別の在庫を確認でき、さらに過去の販売データから自動で需要予測が行える場合もあります。
ハンディスキャナを活用した在庫登録システムもあれば、在庫を記録する際の人為的なミスを減らすことも可能です。

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資金繰り悪化の原因⑥過剰な設備投資


過剰な設備投資を行った場合も、資金繰り悪化につながりやすいです。
企業にとって設備投資は、生産性の向上や業務効率化、競争力の強化、長期的な収益の向上など、多くのメリットが得られます。
しかし、設備の購入費用は決算上、複数年かけて費用を計上していきますが、実際は資金が一気になくなっている状況であり、資金繰りが悪化します。

過剰な設備投資によるリスク

設備投資自体は行っても良いですが、一度設備投資をすると止めるのは難しく、売却した場合でも購入費用を全額回収できるわけではありません。
そのため、過剰な設備投資によるリスクは大きいといえます。

過剰な設備投資は将来への見通しが甘い場合や、借入れへの依存がきっかけで起きるケースも少なくありません。
特に事前に計画を立てず、思いつきで設備投資をしてしまった場合、十分な利益が見込めなかったり、逆にコストがかかったりする可能性もあります。

改善策

過剰な設備投資を防ぎ、資金繰りを改善させるためには、補助金・助成金制度を活用するのがおすすめです。
補助金・助成金の中には厳しい条件をクリアすることで返済不要なものもあります。
補助金の場合はあらかじめ予算が決まっており、審査によって決まるため必ずしも採択されるものではありませんが、なるべく補助金・助成金を活用して設備投資を行うようにしてみてください。

また、一度に高額な費用を支払ってしまうと、資金繰りに大きな負担がかかることから、分割払いやリース契約を活用するのもおすすめです。
ただし、分割払いやリース契約は一括での購入に比べて総支払額が高くなります。利息・手数料も含めて、余裕のあるキャッシュフローを維持できるか検討することが大切です。

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資金繰り悪化の原因⑦債務超過


債務超過とは、会社が抱える負債総額が、資産総額を超えている財務状況です。
貸借対照表を見た際に、資産をすべて売却したとしても、負債が残っている場合は債務超過に陥っているといえます。
金融機関から運転資金や設備投資を借り入れている場合、毎月または半年に一度は返済が必要となりますが、この返済負担が大きいと資金繰りの悪化につながりやすいです。

債務超過に陥る要因・リスク

それぞれの会社の状況・事情によって債務超過に陥る要因は異なりますが、特に債務超過に陥る要因として挙げられるのは、継続的な赤字経営です。
継続して支出が収入を上回る状態が続いてしまうと、利益剰余金は減少していき、自己資本の枯渇につながります。

また、事業拡大や設備投資などを目的に多額の資金を借り入れ、想定以上に利益が出なかった場合は負債だけが増えてしまい、債務超過に陥りやすいです。
ほかにも、自然災害の発生や訴訟による特別損失、株価・不動産価格の急落など、予期せぬ費用がかかってしまうことも債務超過に陥る要因となります。

改善策

すでに債務超過に陥っている場合、改善策として増資やDES(デット・エクイティ・スワップ)で負債を資本に切り替えることなどが挙げられます。
増資は会社の純資産を増やして、会計上の債務超過を解消する方法です。
経営者の出資や新株式の発行、投資ファンド・ベンチャーキャピタルなどから出資を募ることで解消できます。
ただし、あくまで会計上の債務超過を解消する方法であり、根本的な赤字の解消にはつながりません。

DESは金融機関などの債権者が、債務超過にある企業の株式を取得し、債権を株式に振り替える方法を指します。
企業側は純資産を得ることができ、金融機関側は株式を取得したことで経営に参画しやすくなります。

ほかにも、土地や有価証券などの資産がある場合は売却したり、会社再生法を適用して経営を立て直したりするなど、状況に合わせて最適な方法で債務超過の改善に努めることが大切です。

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資金繰り悪化を防ぐための共通改善ポイント


資金繰りが悪化する最大の理由は、「利益」と「現金の動き」を同一視してしまうことにあります。
売上減少やコスト増だけでなく、売上げの急増や設備投資といった一見前向きな要因であっても、資金の流れを正しく管理できていなければ、資金繰りは簡単に不安定になります。

そのため、まず重要なのは資金の出入りを常に可視化し、先を見越して管理する体制を整えることです。
例えば、資金繰り表を定期的に作成し、数カ月先までの入金・支払予定を把握しておくことで、入金遅れや一時的な支出増にも早めに対応できるようになります。

さらに、固定費・借入金を含めた財務体質の改善を意識することも共通するポイントです。
コスト高騰や債務超過の背景には、固定費構造が重すぎる、返済負担が経営を圧迫しているといった問題が隠れています。
短期的な資金対策だけでなく、中長期的に無理のない財務体質へと整えていく姿勢が、資金繰りの安定につながるでしょう。

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まとめ・資金繰り悪化の原因を特定し、改善策を講じよう

資金繰り悪化の原因は売上げの減少や過剰在庫など、自社が要因となっている場合もあれば、コストの高騰や入金遅れなど外的要因によって起こる場合もあります。
こうした様々なリスクを回避し、安定した資金繰りを維持するためにも、常に資金の流れを把握し、数カ月先を見越して入出金管理を行うことが大切です。
まずは資金繰りの悪化の原因を探り、特定したらその原因を解消するための適切な改善策を講じましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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