経営継続補助金の申請開始! 農林漁業事業者に最大150万円の経費を補助

創業手帳

経営継続補助金の概要をまとめて解説します

(2020/06/26更新)

農林漁業に携わる事業者を対象に、事業継続のための経費を補助する「経営継続補助金」の申請が2020年6月29日に始まります。

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)対策へのさまざまな取り組みをカバーする補助金で、農林漁業を営む経営者はぜひチェックしておきたい制度です。募集の概要とポイントを解説します。

無料で利用できる創業手帳の冊子版では、補助金・助成金をはじめ、経営者が利用できる資金調達の手段や、資金のやりくりに必要なノウハウを解説しています。記事とあわせて参考にしてみてください。

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経営継続補助金の目的

経営継続補助金は、新型コロナの影響を克服するために、感染拡大防止対策をしつつ、販路回復・開拓や生産・販売方式の確立・転換など、事業継続のための取り組みをすすめる農林漁業者を支援する補助金です。

機械・設備の導入や人手不足解消の取り組みなどを総合的に支援することで、地域を支える農林漁業者の経営の継続を図ります。

持続化給付金との違いは?

経営継続補助金は、「農林漁業版の持続化給付金」と言われています。一方で、似ているようでその目的や趣旨は異なります。主な違いを表でまとめました。

持続化給付金 経営継続補助金
要件 売上減少の要件がある 売上減少の要件がない
使途 使途の制限がない 使途の制限がある
性格 収入の減少に対して給付 かかった経費の一部を補填
対象範囲 系統出荷を行う農林漁業者 や農事組合法人などは対象外 系統出荷を行う農林漁業者や農事組合法人など、幅広い法人が対象

経営継続補助金は、持続化給付金と併用して申請することが可能です。また、売上減少の要件がない分、持続給付金の対象でない事業者も活用できます。

持続化給付金の詳細はこちらの記事でチェック!
持続化給付金の申請開始!最大200万円給付で事業を下支えー概要やポイントは?

補助の対象

経営継続補助金の対象は、常時従業員数が20人以下の農林漁業者(個人・法人を問わない)です。法人には、農事組合法人・社会福祉法人・一般社団法人・公益財団法人・協同組合などが含まれます。

補助の上限額

補助金の上限額は、単独で申請する場合は150万円グループ(共同)で申請する場合は1500万円です。

1経営体あたりの上限額が150万円で、共同申請の場合、参画している経営体の数に応じて上限額が増えていきます。参画者数に制限はありませんが、補助の上限額は1500万円までとなります。

また、単独申請と共同申請の併願や、複数の共同申請に参画することはできません。

補助の対象となる経費

経営継続補助金で補助される経費は、「経営継続に関する取り組み」と「感染拡大防止に直接必要な取り組み」の2種類に分けられます。

経営継続に関する取り組みの経費

経営継続に関する取り組みへの経費の補助率は3/4で、補助上限額100万円です。

機械装置等費(ドローンなど生産販売に必要な装置)、広報費、展示会等出展費、営業活動に使った旅費、開発・取得費、雑役務費(アルバイトの賃金)、借料、専門家謝金、専門家旅費、設備処分費、委託費、外注費など、幅広い経費が補助の対象となります。

ただ、補助対象となる経費の1/6以上を「接触機会を減らす生産・販売への転換に要する経費」もしくは「感染時の業務継続体制の構築に要する経費」にあてなければならない、という要件があるので注意が必要です。それぞれの経費の例を下にまとめました。

接触機会を減らす生産・販売への転換に要する経費の例

  • 作業員間の接触を減らすための省力化機械(農薬散布用ドローン、家畜の発情発見装置など)を導入する
  • 事業所内で三密を回避するため、より広い作業空間を確保する場合や、動線のレイアウトを変更する
  • 人と人との接触機会を減らす販売方法(ネット販売・無人販売など)を開始する

感染時の業務継続体制の構築に要する経費の例

  • 人員削減時の経営計画を作るために、コンサルを依頼する
  • 感染拡大時に経営継続するための体制作り(Web会議システムの導入など)を行う

感染拡大防止に直接必要な取り組みへの経費

感染拡大防止に直接必要な取り組みへの経費は、補助率定額(10/10)で、上限が50万円です。

消毒費用、マスク費用、清掃費用、飛沫対策費用、換気費用、その他の衛生管理費用など、具体的な対策に使う経費が該当します。

補助の要件

補助を受けるためには、経費について以下の3点を満たす必要があります。

  • 使途目的が、事業の遂行に必要だと明確に特定できる
  • 2020年5月14日以降に発生し、事業期間中(2020年12月末)に支払いが完了する
  • 証拠資料などによって、支払った金額・日付が確認できる

特に3つめの日付は、期間中に発生したかどうかを判断する上で重要です。領収書などをもらう場合は、必ず日付も入れるようにしましょう

申請から受領までの流れ

経営継続補助金を申請するにあたって、農林漁業の領域で実績のある支援機関の伴走支援を受けることが必須条件となります。

支援機関は原状未定ですが(2020年6月26日時点)、農協・森林組合・農業経営相談所・6次産業化サポートセンター・自治体出資の産業支援機関などが対象になる予定です。詳細は、順次、農林水産省と補助金事務局HPなどで公表されます。

申請から受領までの大まかな流れは以下のとおりです。

  • 支援機関の経営計画の作成支援を受けながら経営計画を作成
  • 支援機関から確認書を発行してもらう
  • 経営計画書・確認書・その他必要書類を整えて、期日までに補助金事務局に提出
  • 採択されたら、支援機関の実行支援を受けながら事業を実施する
  • 事業終了後、支援機関の確認を受けた実績方向書を補助金事務局に提出
  • 補助金事務局から補助金を受領する

補助金の受領は、2021年1月末以降になる予定です

まとめ

経営継続補助金は、農林漁業に関わるほとんどの事業者が対象であり、補助される経費の範囲も幅広い補助金です。新型コロナを期に労働環境の改善や感染症対策に取り組んでいる経営者の方は、積極的に活用していきましょう。

無料で利用できる資金調達手帳では、補助金・助成金をはじめ、経営者が利用できる資金調達の手段をまとめてわかりやすく解説しています。経営継続補助金だけでなく、複数の資金調達手段を考えている方は、こちらも参考にしてみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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