青色申告特別控除75万円に向けて個人事業主が準備すべきこととは?
2026年度税制改正の大綱で青色申告特別控除の見直しが発表

2025年12月26日に閣議決定された2026年度税制改正の大綱では、基礎控除などの引き上げや賃上げ促進税制の見直しなどが行われると発表されています。
そのような中、個人事業主やフリーランスにとって見逃せない発表もありました。それが、「青色申告特別控除の見直し」です。
青色申告特別控除は、所得税の負担を軽減する重要な控除になりますが、2026年度税制改正の大綱ではどのような変更・見直しが発表されたのでしょうか。
そこでこの記事では、青色申告特別控除の変更(審議)内容や変更前・変更後との比較、変更が適用される前に準備すべきことなどを解説します。
また、e-Taxから青色申告を行う際の手順も紹介しているため、今後青色申告を検討されている人は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
2026年度税制改正による青色申告特別控除の変更(審議)内容

2026年度税制改正の大綱では、会計ソフトの普及や電子申告の割合を向上させるために、青色申告特別控除について一定の見直しが行われることが発表されています。主な変更(審議)内容は以下のとおりです。
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- 電子帳簿保存で最大75万円に引き上げ
- e-Tax必須で55万円から65万円に引き上げ
- 売上1,000万円超の簡易簿記は10万円控除の対象外
それぞれの内容について詳しく解説していきます。
電子帳簿保存で最大75万円に引き上げ
今回の見直しで特に実務への影響が大きいとされているのが、新たに75万円控除が設けられた点です。
これまで青色申告特別控除は、以下の要件を満たすことで最大65万円の控除を受けられるようになっていました。
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- 複式簿記による記帳
- 貸借対照表・損益計算書の提出
- 確定申告の期限内に提出
- 電子申告または優良な電子帳簿保存
しかし、今回の見直しにともない、e-Taxを使って申告した場合で65万円、優良な電子帳簿保存も併せて行うことで最大75万円の特別控除が受けられます。
電子帳簿保存については、事業にかかる仕訳帳および総勘定元帳について、電子計算機を用いて作成した国税関係帳簿書類の保存方法などの特例に関する法律に基づき、電磁的記録の保存を行っていることとしています。
さらに、以下のいずれかに該当する場合75万円への引き上げが可能です。
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- 仕訳帳および総勘定元帳について、一定要件を満たす電磁的記録を保存した場合
- 請求書のデジタルデータ(電子取引データ)を、一定要件を満たして保存した場合
e-Tax必須で55万円から65万円に引き上げ
税制改正前の制度でも、複式簿記と期限内申告などの要件を満たせば、55万円控除を受けることが可能です。
しかし、2026年度税制改正の大綱によると、期限内にe-Taxによる申告を行うことで、控除額は65万円になることが発表されています。
つまり、これまで書面申告によって55万円控除を受けていた人は、e-Taxをしないと65万円どころか55万円控除が受けられなくなり、控除額は10万円まで大幅に減少する可能性があります。
いくら正規の簿記で記帳し、期限内に申告していたとしても書面だと実質的に増税となってしまうため、注意が必要です。
売上1,000万超の簡易簿記は10万円控除の対象外
青色申告者で簡易簿記による記帳を行っている場合でも、10万円の特別控除を受けることは可能です。
しかし、2026年度税制改正の大綱では、簡易簿記で記帳している人のうち、前々年度の事業所得または不動産所得の収入金額が1,000万円を超えている場合は控除額が0円になってしまいます。
1,000万円を超えていなければ、これまで通り控除額は10万円までとなりますが、1,000万円を超えていれば青色申告特別控除は一切受けられなくなってしまうため、該当する場合は注意が必要です。
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青色申告特別控除の変更前と変更後を比較

2026年度税制改正により、青色申告特別控除は控除額や適用要件が見直されます。
電子帳簿保存やe-Taxの利用状況によって受けられる控除額は変わるため、変更前と変更後の違いを把握しておくことが重要です。
以下の表で、控除額や要件の主な変更点を比較して確認してください。
| 項目 | 変更前 | 変更後(2026年度税制改正) |
| 最大控除額 | 65万円 | 75万円(電子帳簿保存の要件も満たす場合) |
| e-Taxを利用した場合 | 65万円 | 65万円 |
| e-Taxを利用しない場合 | 55万円 | 10万円 |
| 簡易簿記(売上1,000万円以下) | 10万円 | 10万円 |
| 簡易簿記(売上1,000万円超) | 10万円 | 控除対象外 |
| 主な要件 | 複式簿記、青色申告承認、期限内申告 | 複式簿記、青色申告承認、期限内申告、e-Taxまたは電子帳簿保存対応 |
変更後に影響を受ける人
2026年度税制改正により、青色申告特別控除の要件が見直されることで、電子帳簿保存やe-Taxに対応していない個人事業主は影響を受けます。
特に、これまで65万円控除を受けていたものの、電子帳簿保存の要件を満たしていない場合、控除額を維持できない可能性があります。
また、売上1,000万円を超え、簡易簿記を選択している場合は、10万円控除が適用されなくなる点にも注意が必要です。
今回の変更は、帳簿管理や申告方法のデジタル化への対応状況によって、控除額に差が生じる内容となっています。
変更後に影響を受けない人
一方で、すでにe-Taxを利用して確定申告を行い、複式簿記で適切に帳簿管理をしている個人事業主は、今回の変更による実質的な影響は限定的です。
また、売上が1,000万円以下で、従来どおり10万円控除を受けている場合も、控除額・申告方法に大きな変更はありません。
すでに電子申告や会計ソフトを活用している場合は、従来の運用を継続することで、制度変更後もスムーズに対応できるでしょう。
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青色申告特別控除の変更が適用される時期

青色申告特別控除の変更が実際に適用されるのは、2027年分以後の所得税と2028年分以後の個人住民税を予定しています。
すぐに適用されるわけではないものの、早めに記帳方法や申告方法などを見直し、青色申告特別控除を受けられるように準備を進めておくことが大切です。
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変更が適用される前に準備すべきこと

青色申告特別控除の変更が適用される前に、具体的にどのような準備を進めていけば良いのでしょうか。ここで、変更が適用される前に準備すべきことを紹介します。
電子申告に切り替える
今回の変更にともない55万円控除がなくなってしまうことから、これまで55万円控除を受けており書面で申告していた人は、電子申告への切り替えを検討する必要があります。
電子申告に切り替えることで65万円控除となり、これまでより10万円分控除額が増加するため、税額負担を抑えるためにも電子申告への切り替えを検討してください。
電子申告を行う場合、マイナンバーカードを準備する必要があります。
もともとID・パスワード方式が採用されていましたが、セキュリティ強化と行政手続きでのデジタル化を推進するため、マイナンバーカード方式が採用されるようになりました。
まだマイナンバーカードを発行できていない人はマイナンバーカードを発行し、さらにカードを読み取るためのICカードリーダライタか、マイナンバーカード対応のスマートフォンを準備してください。
会計ソフトを見直す
電子申告をスムーズに効率良く行うためにも、会計ソフトを見直すことも重要です。
特に、最大75万円の特別控除を受けたい場合は、会計ソフトが「優良な電子帳簿」の要件を満たしているかどうかも確認する必要があります。
優良な電子帳簿の要件は以下のとおりです。
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- 記録事項の訂正・削除を行った場合、その事実と内容を確認できる
- 通常の業務処理期間を経過した後に入力された場合、その事実を確認できる
- 電子化した帳簿の記録事項と、その帳簿に関するほかの帳簿の記録事項の間で、相互に関連性を確認できる
- システム関係書類など(システム概要書、仕様書、操作説明書、事務処理マニュアルなど)を備え付けている
- 保存場所に電子計算機(PCなど)やプログラム、ディスプレイ、プリンタおよびこれらの操作マニュアルが備え付けられており、画面・書面に整然とした形式・明瞭な状態で速やかに出力できる
- 以下の検索条件を満たしている
1.取引年月日・勘定科目・取引金額で検索できる
2.日付または金額の範囲指定によって検索できる
3.2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件で検索できる
※税務調査で調査官から電磁的記録のダウンロードに応じることができれば、2と3の要件は不要
経理業務のデジタル化を進める
ほかにも、経理業務のデジタル化を進めることも電子申告をスムーズに進めるためのポイントになってきます。
例えば、今回の変更にともない優良な電子帳簿の要件を満たす会計ソフトを導入した場合、請求書や領収書などの証憑類は書面で保管するよりもデータにまとめたほうが会計ソフトにも入力しやすいです。
スキャナ保存や電子取引のデータ保存など、デジタルで行う体制を構築しておくことで、スムーズな会計入力・電子申告につながります。
経理業務のデジタル化がまだできていない場合は、この税制改正に合わせて体制の見直しを図ってみてください。
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青色申告特別控除とは?

そもそも青色申告特別控除とは、青色申告の承認を受けた個人事業主が活用できる控除制度です。
個人事業主の場合、売上げから必要経費を差し引いた所得金額に税金が課されることになります。
しかし、青色申告特別控除の適用を受けると、所得金額から最大65万円が差し引かれるため、所得税・住民税で納める金額が低くなります。
また、国民健康保険に加入している場合、所得金額から基礎控除を差し引いた金額に所得割率を乗じて保険料を算出するため、青色申告特別控除の適用によって保険料を安く抑えられる点もメリットのひとつです。
青色申告特別控除を受けるためには、その年の確定申告までに青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出しなくてはなりません。
なお、新たに開業した場合は開業後2カ月以内に提出してください。
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e-Taxで青色申告を行う際の手順

e-Taxで青色申告を行い、特別控除を受けたい場合には以下の手順に沿って進めてみてください。
1.利用者識別番号を取得する
まずe-Taxを利用するためには、「利用者識別番号」を取得する必要があります。利用者識別番号を取得するには、以下いずれかの手続きで取得してください。
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- e-Taxのホームページからマイナンバーカードを使ってアカウントを作成・登録する
- e-Taxのホームページで開始届出書を作成し、送信する
- マイナポータルにある外部サイトとの連携機能を活用してe-Taxで申告する
- e-Taxのホームページにある確定申告書等作成コーナーからマイナンバーカードを活用し、ID・パスワード方式の届出を作成・送信する
- 税務署にID・パスワード方式の届出を提出する
- 書面から利用者識別番号を取得する
- 税理士に依頼し、利用者識別番号を取得する
2.電子証明書を取得する
利用者識別番号を取得できたら、次にマイナンバーカードなどの電子証明書を取得します。
マイナンバーカードをまだ発行していない場合は、住民票のある市区町村の役所から取得申請してください。
ただし、申請してから実際にカードを受け取れるまで約3~4週間はかかってしまうので、注意が必要です。
マイナンバーカード以外にも、商業登記電子証明書や地方公共団体が発行する電子証明書も使用可能です。
例えば、電子委任状取扱事業所から発行できる電子証明書は、e-Tax以外のオンライン手続きにも活用できます。
3.e-Taxの開始(変更等)届出書を提出する
e-Taxを活用して青色申告を行う場合、まずはe-Taxの開始(変更等)届出書を税務署に提出する必要があります。
提出方法は、書類を手書きで作成して窓口に持ち込むか郵送、もしくはオンライン上で届出書の作成・申請を行う方法のいずれかです。
オンラインで申請する場合の手順は以下となります。
1、e-Taxのホームページにある「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナーを利用するに当たって」のページを開く
2、「(5)届出書の選択」から「届出書の選択」をクリック
3、「開始届出書(個人の方用)新規」を選択
4、マイナンバーカードの有無が聞かれるので、該当するほうをクリック
マイナンバーカードをすでに取得済みの場合は、スマートフォンやICカードリーダライタを使ってカードを読み取り、画面の指示に従って届出書を作成・送信します。
4.青色申告に必要な書類を準備する
e-Taxの開始(変更等)届出書を提出したら、いよいよ青色申告での確定申告を行います。共通して必要となる書類などは以下のとおりです。
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- マイナンバーカード
- マイナンバーカードを読み取るためのスマートフォン(NFC対応)またはICカードリーダライタ
- 利用者識別番号とパスワードが書かれたメモ
- 収支の内訳がわかる書類
さらに、以下の書類は人によって用意する必要があります。
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- 源泉徴収票:副業で働いている場合など
- 支払通知書:業務委託報酬を受けている場合など
- 控除に必要な書類:生命保険料控除、寄付金控除を受けられる場合など
- 銀行口座の番号がわかる通帳:還付金を受け取る場合
5.確定申告書等作成コーナーで申告書を作成する
必要な書類を準備できたら、e-Taxのホームページにログインし、「確定申告書等作成コーナー」にて申告書を作成します。
まずは提出方法を聞かれるため、どの方法で提出するか以下の選択肢から選んでください。
- 【マイナンバーカードを持っている場合】
-
- スマートフォンを使用してe-Tax
- ICカードリーダライタを使用してe-Tax
- 【マイナンバーカードを持っていない場合】
-
- ID・パスワード方式でe-Tax
- 【その他】
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- 印刷して提出
- 税理士が代理送信で提出
提出方法を選んだら、「作成する申告書類等の選択」で「決算書・収支内訳書(+所得税)」を選びます。その後は、ガイドに沿って必要事項を入力していくだけです。
納税額や還付金などはシステムが自動で計算してくれるため、わざわざ自分で計算する必要はありません。
6.電子署名を付与して申告書を送信する
申告書を作成できたら、スマートフォン(NFC対応)またはICカードリーダライタを使ってマイナンバーカードを読み取り、電子署名を付与させます。
電子署名を付与した申告書をe-Tax経由で送信すれば完了です。
最後に「所得税及び復興特別所得税申告」というメッセージが届くため、申告内容に不備がないか確認してください。
また、銀行融資などで申告書の控えの提出を求められる可能性もあることから、申告書のデータをダウンロードして保存するようにしてください。
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まとめ・青色申告特別控除の変更が適用される前に準備を進めよう
2026年度税制改正の大綱によって青色申告特別控除の変更が適用され、これまでは最大65万円だった控除額が、最大75万円までに引き上げられました。
その一方で、これまで55万円控除を受けていた人は要件を満たしていないと最大10万円しか控除を受け取れなくなってしまうため、注意してください。
青色申告特別控除の変更が適用されるまではまだ時間があるものの、体制の見直しから図りたい場合は早めに準備しておくと安心です。
(編集:創業手帳編集部)







