クレオフーガ 西尾 周一郎|ユーザーの為に音楽業界をシンプルに変える!
音楽コンテンツの流通を革新するために
(2017/09/06更新)
CDのみならず、配信限定楽曲やSNSなど、様々な形で展開されている音楽コンテンツ。
そんななか、今回紹介するクレオフーガが行っている「オーディオストック」というサービスは、日本では珍しい楽曲や効果音などの音素材販売サービスです。楽曲の使用方法が多岐にわたっているなかで、なぜ音素材販売サービスを選んだのでしょうか?
クレオフーガ代表取締役社長 西尾周一郎 氏に直接お話を伺いました。
日本で唯一?楽曲・効果音販売のマーケットプレイス
西尾:クレオフーガは2007年に岡山で創業しました。
今でも本社は岡山にありまして、開発拠点という位置づけです。2012年からは、東京にもオフィスを構えています。
主な事業は効果音やBGMを販売するサービスです。曲のライセンス販売といったかたちで、お客様は7割くらいがCMや映画などの映像系の法人ですね。
今は、効果音やBGMの許諾についての手続きがとても複雑になっていて、使用するにしてもなかなか話が進まない、ということがよく起こるんです。
それに対して、弊社のサービスでは、オンライン上でスムーズに手続きができるようにしています。料金や手続きなどの複雑な作業を極限までシンプルにわかりやすく、という部分が強みです。
西尾:そうですね。日本では、音声や音楽をマーケットプレイス形式で販売というのは弊社ぐらいかもしれませんね。
ですが、実は海外ではたくさんありまして、特にアメリカではこのようなビジネスは盛んに行われているようです。
弊社のビジネスモデルも、そのような企業を一部参考にしたところもありますね。
西尾:もともと私自身が曲作りやバンド活動をずっとやっていました。
そのような活動をしていくうちに、「ネットで発表する場所を作りたい」と思って、10年くらい前に音楽投稿サイトを立ち上げたのが、起業のきっかけです。
そのサイトで音楽コンテストを開催したのですが、当時は私のようなバンドマンだけでなく、音楽クリエイターの方々も発表する場があまり無かったようで、応募数がすごく多かったんですね。
「それなら、音楽を販売するサイトを立ち上げれば、発表の場を探しているクリエイターが、様々な方の目に留まるのでは?」と思って、音楽投稿サイトから派生するように現在のサービスを開始しました。
西尾:音楽が大好きで音楽に携わりたいと思って始めたビジネスでしたが、創業当初は音楽だけではまったく食べていくことができなくて、システム開発の下請けなどをやってなんとか運営していました。
そうした生活が続いていたところ、転機だったのは2012年に東京に出てきたときでした。この時期にベンチャーキャピタルから出資を受けることができたこともあって、徐々に自社サービスに移行していくことができました。
私たちは音楽コンテンツの流通を革新させます
西尾:創業時は私の自己資金100万円からスタートしました。
その後は2012年にスカイランドベンチャーズから、2014年には中国銀行と広島ベンチャーキャピタルという広島銀行の関連会社から出資して頂きました。
エンジェル投資家の方にも何名か投資をして頂いてます。
西尾:一番に伝えたのは「私たちは音楽コンテンツの流通を革新していきます」ということです。
音楽業界は昔ながらの仕組みで運営されているところが多いのですが、CDの売り上げが落ちている現代では、このやり方だとクリエイターへの印税は微々たるものしかありません。
革新というのは、私たちだけでなく、クリエイターたちの待遇が良くなるようにしていく、という部分も含まれています。
西尾:今は13人で運営しています。営業はほぼ私ひとりで行っていまして、あとはエンジニアとコンテンツ担当です。
コンテンツ担当には送られてきた音楽コンテンツのノイズなどを直接聴いてチェックしなければならないので、その審査をお願いしています。月に4000~5000点ほどの音源を聴いているので、けっこう大変ではあります。将来的にはもっと効率化したいんですけどね(笑)
西尾:友人の紹介が多いです。私と同じく、音楽が好きで集まった人たちなので、熱い想いを持っている人ばかりですね。
西尾:近い目標としては、上場を目指しています。ここ10年くらい音楽系ベンチャーは上場していないので、ここで我々が上場したら面白いと思っています。
長期的な目標としては、世の中のすべての音楽のライセンスを弊社で管理したいと思っています。
先ほどもお話ししたように、音楽についての権利は非常に複雑です。
著作権はここが持っているけど、実演家の権利やレコード製作者の権利といった著作隣接権は違う企業が持っている、といったことがあり、使用したい人はまずどこに頼めばいいかわからない、といった状況が多くあります。
そのような複雑な権利をオンラインでシンプルに手続きできるような、システムの構築ができると良いですね。
西尾:こう言ってしまうと月並みかもしれませんが、私自身が感じたのは、「頑張ればいいことがある」ということです。
創業当初は鳴かず飛ばずの場合が多いので、自分たちがやりたいことはすぐにはできません。
自分が目指しているビジョンをしっかり持って、目の前のことに一つずつコツコツ取り組むことが、やりたいことをやるための近道なのかもしれません。
(取材協力:株式会社クレオフーガ/西尾周一郎)
(編集:創業手帳編集部)