高額な商品は経費で落とせる?認められる条件と落とせないケースを徹底解説

創業手帳

高額でも「事業に必要」であれば経費にできる


事業をしていると、「この高額な商品は本当に経費で落とせるのだろうか?」と迷う場面は少なくありません。
例えば、パソコンやスマートフォン、カメラといった高価な機器や、数十万円~数百万円規模の設備などは、税務署から指摘されないか気になるものです。
結論からいえば、高額であっても“事業に必要である”と合理的に説明できれば、経費として認められる可能性は十分にあるでしょう。
経費として認められるかどうかは、事業との関連性や使用目的によって判断されます。

この記事では、高額な商品は経費で落とせるのか、認められる条件や落とせないケース、注意点などをわかりやすく解説します。
経費計上における疑問を解消したい人は、ぜひ参考にしてください。

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高額な商品でも経費で落とせるの?基本の考え方


高額な商品が経費として認められるかどうかは、「事業のための支出かどうか」が重要な判断基準となります。
プライベートでの使用や生活費と区別が難しい支出に関しては経費として認められない可能性が高いです。
金額だけでは判断されない、経費計上の考え方について紹介していきます。

経費として認められる2つの基本条件

経費として認められるには、以下2つの条件を満たす必要があります。この条件を満たさないと、高額であっても税務上経費として認められない可能性が高いです。

事業に必要な支出であること

事業の運営や維持、収益の獲得に必要な支出であると説明できることが、経費として認められるための必須条件です。
合理的に「事業を運営する中で必要だった」と証拠と共に説明できれば、経費計上も可能となるでしょう。
この時、購入する動機や使用目的などを明確にしておくことで、税務調査が入った場合でも説明責任を果たしやすくなります。

なお、いくら事業に必要な支出だと判断して購入したとしても、実際に使用していないものに関しては必要経費と認められず、経費として計上できない場合があります。

私的利用を含まないこと

事業に関係なく、自分自身への使用や家族利用など私的要素が含まれている場合、経費で落とすことはできません。
ただし、私的利用と業務利用が混在するケースでは、使用割合などに応じて按分計算による処理が可能です。

例えば、自宅兼事務所で仕事をしている場合、家賃や電気代、ガス・水道代、通信費などはプライベートで使った分と仕事の時間に使った分で明細を分けて発行することはできません。
そのため、使用時間やスペースの割合などを用いて業務利用で使った費用を算出し、その分だけ経費計上することができます。
プライベートで利用した可能性が高い支出を無理やり経費として計上してしまうと、税務調査が入った時に指摘される可能性が高いため、注意が必要です。

金額よりも重視されるのは「事業関連性」

経費として認められる条件に「金額」も含まれるのではないかと考える人もいますが、実際には金額よりも事業との関連性が重視されます。
例えば、同じ商品を購入したとしても、1つは事業に活用し、もう1つはプライベートで活用していれば、前者しか経費として認められません。

また、購入金額が事業規模や収益と明らかに見合わず、不自然な場合は税務署から説明を求められる可能性があります。
経費としての正当性を示すためにも、購入目的や使用者、使用頻度などは明確にしておくと安心です。

100万円を超えるものは固定資産扱いになるケースも

取得価額が100万円を超える場合、原則経費ではなく固定資産として減価償却の対象になります。
減価償却は、時間の経過や使用することで価値が減少する固定資産の購入費用を、耐用年数に応じて分割し、費用として計上する会計処理です。
例えば、取得価額100万円・耐用年数10年の機器を購入した場合、毎年10万円ずつ費用を計上していくことになります。

減価償却資産は購入年度に全額を経費にすることができず、長期的に費用を配分して損金算入するのが基本です。
減価償却の判断基準は、「使用可能期間が1年以上あること」と「取得価額10万円以上」の2点です。
ただし、経年によって価値が減少しない土地や骨とう品・書画、遊休資産、建設中の資産などは減価償却ができないので注意してください。

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高額な商品が経費になるケース


高額な商品といっても、主にどのような商品が経費になるのかわからないという人もいるかもしれません。ここで、高額な商品が経費になる具体的なケースについて紹介します。

①業務での使用目的が明確な場合

業務に直接必要な機器・設備は、高額であっても経費として認められる可能性が高いです。
例えば、業務用のパソコンや撮影機材、Web広告を出稿するための制作・宣伝費などは、使用目的が明確であり、私的に利用していなければ経費として認められます。
購入目的だけでなく、どこで使用しているかまで明示できると、より認められやすくなるでしょう。

②減価償却資産として計上する場合

減価償却資産は全額まとめて経費として計上できないものの、耐用年数に応じて分割し、毎年その分の費用を計上できます。
例えば、事業用に購入したパソコンが10万円を超えている場合、減価償却資産として計上することが可能です。

ただし、取得価額が10万円以上20万円未満の場合は「一括償却資産」に該当し、取得した年から3年間で均等に償却することが可能です。
この場合、たとえ取得した資産の耐用年数が10年だったとしても、3年間で一気に計上できます。
また、青色申告者であれば、30万円未満の少額資産を一括で経費計上できる「少額減価償却資産の特例」も利用できます。

③リース・レンタルで利用する場合

高額な設備を購入ではなくリース・レンタルで利用する場合、毎月発生するリース・レンタル料を全額経費として計上できます。
リース・レンタルなら最新設備を導入でき、なおかつまとまった資金を用意する必要がないため、資金繰りが不安定な時期にも利用しやすいというところがメリットです。

ただし、毎月発生するリース料を経費計上する場合と、リース資産として減価償却による計上をする場合があります。
減価償却の場合、所有権移転リースは法定耐用年数、所有権移転外リースはリース期間に応じて減価償却を行うことになるため、間違えないように注意してください。

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経費として認められないケース


高額な商品を購入しても経費として認められないケースもあります。主にどのようなケースだと経費として認められない可能性が高いのか、解説します。

①私的利用が疑われる場合

まず重要となるのが、私的利用が疑われる場合です。
例えば、高級時計やブランドバッグなど、明らかに事業とは関係なくプライベートでの使用が明確な場合は、経費として認められません。
また、家族や友人との旅行費用や飲食費、自宅で使用する家具・日用品などの購入費なども挙げられます。
これらはたとえ領収書を保存していたとしても、経費計上を認められない可能性が高いです。

業務で使用する場合とプライベートでも使用する場合が混在するのであれば、按分や使用記録などの証拠がないと、経費として認められないので注意してください。

②家事関連費とみなされる場合

自宅兼事務所にある家具・家電の購入費用、水道光熱費、車のガソリン代や修理費などは「家事関連費」とみなされ、事業用とプライベート用の割合を明確にし、按分計算をする必要があります。
家事関連費とは、家事と事業の両方に関連し、共通する支出を指し、事業に必要な部分だけ経費計上できます。

ただし、按分計算をしても合理的な根拠がない場合は経費として否認されるので注意が必要です。
国税庁の通達に基づき、使用面積や時間割合などの客観的な基準を用いて按分計算を行ってください。

③事業に直接関係がない場合

家族や知人への贈答品や個人的な交際費などは、いずれも事業と直接関係がないため、経費として計上できません。
従業員や取引先に対して福利厚生を目的としない支出に関しても、認められない可能性が高いです。

また、個人事業主の場合、福利厚生費を経費として計上したいと考える人もいるでしょう。
しかし、福利厚生は従業員のための制度であり、従業員を雇用していない個人事業主は福利厚生費を勘定科目として使用できません。
例えば、従業員の健康診断費用は経費として計上できますが、個人事業主の場合は経費として認められていないので注意が必要です。
経費として認めてもらうためには、支出の目的や対象、業務上での必要性を明確にする必要があります。

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税務調査で問題になりやすいポイント


確定申告などの内容が正確か確認するために、国税局または税務署の担当者が税務調査を実施する場合があるでしょう。
税務調査というと法人に対して行われるイメージを持つ人もいますが、実際には個人事業主やフリーランスなどの個人に対しても行われます。
ここで、経費の観点から税務調査で問題になりやすいポイントを紹介します。

領収書や契約書など証拠書類の有無

高額商品を経費として計上する場合、必ず領収書や契約書、使用記録は保存しておくことが重要です。
2022年度の税制改正では、取引が行われた事実やその費用を納税者が保存する帳簿書類や反面調査などによっても明らかにならない場合、たとえ事業に直接使用していたとしても経費計上が否認されます。

そのため、購入日や使用目的などがわかる状態で証拠書類を保存しておかなくてはなりません。
証拠書類がきちんと揃っていれば、万が一税務調査が実施された場合でも、経費としての正当性をスムーズに示すことができます。

使用目的と使用者の明確化

経費として認められるためには、「誰が」「何の目的で」使用したかを具体的に説明する必要があります。
事業に使用したことを示すには、使用者や使用状況などを定期的に日報・台帳で記録することが推奨されます。
十分な説明責任を果たせない場合、高額商品の購入費用は私的流用と判断され、経費として認められなくなってしまうので注意してください。

私的流用を疑われやすい支出

私的に使っていると疑われやすい高額商品は、経費として認められない可能性が高いです。
例えば、高級ブランド品や趣味・娯楽関連のお金、出張とは明らかに異なる旅行費用などは、私的流用を疑われても無理はありません。
業務との関連性を明確にできれば良いですが、按分計算や使用記録が不十分だと全額否認されてしまうので注意が必要です。

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高額な商品を経費にする際の注意点


高額な商品を経費として計上するためには、いくつか注意すべきポイントもあります。ここで、経費にする際の注意点を解説します。

金額区分ごとに処理する

高額な商品を経費計上する場合、金額の区分に応じて処理することが重要です。

金額 処理
10万円未満 消耗品として購入年度に全額を経費計上する
10万円以上20万円未満 一括償却資産として3年間で均等償却する
20万円以上 減価償却資産として耐用年数に応じて分割で計上する
10万円以上30万円未満
(青色申告者のみ)
少額減価償却資産の特例を活用し、一括で全額を経費計上する

少額減価償却資産の特例を活用する

青色申告者であれば「少額減価償却資産の特例」を活用することが可能です。
少額減価償却資産の特例は、30万円未満で取得した資産であればまとめて経費として計上できる制度です。
本来減価償却資産として分割で計上することになりますが、この特例を活用すれば購入した年度に全額を損金算入でき、課税所得の圧縮によって節税効果を得られます。
少額減価償却資産の特例を活用するには、申告書への記載や条件を確認する必要もあるため、事前に準備しておくことが大切です。

※令和8年度税制改正大綱において少額減価償却資産の特例は30万円未満から40万円未満に拡充される予定と発表されています。

購入時期による節税効果の違いを把握しておく

決算期の直前に高額な商品を購入した場合、年度内に経費算入ができるケースとできないケースがあります。
年度内に経費計上して課税所得を最適化したい場合、購入するタイミングを調整することも大切です。
購入時期による節税効果の違いを把握し、資金繰りや税務効果なども考慮して計画的に購入してください。

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高額経費の節税テクニック


高額な商品を購入した場合の経費を活用し、少しでも節税につなげたい場合には、資産やキャッシュフローの状況を考慮しながら自分に合った対策を取ることが重要です。
例えば、当年度に利益が増えたことで税負担も増えてしまう場合、少額減価償却資産の特例や一括償却資産の制度を活用することで、当年度の税負担を抑えられます。

資金繰りの安定化につなげたい場合は購入ではなく、リース・レンタルでの契約を活用するのがおすすめです。
複数年かけて分割購入することで、年度ごとの経費配分を調整でき、節税効果を最大化することもできます。
また、固定資産の管理台帳を整備し、不要な資産を計上しないことで税務リスクを抑えられます。このように、状況に応じて最適な節税方法を取ることが大切です。

まとめ:高額でも「事業に必要」であれば経費にできる

経費にできるかできないかは、金額よりも事業に必要かどうかで決まる傾向にあります。
金額や処理による区分に応じて正しく会計処理を行えば、税務上のトラブル発生も防げるでしょう。
そのような中で経費として計上できるのか判断に悩むものがあれば、自分一人で解決しようとせず、税理士や会計の専門家に相談するのがおすすめです。


経費チェックリスト

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(編集:創業手帳編集部)

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