就職・副業・起業の違いとは?自分に合った働き方を選ぶためのヒント
働き方が多様化しているからこそ選択が大事
「就職するべき?副業を続ける?それとも思い切って起業?」
現代は働き方の選択肢が広がっているからこそ、迷ってしまう人も多いかもしれません。
自分に合った働き方を考えるには、将来目指すキャリアパスを頭に描くだけでなく、それぞれの働き方について理解を深めるようにします。
本記事では、それぞれの違いや特徴を整理し、自分に合った選び方のヒントをお届けします。
働き方が多様化しているからこそ、自分に合った働き方を選択してください。
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この記事の目次
【基本】起業・就職・副業とは?
働き方と簡単にいっても、その中身はまったく違います。
将来の働き方を考える時には、どういった働き方があるのか、それぞれの特徴はどういったものなのかを理解して自分に合う働き方を選択しなければいけません。
ここでは、起業と就職、副業に絞ってそれぞれの意味を説明しています。
就職:組織に属して安定した給与を得る
一番最初の働き方として、就職を選択する人は多いはずです。就職は企業や団体などの組織に雇われ、労働の対価として給与を受け取る働き方をいいます。
学校を卒業してから就職するのが、日本では一般的なキャリア選択です。働き方は増えたものの、今でも新卒一括採用の文化が企業と学生の間で根強く残っています。
就職の特徴は、毎月安定した給与がもらえて、社会保険や福利厚生が整っている点です。
昇進・昇給制度があり、キャリアが積みやすい一方で、組織のルールや上司の指示に従わなければいけません。
実際に就職してみなければ、自分の適性を判断できないかもしれません。就職してから、転職や起業で職場環境を変える選択肢もあります。
副業:本業を持ちつつ、空いた時間で収入を得る
副業とは、本業を続けながらほかの仕事で収入を得る働き方です。
副業には様々な種類があり、休日にアルバイトとして本業以外の仕事をしたり、フリーランスで仕事を受け取ったりする方法があります。
企業の副業解禁が進み、副業をはじめる人も増えました。
趣味やスキルを生かして稼ぐ人も増え、動画編集やWeb制作の業務委託、ブログやSNSの運用など幅広いスキルが求められています。
副業の特徴は、時間や場所に関係なく働けるほか、本業以外の収入の柱ができる点です。副業をきっかけにスキルアップやキャリアアップのチャンスをつかむ人もいます。
一方で、本業とのバランスが難しく、確定申告や税務処理で負担が大きくなりすぎる可能性もあります。
起業:自ら事業を立ち上げて収入を得る
起業は、自ら事業を立ち上げて商品やサービスを提供して利益を上げていく働き方です。開業届を出して個人事業主になる人もいれば、法人設立をするケースもあります。
起業といっても幅広く、飲食店やカフェの開業、IT系のスタートアップ、コンサルティング・講師業など千差万別です。
起業は、働き方・ビジネスモデルを自分で決められる自由度が高く、成功すれば収入を大きく増やせます。
その一方で、意思決定や責任をすべて背負う負担は大きく、資金調達から営業、会計といった幅広いスキルが求められます。
また、安定するまで時間がかかるため、リスクも大きくなってしまうのです。
【比較表】起業・就職・副業の違いを整理
起業と就職、副業はそれぞれ働き方のカテゴリのひとつです。
特徴や避けられないリスクがあるため、理解せずに選ぶと思っていたイメージとのギャップに苦しむかもしれません。
以下では、起業と就職、副業の違いを整理しました。それぞれにメリット・デメリットがあるため、どの働き方がベストであるかは決められません。
自分が「何を重視したいか」によって選択することが大切です。
項目 | 就職 | 副業 | 起業 |
収入の安定性 | ◎ 固定給 | △ 変動あり | × 最初は不安定 |
スキル習得 | △ 配属次第 | ◎ 実践で学べる | ◎ 必要に迫られて伸びる |
時間の使い方 | × 勤務時間が固定されることが多い | △ 本業以外に行う必要あり | ◎ すべてを自分で設計できる |
収入の伸びしろ | △ 昇給・昇格はあるが、その企業の給与テーブルによる | ◎ スキルや経験、自分の頑張り次第で伸びる | ◎ 青天井だが波もあるためリスクマネジメントが重要 |
初期費用・準備 | ◎ ほぼ不要 | ○ スキルやツールの購入費用程度 趣味のものであれば新しく費用をかけずにはじめることもできる |
× 登記・資金・仕入れ等が必要 |
社会的信用度 | ◎ 就職していると社会的信用が高いと判断される クレジット審査や賃貸契約で有利 |
○ 本業があれば一定の信用あり | △ 実績が出るまで不安定 |
責任の重さ | ◎ 分担される | △ 自己責任の範囲が小 | × 全責任を負う |
将来性 | △ 業界や会社に依存する 動向によっては転職や起業に進むケースもある |
◎ 本業を続けながらでも次のキャリアの足がかりを作れる | ◎ 自分次第で拡大可能 |
【タイプ別】向いている人・向いていない人の特徴
就職と副業、起業はそれぞれ向き不向きがあります。自分の働き方は未来のライフプランでもあるので、向き不向きは重要です。
ここからは、それぞれの向いている人・向いていない人の特徴をまとめました。
就職が向いている人
就職が向いているのは、安定を第一に考えたい人や 福利厚生や社会的信用を重視したい人です。また、立場だけでなく仕事の進め方でも向き不向きがあります。
組織に属する働き方が向いているのは、指示があるほうが安心して働けるタイプです。
また、指導を受けてビジネスマナーや社会の知識、スキルを身に付けたいと考える人も適しています。
副業が向いている人
副業が向いているのは、リスクを抑えながら収入源がほしいと考える人です。将来的に起業を考えていても、いきなり退職するには勇気がいります。
生活の安定を確保しながら、自分のペースでチャレンジしたい、いずれ起業したいが、まずは実験したいという場合は副業でのスタートが最適です。
起業する予定がなくても、空き時間を活用したい、好きなことを仕事にしてみたいといった場合は副業をおすすめします。
起業が向いている人
起業に向いているのは、自分の裁量で事業を動かしたい、社会的意義やビジョンを形にしたいといった意思がある人です。
起業すれば自分で経営判断やリスクマネジメントの決定を担うことになります。
起業するための適正としてリスクや責任を受け入れられる、自律的に学び続けることが苦にならないといった点も重要です。
【診断】あなたに合う働き方はどれ?
自分に合う働き方を選択するには、自分がどういった性質なのか、どのような時に幸せを感じるのか自己理解を進めなければいけません。
ここからはQ&Aで、自分に合う働き方を診断します。以下の質問に回答してみてください。
Q1. 今、一番重視したいのは?
A:安定した収入と社会保険
B:生活を安定させつつ+αの収入
C:自分の裁量で自由に稼ぐこと
Q2. リスクに対しての自分の考え方は?
A:できるだけ避けたい
B:リスクは最小限にしながら挑戦したい
C:リスクは成長や自由の代償として受け入れる
Q3. 毎月の収入が不安定だとどう感じますか?
A:とても不安。固定給が安心
B:少し不安だが、副収入としてなら耐えられる
C:自分次第で増やせるならむしろ楽しみ
Q4. 決められたルールや指示に対してのスタンスは?
A:明確な指示があったほうがやりやすい
B:基本に従いつつ、余白で工夫したい
C:自由に判断して動けるほうが力を発揮できる
Q5. 今すぐ実現したいのは?
A:安定したキャリアパス
B:副収入で生活の余裕をつくる
C:自分のビジネスで挑戦する
Q6. 自分の強みやスキルについて
A:今はまだ自信がない
B:少しずつ活かせる場を探したい
C:すでにやってみたい分野がある
Q7. 今後の働き方についての理想は?
A:安定収入+福利厚生がある働き方
B:複数の仕事を持つパラレルキャリア
C:自分の理念やアイデアを仕事にする
Q8. どのようなスケジュールが理想ですか?
A:決まった時間に働きたい
B:ある程度自由に使える時間がほしい
C:自分で1日の流れをすべて決めたい
Q9. 成果や実績の評価方法についてどう思う?
A:過程より結果よりも、努力を評価されたい
B:結果は出したいけれど、自由な働き方も大事
C:結果で勝負したい、自分で責任を取りたい
Q10. 人との関わり方についての理想は?
A:チームで協力して働きたい
B:ひとりの時間も、人との関わりもバランス良く持ちたい
C:自分で考えて行動するほうが性に合っている
Q11. 仕事を通じて何を一番得たい?
A:生活の安定と社会的信用
B:収入の幅と経験値
C:自分らしい生き方と成長実感
Q12. 収入アップのための考え方は?
A:昇進や昇給でステップアップしたい
B:スキマ時間で+αを積み重ねたい
C:自分のアイデアやビジネスで収入を増やしたい
Q13. 仕事の「やりがい」についての考えは?
A:組織に貢献して役割を果たすことにやりがいを感じる
B:好きなことや得意を活かして副収入にできると嬉しい
C:ゼロから価値を生み出すことに最もやりがいを感じる
あなたに合う働き方の【診断結果】
上記の質問に回答してどのように感じましたか。いままで働き方について深く考えたことがない場合は難しく感じたかもしれません。
この診断では◯が最も多かったカテゴリが、今のあなたに合った働き方と推測できます。
タイプ別に以下で解説します。
・Aが多かった人 → 就職タイプ
Aが多い人は安定志向で、社会的な安心感を重視する人におすすめです。スキルアップやキャリア設計をしながら、安定的に働ける環境が向いています。
就職は人生のターニングポイントであり、失敗してはならないと気構える人も多いはずです。しかし実際には、はじめに就職した会社だけで人生が決まるわけではありません。
就職してから副業→起業のルートを辿ったり、ほかの会社に転職したりする人も多くいます。より自分に合った働き方を選ぶために自己分析して自分を見つめなおしてください。
・Bが多かった人 → 副業タイプ
Bが多い人は副業タイプ、挑戦したい気持ちと安定を両立したい人におすすめです。自分のペースでスモールスタートできる副業は、今後のキャリアの布石にもなります。
インターネットでできる副業も増えて、以前よりも副業をスタートするハードルは下がりました。趣味で作成しているものもインターネットを使えば簡単に販売できます。
趣味やスキルといったマネタイズできるものがないか考えてみてください。
Cが多かった人 → 起業タイプ
Cが多いのは自分の裁量で働きたい・アイデアを実現したいという意思が強い人です。リスクはあるものの、やりがいも大きい起業が適しています。
開業するには、法人を設立するほかに個人事業主となる方法があります。法人の場合は定款を作成したり、登記したりするため費用も手間もかかるでしょう。
個人事業主であれば、税務署に開業届を出すなので、資金面に不安がある時には個人事業主としてスタートするようにおすすめします。
起業は、小規模からでもスタートでき、週末起業やフランチャイズなどもあります。まずはやりたい事業やその目的を考えてみてください。
パラレルワークも増えている
社会変化とともに働き方に変化が生まれています。パラレルワーカーの増加もそのひとつです。
パラレルワーカーとは、複数の仕事やキャリアをもつ働き手を指す言葉です。
以前は、企業で正社員としてひとつの仕事に集中するか、パートやアルバイト、派遣社員などとして働くのが主流でした。
しかし、近年では同じ正社員であっても時短やテレワークのように選択肢が増えています。
現代のキャリア形成は、働き方をひとつに絞る必要がありません。
副業からはじめて起業に移行するケースや、起業していたが会社に属して収入を安定化するケースのように、働き方の境界があいまいになるケースも増えています。
パラレルワーカーは、働き方の組み合わせをライフプランに沿って組み合わせられる点が魅力です。
例えば、会社員を続けながら週末はWebデザインのスキルで副業したり、起業と副業をかけ合わせるなら自身の企業を運営しつつ、個人で企業案件や講演など外部の収益源を確保したりできます。
また、平日や会社員をしながら休日に商品やサービスの開発をしてリリースするといった副業×スタートアップも可能です。
働き方は、決まった正解の形はありません。大切なのは自分が納得できるバランスで働けるようになる方法です。
そのために、今すぐに働き方を切り替えるというよりは、副業で少しずつはじめる、興味のある分野を学んでおくといった未来の選択肢を広げる一歩を踏み出してみてください。
まずはグラデーションのような働き方の選択肢があることを認識してから、自分のキャリアパスについて考えてみると良いでしょう。
まとめ|あなたにとって“合う働き方”を見つけよう
就職も、副業も、起業も、それぞれにメリットとリスクがあります。自分の価値観やライフスタイル・性格に合わせて選んで納得して動き出すことが何より大切です。
また、就職してから副業をはじめる人、起業した後に会社に戻る人もいます。働き方は、一度決めたら一生そこから変えられないものではありません。
ライフステージや価値観の変化に応じて、何度でも選び直しができることを知っておきいてください。
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(編集:創業手帳編集部)