インバウンドマーケティングとは?重要性や手順・注意点などを解説

創業手帳

インバウンドマーケティングで消費者の自発的な行動を促進!


自社のサイトやSNS、ブログなどをマーケティングツールとして活用している企業が増えています。
それにともない、導入が増加しているのがインバウンドマーケティングです。
マーケティング活動には様々な手法がありますが、インバウンドマーケティングは消費者に対して売り込まない手法を取り入れており、自発的な行動を促進することが特徴です。

そこで今回は、インバウンドマーケティングの概要や注目されている理由をはじめ、インバウンドマーケティングの4つの活用フェーズや手法についても詳しく紹介していきます。
インバウンドマーケティングについて理解したい方は、ぜひチェックしてみてください。

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インバウンドマーケティングとは?


WebサイトやSNS、ブログなどのコンテンツを活用して価値のある情報を提供し、ユーザーから自発的な興味関心を引き起こして将来的に顧客やファンになってもらう活動のことをインバウンドマーケティングといいます。
2000年代以降、スマートフォンやインターネット環境が普及したことで、情報を自ら収集する作業が容易になりました。

例えば、家電を購入したい場合には、これまでであればCMや広告を見て気になった商品があればお店に出向き、機能や価格を比較して購入に至るケースが一般的でした。
しかし、近年ではインターネットで家電についての情報を検索でき、ECサイトや価格比較サイトを活用すれば情報を集められます。
そのため、オンライン上で購入が完結、もしくはそのあとに店頭に足を運ぶケースが増えています。
企業は自ら発信するプロモーション活動に固執する必要はなく、顧客が求めているニーズに合わせたコンテンツを発信すれば、商品やサービスを見つけてもらえるようになったのです。

アウトバウンドマーケティングとの違い

インバウンドマーケティングとは対極にあるマーケティング手法として、アウトバウンドマーケティングがあります。
アウトバウンドマーケティングは、プッシュ型のマーケティング手法となり、企業が自ら顧客に対して売り込みを行うこれまで一般的に活用されていた手法です。
消費者を追う施策であるため、コストが上がりやすいデメリットがありますが、短期間で周知を図れるメリットがあります。

インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングそれぞれの具体的な手法は以下の通りです。

インバウンドマーケティングの手法 アウトバウンドマーケティングの手法
・Webサイト
・メルマガ
・ブログ
・SEO
・SNSマーケティング
・イベントやセミナー
・ダウンロードコンテンツ
・動画
・アクティブサポート
・テレビCM
・DM
・広告
・テレマーケティング

インバウンドマーケティングが注目される理由


ここからは、なぜインバウンドマーケティングが注目されるようになったのか、その理由を解説していきます。

顧客の消費行動が変化している

インバウンドマーケティングが注目されるようになった背景には、顧客の消費行動の変化が挙げられます。
従来は、CMや広告、カタログなど、企業から発信する情報によって消費者が行動を促すことが一般的でした。
しかし、近年ではインターネットを活用した購買行動が定着しつつあります。

内閣府による「消費動向調査」では、スマートフォンの普及率は2人以上の世帯で91.9%となり、多くの方がスマートフォンを利用していることが報告されています。
スマートフォンを活用すれば、インターネットで情報収集できるようになり、購買の意思決定にも大きな影響を与えることが可能です。
そのため、WebサイトやSNSで情報発信をするインバウンドマーケティングが注目されるようになりました。

アウトバウンドのみの集客が難しくなっている

日本がバブルによって栄えていた時代、マーケティング手法はアウトバウンドマーケティングが一般的でした。
ペルソナを設定せずとも広告をバラ撒くほか、毎日のようにテレマーケティングを繰り返すことで、一定の収益が出ていた時代です。

しかし、現代ではインターネット技術の発展によって情報が溢れかえるようになり、消費者は自分の力で必要な時に必要な情報のみを手に入れられる時代に変化しています。
企業が美辞麗句を並べたとしても一瞬で見抜かれる時代となり、アウトバウンドマーケティングは投資対効果が低いものとして認識されるようになりました。

また、アウトバウンドマーケティングは人件費がかかるだけではなく、人材の質が求められる手法です。
企業においては人件費や材料費の削減だけではなく、業務の効率化など、あらゆるものの削減が重要視されています。
アウトバウンドマーケティングに割くリソースには制限があり、ほかの手法を取り入れようと考える企業が増えた点も、インバウンドマーケティングが注目される理由のひとつとして挙げられます。

インバウンドマーケティングにおける4つのフェーズ


インバウンドマーケティングは、以下の4つのフェーズに分けて考えられます。
それぞれのフェーズに合わせた手法を活用すれば、効果的な施策を実行することが可能です。活用すべき手法とあわせて解説していきます。

Attract(認知)

Attractは認知段階を指すフェーズです。購入を促すためには、潜在顧客の興味関心を惹くことが肝心です。
そのため、自社について知らない消費層に向けてアプローチをしていき、認知拡大を狙っていきます。
主な手法は以下の通りです。

  • Webサイト
  • ブログ
  • SNS
  • 動画配信

上記を活用する際、商品やサービスを紹介するだけでは、潜在顧客の興味を惹けません。
消費者の悩みを解決できるような情報を発信することが大切で、興味を抱きやすいコンテンツ配信が重要となります。

Convert(調査・理解)

潜在顧客を見込み顧客へと転換するためのフェーズです。
見込み顧客の課題解消ができるコンテンツ配信をし、問い合わせといった行動をしてもらうよう促していきます。

  • ホワイトペーパーの配布
  • ウェビナーの開催
  • 断続的なSNS投稿
  • メルマガの配信 など

上記の施策が効果的です。

Close(比較・購入)

見込み顧客から顧客へと転換するためのフェーズです。
商品の購入やサービスの契約を促すために、料金表や導入事例といったコンテンツを発信すればより効果的です。
また、ニーズによっては非対面のコミュニケーションの場を設けることも検討してみてください。

Deligent(リピート・口コミ)

マーケティングは受注につながれば終了ではありません。
リピート客になってもらうためにも、顧客との良好な関係を続け、ファンになってもらえるような取組みが必要です。

アフターフォローや会員限定のコンテンツをはじめ、導入後の活用事例の紹介などを実施することもおすすめです。
また、メルマガやSNSを活用した情報公開も効果があります。良い口コミを顧客に発信してもらえれば、新たな顧客獲得にも良い影響を与えます。

インバウンドマーケティングの代表的な手法


ここからは、インバウンドマーケティングの代表的な手法を解説していきます。
集客、見込み顧客の獲得、見込み顧客の育成、それぞれに適した手法を紹介していくので、取り入れるためにも参考にしてみてください。

集客で活用できる手法

集客に活用できる顧客は以下の通りです。

・SEO
検索エンジン最適化を指します。
自社サイトへの流入を増加させるためには、検索エンジンで上位表示を狙わなければいけません。
悩みや課題が顕在化しているニーズに有効な施策であり、企業やサービスについて知らない見込み客と接点を持つことにつながります。

・リスティング広告
ユーザーが検索したキーワードに連動して、検索エンジンの結果画面に表示されるテキスト広告がリスティング広告です。
検索行動を起こすユーザーが対象となるため、見込み度の高い顧客を集める際に活用できます。
また、出稿すればすぐに広告が表示されるため、即効性がある点が魅力です。

・SNS
XやInstagram、LINEやFacebookなどの施策も有効な手段です。
多くの企業が公式アカウントを運用しており、活用すればユーザーの属性データを収集でき、マーケティング活動に活かせます。
顧客と直接コミュニケーションを取れるため、関係性を構築するためにも有効です。フォロワーや登録者数を増やせば発信力の拡大にもつながります。

見込み顧客の獲得に活用できる手法

次に見込み顧客を獲得するために活用できる手法です。

・ホワイトペーパー
PDFやWebビューアで閲覧できる資料がホワイトペーパーです。
ダウンロードする際にメールアドレスや会社名といった個人情報を要求でき、リード情報の獲得につながります。
情報収集をするターゲットに対しては調査結果やノウハウ、セミナーレポートなどを発信し、比較や検討をしているターゲットに対しては、製品資料といった内容を提供できます。

・セミナーやウェビナー
見込み顧客の獲得にはセミナーも有効です。イベントそのものがCVポイントになり、レポートやアーカイブ動画などの再利用も可能です。
Webでセミナーを開催するウェビナーも人気となっており、遠方に住んでいる見込み客に対してもアプローチがしやすくなっています。

見込み顧客の育成に活用できる手法

最後に、見込み顧客の育成に活用できる手法を紹介していきます。

・MAツール
MAツールとはマーケティングオートメーションツールのことで、顧客データに基づいてマーケティング施策の自動化を支援するツールです。
設定したシナリオに沿ってメール送信をするほか、行動履歴のトラッキングによる点数化で顧客状況に合わせたコンテンツの提供を実施できます。

・インサイドセールス
インサイドセールスとは、受注につながりそうな見込みが高い顧客に対して対面営業を行い、成約の可能性をアップさせる手法です。
営業の方法としては、電話やメール、チャットやビデオ会議といった遠隔でのコミュニケーションがあります。

インバウンドマーケティングを実施する流れ


実際に、インバウンドマーケティングを実施する際の流れを解説していきます。

1.目的や目標を決める

インバウンドマーケティングを実施する前に、目的や目標を明確化させる必要があります。
見込み顧客の獲得や育成、売上げアップやWeb集客の増加など、企業によって様々な目標があるでしょう。
これらの目標を定めつつ、「○月までに新規リードを獲得」といったような具体的な期限や数値目標を設定するようにしてください。

2.ターゲット・ペルソナを設定する

自社のターゲットとなる人物を洗い出し、ターゲット像を設定していきます。
その際には、ペルソナを設定すると必要となるコンテンツの方向性も定まりやすくなります。

ペルソナには以下の項目を設定していきます。

  • 年齢
  • 性別
  • 居住地域
  • 住居
  • 最終学歴
  • 職業
  • 年収
  • 家族構成
  • 趣味
  • 使用する頻度の高いSNS
  • 現在抱えている悩み など

 
できる限り具体的に検討することが大切です。

3.戦略を立ててコンテンツを作成する

顧客のニーズに合ったコンテンツを提供する方法を練り上げていきます。
既存の顧客分析によって学んだことをもとにして、具体的で効果的な戦略を計画していきます。

戦略を練ったあとは、具体的な戦術を決めていきます。ブログ記事やホワイトペーパー、セミナーや動画など、コンテンツの種類は様々です。
資料請求や問い合わせを促せるように、アクションボタンやリンクなどを忘れずに設置してください。

4.情報を発信しPDCAを継続的に回す

目標を定めて戦略や戦術を立てても、計画通りに進行できるとは限りません。うまくいかないケースもあるため、PDCAを継続的に回すことが重要となります。

  • P(Plan):計画
  • D(Do):施策の実行
  • C(Check):施策の評価
  • A(Action):改善

分析は欠かさず行い、価値のあるコンテンツ発信を心掛けることが大切です。

インバウンドマーケティングでの注意点


インバウンドマーケティングを行うにあたり、注意すべき点もあります。以下のポイントに注意して実施してください。

長期的な視点で施策に取り組む

インバウンドマーケティングは、効果が得られるまでに時間を要します。
実施すれば、すぐに効果が出ると勘違いしている方もいますが、顧客に直接アピールしないため効果はすぐに現れません。

顧客はコンテンツを通して情報を集めていき、自分のペースで購買意欲を高めていきます。そのため、顧客を育成する期間も長くなる傾向です。
すぐに反応があると考えず、長い目で見て施策に取り組むことが大切です。

ターゲットの行動をしっかり分析する

どのような属性に向けたコンテンツかを綿密に設定をしなければ、効果がない施策になる恐れもあります。
顧客にコンテンツを見つけてもらうことが重要であるため、ターゲットの行動分析が欠かせない手法です。
メインターゲット層やターゲットの行動など、再度確認してから施策を進めてください。

適切な媒体を選んでコンテンツを発信する

良質なコンテンツを制作しても、発信する媒体選びが間違ってしまえば設定したターゲットに見てもらえません。
インバウンドマーケティングでは、オウンドメディアを主体としたマーケティングが一般的ですが、集客力不足に陥っている場合はSEOを実施する必要があります。

SNSアカウントを持っている場合は、コンテンツの更新を告知するなど、適切な媒体を選択して発信できるよう施策を練っていくことが大切です。

まとめ・優良顧客の獲得に向けてインバウンドマーケティングを取り入れよう

インバウンドマーケティングは、これまでのアウトバウンドマーケティングとは異なり、顧客の行動や意思を優先して自発的な興味関心を引き出すマーケティング手法です。
効果が出るまでに時間のかかる手法ですが、優良顧客を獲得できる可能性を秘めています。具体的な手法としては、オウンドメディアやSNS、セミナーなどがあります。
自社の目的や目標に合わせた取組みを導入することが大切です。

創業手帳(冊子版)では、経営に役立つ情報を発信しています。マーケティング施策についてもお伝えしているので、起業や経営に役立てたい方はぜひ参考にしてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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