PDCAシートの書き方は?意味や記入例などをわかりやすく解説
PDCAシートの書き方を覚えて事業の目標達成につなげよう
PDCAの重要性は、多くの経営者が認識しています。しかし、実際はうまく実践できずに悩んでいるといったケースも珍しくありません。
PDCAを実践する際にPDCAシートを作成することもありますが、その書き方について理解していないという経営者もいるでしょう。
そこで今回は、PDCAシートの概要やPDCAの意味、PDCAシートの書き方・記入例などについて解説していきます。
PDCAシートの作成を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
PDCAシートとは?作成のメリット
PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとった言葉です。
同じ失敗を繰り返さないようにしたり、自分自身の考えを整理したりすることが目的で、計画や振返りを記録するものがPDCAシートです。
PDCAシートを作成することで、記録したデータを活用できたり、事業を客観的に振り返れたりするなどのメリットを享受できます。
そのため、日本国内の多くの企業で取り入れられています。
記録したデータを活用できる
PDCAシートを作成すると、記録したデータを次に活かせます。
計画通りに実行してみて、初めてわかることもあります。思うようにいかず、調整する必要があるかもしれません。
その都度調整し、やり方を変えていくためには、データを適切に記録しておく必要があります。そうすることで、次回のPDCAサイクルに活かせます。
事業を客観的に振り返れる
PDCAシートを作成することで、事業について客観的な振返りができることも、メリットとして挙げられます。
うまくいかなかった原因を客観的に見られなければ、同じ失敗を繰り返す可能性が高くなります。
「いつもよりも頑張った」「運が悪かっただけ」などと主観的な評価で満足しないためにも、数値化した評価基準を設けるようにしてください。
PDCAの意味とは
PDCAシートを作成する前に、PDCAの意味を把握しておく必要があります。
続いては、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の意味について解説していきます。
Plan(計画)
Plan(計画)は、PDCAサイクルをうまく回すための重要なポイントです。目標を達成するためには、計画をしっかりと立てておかなければなりません。
日々の業務に追われると、本来の目的を見失ってしまい、PDCAを回すこと自体が目的になってしまうケースもあります。
それではせっかく目標を立てても、思ったような結果を得られない可能性が高まります。
計画は目標を達成するため、目標は目的を達成するめにあるので、PDCAサイクルの中でPlan(計画)は重要な役割を担っているのです。
Do(実行)
Do(実行)は、目標を達成するためにやるべきアクションを指します。
目標に向けた計画を考えるだけでは、何も変わりません。目標達成に向けて動かなければならないので、ひたすら実行します。
Plan(計画)の中で設定した目標を実現するためにすべき行動を洗い出し、To Doリストに落とし込んでいくこともおすすめです。
行動に必要な時間や人員などを具体的に数値化することも大切です。
また、プロジェクトメンバー間や関係部署との綿密なコミュニケーションも忘れてはいけません。
Check(評価)
Check(評価)は、実際にやってみて実行できたのか、目標達成に向かっているのか、などを評価するフェーズです。
この時に大切なのは、結果をオールオアナッシングで片付けるのではなく、良かったと思える部分と反省すべき部分を客観的に洗い出すことです。
そして、なぜそのような結果になったのか分析します。
ミスや問題点だけ洗い出すのではなく、うまくできた部分も洗い出して分析してください。そうすることで、次のサイクルで継続すべき行動を導き出せます。
Action(改善)
Action(改善)は、Check(評価)で分析した項目をベースとし、継続すべき行動と改善すべき行動に分けていきます。
次のサイクルにおけるDo(実行)のフェーズでは、どのような行動をすれば改善につながり、より良い結果を生み出せるのか、といった点を具体的に落とし込めるようになります。
Action(改善)で検討した改善策を活かし、次のサイクルのPlan(計画)のブラッシュアップにもつながるでしょう。
PDCAサイクルを回すことが目的にならないようにするためには、一連の流れを分析・考察し、次のサイクルに活かせるようにすることが重要です。
PDCAシートの書き方・記入例
PDCAシートを作成するためには、書き方を把握しておく必要があります。続いては、PDCAシートの書き方と記入例をご紹介するので、参考にしてみてください。
Plan(計画)の書き方・記入例
Plan(計画)の書き方と記入例は以下の通りです。
目標は明確にする
PDCAサイクルを回すためには、Plan(計画)の部分が特に重要だと考えられています。
「売上げを上げたい」といった抽象的な目標や「2週間で売上げを2倍にしたい」など現実的ではない目標を含んだ計画を立ててしまうと、実現できない可能性が高いです。
「1日50件、新規企業に対する架電を行い、キーマンのテレアポを取得する。」など具体的な計画を立てるのがおすすめです。
5W1Hを基準に設定する
Plan(計画)を考える時は、5W1Hを基準に設定することもポイントです。5W1Hは、以下の5つを指します。
-
- 誰が(Who)
- いつ(When)
- どこで(Where)
- 何を(What)
- なぜ(Why)
- どのように(How)
これに、「いくらで(How much)」を加えた5W2Hという考え方を用いても良いでしょう。数字や指標を用いれば、よりわかりやすい計画を立てやすくなります。
期限とノルマ(数値目標)を決める
計画を立てる際、期限とノルマ(数値目標)を決めることも重要です。ノルマは、後から評価数する時に利用するため、計測できる数値目標を設定するのが望ましいです。
数値目標がなければ、何が良くて、何が悪かったのか、といった点を分析できず、改善にもつながりません。
例えば、「今月は20社の企業にアポイントをとり、そのうち5社と契約を結ぶ。」といった具体的な数値目標があれば、評価や改善をしやすくなります。
Do(実行)の書き方・記入例
Do(実行)の書き方と記入例は以下の通りです。
目標を実行項目に細かく分解する
Plan(計画)で設定した目標を実行項目ごとに分解していきます。
1年間の長期的なプロジェクトであれば、6カ月後、3カ月後、1カ月後などの短期目標に落とし込んでいきます。
また、チーム内で課題を割り振るなどして、具体的な実行項目を練ることも必要不可欠です。
実行項目を練る際、それぞれの業務量を加味し、実現可能な範囲で行うこともポイントになります。業務量が増大してしまうと逆効果になりかねません。
優先順位を付ける
Do(実行)を考える時は、優先順位を付けてください。大きなプロジェクトを動かす際は特に、日々の業務に優先順位を付け、着実に進めなければなりません。
仕事はひとつのプロジェクトのみではないため、細々とした仕事が入ってきたり、突然の電話で新たな仕事が舞い込んだりする可能性もあります。
優先順位を付ける際は、緊急性が高いこと、重要度が高いことという2つの軸を柱にして考えてみてください。
目標をTo Do化させる
Do(実行)を書く時は、目標をTo Do化させることを意識してみてください。
To Do化は、実行する目標に対して「すぐにとりかかれる」という状態まで具体的なタスクを落とし込むことを意味します。
短期的なタスクに落とし込むと、管理やしやすくなり、進捗も確認しやすくなります。
To Doのこまめな確認を行えば、遅れている部分をベースアップできるようになるなどのメリットも享受できるので一石二鳥です。
一度立てた計画は一定期間実行する
PDCAを実施するのであれば、一度立てた計画は一定期間実行することも押さえておくべきポイントだといえます。
改善点を見出してもそれが一度きりでは、蓄積によって得られるメリットを享受できません。
それでは、せっかくPDCAシートを作っても前進するのは難しくなります。このことから、中長期的なスパンで取り組むべきだとわかります。
Check(評価)の書き方・記入例
Check(評価)の書き方と記入例は以下の通りです。
評価の基準をあらかじめ明確にしておく
評価の基準をあらかじめ明確にしておくことは、Check(評価)を行うための重要な要素です。
評価の基準が明確になっていないと、定量的な評価ができないだけではなく、正確な検証もできません。
PDCAシートの記載する際は、「できた」または「できなかった」、「良い」または「悪い」と書くのではなく、評価基準を明文化してください。
そうすることで、検証をスムーズに行えるようになります。
問題点だけでなく良かったことも評価する
評価というと、問題点に着目しがちです。
しかしPDCAサイクルのCheck(評価)では、成果を出すために悪いところを修正するだけではなく、良いところを伸ばしたほうが効果を大きくできる可能性があると考えられています。
良かったところを掘り下げるためには、以下のような点に着目してみてください。
-
- なぜうまくできたのか
- ほかのことにも活かせないか
- どの行動が良かったのか
Action(改善)の書き方・記入例
Action(改善)の書き方と記入例は以下の通りです。
評価から適切な改善策を見極める
Action(改善)について考える時は、評価から適切な改善策を見極めてください。プロジェクトではこのフェーズが重要な役割を持っています。
評価した結果から、業務の見直しや最適な改善策について話し合いを行います。
結果と計画にはギャップが生じるものなので、それを埋めるためには改善を繰り返さなければなりません。
改善できるポイントがどこにあるのかを適切に把握するには、評価が重要になることも覚えておいてください。
継続することが大切
見つかった改善策をただ実行するだけではなく、実行した結果を最後まで見届け、これからはどのようにすべきか、といった点を考えることまでがワンセットです。
これらを繰り返すことで失敗しても前に進んでいけます。
企業として取り組んでいることが資産となり、蓄積されていくので、それらを無駄にしないためにもPDCAシートを作成することは効果的です。
PDCAサイクルを回す上で注意すべきこと
PDCAサイクルを回す際、いくつか注意したいポイントもあります。次は、どのような注意点があるのか解説していきます。
前例主義にならないようにする
過去の施策や行動を評価して、改善策を生み出すのがPDCAサイクルです。過去の経験値を増やすことで応用力が高まっていきますが、過去の実績でしかありません。
新しいアイデアや解決策が生まれにくくなってしまいます。
前例主義になってしまうと、新しいアイデアを出しても採用されないという状況に陥りかねません。
それでは企業の成長につながりにくくなってしまうため、前例主義にならないように気を付けてください。
回すこと自体を目的にしない
PDCAサイクルを回すことが目的になるケースも珍しくありません。
直感的に理解しやすいので、サイクルを回すことが目的になり、取り組んでいる事実に満足してしまうパターンです。
PDCAはあくまでも、最初に計画した目標やゴールを達成するための手段なので、それを理解した上で取り組む必要があります。
PDCAシートの作成に使えるツール
PDCAシートの書き方を理解したら、実際に作成していきます。PDCAシートの作成に使えるツールには、Excelやスプレッドシートが挙げられます。
Excel
Excelを使ってPDCAシートを作成すると、管理や記入の簡潔化につながります。紙面で管理する必要もなくなるので、記録も見返しやすくなります。
なぜなら、パソコンの中にデータが残るためです。
またExcelでは、オリジナルのPDCAシートを作成することもできます。必要な項目を追加または削除しやすいのはExcelを活用するメリットです。
スプレッドシート
スプレッドシートは、Googleが提供している表計算ソフトです。Googleアカウントを持っていれば、オンライン上で誰でも使えます。
Excelはソフトをダウンロードしなければならないので、利便性はスプレッドシートのほうが高いです。
スプレッドシートには以下のような特徴もあるので、PDCAシートを複数人で編集したい場合にもおすすめです。
-
- 同時に編集ができる
- オフラインであっても作業できる
- スマートフォンからも利用できる
- リアルタイムの編集ができる
- Googleツールとの連携ができる
PDCAシートの書き方を学んで仕事を客観的に評価・改善しよう
PDCAシートは、事業を円滑に進めるだけではなく、企業を成長させるためにも重要な役割を担っています。
PDCAの重要性は以前からいわれていますが、ただ考えるだけでは社員全員に共有できません。
そのため、PDCAシートの書き方を理解し、車内で共有できるような体制を構築することがポイントになります。
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(編集:創業手帳編集部)