起業のために500万円の融資を受ける方法は?必要な自己資金やその他資金調達法も解説

創業手帳

起業時に500万円の融資は自己資金なしでも可能?


起業時には創業資金のうち2~3割程度は自己資金が必要とよくいわれます。つまり、創業に500万円必要であれば100~150万円は用意しなければいけません。
銀行で融資を受ける場合、ある程度の自己資金を用意していたほうが有利かもしれません。

また融資によっては自己資金なしでも利用できる資金調達もあります。資金調達方法にはそれぞれ条件があるので以下で詳しく確認していきます。

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起業するために500万円の融資を受ける方法4つ


画期的な商品やサービスをこの世に送り出したい、夢だったお店をオープンしたいなど、開業する目的は人によって違います。
共通するのは、開業にあたっては必ず資金の問題をクリアしなければならない点です。

ビジネスの規模や業種によって違いはありますが、開業資金の目安のひとつといわれているのが500万円です。
500万円を融資で調達する場合にどのような方法があるのか紹介します。

1. 日本政策金融公庫の新規開業資金を使う

融資と聞いてすぐに民間の金融機関をイメージするかもしれません。しかし、創業前や創業したての事業主が融資を受けることは、実績がないため困難です。
そこで、創業時の融資元として日本政策金融公庫の利用をおすすめします。

日本政策金融公庫は政府系金融機関であり、個人事業主や中小企業に対して低金利の融資を提供しています。
中でも創業融資には注力していて、新規開業資金もそのひとつです。

日本政策金融公庫の新規開業資金は、創業やスタートアップを支援するために、担保や保証人がなくても利用できます
対象となるのは、新しく事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人です。
新規開業資金の融資限度額は、7,200万円(うち運転資金4,800万円)なので多くの資金を必要としている人にも適しています。

融資には審査があり、実際の融資額は審査状況によります。必ずしも融資限度額上限まで借りられるとは限らない点に留意してください。

なお、以下に該当する方は、優遇された融資制度を利用できます。

  • 女性、若者、シニアの方で創業する方
  • 廃業歴等があり創業に再チャレンジする方
  • 中小会計を適用して創業する方

適用される金利が優遇されるなど、優遇措置を受けられる可能性があるため、該当する方は相談してみると良いでしょう。

2. 日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金を使う

日本政策金融公庫の中小企業経営力強化資金は、経営革新や新事業分野の開拓によって市場の創出、開拓を行う人や、「中小企業の会計に関する基本要領」「中小企業の会計に関する指針」に従って会計処理を行う中小企業の経営力、資金調達力の強化をサポートする制度です。

融資を受けられる条件は以下のものです。

次の①または②に該当する人
①以下のすべてに当てはまる人
・経営革新または、異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出や開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする人
・事業計画書を策定して、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導と助言を受けている人

②以下のすべてに当てはまる人
・「中小企業の会計に関する基本要領」または、「中小企業の会計に関する指針」を完全に適用しているもしくは適用する予定である
・事業計画書を策定する人

資金の使い道は、事業計画の実施のために必要とする設備資金や長期運転資で、融資限度額は、直接貸付で7億2千万円です。
担保の有無や種類については相談となるので、窓口に問い合わせてください。

「認定支援機関」に相談することで審査に通りやすくなる

中小企業経営力強化資金を利用する要件として、認定経営革新等支援機関からの認定が定められています。
認定経営革新等支援機関は、経営や会計の専門知識や実務経験があると国が認定した組織で、認定支援機関とも呼ばれています。
認定されているのは、主に商工会や商工会議所、会計事務所などです。

融資を受ける時には、認定支援機関サポートを受けて融資を申し込むことでよりスムーズに資金調達できるケースがあります。
認定支援機関は事業計画書の作成サポートもしているので、創業時の相談役としても活用できます。
近隣の認定支援機関を調べるには、管轄の経済産業局のホームページを確認してください。

3. 民間の銀行融資を受ける

開業資金は、民間の銀行融資で調達する方法もあります。
ただし、同じ銀行であっても地方銀行と都市銀行では資金調達のしやすさが変わるケースもあります。

一般的に、地方銀行はその土地で事業を営む事業者をサポートする姿勢が強く、創業融資や少額の融資にも積極的です。
一方、都市銀行は保守的で、実績や担保がなければ融資を受けられないケースがあります。

銀行は開業すれば必ず利用することになるので、すぐに融資を受けるのではなく取引き実績を作りながら信用を高めていく方法もあります。
融資を申し込んでから実行されるまでの目安はおよそ20~25日程度です。資金が必要になるタイミングから逆算して計画的に手続きを進めてください。

4. 信用金庫・信用組合の融資を受ける

信用金庫や信用組合も、創業時の資金調達に利用できます。
信用金庫や信用組合は、その地域に根差した金融機関であり、地域活性化を目的にしているので地元企業や個人が利用しやすい点が特徴です。
ただし、事業展開している場所が、その信用金庫がある地域でなければ利用できません。

信用金庫は信用保証協会付き融資が多いので、開業時や個人事業主の融資も受けやすい傾向があります。
しかし、融資に信用保証協会を通すため、融資審査にかかる時間は2~3カ月かかることもあります。
金利は銀行よりも高くなりことがあるので、資金調達に関わる費用は必ずシミュレーションしてください。

起業時の融資に必要な自己資金とは?


創業時の融資審査では自己資金の額が重要な判断材料になります。この自己資金は、自分が自由に動かせるお金のことです。
ここでは、融資に必要となる自己資金についてまとめました。

自己資金として認められるもの

自己資金は、事業費用として充当できる資金を指し、具体的には銀行にある普通預金や定期預金、貯蓄型保険などの預貯金が該当します。
それ以外にも、株式や国債といった有価証券や土地や建物などの不動産も同様です。

退職金や生命保険の解約金、みなし自己資金なども原則自己資金として認められます。
審査で資金の出所を聞かれることもあるので、すぐに説明できるように準備しておいてください。

自己資金として認められないもの

自己資金として認められるものの範囲は広いものの、同じ資金であってもどこから来た資金なのか、つまり出所も確認されます}。
通帳に預金があっても、タンス預金は自己資金として認められない可能性があります。

タンス預金は、どこから来た資金なのか客観的に確認できないお金なので自己資金にはなりません。
自己資金を貯める場合は、タンス預金ではなく銀行口座を使って記録を残すようにしてください。
加えて知人からの借金やカードローン、ビジネスローンは、返済しなければいけないお金なので自己資金にはできないこととなっています。

審査のために一時的にお金を用意する、いわゆる見せ金も自己資金として認められません。
審査を受ける時だけ借りてきて自分の口座に入金したとしても、通帳の履歴から判明してしまいます。
悪質な見せ金は詐欺であると判断される可能性もあるため、避けてください。

起業時に500万円の融資を受ける審査での注目ポイントは?


開業時に500万円の融資を受ける方法はいくつかありますが、融資を受けるには審査があります。
審査ではどのようなポイントが見られるのか理解しておいてください。

自己資金が融資希望額に対して最低1割あるか

開業時に融資を受ける時には、自己資金の割合が重視されます。自己資金は、開業資金に充てられる資金です。
開業するまでに用意しておきたい自己資金は、2~3割程度だとされています。
つまり、開業資金として500万円を計画するのであれば、100万円から150万円は必要です。

自己資金がなくても受けられる融資もありますが、自己資金の有無は開業準備の一環といえます。
計画的に開業資金を用意していくことが審査での評価につながる可能性もあります。最低でも1割、500万円に対して50万円は用意しておくようにしてください。

創業計画書で事業の見通しが立っているか

融資を受ける時には、必ず返済できる見通しがあることを伝えなければいけません。そこで重要となるのが、創業計画書です。
融資を受ける時には、創業計画書や事業計画書を必ず提出します。

創業計画書に記載するのは、以下のような内容です。

①事業主の経歴
②事業のビジョンや目的、理念
③事業内容
④事業の強みや特徴
⑤市場環境、競合
⑥販売やマーケティング戦略
⑦生産や仕入れ計画
⑧売上計画
⑨利益計画
⑩資金調達計画

創業計画書は、複雑な内容にするよりも第三者でもわかりやすい内容を心がけてください。
派手な内容にするよりも事業の収益性や将来性をわかりやすく示すことが重要です。

創業手帳アプリ版では、無料で事業計画書作成ツールが無料でご利用可能です。開業資金額や目標売上額などを入力すると、事業計画書が作成できます。お気軽にご利用ください。

業務の経験や能力があるか

すでに創業した企業の資金調達であれば、今までの決算書や実績が確認されます。しかし、創業時の融資では過去の実績がありません。
そこで、確認されるのが事業主の経歴や能力です。

これから創業するビジネスの経験があるか、会社員時代に何を経験したかによって金融機関は信用できるか、見込みがあるかどうかを判断します。
経歴とまったく経験がない職種での起業は不利になってしまうことを覚悟しなくてはいけません。

起業時に融資以外の資金調達方法とは?


起業するために自己資金はあるに越したことはありません。しかし、自己資金がない場合も諦めるのは早計です。自己資金がない時の対策をまとめました。

共同経営者を探す

自己資金がない時には、共同経営者やパートナーを探す方法があります。つまり、共同経営者に資金を出資してもらって創業資金にする方法です。

ビジネスのアイデアや経験、スキルなどがあれば、創業計画を売り込んで共同経営者を探せます
共同経営者に資金を出してもらう時には後からトラブルになることを避けるために、金額や日付などは書面として残しておくようにしてください。

クラウドファンディングを活用する

インターネットを使って不特定多数から資金を募るクラウドファンディングも、資金調達として有効な手段です。
新商品の開発や社会貢献といった人々の共感を集められる事業は、クラウドファンディングが向いています。

出資するメリットをどれだけ魅力的に伝えられるかが成功の鍵です。
クラウドファンディングサイトによっても、得意なタイプが違うので比較してどこでクラウドファンディングを実施するか決めてください。

助成金や補助金を使う

創業をサポートするために国や地方自治体で助成金や補助金を用意していることがあります。
助成金を受け取るために要件を満たしたり、採択されるために書類を提出したりする必要はありますが、資金面でのサポートを受けられます。

具体的には、モノづくり補助金やIT導入補助金、キャリアアップ助成金などが広く知られている制度です。要件を確認して申し込みできるかどうか検討してください。

創業手帳では、起業家や経営者がよく使う補助金について解説した「補助金ガイド」を無料でお届けしています。是非こちらもあわせてお読みください。


補助金ガイド

まとめ・起業時は自己資金が少なくても融資やその他の資金調達を検討しよう!

開業時に融資を受けようとすれば自己資金をどれだけ用意しているかが重要といわれます。
しかし、自己資金を集めようとすれば時間がかかってビジネスのタイミングを逃してしまうかもしれません。

自己資金を用意する手段のほか、自己資金が少なくても資金を集められる方法をまとめました。スピーディーに事業展開するためにもいろいろな手段を検討してください。



是非こちらの融資ガイドもあわせてお読みください。無料でお読みいただけます。

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(編集:創業手帳編集部)

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