【2024年最新】キャッシュレス決済に利用できる6つの補助金と導入費用を徹底解説!
個人事業主・中小企業におすすめ!キャッシュレス決済導入に利用できる補助金を紹介
キャッシュレス決済の利用者は着実に増えており、小売店や飲食店にとってキャッシュレス決済の導入は不可欠になってきました。キャッシュレス決済は顧客の取りこぼしを防ぐだけでなく、小規模事業者の業務効率化にも役立ちます。
ただし、導入にあたっては専用端末の設置などが必要で、費用がかかります。そこで各種補助金が利用できれば、導入のハードルも下がるのではないでしょうか。今回は2023年のキャッシュレス決済導入に利用できる補助金を紹介します。
他にも「補助金ガイド」では、補助金・助成金の基礎知識から最新情報などを掲載しています。具体的な申請のコツなども確認できますので、ぜひあわせてご活用ください。
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この記事の目次
キャッシュレス決済導入補助金
個人事業主や中小企業の事業者がキャッシュレス決済を導入する際に、「キャッシュレス決済端末導入事業費補助金」などの名称で補助金を交付する自治体があります。
一定の要件を満たすと、キャッシュレス決済端末などの導入に要する経費を補助してもらえます。すべての自治体が実施している制度ではなく、内容も自治体ごとに定められているため、実施の有無や内容を確認する必要があります。
キャッシュレス決済導入補助金を実施している主な自治体
2023年8月現在で、キャッシュレス決済を導入するための補助金事業を実施している自治体を紹介します。
【キャッシュレス決済導入補助金実施自治体一覧】
自治体 | 申請期限 |
東京都北区 | 2024年2月29日 |
愛知県蒲郡市 | 2024年2月29日 |
大阪府茨木市 | 2024年3月15日 |
兵庫県養父市 | 2024年1月15日 |
千葉県君津市 | 2024年2月29日 |
群馬県千代田町 | 2024年2月29日 |
秋田県潟上市 | 当該年度の翌年の2月28日まで |
茨城県日立市 | 2024年3月31日 |
キャッシュレス決済導入補助金の概要(東京都北区の場合)
ここでは、自治体のキャッシュレス決済導入補助金の一例として、東京都北区の補助金事業の内容を紹介します。
参考:東京都北区「キャッシュレス決済端末等導入支援事業」
【東京都北区 キャッシュレス決済端末等導入支援事業補助金】
対象者 | 中小企業、個人事業主 |
対象経費 |
・キャッシュレス決済端末本体機器(買い替え・増設も可) ・付属機器(汎用端末・決済端末関連機器・ネットワーク接続機器) |
対象金額 | 補助対象経費の全額(上限10万円) |
対象期間 | 2023年3月1日から2024年1月31日 |
申請期限 | 2024年2月29日 |
申請手続きの流れ
「北区キャッシュレス決済端末等導入支援事業補助金」の申請手続きの流れを解説します。
【申請前にすませること】
北区のキャッシュレス決済端末等導入支援事業補助金を受けるには、申請前に以下を実施ずみである必要があります。
- 新たなキャッシュレス決済端末の申請手続き
- キャッシュレス決済の加盟店手続きの完了
- 機器費用の支払い
【補助金の申請から受け取りまで】
補助金の申請から補助金を受け取るまでの流れは、以下のとおりです。
- 補助金の申請
- 補助金の審査
- 補助金決定
- 補助金の請求
- 補助金の支払い
補助金交付決定後1年以内に現地調査が行われ、補助対象の関連機器の使用状況が確認されます。
IT導入補助金
IT導入補助金は中小企業や小規模事業者(個人事業主)の業務効率化や売上アップのために、ITツールの導入費用を補助する制度です。
IT導入補助金は補助額、補助率、対象経費により、複数の枠・類型に分かれています。キャッシュレス決済の導入では、「デジタル化基盤導入枠」を利用できる可能性があります。
IT導入補助金の概要
ここでは、IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠の概要を紹介します。
【デジタル化基盤導入枠】
対象者 | 中小企業・小規模事業者(個人事業主) |
対象経費 | ソフトウェア導入費・クラウド利用費(最大2年分)・ハードウェア関連費・導入関連費 |
補助額 | 350万円以下(導入する内容によって異なる) |
補助率 | 4分の3以内・3分の2以内・2分の1以内(導入する内容によって異なる) |
申請期限 | 2023年9月11日(第8次) |
出典:「IT導入補助金2023」
第9次から第12次までの締切日は以下のとおりです。
- 第9次:2023年10月2日
- 第10次:2023年10月16日
- 第11次:2023年10月30日
- 第12次:2023年11月13日
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は小規模事業者の販路開拓や、それに伴う業務効率化に要する経費を補助する補助金です。
小規模事業者持続化補助金には5つの枠組みがあり、キャッシュレス決済導入では通常枠が該当すると考えられます。
小規模事業者持続化補助金の概要
以下は、小規模事業者持続化給付金の通常枠の概要です。
【通常枠】
対象者 | 中小企業、個人事業主 |
対象経費 | 機械装置費等 |
補助額 | 50万円まで |
補助率 | 3分の2 |
申請期限 | 2023年9月7日(第13回) |
出典:「小規模事業者持続化補助金<一般型> 第13回公募 公募要領」
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、小規模事業者が今後対応しなくてはならない制度変更等への設備投資を補助するものです。補助金には5つの申請枠があり、キャッシュレス決済の導入に利用できる可能性があるのは、通常枠またはデジタル枠が考えられます。
ただし、いずれも単なるキャッシュレス決済の機器の導入では採択は難しいといえます。各枠組みに沿った内容を事業計画に盛り込む必要があるでしょう。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の概要
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の通常枠の概要は、以下のとおりです。
【通常枠】
対象者 | 中小企業・個人事業主 |
対象経費 |
機械装置・ システム構築費 単価50万円(税抜き)以上の設備投資を行うことが必須 |
対象金額 |
従業員数5以下 :100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上 :100万円~1,250万円 |
補助率 | 2分の1、小規模企業者・小規模事業者・再生事業者3分の2 |
申請期限 | 2023年11月7日 |
出典:「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(16次締切分)」より
業務改善助成金
業務改善助成金は最低賃金の引き上げを伴う生産性向上のための設備投資を行った場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。
機器設備の導入にPOSレジシステム導入が挙げられており、キャッシュレス決済に対応している専用端末の導入も助成の対象になると考えられます。
業務改善助成金の概要
業務改善助成金の概要は、以下のとおりです。
対象者 |
中小企業、個人事業主 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内 |
対象経費 | 機器・設備の導入 |
対象金額 | 30万円~600万円(最低賃金引き上げ内容によって異なる) |
補助率 | 10分の9・5分の4・4分の3(最低賃金によって異なる) |
申請期限 | 2024年1月31日 |
出典:「令和5年度業務改善助成金のご案内」
災害・急病等危機管理対応事業補助金
災害・急病等危機管理対応事業補助金は、外国人旅行者が日本を安心して旅行できる環境を整備するために要する経費の一部を補助するものです。
その一環としてキャッシュレス決済の環境設備を整えることも対象になると考えられます。
災害・急病等危機管理対応事業補助金の概要
災害・急病等危機管理対応事業補助金の概要は、以下のとおりです。
対象者 | 観光地における店舗・事業所等を運営する者 |
対象経費 | 非接触式キャッシュレス決済環境 |
補助率 | 2分の1 |
申請期限 | 2024年9月29日 |
出典:観光庁「災害・急病等危機管理対応事業」
キャッシュレス決済端末導入時にかかる費用
実際のところ、キャッシュレス決済導入にはどの程度費用がかかるでしょうか。ここでは、キャッシュレス決済に関連する費用と、その相場を紹介します。
キャッシュレス決済端末の購入費用
キャッシュレス決済を導入する際には、決済端末の購入費用が必要です。かかる費用はキャッシュレス決済の種類や販売会社によって異なりますが、目安としては5万円から10万円程度です。
多機能なPOSレジを導入するなら、数十万円かかる場合もあります。
QRコード決済には顧客が提示したQRコードを店舗側が読み込む「ストアスキャン方式」と店舖側が掲示するQRコードを顧客がアプリで読み取る「ユーザースキャン方式」があります。このうち、ユーザースキャン方式なら端末費用はかかりません。
インターネットの通信費用
キャッシュレス決済を運用していくには、インターネットの通信環境が必要です。すでに利用している場合は、新しい費用はかかりません。キャッシュレス決済のために新たに契約する場合、月あたり3,000円~5,000円の費用を見ておきましょう。
決済手数料
キャッシュレス決済を導入すると、決済会社ごとに決済手数料が発生します。決済手数料は、売上金額に対して2%から5%が相場です。売上から手数料を差し引いた金額が後日、指定口座に入金されます。
キャッシュレス決済を導入するメリット
キャッシュレス決済の導入には、さまざまなメリットがあります。
顧客獲得の機会が増える
キャッシュレス決済の導入により、顧客獲得の機会の増加が期待できます。経済産業省によると、キャッシュレス決済は年々普及が拡大し、2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%となりました。 キャッシュレス決済ができない店舗の場合、顧客獲得の機会損失につながるおそれもあるでしょう。
自社の商品やサービスに自信があるとしても、現金払いしかできないために選んでもらえないかもしれません。キャッシュレス決済の導入は、顧客との接点を増やすきっかけになるでしょう。
客単価のアップが見込める
キャッシュレス決済を導入すると、客単価アップの効果が見込めます。たとえば、買う予定がなかった商品を顧客が気に入り、あいにく持ち合わせがなかったとします。その場合にキャッシュレス決済を利用できれば、希望する商品を諦めずにすむのです。
多くの事業者は、客単価のアップのためにさまざまな工夫をしていると考えられ、キャッシュレス決済はその助けになるでしょう。
インバウンド需要を取り込める
キャッシュレス決済の導入により、インバウンド需要の取り込みが期待できます。一般社団法人キャッシュレス推進協議会の調査結果によると、2020年の中国、オーストラリア、イギリス、アメリカなどの世界の主要国ではキャッシュレス決済比率が50%を超えています。
キャッシュレス決済を導入しておけば、円安によって日本で観光や買い物を楽しむ外国人の高額利用にもつながるでしょう。
業務効率化につながる
キャッシュレス決済は、特に小規模な事業者の業務効率化に役立ちます。会計時には現金の授受がないため時間もかからず、ミスの心配もありません。スムーズな会計は顧客満足につながるでしょう。
また、お金の管理や帳簿付けも簡単にできるようになります。
売上データを分析できる
キャッシュレス決済では決済データが残るため、売上を分析して経営改善につなげられます。QRコード決済では顧客の属性情報が含まれるため、売上アップのためのデータ分析も可能です。売れ筋商品や不人気の商品、商品が売れる時間帯などを分析すると、仕入などの効率も向上するでしょう。
衛生面・防犯面で安心できる
キャッシュレス決済では会計時に物理的な接触がないため、衛生面で安心できます。コロナ禍で接触を気にする人も増えたので、顧客満足につながるでしょう。また、現金の取り扱いが減り、店舗に多額の現金を保管しないため、防犯性も向上します。
キャッシュレス決済導入に補助金を利用する際のデメリット・注意点
キャッシュレス決済の導入には返済不要の補助金を利用したいところですが、デメリットや注意すべき点もいくつかあります。
補助金は最新情報を確認する
キャッシュレス決済導入の補助金を利用したい場合、最新情報をチェックする必要があります。過去に実施された補助金事業が、再度実施されるとはかぎりません。実施されるとしても対象者や金額などの条件や内容が変更される可能性もあります。
また、「予算がなくなり次第終了」のような案件もあるため、早めに申請したほうが得策です。公式サイトを確認する、もしくは実施機関に問い合わせをしましょう。
補助金の対象条件を確認する
キャッシュレス決済の導入に利用できそうな補助金がある場合、対象者の条件をしっかり確認しましょう。個々の補助金にはさまざまな目的があります。
たとえば、「キャッシュレス決済の導入を補助する」など目的がピンポイントのものもあれば、「設備投資を補助する」など対象が幅広いものもあります。
また、一見して対象外のように思われる条件でも、対象になるケースもあるでしょう。利用できる補助金をもれなく利用するため、対象になるかどうかの確認は重要です。
採択のために提出書類は慎重に作成する
補助金申請に必要な書類は慎重に作成しましょう。補助金は申請すれば必ず受けられるものでなく、審査に通る必要があります。提出した事業計画書などが審査されて、採択されれば補助金を受けられます。
補助金を受けてキャッシュレス決済を導入しても期待した効果が見込めないと判断されると、不採択になってしまうのです。補助金を受けたければ、入念な書類作成が必要です。
補助金申請から支給までに時間がかかる
補助金は申請後すぐに受け取れるわけではなく、申請から支給されるまでにはタイムラグがあるのが普通です。
通常、補助金は採択されたとしても「後払い」となります。キャッシュレス決済であれば決済事業者と契約し、機器などを購入してから補助金を申請するわけです。
また、申請から実際の入金まで1年程度かかることもあります。すぐにでも資金が必要な場合には利用できないと知っておきましょう。
補助金の不正受給は返還を求められる
補助金の申請内容に虚偽があるなどの不正が発覚すると、受給後に返還を求められます。補助金の財源は税金であり、目的達成のために使われなければならないためです。
そのため、補助金を受給してからも実績報告書の提出を求められたり、監査が行われたりするケースもあります。不正な受給でなくても受給後の状況の変化で要件を満たさなくなった場合は、返還の対象となる可能性があります。
まとめ
補助金が利用できれば、キャッシュレス決済を導入したいと考える小売店や飲食店は多いでしょう。国はキャッシュレス化を推進しており、今後もキャッシュレス決済導入に利用できる補助金が実施されると考えられます。相談窓口のある補助金もあるので、わからないことは問い合わせてみましょう。
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(編集:創業手帳編集部)
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