税金が支払えない!個人事業主が知っておきたい対策や制度などをご紹介!

資金調達手帳

万が一に備えて税金が支払えない場合のリスクを事前に知っておこう


個人事業主になると納めなければならない税金も多くなります。仮に税金の支払いが困難になってしまった場合、どうなってしまうのでしょうか。

個人事業主は、そのような時のために相談先や対策を事前に把握しておく必要があります。
そこで今回は、個人事業主が知っておくべき税金の対策や制度などをご紹介します。
税金が支払えるか不安な方や、税金が支払えない場合に利用できる制度について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

創業手帳では、税金の支払いへ不安を感じている方や、節税対策のを確認したい方へ「税金チェックシート」を作成致しました。こちらで税金の支払いや経費の使い方のコツなどをチェックシート形式で確認できます。

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個人事業が支払う税金の種類


個人事業主が支払う税金は、「所得税」・「住民税」・「国民健康保険税」・「個人事業税」・「消費税」・「固定資産税と都市計画税」の6種類です。
ここでは、個人事業において納めなければならない税金の種類についてご紹介します。

1.所得税

所得税は国税のことで、個人の課税所得に対しかかる税金をいいます。
課税所得とは、収入総額から経費を差し引いた所得から、さらに所得控除を差し引いた金額のことです。

所得控除には基礎控除や扶養控除・配偶者控除・医療費控除・社会保険料控除など、全部で15種類あります。
こうした所得控除を差し引いた課税所得金額に税率を適用し、税額を出したものが所得税となります。
所得税の税率は所得が多くなるにつれて高くなり、仮に課税所得が195万円の場合は、税率は10%です。

課税所得金額 税率
1,000円~194万9,000円 5%
195万円~329万9,000円 10%
330万円~694万9,000円 20%
695万円~899万9,000円 23%
900万円~1,799万9,000円 33%
1,800万円~3,999万9,000円 40%
4,000万円~ 45%

2.住民税

住民税は、都道府県や市区町村に納める地方税のことです。住民税は納税者で分類され、個人住民税と法人住民税の2つがあります。

個人事業主は、普通徴収で住民税を納める必要があり、年4回に分けて納めなければなりません。普通徴収は、納税義務者本人が住民税を納付する方法です。
税率は都道府県・市区町村によって異なります。

住民税の計算には所得割と均等割があり、1月1日時点で住所がある方に対し徴収されます。
所得割は標準税率で前年の所得金額に応じて課税される税額で、均等割は課税対象者に一律で課税される税額です。
個人事業主で事業所を持っている方は、たとえ住所がなくても均等割のみ課税されることになります。

3.国民健康保険税

国民健康保険税は、国民健康保険の掛け金で、国民健康保険料のことです。所得に応じて徴収される税金なので、国民健康保険税と呼ばれています。
国民健康保険税の算出や徴収期限・方法などは各自治体によって異なるため事前に確認が必要です。

税額は、国民健康保険加入者の前年1月~12月までの所得をもとに計算される所得割と、被保険者の人数に応じて算出する均等割額の合計によって決定されます。
世帯の被保険者ごとに計算されるため、納税義務者は世帯主となっています。賦課方法は以下のとおりです。

種類 賦課方法
応益割 均等割 世帯の被保険者数に応じた額
平等割 世帯ごと
応能割 所得割 世帯の被保険者数に応じた額
資産割 世帯の被保険者の固定資産税額に応じた額

4.個人事業税

個人事業税は、事業を行っている個人事業主に課せられる税金で、都道府県に納める地方税のことです。
個人事業税は法定業種に該当し、事業所得が290万円以上の個人事業主に課税されます。

法定業種には計70の業種があり、第1種・第2種・第3種で税率が異なります。税率は第1種が5%、第2種が4%、第3種が5%、第3種でもその他のものは3%です。
作家・漫画家・文筆業など、一部は法定業種に含まれませんが、それ以外はほとんどの業種が法定業種として扱われます。

個人事業税は、事業所得額から事業主控除を差し引いた金額に課税されます。事業所得額は収入総額から必要経費を差し引いた額のことです。
事業主控除は年290万円の控除額となっています。

5.消費税

消費税は、物やサービスを利用する際にすべての国民に課せられる国税です。
商品やサービスなどの価格に上乗せされた消費税は消費者負担となりますが、最終的には事業者が納めます。
消費税が課税される際には、地方消費税も課税されることになります。

個人事業主の場合、課税期間から基準期間の課税売上高が1,000万円を超えている場合、または前年1月1日~6月30日の課税売上高もしくは給与支払額が1,000万円を超えている場合が、消費税が課税される条件です。
また、「消費税課税事業者選択届出書」を提出している場合も消費税が課税される条件となっています。

特に基準期間の売上高が1,000万円以上になったかどうかが判断基準です。1,000万円以下の場合は、納税する必要がありません。

6.固定資産税・都市計画税

固定資産税や都市計画税なども、個人事業主が納めなければならない税金となっています。固定資産税は、建物・土地などの固定資産に課せられる税金です。
事務所(不動産)を設けている場合、毎年1月1日時点で所有していれば税金を支払う必要があります。

都市計画税もまた、建物や土地に課せられる税金です。課税対象となるのは、都市計画法で定められている市街化区域に固定資産を有している場合です。

市街化区域に事務所を設けている場合、固定資産評価額に税率を合わせて算出された額を納めなければなりません。
また、固定資産税・都市計画税では、自宅の一部を事務所や事業所としている場合は、その事業割合によって按分した金額を必要経費として計上できます。

個人事業主が税金を支払えないとどうなるの?


個人事業主が支払うべき税金は決して少なくありません。万が一、税金の支払いができない場合、どうなってしまうのでしょうか。
ここでは、税金を滞納した場合に発生することを解説します。

納付期限の翌日から延滞税が発生する

すべての税金には、納付期限が定められています。しかし、納付期限までに税金を支払わなかった場合、納付期限翌日から延滞税が発生してしまいます。

延滞税とは、法定納付期限の翌日から納付するまでの間自動的に課され、日数に応じて利息に相当する金額のことです。
本来の税額に加えて延滞金が発生し、滞納が続けばその分だけ納付しなければならない税額も増えていきます。

住民税・個人事業税・固定資産税・自動車税などの地方税は、納付期限から1カ月以上経過すると延滞金の利率が高くなってしまうため、できるだけ早く納付するよう注意しなければなりません。
また、所得税・相続税・贈与税などの国税も期限から2カ月経過した時点で延滞金の利率が上がります。

督促状が送られてくる

税金の支払いを延滞し続けていると、督促状が送られてきます。
督促状は速やかな入金を促すために送る書状のことで、未了の行為を取り締まるという意味合いで、催促状よりも強い表現となっています。

督促状は、住民税の場合は納付期限から20日以内、所得税の場合は納付期限から50日以内に送付するのが法律の規定です。
督促状が届いたら、10日以内に滞納分をすべて納めなければなりません。

支払いをせずにそのまま放置した場合、差し押さえが行われ、強制的に財産を換価もしくは処分されることになります。
差し押さえになっても、原則として強制徴収になることはありません。自治体によっては、支払いを催促する電話が来たり、担当の職員が自宅まで来たりする場合もあります。

差し押さえなどの延滞処分手続きがとられる

差し押さえのような滞納処分手続きが執行された場合、強制徴収となります。
基本的には、督促状を発送してから10日以内に入金がない場合、滞納者の財産を差し押さえることが可能な状態です。

自治体によって差し押さえのタイミングは異なりますが、差し押さえが行われると、不動産・預貯金・保険・給与といった財産が換価もしくは処分されます。
突然預金の残高が0になってしまう場合も十分考え、不動産を所有している場合は強制的に競売にかけられ、失ってしまう恐れがあります。
また、給与が差し押さえられると、職場にも通知され、税金滞納の事実が知られてしまうことになるでしょう。
延滞処分手続きが行われないよう、早期に税金を納めなければなりません。

個人事業主が税金を支払えない時は税務署に相談しよう


税金を滞納し、そのまま放置してしまえば、督促状が届き、最終的に財産の差し押さえが行われます。
無申告の場合や悪質を判断された場合、無申告加算税や重加算税も課せられます。
そのまま放置していれば支払う意思がないとみなされてしまうため、税金の滞納は、それほどまでにリスクが大きいものです。

大切なのは、納付期限までに税金の支払いができないことがあるとわかった時点で、税務署に相談することです。
事業を進める中でやりくりが思うようにいかなくなってしまい、税金の支払いが困難になったなら、速やかに税務署に相談する必要があります。

税務署に相談に行く際、重要なのは税金を支払う意思があるときちんと伝えることです。
なぜ支払いができないのか、いつ頃であれば支払いが可能になるのかなどを明確にした上で相談する必要があります。
納税に対して誠実な態度を示せば、どのように対応していくべきかを相談に乗ってくれる場合があります。

個人事業主側が税金を支払えない場合に利用できる制度


個人事業主が税金を支払えない場合に、利用できる制度があります。
振替納税制度・減免制度・延納制度・納税猶予・換価猶予などです。ここでは、個人事業主が利用できる制度についてそれぞれご紹介します。

1.振替納税制度

振替納税制度は、金融機関の口座から税金を自動的に引き落としにする制度です。
振替納税制度を利用すると、金融機関や税務署に足を運ばずとも納税ができるというメリットがあります。

通常、確定申告の申告期限、また納税期限は3月15日です。
そのため、その期日までに税金を納付する必要があり、3月15日を1日でも過ぎてしまえば、延滞金が発生する仕組みです。

しかし、振替納税制度を利用していれば、税金が引き落とされるまでに1カ月ほどの猶予があります。
つまり、口座振替にしておくことで、税金を支払うだけのお金の準備が1カ月増えることになります。
「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出していれば、延滞金や利息も発生しません。

2.減免制度

減免制度は、税金の納付が困難な方を対象にした制度です。減免制度に申請することで、要件を満たせば事情に応じて税負担の軽減や免除が行われます。
国や各自治体が定めているものなので、税務署で利用できないかを確認する必要があります。

減免制度が適用されるのは、その年の収入がなくなったことで生活が困難になった場合や、火災や風水害などの災害にあった場合などです。
例えば、所得税は災害免除法によって、4分の1~2分の1まで軽減されるほか、所得金額が500万円以下の場合は全額免除になります。

ただし、減免制度が適用となるのは納付期限が過ぎていないもののみです。すでに納付期限が過ぎているも場合は、減免制度の利用ができないため注意が必要です。

3.延納制度

延納制度は、期日までの納税が困難な場合に、納税期限を延長する制度です。主に所得税で認められている制度です。
この制度を利用すると、2回に分けて税金を納めることができるようになり、1度の負担額が軽減されるという大きなメリットがあります。

延納制度を利用するには、申告期限までに延納の届け出を提出し、所得税の半分以上を期限までに支払うことという条件があります。
1回目分を支払った後、残りの所得税は5月末までに支払わなければなりません。

また、利子税が課せられることになるため、本来納めるべき税額からさらに利子税が上乗せされます。
手続きをしないまま放置すれば、延滞税が課されてしまうため、注意しなければなりません。

4.納税の猶予

納税猶予は、税金を納めるために財務状況を立て直す時間を確保できる制度です。
災害をはじめ、病気や廃業など、事業上において大きな損害が発生した場合、税金を一括で納入することが困難です。
そのような時に、税金の一部もしくは一部を猶予してもらえます。

納税猶予は、最大1年間認められるので、それまでの間に財務状況を立て直したいという方にとって重要な制度といえます。
この制度を利用する条件は、財産面で災害や盗難被害を受けた・納税者本人もしくは家族の病気や負傷・事業の廃業や休業・著しい損害が発生などです。

これらの猶予該当事実に基づき、税金を一時に納付できないと認められた場合、担保の提供と申請書などの提出があれば納税猶予が認められます。

5.換価の猶予

換価猶予は、差し押さえとなり滞納処分手続きまで至った場合、財産の換価を持ってもらえる制度です。
例えば、すでに差し押さえが行われている財産の公売延期、生活に支障をきたすほどの財産差し押さえの延期などが可能となります。
納税猶予と同じく、最大1年間の猶予が認められています。換価猶予の条件は、上記に加え、以下のとおりです。

  • 納税に対して誠実な意思を持っていると認められる
  • 国税の納付期限から6カ月以内に換価猶予申請が提出されている
  • 国税の納税猶予を受けていない
  • 申請する以外の国税の滞納がない
  • 申請する国税額に相当する担保の提供がある

まとめ

個人事業主には、様々な税金を納税する義務がありますが、万が一支払いが困難な時もあるかもしれません。
しかし、支払わずにいると、延滞税が発生するほか、差し押さえられるなどの手続きがとられてしまいます。
そういった事態になる前に、支払えない時はまずは税務署に相談し、減免制度や延納制度などの利用を検討してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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