提案書の書き方を学ぼう!「刺さる」提案書を作成するコツとは?ーオリジナルテンプレート付ー
相手に伝わる提案書を作成するには、相手とのコミュニケーションを深めよう
新規事業や新サービスを展開したり、売り込んだりしようとするときには「提案書」は必須なアイテムです。しかし、提案書の構成がよくない、内容が一方的など、中味によっては、相手に刺さらず採用されない場合もあります。
提案先に「刺さる」内容にするためには、構成を練る、コミュニケーションを図るなどの工夫が必要となります。
ここでは、採用されやすい提案書の書き方について解説します。今まで何度か提案書を書いてきたけれど、なかなか採用されなかったり、時間をかけたわりには納得感がなかったりと、課題を感じている方におすすめです。
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この記事の目次
提案書とは?企画書とは何が違うのか
提案書とは、一般的によく使用される例としては、顧客が抱えている課題を自社のサービス導入や商品取扱いなどで解決を提案するための書類です。
もちろん、社内向けに、体制変更やルール改正などで用いられる場合もあります。
提案書は、よく「企画書」と似ていると思われがちです。
企画書は、新規の商品サービスの詳細を説明するものであるのに対し、提案書は、既存の商品サービスや新企画がもたらす顧客へのメリットや、具体的なアクションの必要性を説明・説得するための資料です。
また、提案書の役割は、たとえば、提案内容を実現するために予算を獲得してもらう、新規にプロジェクチームを組成してもらうなど、「提案先に施策を実現してもらう」ためのリソースの分配の意思決定をうながすことです。
そのため、内容も社内外の必要性の要因分析から実施事項の詳細まで幅広くなります。しかし、提案内容自体が、新しい企画を実施することなのであれば、別途企画書を添付することもできます。
なお、最近では、ダイレクトメールでの営業が一般的になりつつあり、企画書と提案書のよいところをまとめた動画資料などもあり、「ハイブリッド型」のものが見られるようになりました。
提案書を作成するとどんな効果があるのか?
提案書は、顧客や取引先の「ネクストアクション」を促すものであり、提出先に応じてカスタマイズされているはずです。そのため、ホームページやSNSなどでただ自社商品サービスを訴求するよりも、さらに具体的なメリットを提出先に伝えることができます。
たとえば、新しい経理管理ツールの導入を提案したいと思った場合、財務・経理に課題を感じている企業に対して、商品サービスの概要を送りつけてもただのフライヤーと思われ注目をひくことは難しいでしょう。
しかし、提案書として「提案先」の課題を分析の上、どうしたら経理管理ツールが解決するかを説明した提案書であれば、担当者や責任者の目に触れて「一度話だけでも聞いてみよう」となる可能性があります。
単純に自社の商品サービスの「強み」や差別化ポイントを一方的に提示するだけでは、相手が納得するとは限りません。提案書としてまとめて、自社の商品サービスがなぜ課題解決につながるのか整理すれば、相手も「これならやってみようか」と思うようになってもらえるでしょう。
どんな内容にしたらよいか、良い提案書・悪い提案書
提案書は、「解決案を提示」できているかどうかが重要なポイントです。解決案を提示するためには、客観的な分析や情報の整理が欠かせません。逆に、自社の商品サービスの説明ばかりの主観的な情報だけでは、解決案の提示にはなりません。
良い提案書と悪い提案書では何が違うのかわかっていないと、主観的な提案内容を並べた一方的な資料に陥ってしまう可能性があります。
良い提案書
良い提案書のポイントは次のとおりです。
- 提案内容の必要性の裏付け(根拠)が説明されている
- 相手の課題をマクロ・ミクロの視点から把握している
- 導入の障壁が低い、過去に実績があるなど実現性の高さがわかる
提案書では、なぜ自社の商品サービスが相手の課題解決につながるか説明しますが、その際に「なんとなく」の根拠では伝わりません。客観的なデータ(統計)や定性的な動向を踏まえて説明できていると相手も納得しやすいでしょう。
提案書で課題解決を示すためには、提出先の課題を把握していないといけません。この時、概要を把握するというよりは、個別の課題を抽出しておくとよいでしょう。業界全体の課題に加え、相手先の個別の課題など、俯瞰して整理されていると相手にも伝わりやすいでしょう。
提案書でいきなり「絵空図」を描いてしまうと相手先に実現性への不安を感じさせてしまう可能性がりあります。小さい取り組みも含むなど、予算的にも時間的にも導入しやすいオプションが用意されていると良いでしょう。また、過去の実績を示すのも、実現性が高いと思われやすいです。
悪い提案書
提示してもあまり読まれなかったり、興味をもってもらえない提案書のポイントは次のとおりです。
- 壮大な分析でポイントがわかりづらい
- 使いまわしであることが見え隠れする
- 解決策が「うまく行き過ぎる」ストーリーになっている
提案内容を裏付けるために、データによる分析は大変重要です。しかし、あまり分析やデータ整理にこだわりすぎてしまうと、焦点がぼやけることも。論文作成ではないので、凝った分析は添付に回すなど、提案書には簡潔に要点を絞った分析にとどめるほうがよいでしょう。
資料の見せ方は、提案書にとっても重要なポイントです。グラフや概念図のテンプレート化を活用するのは問題ありませんし、効率的です。しかし、課題の整理など個別の内容をただコピペしてしまうのは良くないときもあります。同業他社にも、同じ提案をしていると思われてしまうからです。
提案書は、あくまでこちらからの「提案」を示すものですが、最終的な解決につながるためには、相手との協議が必要になっていきます。一定期間一緒に「解決」していくための初めの資料であって、その後施策の変更の可能性も十分にあります。そのため、この提案で絶対うまくいく!というような内容が多いと、協働の概念が薄れ、うまくいかなかったときに相手との信用問題にもつながります。
提案書の構成と書き方の注意点
提案書を作成するとき、つい「相手に伝えたい」気持ちが強くなりすぎて、内容が盛りだくさんとなってしまう場合があります。しかし、こちらの熱意とは逆に提案先はじっくり読む時間がない場合もあります。
提案書には、ある程度決まった形がありますので、一般的な構成に従いながら、相手の個別課題をうまく整理して解決案を示せるようになるとよいでしょう。
提案書の構成
提案書の構成は次のとおりです。
-
- 表紙:
※「○○の○○改善のご提案」など、しっかりと提案内容を最初に示します。 - 提案の概要:
※3行の箇条書きで、提案のキーポイントを示します。簡潔に課題はなにか、解決には何が必要か、そのために何ができるかを書く場合が多いです。 - 目次
- 課題の整理(背景)
- 課題と提案内容の対応
- 提案内容のメリット(効果)
- 提案内容の実施手順
- 体制
- コスト・スケジュール
- 解決案と類似した実績
- 問合せ先
- 添付資料
- 表紙:
この構成は、パワーポイントなどの資料を想定していますが、動画資料であっても流れは同じになると思います。
また、場合によっては、過去の実績を先に持ってきてから、必要性を説くという方法もあるので、自社にとって効果的な構成を検討してみてください。
なお、提案書の構成はこれには限りませんが、あまり内容が多すぎても読まれない可能性が高くなってしまうので、これ以上の項目を追加する場合には、追加するメリットを十分に考慮したほうがよいでしょう。
提案書の作成時に気を付けたいポイント
提案書を作成するときには、次の3つに気を付けましょう。
内容を充実させようとして力が入りすぎると「大作」にはなりますが、読むのに時間がかかるような資料になっては、本末転倒です。
簡潔かつ伝わりやすい提案書を目指したいですね。
- 各シートに情報をいれすぎない
- 客観的なデータについて一般的な「評論」のように表現しない
- フォント・配色やイラストの統一感
構成をしっかり把握してから作成しないと、シートごとにメッセージがつまりすぎてわかりにくくなりがちです。構成に基づき、不要な論点はいれないようにしましょう。
課題解決の根拠となるデータ分析は必要ですが、一般的な評論のような書き方は避けましょう。「~すべきだ」という書き方が多いと上から目線のように感じられる場合もあるので、気を付けましょう。
提案する内容がもっとも大事ですが、次にデザイン面で色やフォントなど、統一感があるとさらに読みやすいでしょう。特に、イラストを挿入する場合は、同じイラストレーターの作品を使うとトーンがそろいやすいですが、できればシルエットのイラストを使うなど、ずれが大きくない素材を使用することをおすすめします。
なお、提案書のテンプレートをWEBで検索すると「見せ方」のお手本となる情報がたくさんあります。しかし、何をどのような図にしてよいのか、わからないというときは、提案内容を俯瞰し、論点を細分化したキーワードで検索するとよいでしょう。
たとえば、研修システムの導入を提案する資料で、従業員の育成を示したデザインを探したい場合は、「循環・サイクル」などのキーワードで検索すると、ヒントとなるデザインをを探すことができるでしょう。
こうすれば提案書がとおりやすくなる?!2つのコツ!
採用率を高めるには「提案書」以外での取り組みも重要です。なお、次のポイントは、提案書を作成する前段階からできれば実施したいものです。
事前ヒアリング
できれば提案書を作成する前に、課題をヒアリングしておくとよいです。
提案書の内容が「地に足が付いた」現実的なものになるだけでなく、個別の課題の核となる部分を把握することができます。
公募やコンペであれば、事前ヒアリングの機会がありますが、それ以外の場合は事前に提案書のためにヒアリングするのはアポを取るだけでも、難しいと思います。
そういう場合は、提案書の構成をばらばらにして、課題の認識についての意見をもらうという目的で連絡を継続するという「ディスカッションペーパー」を送付してやり取りするという方法もあります。
提案書を提示する前にいか相手から公開されていない情報を取れるかが重要です。
キーパーソンの特定
提案書を「誰」に渡すかが、提案内容が採用されるかどうかのカギとなります。
前述したように、提案書は相手の課題解決のための「案」を提示するものです。可能であれば、2,3回程度、提案内容を議論して内容を固めていくことが望ましいです。
しかし、そのような時間を設けるのが難しい場合は、提出先の部門もしくはチームのキーパーソンとなる意思決定者へのアプローチが有効的でしょう。
具体的には、部長や役員など意思決定権を持つ方に対して提案力のある担当者です。
多くの現場では、「実現したい」思いを持った人がいるはずです。その思いと提案内容に合致する部分を見つけ、思いを持つ担当者と共に提案できるようになるとよいでしょう。そのためには、日頃からのコミュニケーションをとっておくことが重要です。
実践・提案書の書き方
提案書を作成するのに簡単な下書きをしてから、いきなりパワーポイントやワードを開いてはいませんか。
アイディアや議論がすでにまとまっている場合はよいですが、初めて提案書を作成するときは、事前調査や準備に時間をかけるほうが返って効率的になることもあります。
提案書の作成は、次の手順で進めることが多いです。
実施項目 | 実施目的 | 具体例 ※社員の健康管理アプリの導入を提案する場合 |
---|---|---|
1、提案先の調査 | 何をしようとしているか、そこに自社の商品サービスが何か貢献できる余地あるかという視点で調べる | 提案先が上場企業なら、有価証券報告書や中期経営計画を見て、「人材マネジメント」やサステナビリティ方針を確認。 もし、非上場の場合は、HPやリリース、採用ページ、社長インタビュー記事などを探して、人材マネジメントの方針を調べる。 |
2、業界の調査 | 他社の動向はどうか、提出先とのポジショニングはどうか。 | 業界のシェアを調査会社のペーパーなどから調査し、提案先がどこの会社をベンチマークしているかを調べる。 ベンチマーク先の会社の人材マネジメントや戦略を調べる。 |
3、社会動向の調査 | 社会動向の変化や消費者、政策転換などの外部環境を調べる。 | 厚労省や経産省の白書などで、人材マネジメントや企業への要請の状況を把握したり、採用時の福利厚生に関するニュースなども調べる。 |
4、ストーリー展開を整理 | 1~3で調べた内容から、事実、課題、解決策に論点を分けて並べる。 | 提案先の人材施策を整理して、競合との差分を示しつつ、社会からの要請を並べて、提案先に何が足りないかを、順番に並べる。 |
5、提案書に清書する | 4で整理した情報を一枚のスライドごとにまとめる。 | パワーポイントなどでストーリー展開に基づき、課題の整理、競合の調査、社会動向の変化ごとにシートを分けて記載し、健康管理アプリの導入の効果とスケジュールやコストもそれぞれのシートに記載する。 |
6、担当部門へ送付する | 提案書を適切な部門や部署にPDFで送付し電話で簡単な説明をフォローをする。 | 提案先の人事部門宛に資料を送付する。事前に名刺交換などで情報があれば、個別に送付するとなおよい。 |
提案書のまとめ
提案書を書くとなると時間がかかる割には、採用されないことが多いと感じる人もいるかもしれません。たしかに、提案書は「一度」出しただけでは、採用される可能性が高くはない場合もあるでしょう。
しかし、提案書は「拒否」されてからが重要です。なぜ受け入れらなかったのか、受け入れられるようになるにはどうしたらよいか、繰り返し「提案内容」を練り直すことで、相手先の課題を解決できる提案書に完成していくのです。
提案書をいきなり完成度の高いものを目指すのではなく、相手と一緒になって完成させるような気持ちで取り組むとよいでしょう。そして、ひとつの提案先で採用されなくても、他の相手先によっては、採用されることもあるので、反省を常に次につなげていきましょう。
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