COUXU 大村晶彦|たった5分で海外営業!「セカイコネクト」で海外販路開拓を成功させる4つのコツ
累計20,000商談を創出した「海外商談オンラインプラットフォーム」の強みと魅力に迫る
セカイコネクトとは、中小企業が海外販路を開拓しながら商品を届けることができるプラットフォームです。
創業10年目を迎えるCOUXU(以下コーク)は、世界バイヤーの調達代行・調達支援業務・海外展開支援サービスなどを提供しています。
代表取締役を務める大村さんは、アリババマーケティングにて日本でのバイヤー向けBtoBプラットフォームの販路拡大業務に携わった後、同社を設立しました。
大村さんが起業された経緯や、海外販路開拓を成功させる4つのコツとは?創業手帳代表の大久保がインタビューしました。
COUXU株式会社 代表取締役
2011年3月よりアリババマーケティング株式会社にてAlibaba.comの日本でのマーケティングを担当。日本企業の海外進出サポートに従事する。2013年に独立しCOUXU株式会社を設立。海外企業に向けて日本企業からの仕入れルートを紹介するコマースソーシング(商流調達)事業セカイコネクトを展開。海外営業に不安を持つ企業に対してアカデミーサービスを提供することで、より日本企業が海外企業に対してビジネスしやすい環境を作り、これまでに累計約400社の海外進出を実現している。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。
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この記事の目次
日本が抱える海外ビジネスの課題解決を目指して起業
大久保:まずは起業までの経緯についてお聞かせ願えますか。
大村:2010年に新卒で飲食ビジネスを展開する企業へ入社後、アリババマーケティングに転職しました。担当業務は、日本におけるバイヤー向けBtoBプラットフォームの販路拡大です。
このとき痛感したのが「日本企業の海外進出の難易度が高く、思った以上に成功している企業が少ない」ということでした。
海外と比較したとき、日本には大きく異なる点が2つあります。
1つ目は、他国に比べると外国人の居住者が少ないため、外国籍の方と接する機会が少ないこと。この影響で、異国の友人を持つなどのネットワークが形成しづらく、海外のリアルタイム情報も入手が困難な側面があります。
2つ目は、海外進出する際の営業コストがかかること。一般的に日本のサプライヤーが海外のバイヤーへの営業を行いたい場合、展示会を選ぶケースが多いといわれています。展示会で海外企業1社と商談するためのミーティングコストは、10万から20万円程度。1回の展示会で商談できる企業は、およそ10社から20社です。
出展にかかる費用を合計すると、100万から200万円になります。このコストを1社あたりに換算すると、10万から20万円程度です。これだけ金額がかかるとなると、特に中小企業やベンチャーにとってネックになってくるんですね。
大久保:なるほど。アリババのプラットフォームで解決するというビジネスモデルはなかったのでしょうか?
大村:アリババのメイン市場は中国でした。日本の民間企業は220万社程度、団体などすべて合計しても440万ほどです。比較すると、どうしても中国市場のほうが重要になってきます。事業に対してもインパクトがありますし、時価総額も上がりやすくなるからです。
大久保:そこで「起業しよう」と一念発起したということなんですね。
大村:はい。日本が抱える課題を解決したい思いが強くなり、日本企業が行う海外営業への並走を事業戦略に据え、2013年にコークを設立しました。
たった5分で海外営業ができるプラットフォーム
大久保:コークの事業内容についてお聞かせください。
大村:世界バイヤーの調達代行・調達支援業務・海外展開支援サービスなどを提供しています。
事業の柱にしているのが、ECや進出サービスに依存せずに日本企業自ら販路を構築できるプラットフォーム「セカイコネクト」です。「コマースソーシング」という定義で運営を行っています。
利用料金は月額3万円で、利用頻度による機能制限などは一切ありません。月額とは別に、初期費用が60万円、売買が成立した際は取引金額の5%を頂戴しています。
大久保:商談コストが1社につき10万から20万かかっていたことを考えると破格ですね。
大村:はい、コスト面には非常にこだわっています。
それから、通常であれば海外営業リストを作成して営業文書を送り、適切な営業担当者にコンタクトを取るまでに2ヶ月はかかるんですね。セカイコネクトなら5分程度で実現できるのも大きな強みです。
大久保:市場には類似サービスがあると思うのですが、セカイコネクトの優位性をお聞かせください。
大村:最もユニークな点は、ビジネスの起点を販売サイドではなく仕入元に置いていることです。
他社の場合、海外企業に対する日本企業の営業支援をスタート地点としてサービス構築しています。一方、コークのセカイコネクトは「日本企業から商品を仕入れたい」と希望する海外のバイヤーと日本のサプライヤーをつなぐプラットフォームで、出発点が海外企業なんですね。
セカイコネクトを介することで、海外のバイヤーは自社に適した仕入先を容易に見つけることができます。海外ビジネスに不慣れな日本企業からの情報提示が足りないために商談が頓挫してしまうこともありませんし、商品を仕入れるまでの期間や工数の短縮も可能です。
大久保:検討段階ではなく、「こういう商品が欲しい」という明確な意思がある海外企業が登録しているわけですね。どの国のバイヤーが多いですか?
大村:地域・エリア分布でいうと、東アジアと東南アジアがメインです。全体の約75%を占めています。
大久保:海外からの取引希望件数はどの程度ですか?
大村:月間で100件から200件ほどですね。売買を希望するすべての企業が、プラットフォーム上でメッセージのやりとりが可能です。日本企業が営業提案したい海外のバイヤーをリスト化し、詳細が確認できる「アタックリスト」などの機能も実装しています。
大久保:日本企業に対する営業サポートについても、独自の理念で展開していると伺っています。具体的にお聞かせください。
大村:海外進出する際に最も大切なのが、海外企業と商談ができる人材を社内に置くことです。自社の人材配置をファーストステップとし、その上で開拓ができると考えています。
そのため、コークの営業サポートがフォーカスしているのは「商談ができる人材がいる環境に変えること」です。ほとんどの企業が人材を置いていない状態ですので、海外事業を成功させる技術やノウハウを学べるカリキュラムも用意しています。
こうしたきめ細やかな支援サービスを提供できる理由は、コークがこれまで「いかに低リソース・短期間で開拓するか?」を行ってきたからです。実証を元にトータルで支援させていただけることが、弊社の強みだと自負しております。
大久保:何を準備して、どうすればいいのか?といったことまで熟知されているのも、すべて実践で結果を出してきたからなんですね。
大村:はい。海外ビジネスを成功させるためには学習が必要です。セカイコネクトでは、そうしたノウハウを1つにまとめています。
専属スタッフが一緒に商談やメールでのやり取りを行いながらスムーズに契約に至るようアドバイスさせていただいたり、成約・失注を最速で分析しながらディスカッション形式で改善に努めていることも特徴です。
海外販路で取引を成功させる4つのコツ
大久保:海外販路で取引を成功させるコツについてお聞かせください。
大村:4つあります。まず1つ目として、絶対に必要な条件が直接貿易です。顧客と良好な関係性を築くことを大切にしています。
日本向けの商品を海外展開するにあたって、海外企業とのリレーションを強化しながら現地のニーズや情報を獲得する必要があるんですね。「どの程度の価格の商品が、どのくらいのマーケットで、どんな売上になるのか?」を明確にします。
2つ目は先ほどもお話しましたが、社内に海外営業ができる人材を配置することです。海外ビジネスでは商品とお金の交換ではなく、人対人のビジョンの共感が肝になります。そのため、社内や商品を熟知している人間が直接伝えることができるようにする体制作りは欠かせません。
3つ目が、社長、もしくは役員の積極的な参加ですね。社長や役員が自らご担当いただき、海外企業とのより良い関係構築に高いモチベーションを持っていただくことが重要です。
大久保:なるほど。たとえば「英語だけできます」というような人材ではお話にならないわけですね。
大村:はい。4つ目のコツになるのですが、コミュニケーションにひと手間をかけるということです。人対人というと抽象的ですが、たとえば1件のメールを送るにしても「本日はありがとうございました。今後はこういう形で進めていきたいと思っております」というテキストメールだけではダメなんですね。
テキストに動画を添付してみたり、サンプル送付をするのであれば神社で買ったお守りやガンダムのプラモデルを一緒に入れてみたり。このひと手間が非常に大切です。
大久保:マーケティングツールとしても、ガンダムのプラモデルは優秀だそうですね。
大村:開封率が100%になるんですよ(笑)。海外取引においては、こうしたエモーショナルなクリエイティビティが必要だと思っています。商品が優れているので売れるというより、「この人と一緒に仕事がしたい!」と思ってもらえるかどうか?これが海外ビジネスにおけるポイントなんですね。
大久保:海外販路で取引を成功させるために重要なコツということでしょうか?
大村:はい。コークではこうした知見を集約した「トモダチドリブン」として定義しています。海外に顧客だけを作りに行くのではなく、「友達であり顧客」の関係性作りを推奨しているんですね。人対人の信頼関係は、海外ビジネスにおける重要要素です。
海外取引におけるリスクヘッジの重要性
大久保:信頼関係の重要性をお話いただきましたが、反対に怪しい企業や担当者の見分け方というものがあればお教えいただけますか。
大村:定期的なコミュニケーションの機会を持つことが大切です。たった1回の面接で「この人は良いか?悪いか?信用できるか?できないか?」を判断できないのと同じだと思っています。
まずは3ヶ月から半年間付き合ってみる。その期間である程度のリスクヘッジもできます。大型契約を結ばないとか、送金をしてもらってから商品を発送するとか。お互いに長期的視点に基づいて、信頼関係を築くようにしたほうがいいですね。
大久保:トラブルを回避することが大事だとは思うのですが、トラブルが発生した場合はどうしたらいいのでしょうか?
大村:海外取引における主なトラブルは、金銭絡みと道徳面です。
金銭にまつわるトラブルであれば、先ほど申し上げた「送金をしてもらってから配送を行う」ということを徹底していれば、それほど損はないと思います。未然に防止する方法を考えたほうがいいですね。
道徳面でのトラブルに関しては、定期的なコミュニケーションを取ったり、顧客であると同時に友達でもあるという関係性が有効に働くケースが少なくありません。
それから、取引先を分散させておくことも効果的な手段です。たとえばロシアとウクライナのみと取引をしている企業があったとすると、急激に情勢が変わって多大なリスクを負うことになっていますよね。これがもしロシアとウクライナの他にも、台湾・マレーシア・インドネシア・ミャンマーとも取引していたとしたらリスクが分散されるわけです。
トラブルが起こったときの対応も大事なのですが、それよりも発生しても大丈夫という環境を作っておくほうがいいと思います。
できることをやるより、やりたいことをやる
大久保:起業家に向けてのメッセージをいただけますか。
大村:「できることより、やりたいことをやってほしい」ということですね。
僕自身、以前はできることをやっていました。ところがここ数年は、やりたいことをやっています。なぜかというと、社会課題を解決する活動としてやりたいことをやっていく、かつ大人が遊ぶようにチームとして実行するのが会社であるべきだと考えるようになったからです。
大久保:トモダチドリブンに通じますね。今後の目標についてはいかがですか?
大村:「母国以外の友人かつ顧客がいる世界作り」というのがコークの最終的なビジョンです。
そのためにも、新しい商社の形を作りたいと考えています。量産品を販売する形態を目指すのなら大手商社の大量生産・大量販売でいいのですが、ニーズから拾っていって売れる物を考えたいんですね。人間関係を重視しながら開拓する挑戦を続けていきたいです。
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(取材協力:
COUXU株式会社 代表取締役 大村 晶彦)
(編集: 創業手帳編集部)