営業活動だけが販路拡大ではない

創業手帳
※このインタビュー内容は2015年06月に行われた取材時点のものです。

「株式会社スマイルワークス」 代表取締役社長 坂本 恒之 氏インタビュー

(2015/06/26更新)

「会計」「販売」「給与計算」「経費精算」「勤怠管理」など、さまざまなシステムをクラウドサービスとして提供している『株式会社スマイルワークス』。創業時から現在までどのように販路を拡大してきたのでしょうか。

販路の拡大について代表取締役社長の坂本 恒之氏に話を伺いました。smile-works4_2

坂本 恒之(さかもと・つねゆき)
北海道札幌市出身。大手流通グループにて法人営業企画やセールスプロモーション、システムの企画・構築を担当。
その後、セキュリティベンチャーで事業開発、ロータス/日本IBMでビジネスパートナーマーケティングを担当。ITを活用したサービスビジネスにおける事業開発・マーケティングのエキスパートとして、各方面から高い評価を得る。
2003年に(株)スマイルワークスを設立し、代表取締役社長に就任。弥生(株)の経営に参画するなど、中小企業支援ビジネスでの実績も豊富。

 

クラウドを知ってもらうことが営業につながる

ー創業時の販路の拡大の方法について教えてください。

坂本:我々はクラウドサービスを提供している会社なので、Webのダイレクトチャネルが一番重要な販路になります。

ただ、クラウドに興味を抱いている方からリアルの場で「話を聞かせてほしい」と言われ、それが結果的に成約につながるケースも多いんです。

そうした依頼は、基本的に断りません。セミナーの講師をやらせていただくこともあり、青森や金沢、北海道、鹿児島など、幅広く出向いています。

そうしているうちに、少しずつ取引先が増えてきました。

そのうちの一つが富士通さんです。

富士通さんにはOEM(発注元企業の名義やブランド名で販売される製品を製造すること)として、弊社の「クリアワークス」を「クラウド業務パック」という名前で販売していたただいています。

また、ASKULさんもそうです。

「クラウドって何ですか?」という話から来て、今では「クリアワークスby ASKUL」という、ダブルブランドの商品を販売していただいています。

あとは、創業したての時に、無意味にバーッと関係性を広げると結局薄くなってしまうので、しっかり握れるところと、一つ一つ信頼関係を作っていくことが僕自身は大切だと思っています。

サポートがいかに重要か

―営業活動はどのようにされているのですか?

坂本:弊社には所謂一般的にイメージされる「営業」というのはありません。

弊社は月額3,000円のサービスなので、これを1件1件獲得するスタイルの営業では割が合わないんです。

継続してご利用頂くことで成立するビジネスモデルですので獲得してゴールという感覚はなく信頼関係のある長いお付き合いをさせて頂く窓口なんです。

ですので、弊社では所謂「サポート」が重要な役割を持ちます。ここでお客様からの信頼を頂けることが最も重要なことなのです。

―具体的にサポートに関して社内で気をつけていることはありますか?

坂本:一般的なコールセンターやサポート業務の現場には、「単位時間当たりの処理件数」という指標があるかと思います。

効率や生産性を図る指標ですね。

しかしうちには、そういった指標は一切ありません。

その理由は、“お客様に納得してもらうこと”を最重要視しているからです。

お客様にしっかりと理解していただき、「ありがとうございました。助かりました」と言ってもらえるまでフォローできているかどうか、それが指標です。

場合によっては、何時間でも、何回でも電話していい。必要があれば、調べてかけ直すということも頻繁に行っています。

そもそもサポートはインバウンドで受けるものですよね。そのため理解してもらえるまで対応することで、お客様からものすごく感謝される。

そうなると、サポートはもはや社内の一機能ではなく、我々のサービスにおける大きな“付加価値”となるのです。

我々は、クラウドという基盤を使ってはいますが、ただテクノロジーを売っている会社なのではなく、あくまでも「サービスベンダー」なのです。サービスとしての付加価値を生むためには、機能はもちろん、お客様にちゃんと使っていただくことが大切です。

そのため、サポートはものすごく重要になっているんです。

サポートというと、結構「間接コスト」のように扱われる会社が多いですが、我々の場合はお客様の接点にもっとも近いところということで、非常に重要な会社の“顔”になっています。

もちろん、社長が会社の顔ということもありますが、お客様と直接接するという意味では、やはりサポートこそ会社の“顔”なんですよ。

KPIの設定をどこにおくか

―なにか決め事とかがあるのでしょうか?

坂本:そうですね。
社内の重要なKPI(目標の達成度合いを計る定量的な指標のこと)として、「解約率」を設定しています。

解約率が上がったら「サポートは何をやっているんだ!」となるわけです。

しかし、その解約率がうちは“0.4%”です。裏を返すと、99.6%は継続していただいている。

継続してお付き合いしていくからこそ、お客様との信頼関係が大切なんです。

また、長い間お客様とコミュニュケーションさせていただくことになるので、お客様からサポートのご指名がかかることも多いです。

会ったことがなくても、お客様と信頼関係が構築できているんですよ。中には、いつものお礼でマンゴーとかパパイヤとかを毎年うちに送って頂くお客様もいらっしゃいます。

そういった意味で言うとユーザーコミュニュケーションは「楽しく仕事をする=スマイルワークス」になっていますね。

お客様に楽しんでいただく。我々が楽をするという意味ではないです。お客様に楽になってもらうこと。お客様が自分の仕事が楽しくなるようにご支援するということ。サポートも、そういう視線でやっています。

(取材先:株式会社スマイルワークス
(創業手帳編集部)

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