ブロックチェーン超入門・起業家はブロックチェーンとどう関わるべきか?【技術を知ろう編】
ブロックチェーン技術を理解するために重要な2つのポイントとは
自身のビジネスにブロックチェーン技術を活用する場合、ある程度の知識をつけておくことは欠かせません。
とくに最近は「インターネット」をビジネスから切り離すことは困難となっており、ブロックチェーンのような技術トレンドを理解しておかなければ、時代から取り残されるといったリスクを負うことになります。
また、自身でもこういった技術的な知識を知っておくことで、エンジニアとのコミュニケーションがスムーズになり、今後のプロダクト開発の助けにもなるでしょう。
ブロックチェーンは暗号資産の技術として知られていますが、それはあくまでもブロックチェーン活用のいち分野。今回は、ブロックチェーン技術の特徴についてご紹介します。
ブロックチェーン技術における世界的な動きなどについては、前回の記事『「ブロックチェーン後進国」の日本はブルーオーシャン?』をご覧ください。
この記事の目次
ブロックチェーン技術を理解するための2つのポイント
ブロックチェーンを理解するためには、技術的な観点から大きく2つのポイントがあることを知っておきましょう。
- ブロックチェーンに記録された取引履歴は改ざんできないため、ブロックチェーンに記録された情報をもとに取引を行えば、そもそも相手を信用する必要がなくなる。
- ブロックチェーンは、あくまでもコンピュータ上で管理された台帳に過ぎないため、信用の担保に人手を要さない。
ポイント2:ブロックチェーンは改ざんできない台帳である
- ブロックチェーンは、ブロックの中に取引履歴を溜め、ブロックをつなげあわせて記録する。過去にさかのぼって取引履歴を改ざんすることは不可能。
- ブロックチェーンは、多くのノードで同じ内容の台帳を管理するため、過半数のノードの台帳を書き換えないと改ざんが成立しない。
これだけではよく分からない方も多いと思いますので、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
ブロックチェーンは信用コストを落とすことができる技術
ブロックチェーンを一言であらわすと「信用コストを落とすことができる技術」といえます。ブロックチェーンそのものの正体は、取引履歴が分散保管されている台帳です。つまり、データベースみたいなものですね。
この取引履歴が分散保管されるという仕組みによって、台帳が改ざん不可能になっているところがブロックチェーンの一番パワフルな特徴です。
改ざんが不可能なのでブロックチェーンに記録されているデータに従って取引すれば、その情報が100%確実になり、そもそも相手を信用する必要がなくなります。ブロックチェーンがあれば、データを証明することができるようになるのです
ここからは、ブロックチェーンの仕組みをよりイメージするために、暗号資産の送金を例に解説していきますね。
従来の送金では、銀行側で利用者の残高が書き込まれた台帳を管理しています。たとえば、利用者Aが利用者Bに100万円を送金したい場合、銀行側で利用者Aは100万円持っていることを担保してくれるため、利用者Aは100万円を送金することができます。
このように銀行側が利用者の信用を担保して送金を中継しているため、利用者は銀行に高い手数料を支払うことになります。
ところが、暗号資産の送金は異なります。ブロックチェーン技術そのものが利用者の残高を担保するような仕組みになっているからです。
たとえば、利用者Aが1BTC(BTCとは、ビットコインの通貨単位)を保有している場合、ビットコインのブロックチェーンがそのことを担保してくれます。ビットコインのブロックチェーンは、インターネット上の多数の有志によって管理されています。この有志は、誰かから信任を得ているわけでもなく、本当に誰なのか分からない存在です。
しかし、利用者Aが1BTCを持っているということは100%確実です。ビットコインのブロックチェーンは改ざんできないものだからです。
そのため、ブロックチェーンでは銀行のような第三者組織がなくても利用者の信用を担保することができます。送金のコストも銀行に比べて安くなります。
このように、ブロックチェーンの改ざんできないという特性によって、信用のコストを大きく落とすことができるのです。
ブロックチェーン技術は改ざんできない台帳である
ブロックチェーンが前述のことを実現できるのは、従来のデータベースと比べて独特の記録方法をとっているからです。ブロックチェーンが改ざんできないのは、大きく2つの仕組みが関係しています。
取引履歴をブロック単位で記録する
ブロックチェーンでは、取引履歴をブロック単位で確定していきます。
具体的には一定間隔でブロックの中に取引履歴がためられていき、ブロックに封がされると取引が確定し、また次のブロックに新たな取引履歴が溜められていくのです。
このとき前のブロックと次のブロックがつなぎ合わされます。ブロックチェーンという名前は、この仕組みに由来しています。
実は、このブロックとブロックの繋がりがブックチェーンを改ざんできないものにしています。ブロックとブロックの繋がりは、ブロックの中身によって決定するようになっているからです。
ブロックチェーンに記録された過去の取引履歴を改ざんしたい場合、つじつまを合わせるためにその次のブロックの中身を改ざんする必要が出てきます。
たとえば、もともとXXX、YYYという中身のブロックが順番につながっていたとします。XXXのブロックにある取引履歴を改ざんすると、当然XXXのブロックの中身が変わってしまいます。すると、YYYのブロックは繋がらなくなってしまいます。
そのため、XXXのブロックを書き換えたあと、辻褄が合うようにYYYのブロックの中身も書き換える必要があるのです。YYYのブロックの次に後続のブロックがある場合、同様にそのブロックも書き換える必要があります。このような書き換えは、現実的に不可能です。
これによって、ブロックチェーンは技術的に改ざん不可能な仕組みを実現したのです。
台帳をみんなで管理する
ブロックチェーンを改ざんできないもう1つの理由は、同じ内容の台帳をみんなで管理するという点です。台帳の正確性は圧倒的多数決で保たれています。
たとえば、以下の画像は2021年3月5日時点でビットコインの台帳を管理しているノード(コンピュータのこと)の数を示したものですが、この時点ではビットコインのノード数は10,175になっています。
つまり、同じビットコインの取引履歴を管理しているノードが10,175もあるということです。
もし、過去のビットコインの取引履歴を改ざんしたい場合は、前述のように「取引履歴をブロック単位で書き換えていく」ほかにも、さらに10,175ノードが保有する台帳の過半数を書き換える必要があります。これはどう考えても不可能なことですよね。このように、ブロックチェーンでは過去の履歴の書き換えにとても手間がかかります。ブロックチェーンを書き換えるというのは、基本的に不可能ですし、できたとしてもわりに合わないようになっています。
まとめ
今回は少し難しい内容となりましたが、改めてブロックチェーンの技術的特徴をまとめると下記のようになります。
- ブロックチェーンは信用のコストを落とすことができる
- ブロックチェーンは改ざんできない台帳である
ブロックチェーンは、第4次産業革命の柱とはいわれていますが万能ではありません。当然ながら、これらの特性に関係する向いている分野と不向きな分野があります。
次回は、ブロックチェーンの特性をもとに、具体的にどのようなものが向いていてどのようなものが向いていないのかを解説していきます。
(編集:創業手帳編集部)