オンライン接客とは?オンライン接客アプリの有効な使い方や仕組みを解説

創業手帳

ECサイトの利便性と接客サービスが融合したオンライン接客アプリとは?その使い方や仕組みを解説します。

様々な商品の購入手段として、ECサイトの利用は普及してきました。実店舗に向かわずとも買い物を体験できることは便利である一方、実際に届いた商品がイメージと違うケースもよく見られます。そこで、ユーザーには購入前にショップの担当者から接客を受け、納得した上で購入したいニーズが高まっています。このような流れの中で注目されているのが、オンライン接客アプリです。近年の感染症拡大も伴って、オンラインで接客を受けられるサービスは有用性が高いものです。今回は、オンライン接客アプリの使い方や仕組みについて解説します。

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ECサイトの利便性と欠点

オンラインショッピングで大いに活用されているECサイトは、ユーザーやショップ双方に利便性をもたらすものです。しかし、一方で欠点も存在しており、その欠点を解決することが課題となっています。以下では、ECサイトにおける利便性と欠点について解説します。

ECサイトの利用率が増えた理由

ECサイトは、ユーザーとショップ、いずれにも有用性が高いため、利用率は増加しています。では、その理由とはどのようなものでしょうか。

どこにいても商品を購入できる

ユーザーにとっては、実店舗に出向くことなく商品を購入できることは大きなメリットです。インターネット接続できるPCやスマホを持っていれば、自宅はもちろん出先でも簡単に商品を選んで、端末上の操作だけで買い物を終了させられます。さらに、商品は任意の届け先に来るため、商品を持ち帰る手間も省けます。

営業時間や曜日の設定がしやすい

ECサイトは24時間利用することができるため、営業時間を決める必要がありません。また、曜日によって混雑することもなく、ユーザーは時間や曜日を問わず買い物を楽しむことができます。実際に、仕事や家事で忙しい人は、深夜にECサイトを利用する割合が多いです。

実店舗より安価で購入できることがある

実店舗を持つと、維持費などのコストがかかりますが、ECサイト運営ではコストを大幅に削減することができます。そのため、浮いたコスト分を商品の割引に回すことが可能で、商品を安く提供することにつながります。

人件費の削減

上記のコスト削減の一環としてあげられるのが、人件費です。ECサイトでは販売員が存在しないため、人件費の大幅な削減が実現しました。レジや品出しの業務も必要なく、必要な人手を最小限に減らすことができます。ECサイト運営にあたっては、発送などに人員は必要ですが、実店舗と比べると少人数での運営が可能です。

ターゲットのエリア拡大

インターネットを介して商品の販売を行うため、ターゲットエリアは地域を問わず全国に広げられます。実店舗に出向けない人でも、ECサイトを利用して商品を購入することができ、地方や離島の人々も顧客として取り込むことができます。

海外への展開も期待できる

ECサイトでの使用言語を、英語などの外国語にも対応できるようにすれば、海外からのユーザーも獲得できます。特に、日本の商品は品質が高く注目されていることから、海外も重要なマーケットとなるわけです。

ECサイトの欠点とは

では、ECサイトの運用にあたっての欠点についてもあげていきましょう。

ECサイトに掲載された商品が実際のイメージと違う

ECサイトを閲覧したとき、商品の形状や色、仕様などは細かく確認できないものです。例えば、色はユーザーが見ている端末の画面によって見え方が異なるため、実際の色と違い満足できないこともあります。そして、洋服やインテリアなどのサイズ確認が重要になる商品は、実際に商品を確認できないため、買ってからサイズが違って後悔するケースもよくあります。

届くまでに日数を要する

実店舗では、購入すればすぐにユーザーの手元に商品が渡りますが、ECサイトでのオンラインショッピングではどうしても配送にかかるタイムラグが発生します。注文から発送までは、1日~1週間程度の期間が必要です。このように、欲しいものがすぐ手に入らない点は、ユーザーの購買意欲を減少させる要因の1つになりえます。

競合が多い

商品を販売するにあたって、同業他社もECサイトを活用しているケースは多いため、競合ショップがか膨大になってしまうことは否めません。そのため、ECサイトにSEO対策を講じ、ユーザーがキーワード検索した際に上位に表示される工夫をしなければ、競合のECサイトに埋もれてしまう可能性もあります。

ECサイトまでの誘導が必要

ただ単にECサイトを立ち上げただけでは、ユーザーが見つけてくれる確率は低いです。実店舗のように直接の呼び込みや看板を使用した集客が行えない分、ECサイトまでの誘導方法を考える必要があります。一例では、リスティング広告が有効ですが、ECサイト運用とは別途に費用がかかることから、資本の少ない小規模なショップでは難しいでしょう。

接客サービスの必要性

ECサイトのように、インターネット上でカタログを提示しユーザーが選んで購入する仕組みでは受けることができないものが、接客サービスです。ユーザーにとっては、実際に販売員の接客を受けることでしか得られない購入体験もあります。では、接客サービスの必要性はどこにあるのでしょうか。

商品の説明を受けられる

購入したい商品について、販売員から直接詳細な説明を受けられることが、接客サービスにおいて重要なポイントです。また、単に説明を受けるだけではなく、自分の希望を伝えて販売員とコミュニケーションを取りながら、自分に合った商品を選んでいく体験は、接客サービスならではのものです。

自分に合ったオススメ商品を案内してもらえる

接客サービスを受ける中で、自分に合った商品がわからない時は、販売員に相談してオススメ商品を案内してもらうことも可能です。ECサイトの閲覧でモデルが着用しているイメージと、自分に似合うかどうかは別問題です。そのような時、接客サービスを受けることで自分に本当に合う商品を提案してもらえるわけです。

販売員との会話で新しい発見ができる

販売員と会話をしていると、自分が求めていた以上のものを発見できることもあります。ECサイトの閲覧だけでは自分が想定しているキーワードに合致するものしか検索に出てきませんが、実際にリアルな販売員の声を聞くことで、新たな商品に出会うケースも少なくありません。

オンラインで接客を提供できるオンライン接客アプリとは

ECサイトによるオンラインショッピングの普及で、メリットと同時にデメリットも見えてきました。そのため、このデメリットを解決する策を講じる必要があります。さらに、昨今の感染症拡大防止の観点も相まって、オンラインで接客を受けられるオンライン接客アプリが注目を浴びています。

オンライン接客アプリとは

オンライン接客アプリとは、スマホにアプリをインストールして使用することで、オンラインで店舗の販売員から接客を受けられるサービスです。自宅にいながらにして接客を受け、ユーザーに適した商品の案内ができることは、ユーザーにとって利点です。また、ショップ側としても購入率の向上やレジ業務の排除など、実店舗の販売より効率的であり、さらに購入率を数値として把握できるメリットがあります。

オンライン接客アプリの主な使い方

オンライン接客アプリにも様々な形態がありますが、こちらでは主な使い方について紹介します。

自分の属性に合ったキーワードで動画などのコンテンツを検索

アプリで商品使用の動画コンテンツをアップロードしているツールでは、自分の属性に合ったキーワードで動画を検索し、それに見合ったコンテンツを視聴することができます。例えば、コスメでは実際に美容部員の肌質や年齢などの属性で自分に近い人を検索し、その人が実際にコスメを使用している動画を見ることで、色の出方や使用感を確認できるわけです。

接客を受ける時間帯を予約して直接接客を受ける

チャットツールを利用して接客を受けられるシステムでは、自分の都合の良い時間帯を事前に予約し、直接接客を受けるものがあります。このようなシステムでは、オンライン接客の前に自分が求めている商品や気になる商品の情報をURLで送ることが可能で、スムーズに接客サービスに入ることにもつながります。

ユーザーの現在位置や移動履歴などから適した商品を発信

オンライン接客アプリの中には、ユーザーの現在位置や移動履歴をもとに、何に興味があるか、生活スタイルはどのようなものかを分析して必要な情報を提供するタイプも存在します。このシステムであれば、ユーザーの好みに合わせた商品案内が可能です。

天候などの環境に合わせたコンテンツ配信

上記の接客アプリのタイプでは、ユーザーのデータのほかに天候などその時ごとの環境データも収集し、それに合わせた情報提供を行えます。例えば、雨の日特典を用意している店舗であれば、雨の日に素早くユーザーにその情報を届けられます。このようなお得情報をユーザーそれぞれに発信することで、より効率的な集客を見込めます。

オンライン接客アプリのメリット

オンライン接客アプリを活用すれば、ユーザーにもショップにも双方にメリットが生じます。ユーザーは、実店舗とECサイトの利便性を両方享受できますし、ショップは既存のECサイトをさらに活性化させることができます。では、オンライン接客アプリの様々なメリットを見ていきます。

ユーザーのニーズに合わせた商品案内ができる

ユーザーのニーズは、大まかなものから複合的なものまで多様です。接客アプリを利用することで、販売員はこれらのユーザーのニーズを汲み取り、適切な商品を案内できます。ECサイトだけでは取得できないユーザーの情報を把握することで、ユーザーに合わない商品を排除して案内する商品だけを絞り込めるわけです。

プロの知識をもとにアドバイスが受けられる

ECサイトでは、欲しいものは見つかりますしユーザーレビューも参考にできますが、プロの意見は聞くことが難しいです。その点、接客アプリはその商品のプロから実際にアドバイスを受けられるため、主観ではない情報を得られます。プロのアドバイスによって、商品に信頼感や安心感を持って購入できる仕組みです。

リアルな購入体験が味わえる

ユーザーにとって、商品の購入体験は満足感を得るために重要なポイントです。そこで、接客アプリを利用することでリアルな購入体験が味わえ、満足感もアップするわけです。また、実店舗で商品に出会った感動はECサイトでは感じることができません。接客アプリで販売員と接することで、それと似た感動を実現することができます。

ダイレクトに在庫確認や商品の比較ができる

オンラインで接客を受けることにより、その場での在庫確認や迷っている商品の比較ができる点も、ECサイトでは味わえない体験です。ダイレクトで在庫を確認してもらうことは実店舗に近いですし、商品を間近で比較できれば「この部分はいいけれどこの部分が気に入らない」といった取捨選択も叶います。

店舗限定の商品も購入可能

商品の中には、実店舗限定のものも存在しています。実店舗に出向かなければ手に入らないものは、本来であれば来店して購入しますが、接客アプリであれば店舗限定の商品を案内してもらうことも可能です。これも、ECサイトで購入できない商品を手に入れられる点では有利となるものです。

ECサイトへの誘導の足掛かりになる

接客アプリは、必ずしもそこだけで完結するものではありません。接客アプリによって商品の説明をひとしきり受けた後、最終的により安く購入できるECサイトへユーザーが流入することも期待できます。接客アプリでのアプローチ方法次第で、ECサイトの利用率を上げることにもつながります。

販売員の売上がモチベーションアップにつながる

販売員の接客や、画像・動画コンテンツで販売員が自らモデルとなるケースでは、販売員が身に着けた商品の購入率が高ければ、その分モチベーション向上につながります。アパレルであれば販売員のコーディネートが評価されること、コスメでは有用な使い方や商品説明に支持を得ることで、販売員が自信を持って業務にあたるようになります。

オンライン接客アプリの仕組み

オンライン接客アプリでは、大きく分けて2つの仕組みがあります。ユーザーのニーズに合わせたコンテンツを発信するもの、実際に販売員と会話ができるものです。こちらでは、それぞれの形態について紹介していきましょう。

動画やブログなどのコンテンツを掲載する

アプリ内で、商品を実際に使用した様子を収めた動画や、商品を詳細に説明したブログなどのコンテンツを掲載するタイプです。販売員が自らモデルや発信者となって商品を使用し、使用感や仕上がりなどをレビューします。いずれの場合も、ユーザーのニーズに合わせたキーワード検索が可能です。

チャットで対面して接客する

アプリでのチャット機能を利用し、対面で接客を受けられるタイプがこちらです。ユーザーが接客を受けたい店舗のアプリを利用し、属性や好みなどを入力・もしくはオンラインで販売員に伝えることで、適切な商品の案内を受けられます。ある百貨店では、こうしたオンライン接客を専門とするスタッフの導入を将来的に見据えているとのことです。

ECサイトとオンライン接客を組み合わせた「ライブコマース」


ユーザーとダイレクトにコミュニケーションが取れるタイプの接客アプリは、ECサイトでの販売とオンラインチャットでの接客を組み合わせた、ライブコマースの形に該当します。ライブコマースは、近年注目を浴びている形態です。以下では、その詳細について解説します。

ライブコマースとは

ライブコマースとは、オンラインで商品レビューの動画配信を行いながら、チャットやコメントでユーザーと配信者がやりとりできるものです。リアルタイムで配信者とコミュニケーションを取ることができ、ECサイトへの誘導も可能となる形態であり、まさに接客アプリの機能と一致します。

ライブコマースの特徴

ライブコマースでは、配信者とダイレクトにコミュニケーションが取れることで、リアルな購入体験が実現することが特徴のひとつです。例えば、インフルエンサーが配信を行うことで、ファンが商品の購買意欲を高めるきっかけとなります。また、ECサイトの限られた情報のみで購入する際の不安も、ダイレクトな商品説明によって打ち消すことができます。

ライブコマースで利用されるツール

一般的なライブコマースでは、どのようなツールが利用されるのでしょうか。

・各種SNS
多くの人が利用する画像や動画投稿ツールなどのSNSが、ライブコマースに多く利用されています。ショップ販売員が自らショップアカウントで配信を行うこともあれば、タレントを起用したりインフルエンサーが自身のアカウントを使ったりするケースも見られます。

・ネットショッピングモール
数々のネットショッピングモールでも、動画のライブ配信を積極的に行っているところがあります。このケースでは、ショッピングモールそれぞれの特徴をいかして、幅広いジャンルからおすすめをピックアップしたり、アパレルやエンタメなどジャンルを絞って配信したりといった形でライブコマースを実行しています。

中国ではすでに浸透しているライブコマースについて

このライブコマースは、特に中国で盛んに行われている形態で、中国はライブコマースの先進国ともいわれています。

中国におけるライブコマースのシェアとは

中国では、ライブコマースを利用した市場はかなり拡大しており、オンライン上のユーザーの実に半数以上がライブコマースで商品を購入しています。主に、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる人々がインフルエンサーの役割を果たし、さまざまな動画配信ツールやSNSを介してライブ配信を行っています。KOLの中には、1時間程度の配信で億単位の売上げを達成した例もあります。

中国でライブコマースが浸透した理由は何か

このように、中国でライブコマースが浸透したことには、市場に出回る商品に信頼性を持たせる目的がありました。中国では、模倣品の販売が非常に多く、商品を信頼できないユーザーが増えています。そこで、ライブコマースで信頼できるKOLから商品紹介を受けることで、信頼できる商品であることをアピールしたわけです。

ライブコマースの有効な活用方法について

こちらからは、ライブコマースの有効な活用方法について見ていきます。

ライブ視聴者と細かなコミュニケーションを取る

ライブコマースでは、配信者とユーザーである視聴者とのコミュニケーションがダイレクトに取れることが魅力です。そこで、視聴者の疑問に素早く答え、気軽に接点を持てるように細かにやりとりを行うことがポイントです。また、視聴者の「ディテールを見たい」といった要望にもすぐに応えることが大切です。

ユーザーの購買意欲を掻き立てる

商品紹介とコミュニケーションの要素を存分に利用することはもちろん、視聴者が「欲しい」と思ってから実際に購入手続きにつなげるまでの過程が簡単に済むことも、ライブコマースの利点です。これにより、ユーザーは掻き立てられた購買意欲が下がることなく、商品購入につなげることができます。

ライブコマースの仕組みをワンストップで提供するサービス

ライブコマースに欠点があるとすれば、ライブ配信と集客、受注・発送などの分野を別々に管理することです。しかし、これらのシステムをパッケージとしてワンストップで提供しているサービスもあります。企画や動画構成、撮影などの技術から、受注・発送・アフターフォローをすべて任せられるため、ショップの手間は大幅に省けるでしょう。

まとめ

ECサイトへの新たな集客方法や購買体験として、接客アプリは有効な手段です。ユーザーの細かなニーズに応えられる、オンラインでダイレクトにユーザーにアドバイスできるなど、これまでECサイトにあったデメリットをフォローすることができます。近年では、中国で浸透しているライブコマースも日本で注目されており、有効活用することで購買率を上げ、より売上げに貢献できるでしょう。ユーザーとしても新たな購買体験ができ、接客アプリの導入は加速していくものと考えられます。集客や売上げに伸び悩むショップオーナーは、接客アプリの導入を考えてはいかがでしょうか。

創業手帳冊子版では、集客の新たな手段としての接客アプリ活用法についても解説しています。事業のさらなる飛躍のために、ぜひ参考にしていただけると幸いです。

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(編集:創業手帳編集部)

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