コロナ禍でテレワーク人口が増えた今、Zoomウェビナーを活用したマーケティングに注目
急速に普及が進んだWeb会議システムをマーケティングに活用し、見込み客獲得とリードナーチャリングにつなげる
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の拡大により、ZoomをはじめとするWeb会議システムが一気に普及し、オンラインでの会議やミーティングもIT関連企業や大企業だけのものではなくなってきました。
ZoomなどのWeb会議システムを利用して行うセミナーが「ウェビナー」です。地理的な制約がないウェビナーは、多数の見込み客へリーチすることが可能で、映像で訴えかけることができるというメリットを活かした強力なマーケティングツールにもなります。
今回は、コロナ禍で定着した新しい生活様式のなかで注目されている『ウェビナーマーケティング』について解説します。
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この記事の目次
ウェビナーはWebを使ったセミナーのこと
ウェビナーとは、Webとセミナーを合わせた造語であり、日本では新型コロナの流行とともに広まった言葉です。
ウェビナーは「オンラインセミナー」や「Webセミナー」などのように、インターネットを介したセミナー形式のコミュニケーションという点では目新しいものではありません。
ウェビナーが従来と異なるのは、Zoomをはじめとする専用ツールによって同時接続人数の規模が大きくなったことに加え、画面共有やチャットなど、より充実したコミュニケーションが可能になったという点です。
新型コロナによってWeb会議ツールを使う人口が増えたことが追い風となり、オンラインイベントや教育分野、そしてマーケティングの手段としてウェビナーが注目されています。
ウェビナーの定義は?
Web会議システムを使ったオンラインセミナーやwebセミナーのことをウェビナーといい、ウェビナーによって主催するホスト側と多人数の視聴者側という2者間のコミュニケーションを実現することができます。
インターネット経由でのオンラインセミナーを開催するという点では、YouTubeやViemoなどの動画配信プラットフォームでも同様のことができるため、これらも含めてウェビナーと呼ばれることも多いようです。
また、プラットフォームやツールの機能・特性によって、さまざまな形態のウェビナーが存在します。
・ホスト側からの一方向の情報発信or視聴者側ともやりとりができる
・ライブ配信or録画したものを配信する
・視聴者側が不特定多数or限定的
これらを含めてウェビナーについての明確な定義はありませんが、この記事ではZoomを使ったウェビナーとミーティングの違いについて解説していきます。
ZoomミーティングとZoomウェビナーの違い
ウェビナーを開催するためのツールはZoomやSkype、Microsoft Teamsが代表的なものですが、これら以外にも多くのウェビナーツールがあります。
国内では企業や教育分野ならZoom、官公庁などではMicrosoft Teamsが多く使われている傾向があるようです。
ここでは、Zoomに着目して「Zoomミーティング」と「Zoomウェビナー」の違いを見ていきましょう。
参加者の位置づけ
Zoomミーティングは主催者側(ホスト)と参加者にわかれており、全員の映像と音声により双方向のコミュニケーションが可能です。
それに対してZoomウェビナーは、主催者側はホストとパネリスト、参加者は主催者側からのプレゼンテーションを聴く視聴者という位置づけで、視聴者側の映像と音声は主催者側でしか確認することができません。
より多くの参加者に対して主催者側からの情報発信を目的とするセミナーでは、すべての視聴者とのリアルタイムでのコミュニケーションは現実的ではないため、視聴者側からのコミュニケーション手段はZoomミーティングに比べて限られています。
参加者の規模
主催者と参加者、または参加者同士の双方向のコミュニケーションが前提である「会議」や「ミーティング」と、主催者側から視聴者に向けて一方向の情報発信がほとんどを占める「講演」や「セミナー」、「フォーラム」では参加人数の規模が異なります。
ZoomミーティングとZoomウェビナーもそれぞれに適した参加人数に対応する形で、異なる料金プランが設定されています。
無料 (パーソナルミーティング) |
100人 | 5,400円/月 | 100人 |
2,000円/月 (プロ) |
100人 | 18,800円/月 | 500人 |
2,700円/月 (ビジネス) |
300人 | 45,700円/月 | 1,000人 |
4,710円/月 (Zoom Unitedビジネス) |
300人 | 133,100円/月 | 3,000人 |
334,700円/月 | 5,000人 | ||
872,300円/月 | 10,000人 |
出典元:ZOOM公式サイト(2021年5月現在)
Zoomウェビナーは100人以上の参加人数からプランが組まれています。実際には100人以下の場合でも、Zoomミーティングでセミナーを開催しているケースもあります。
また、Zoomウェビナーでも双方向コミュニケーションが可能なパネリストを49人まで追加できるため、Zoomミーティングのような使い方もできます。
しかし、100人を超えるようなウェビナーを検討する場合は、その規模に対応するインターフェイスと機能に特化したZoomウェビナーを使うほうがメリットは大きいでしょう。
ZoomミーティングとZoomウェビナーの機能面の違い
ZoomミーティングとZoomウェビナーの機能面の違いは、参加者の規模に応じて主催者側と参加者側のコミュニケーションをどうコントロールするかという点と、セミナー事前事後の視聴者に対する働きかけを行う機能が充実しているかという点です。
たとえば、後者にはZoomウェビナーであれば、リマインドメールやセミナー後のアンケート表示などがあります。
それぞれどのような機能があるのかを詳しく解説していきますね!
ミーティングとウェビナーで異なる機能は?
Zoomミーティング | Zoomウェビナー | |
---|---|---|
参加者の役割 | ・ホストと共同ホスト ・参加者 |
・ホストと共同ホスト ・パネリスト ・参加者 |
オーディオ共有 | ・参加者全員がオーディオのミュート/ミュート解除可 ・ホストは参加者のミュート/ミュート解除をリクエスト可 ・ホストは入室時に参加者全員をミュート可 |
・ホストと参加者は、自分のミュート/ミュート解除が可 ・参加者は視聴者専用モードで参加 ・ホストは参加者のミュート解除可 |
ビデオ共有 | ・すべての参加者が可 | ・ホストとパネリストのみ可 |
チャット | ・ホストは全体のチャット使用を無効化できる ・ホストはチャット可の参加者を選択可 ・参加者は他の参加者全員またはプライベートメッセージの送信可 |
・参加者がチャットできるのはホスト、または参加者全員/ホストの設定で切り替え可 |
参加者リスト | ・全参加者が閲覧可 | ・ホストとパネリストのみ閲覧可 |
非言語フィードバック・意思表示 | ・6種類の絵文字でフィードバックを送信可 | ・「挙手」のアイコンにより意思表示が可 「挙手」をどう使うかは事前に参加者に通知する |
ウェビナー独自の機能
【メールでのリマインダー】
登録が有効になった場合に可
【Q&A】
参加者はホスト側との質疑応答が可
ミーティング独自の機能
【ブレイクアウトルーム】
参加者がミーティングに加わるタイミングをホストがコントロールできる
【ファイル転送】
チャットを通じて他の参加者にファイル送信可
共通の機能
- 画面共有
- ホワイトボード
- 注釈
- 登録
- 録画
- ライブ配信
- 投票
上記はZoomミーティング、Zoomウェビナーともに利用可能です。
多数の参加者を集めたいセミナー形式のイベントに対し、顔出しが前提のZoomミーティングでは参加者がビデオや名前を表示されることに抵抗がある場合、参加へのハードルを上げてしまうことも。
基本的に参加者のビデオが表示されないZoomウェビナーのほうが、参加者側はセミナーへ参加しやすくなります。
セミナー形式のイベントをZoomミーティングで行う際は、途中からの参加者が入室したときに参加者のビデオのオン/オフやオーディオのミュートをその都度ホストが行わなければならず、スムーズな進行に支障をきたします。
こういった点でも、ホストやパネリスト以外の参加者が「視聴者」という位置づけであるZoomウェビナーが大人数のイベントに適しています。
Zoomウェビナーのマーケティングツールとしての活用
前段でみたZoomウェビナーの機能は、さらに設定によってより柔軟にマーケティングのためのツールとして活用することができます。
Zoomウェビナーをマーケティングツールとして活用する方法についても、解説していきますね。
マーケティングツールとしての2つの活用方法
製品やサービスの購買プロセスがより複雑な場合が多いBtoBの分野などで、ホスト側とのインタラクションが可能なウェビナーはリードジェネレーションからリードナーチャリングなど、それぞれのステップに効果的なマーケティング手段として機能します。
リードジェネレーション
リードとは見込み客のことを指し、リードジェネレーションとは見込み客を獲得することです。
潜在顧客に対する集客の最初の段階はメール、SNS、Webサイト、プレスリリースなどさまざまな方法により、自社の製品やサービスを認知してもらうこと。この段階から潜在顧客をリードに引き上げるための手段として、ウェビナーはとても有効です。
セミナーやイベントへの参加者は、少なくとも認知段階から検討段階に移行する過程にある、「より積極的に製品やサービスに対して情報を得たい」という顧客層だと想定することができます。
それらの顧客層に対して、ウェビナーへの参加登録という形で顧客の情報を取得することができれば、ウェビナーは個別のオファーを行うための機会を獲得することにつながります。
Zoomウェビナーでは、登録なしにセミナーに参加することも可能なので最初の集客の段階での活用も可能です。また、登録の際に取得する情報も柔軟に設定できるため、製品やサービスの特性やプロモーションの段階に応じてさまざまな使い方ができます。
このように、ウェビナーのさまざまな機能を活かすことで、受注につながる質の高いリードを獲得することができるのです。
リードナーチャリング
リードナーチャリングとは、潜在顧客から見込み客に、さらにそこから受注まで結びつけるための顧客の反応と段階に応じた適切な働きかけを行うことです。
メールやSNSなどを通じた個別の情報提供が従来の方法ですが、ウェビナーもリードナーチャリングに有効に機能します。
たとえば、ERPやグループウェア、マーケティング・オートメーションといったSaaS分野は、一般的にサービスの全体像がわかりにくい場合が多いため、そのような製品やサービスのリードナーチャリングにウェビナーが適しています。
課題解決のためのサービスを探している潜在顧客に対し、最初の段階ではサービスの入門的なウェビナーを開催し、それに高い関心を示したリードに対してより具体的なサービスの活用事例を解説するウェビナーを行う、といった段階をふむことで、着実にリードから受注につながる道筋を作ることができます。
また、このような段階をふんだリードナーチャリングを行う際に、Zoomウェビナーのメール送信機能やウェビナー終了後のアンケートを活用することで、リードの反応を確認・選別し、顧客それぞれの態度に応じた次のマーケティング施策を行うための判断材料にもなります。
登録段階の設定
Zoomウェビナーへの参加は、Zoomミーティングと同じくURLを取得することで可能となります。主催者はURLをメールなどで送ることによって、個別に招待したり、WebサイトやSNSなどを入り口として不特定多数の参加者を募ることもできます。
こうしたセミナーへ応募した参加者に対して、段階に応じた設定ができるZoomウェビナーの機能が、マーケティングツールとして有効に働くのです。
登録段階の設定についてもご紹介しておきますね。
①登録と承認
URLからのアクセスに対して、主催者側は参加者の登録と承認を行うかどうかを選択できます。
登録を求める場合は名前とメールアドレスが必須となり、それ以外に住所や電話などの情報も任意で設定できます。承認は、登録した参加者を自動的に承認するか手動で承認するかを設定します。
②メールの設定
Zoomウェビナーは参加者に対するメールの機能が充実しています。
・リマインダーメール
・参加者へのフォローアップメール
・欠席者にフォローアップメールを送信しない
セミナーの前後にわたって参加者へのフォローを自動的に行えることは、大規模なセミナーなどではとても便利な機能です。
③ブランディング
Zoomウェビナーでは招待メール・招待ページ・登録ページに、企業やセミナー、商品などのバナー表示が可能です。また、セミナー登壇者の情報を招待メールと登録ページに表示させることもできます。
ウェビナー終了後の参加者へのアンケートは、ここで設定していきます。アンケートのフォームは「Googleフォーム」などで別途作成する必要があります。
④質疑応答
デフォルトでホスト側と参加者側の間で質疑応答が設定されています。さらに匿名での質問を許可するかどうか、回答済みの質問のみ表示させるかどうかを選択可能です。
上記①~④に加えて、SalesforceのMA(マーケティング・オートメーション)ツールと連携する機能や、Facebook、YouTubeにセミナーをライブストリームする機能もあります。
まとめ
新型コロナの社会的な影響が長引くなかで、ウェビナーはオンラインに移行したさまざまな活動のひとつです。リアルに比べて集客力が高く、幅広い層にリーチできるオンラインの特性を活かし、ウェビナーは今後さらに普及していくことが見込まれます。
新しい製品やサービスを世に問うスタートアップにとっても、アーリーアダプター(新しい製品・サービスをいち早く利用する層のこと)を取り込むための有効な手段になるはずです。
マーケティングルツールとしてのウェビナーを効果的に活用するためには、それぞれの機能の適切な運用を検討するとともに、同時にセミナーコンテンツの充実度も高めていくことが求められます。
創業手帳ではコロナ渦以前から多数のセミナーを開催し、オンラインセミナーに移行してからもさまざまな形態のセミナーで参加者の方からご好評を頂いております。
(編集:創業手帳編集部)