証憑って何?代表的な種類や保存期間をまとめました

創業手帳

証憑の保存や取り扱いは社内でルール化しておこう


証憑(しょうひょう)の保存は、企業のトラブル回避や信頼の維持のためにも重要です。
証憑は保存期間も決まっているため、いつまで保存するのか、誰でもわかるように管理しなければいけません。

しかし、証憑を紙のまま保管していては、保管するスペースや管理する人の人件費などのコストがかかってしまう場合もあります。
証憑の管理や扱いに困った場合には、電子化することも検討しましょう。

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証憑の読み方や意味をおさらいしよう


会社では、様々な書類をやり取りしています。
商品を仕入れた時には納品書と支払明細書、さらに売買の契約書や請求書など、ひとつの取引きでも多くの書類を使用します。
「証憑」は、それらの書類を表す言葉のひとつです。
証憑の読み方からその言葉の意味までを確認しておきましょう。

証憑の読み方は?

証憑は、「しょうひょう」と読み、契約書などの何らかの取引きがあったと証明する書類です。
日常生活では、あまり耳にしない言葉かもしれません。

同じように「しょうひょう」と読む言葉には、「商標」や「証票」もあります。
「商標」は商品につけるトレードマークや標識を表す言葉で、「証票」はあることを証明するための書付や札を指す言葉です。
そのため、「証憑」と意味はまったく違います。

しかし、商標も証票も企業内で使う場合がある言葉です。
例えば、「しょうひょうの管理」の場合には、どのような意味なのかを取り違えないようにしてください。

証憑とは

証憑とは、請求書や領収書など取引きや契約について、双方が同意して正式に交わされた証拠となる書類(書面)を総称した言葉です。
証憑に含まれるのは、外部との取引きだけではありません。
従業員への賃金などの、企業内での金銭の授受にかかわる書類も含みます

企業の取引きは物を売買するだけでなく、従業員への給与支払いや備品の購入と多岐にわたっています。

会社の利益にもつながる部分なので、勘違いや間違いがあれば企業経営にも影響を及ぼしかねません。そのため、証憑の取り扱いや管理は正確さと慎重さが求められます。

証憑は金銭についての書類が多いため、会計担当者や経理部で取り扱うのが一般的です。
ただし、人事や給与に関する内容が含まれることもあるので、ほかの部署でも扱う場合があります。

証憑を発行する目的

証憑を発行する目的は、契約が口約束ではなく、適正に成立していることを証明するためです。
取引きの当事者がお互いに同意して、その結果取引きが決定したことを誰にでも証明できるように証憑を残します。

証憑書類は、お金の流れや取引きを証明する重要書類なので、管理や保管について社内ルールを定めている企業も多いはずです。
証憑書類を後から確認しやすく、間違いや取違いがないように保管することは、社内の取引きを適正に管理するためにも必須です。

証憑書類を紛失したり社外に流出したりすれば、取引先からの信頼を損ねます。
また、たくさんある証憑書類をルールなく粗雑に扱っていれば、業務の効率化も進みません。
会社の信頼を守るため、業務効率化のためにも証憑書類の管理には細心の注意を払ってください。

証憑はどのような時に使う

企業では、重要性が高いものからそうでないものまで、様々な書類が行き交います。
証憑は取引きを証明する目的があるため、書類の中でもより説得力を持たせたい場合に使用されます。

例えば、納品した商品が正常であることを証明するために、証憑として検収書を発行する場合があります。
検収書は、納品された物や設備に問題がないことを証明する証憑です。検収書を交付することで、納付時に正常であったことを証明します。

また、証憑性の担保のためにも証憑が使われますが、これは取引きの効力を保証する意味合いです。
つまり、その取引きが信頼できるものである証拠として証憑が使われています。

証憑の種類を知っておこう

証憑と簡単にまとめても、その中には様々な書類が含まれています。
証憑は大きく分けて4種類あります。

売上と商品の仕入れに関する書類、また、従業員に関する書類や企業経営についての書類があるため、それぞれがどのような書類なのかを確認してみましょう。

売上にかかわる証憑

証憑書類として、イメージしやすいのが売上にかかわる証憑でしょう。
例えば、売買契約書などの契約書、また支払いを求める請求書や支払いを証明する領収書などの、金銭のやり取りを示す書類をいいます。

売上に関係する証憑書類は、取引きや支払いが妥当かどうか、間違いがないかを確認するためにも大切な書類です。
企業の経営や業績に大きくかかわる部分であり、処理する件数も多いため、管理を徹底するようにしてください。

商品仕入れにかかわる証憑

取引きは商品を売り上げるだけでなく、その前段の仕入れもあります。
仕入れ費用は企業の経費として、利益に直接かかわる部分です。
売上にかかわる証憑と同様に、商品仕入れについての証憑も後日に確認できるように管理してください。

例えば、商品を注文した場合に納品された商品の品番や数、ロットが違えばトラブルになります。
商品の正式名称や品番、数量を明記した証憑を必ず残しておかなければいけません。

発注を口約束にしてしまうとどちらにミスがあったのかはっきりとわかりませんが、発注書を証憑として残しておけば、トラブルの早期発見と解決につながります。

また、発注書や納品書などの書類は、在庫数を把握するためにも重要です。
商品の納品数と払出数がわかれば、在庫を把握できます。
特に、在庫数が多く、数えて管理するのが難しい企業では、仕入れの証憑は間違いがないように管理しなければいけません。

従業員にかかわる証憑

証憑は、取引先などの外部とのやり取りを記録するものだけではありません。
従業員との契約を証明する書類も証憑に該当します。
具体的には、雇用契約書・退職届・給与支払い明細書・履歴書・タイムカードなどの書類が証憑として扱われます。

企業と従業員は、使用者と労働者であり一種の取引関係です。
そのため、どういった労働条件で合意しているのか、給与や手当をどれだけ支払っているかを証明するために証憑を作成します。

従業員に関係する書類は、個人情報も含まれているため、厳重な管理が求められます。
証憑を処分する場合にも、適切に個人情報を処分しなければいけません。

事業にかかわる証憑

上記に挙げた証憑に該当しないものの、企業や取引きに関係する証憑もあります。
例えば、融資を受けた時の返済計画表・口座の通帳・クレジットカードの利用明細書などが挙げられます。

また、事業所や建物を借りている場合には、賃貸契約書も証憑書類です。
これらの経営にかかわる書類は、税務署が監査に来た時に提出を求められることもあります。
種類別に分類して、保管するようにしてください。

証憑の保存期間はどれくらい?


証憑を保存する時に問題なのが、いつまで保管し続けるかです。
企業が適正に事業経営をすれば、証憑はどんどん増えていきますが、増えていく証憑をそのまま保管し続けていれば、保管場所にも困ります。

証憑はいつまで保管しておけばいいのかを考える時に重要なのが、企業に関する法律です。
証憑の保管期間を定める法律は、税法と会社法があり、それぞれの保存期間について紹介します。

税法による証憑の保存期間

税法では、税法に関する帳簿類は、一律で7年間の保管義務があると定めています。
さらに、一部の企業会計にかかわる書類、欠損金が出た事業年度の帳簿等は10年保存です。

しかし、欠損金が出たかどうかによって保存期間を分けて管理するのは、実務上手間がかかります。
そのため、一律で10年保存する方法が選ばれるケースもあります。

【税法で7年保存となる証憑の一例】
仕訳帳・現金出納帳・売掛金元帳・買掛金元帳・棚卸表・固定資産台帳・売上帳・仕入帳
総勘定元帳・貸借対照表・損益計算書・注文書・契約書・領収書など

会社法による証憑の保存期間

会社法では、会計帳簿は事業における重要な書類とともに10年の保管が義務です。
さらに、株主などに閲覧させる「備置き書類」は5年の保管が義務付けられています。

【5年間の保存が必要な証憑の一例】
計算書類・事業報告・監査報告・会計監査報告など

【10年間の保存が必要な証憑の一例】
会計帳簿および事業に関する重要な資料・計算書類など

保存期間を守らないとどうなるの?

証憑の保存期間は、税法や会社法で定められていて、適切に管理しなければいけません。保存期間を守らないことによって、青色申告などの制度を利用できないこともあります。

さらに、欠損金の繰り越しができなくなったり、支払消費税の仕入れの消費税額が控除されなくなったりする事態をも引き起こしかねません。

加えて、会社法第976条「過料にすべき行為」では、帳簿書類の記録や保存の規定があり
100万円以下の過料が定められています。
実際に過料の支払いになることは稀ではありますが、不利益を被ることがないように証憑の保存期間を管理するためのルールを策定してください。

証憑を電子化して保存しよう


証憑は、紙で受け取ることが多いため、そのままファイルや書類ボックスで保存する職場が多いかもしれません。
社内で証憑書類を管理するには、そのためのスペースも必要ですが、紙類の整理そのものが業務負担となってしまう場合もあります。

これから新しく証憑書類の管理ルールを定める場合や、今までの管理方法では業務負担や書類を置くスペースが大きくなりすぎる場合には、証憑の電子化も検討してみましょう。

証憑を電子化するメリットとデメリットを紹介します。

証憑を電子化するメリット

証憑を電子化するメリットは、管理するコストの削減です。
証憑を電子化できれば、プリンターを使って印刷したり、ファイルを用意して保管したりするコストはかかりません。

データ保管になれば、紙と比べて圧倒的に省スペースでもあります。
紙の書類と違って、持ち出して紛失することはなく、紙の劣化の心配もありません。

証憑のデータ保管では、外部からもアクセスしやすく、リモートワークに対応しやすい点も大きなメリットです。
業務の効率化やコスト削減を考えるのであれば、証憑の電子化を検討してみてください。

証憑を電子化するデメリット

証憑の電子化には、多くのメリットがあります。
ただし、デメリットがまったくないわけではないので、電子化する際には、事前にデメリットも確認しておきましょう。

証憑電子化のデメリットとして、メリットと表裏一体ではありますが、初期コスト面の問題が挙げられます。
電子化するためには、最初に専用サービスを使ったり、スキャナーを用意したりといった準備が必要です。

さらに、電子化によって証憑の紛失は防げるものの、外部から不正アクセスされて情報漏洩する恐れもあります。
また、電子化によって、参照したい時に不便であったり、ディスプレイだと見にくかったりといった問題が起きないかもあらかじめチェックしておかなければいけません。

証憑の電子化にかかわる法律


証憑の電子化は、単純に紙の証憑を電子データにすれば良いわけではなく、証憑の電子化についての法令で詳細が定められています。
法律は、「e-文書法」と「電子帳簿保存法」があり、内容を必ず把握するようにしてください。

e-文書法は、書類を紙媒体だけでなくデータで保存することを認める法律です。
一方、国税庁が管轄する電子帳簿保存法は、電子計算機を使って作成する種類について定めた法律です。

電子帳簿保存法では、会計帳簿や国税関係書の電子化保存が認められています。
電子帳簿保存法では管轄する税務署長の事前承認が必要ですが、e-文書法では必要ありません。
それぞれ、対象となる書類や要件に違いがあるので両方を確認してください。

証憑を電子化するための要件

証憑を電子化するには、一定の要件を満たさなければいけません。
e-文書法で認められるための要件には、パソコンなどのディスプレイで見るための見読性のほか、必要なデータをすぐに探し出せる検索性、そして、証明力があるかどうかを示す完全性、さらに外部からアクセスできないように機密性が求められます。

電子帳簿保存法では、帳簿書類の電子データの保存にあたって、改ざんされていないか(真実性の確保)、誰でも視認し確認できるかどうか(可視性の確保)が要件です。

さらに、書類をスキャンして保存する場合には、解像度や色調などの要件があります。
証憑を電子化する場合には、どの書類を電子化したいのか考えてから電子化するための要件を調べておくようにしてください。

データを保存する方法

電子帳簿保存法では、対象となる証憑について、電子データによる保存・マイクロフィルムによる保存・スキャナ保存という3つの保存方法を認めています。
ただし、電子データによる保存とマイクロフィルムによる保存は、初めからパソコンで一貫して作成する場合のみなので、すでに紙媒体の証憑は対象になりません。

スキャナによる保存は、証憑をスキャンして電子データにする方法です。
2018年からは、スマートフォンなどで撮影してデータ化することも認められています。

証憑を電子化する方法

証憑の電子化を考えた時には、その証憑が法令で定められている要件を満たすかどうかを考えてください。
使用している会計システムやスキャナが条件を満たしているかどうかを確認します。
また、電子帳簿保存法では、管轄である税務署長の事前承認も必要です。

電子帳簿保存法の最新情報や改正内容については、以下の記事も確認してください。
電子帳簿保存法改正でおさえておきたいポイント

まとめ

会社の取引きは、多くの書類や証憑を使っており、書類の管理や処理に追われる会計担当者や経理部門も少なくありません。
証憑の扱いはあらかじめルール化して、全従業員に周知しておくようにおすすめします。
必要に応じて電子化して、効率化を進めましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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