支払調書がなくても確定申告は可能!間違えずに申告するための方法を解説

確定申告ガイド

もらえない・届かない・紛失した場合も焦る必要なし


確定申告の時期になると、「支払調書が届かない」「もらえなかったけど大丈夫?」と不安になるフリーランスや個人事業主の方は少なくありません。

結論からいうと、支払調書がなくても確定申告は問題なく行えます。確定申告は自分の帳簿・請求書控え・入金記録を根拠に行うため、支払調書は補助資料として扱えば足ります。

この記事では、支払調書の基礎知識から見方・活用方法、届かない場合の対処法まで、申告ミスを防ぐためのポイントをわかりやすく解説します。

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支払調書の基礎知識


確定申告をスムーズに進めるには、まず支払調書がどのような書類なのかを正しく理解しておくことが大切です。基本的な知識を整理しておきましょう。

支払調書とは何か

支払調書とは、正式名称を「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」といい、報酬を支払った企業や個人が税務署に提出する法定調書のひとつです。

フリーランスや個人事業主がクライアントから報酬を受け取った際、支払側がその取引内容を税務署に報告するために作成します。つまり支払調書は「あなたにいくら払いました」という事実を税務署に伝えるための書類であり、税務署への報告書類という性格が強いものです。

よく混同されるのが源泉徴収票との違いです。源泉徴収票は会社員が勤務先からもらうもので、給与所得に関する書類です。一方、支払調書はフリーランスや個人事業主への報酬に関する書類で、受け取る側への法的な交付義務はありません。

いくらから発行されるか

支払調書は、支払側が税務署へ提出する「法定調書」の一つで、提出対象となるかどうかの基準は支払内容の区分によって異なります。フリーランスに多い原稿料・講演料・士業報酬などは、目安として「年5万円超」で提出対象となるケースが一般的です。

なお、提出対象かどうかはあくまで税務署への提出義務の話で、受取側の個人に対して必ず交付(送付)する法的義務があるわけではありません。そのため、取引先によっては送付されないこともあります。

いつ届くのか

支払調書は、前年1月〜12月分の取引について、翌年1月31日までに税務署へ提出されます。受取側への送付も同時期に行われることが多く、2月の確定申告シーズン前に届くのが一般的です。

ただし、個人への交付は法的義務ではないため、2月になっても届かない場合やそもそも送付しない企業もあります。届かなくても焦る必要はなく、確定申告は自分の帳簿をもとに進めて問題ありません。

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確定申告時に支払調書は添付不要


確定申告書に、支払調書を添付する必要はありません。そもそも確定申告は、自分が作成した帳簿(収入と経費の記録)をもとに行うものです。

支払調書はあくまで補助的な参考資料にすぎず、申告の根拠となる書類ではありません。

そのため、手元に支払調書がなくてももらえなかったとしても、原則として確定申告には影響しません。

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支払調書の活用方法と使い方


添付不要とはいえ、支払調書は確定申告をスムーズに進めるうえで役立つ書類です。うまく活用することで、記載ミスや申告漏れを防ぐことができます。

まず活用したいのが、自分の帳簿との照合です。支払調書に記載された「支払金額」と自分の請求書控えや通帳の入金記録を突き合わせることで、収入の記録漏れや計上ミスに気づけます。

次に、源泉徴収税額の確認です。支払調書には取引先が差し引いた源泉徴収税額が明記されています。この金額を確定申告書に正しく記入することで、払いすぎた税金の還付を受けられます。記入漏れは還付金の取りこぼしに直結するため、注意が必要です。

また、取引先ごとの年間収入を把握するためにも役立ちます。複数のクライアントと取引しているフリーランスの方は、支払調書を一覧にして整理しておくと、申告作業を効率化できるでしょう。

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支払調書の見方


支払調書を受け取ったら、各項目の意味を正しく理解したうえで内容を確認することが大切です。見方を知っておくことで、申告時のミスを防ぐことができます。

記載項目の解説

支払調書には、主に以下の項目が記載されています。

項目 内容
支払金額 源泉徴収前の報酬総額(税込または税抜)
源泉徴収税額 差し引かれた所得税および復興特別所得税の合計額
支払者情報 取引先の名称・住所・法人番号など
受取者情報 自分の氏名・住所・マイナンバー

「支払金額」は源泉徴収が行われる前の総額です。実際に振り込まれた金額とは異なるため、混同しないよう注意しましょう。

また、支払調書によっては「内書き」という表記が見られることがあります。これは支払金額の内訳として消費税額を別途記載したもので、消費税込みの金額と税抜き金額を区別するために使われます。

確認すべきポイント

支払調書を受け取ったら、まずは支払金額が税込か税抜かを確認します。取引先によって記載方法が異なるため、自分の請求書と照らし合わせて判断しましょう。

次に、源泉徴収税額の計算が正しいかどうかをチェックします。報酬が100万円以下の場合、源泉徴収税額は「支払金額×10.21%」が原則です。計算が合わない場合は、取引先に確認することをおすすめします。

最後に、自分の帳簿の金額と一致しているかを照合しましょう。数字に齟齬がある場合は、消費税の扱いや支払時期の違いが原因であるケースが考えられます。

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確定申告の書き方・入力方法


支払調書の内容を理解したら、次は実際の確定申告書への記入方法を確認しましょう。正しい箇所に正確な金額を入力することが、申告ミスを防ぐポイントです。

どこに入力するか

確定申告書への記入場所は、所得の種類によって異なります。

ライターやデザイナーなど、事業として報酬を受け取っている場合は「事業所得」欄の「収入金額」に記入します。一方、副業など継続的な事業とはいえない報酬の場合は「雑所得」欄への記入となります。

ここで重要なのは、支払調書の金額をそのまま転記しないという点です。確定申告書に記入するのは、自分の帳簿で集計した年間の総収入金額です。複数のクライアントから報酬を受け取っている場合は、すべての収入を合算した金額を記入します。

源泉徴収税額の入力

源泉徴収税額は、確定申告書の「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」欄に記入します。この欄への記入を忘れると、払いすぎた税金が還付されないため注意が必要です。

記入する金額は、すべての取引先から源泉徴収された金額の合計です。支払調書が複数ある場合は、それぞれの「源泉徴収税額」を合計して記入しましょう。

支払調書がない取引先分については、消費税の扱いを確認したうえで、税抜報酬額と実際の振込金額との差額から概算できます。源泉徴収は原則として消費税を除いた報酬額を基準に計算されます。

e-Taxでの入力方法

電子申告(e-Tax)を利用する場合も、入力の考え方は紙の申告書と同じです。

e-Taxの「収入金額・所得金額の入力」画面で、事業所得または雑所得の収入金額を入力します。源泉徴収税額は「税金の計算」画面内の「源泉徴収税額」欄に入力します。支払調書のPDFやデータファイルを添付する必要はありません。

また、マイナポータル連携を利用している場合、源泉徴収票や各種控除証明書など一部データが自動で取り込まれることがあります。ただし、フリーランスの取引先が作成する報酬の支払調書が網羅的に自動取込されるとは限りません。

最終的には、自分の帳簿・請求書・入金記録との照合が必要です。

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支払調書がもらえない・届かない場合の対応


支払調書が届かなくても、確定申告は問題なく進められます。

手元になくても大丈夫な理由

支払調書がなくても確定申告できる理由は、申告の根拠となるのはあくまで自分の帳簿だからです。請求書の控えや通帳の入金記録があれば、収入金額は正確に把握できます。

源泉徴収税額についても、通帳の入金記録から逆算が可能です。たとえば請求金額が110,000円(税込・税抜報酬100,000円)で振込金額が99,790円だった場合、差額の10,210円が源泉徴収税額となります。支払調書がなくても、自分の記録をもとに正確な申告ができます。

取引先が支払調書を発行しないケースも珍しくありません。法的な交付義務がないため、送付するかどうかは取引先の判断に委ねられています。届かないこと自体は、なんら問題ではありません。

なくした・紛失した場合

支払調書を紛失しても、再発行は必須ではありません。添付不要のため、手元になくても申告に支障はありません。

ただし源泉徴収税額を確認したい場合は、取引先に再発行を依頼することができます。対応してもらえない場合は、通帳の入金記録や請求書控えをもとに金額を確認しましょう。

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帳簿と支払調書の金額が合わない時の対処法


支払調書と自分の帳簿の金額が一致しないケースは、フリーランスや個人事業主にとってよくある悩みです。原因を正しく把握して、適切に対処しましょう。

支払調書と帳簿の齟齬が起こる理由

金額の齟齬が生じる原因として、典型的な事例が消費税の扱いの違いです。取引先によって支払調書の「支払金額」が税込で記載される場合と税抜で記載される場合があり、自分の帳簿と単純に比較できないことがあります。

他に多いのが、支払時期の齟齬です。たとえば12月に納品した仕事の報酬が翌年1月に振り込まれる場合、取引先の支払調書には前年分として計上されていても、自分の帳簿では翌年の収入として記録しているケースがあります。

そのほか、振込手数料を差し引いて振り込む取引先では、帳簿の金額と支払調書の金額が一致しないこともあります。

どちらを優先すべきか

結論として、確定申告では原則として、自分の帳簿に基づいて申告します。支払調書はあくまで取引先が作成したものであり、自分の正確な記録とは限らないためです。

金額の齟齬を確認したうえで、原因が消費税の扱いや支払時期のちがいによるものであれば、自分の帳簿に基づいて申告して問題ありません。原因が不明な場合は取引先に確認し、必要であれば帳簿を修正しましょう。

未払金額がある場合

12月に納品した仕事の報酬が翌年1月に振り込まれる場合、収入計上のタイミングは「仕事が完了した時点(役務提供の完了)」を基準に整理するのが基本です。

そのため、12月納品分の報酬は12月分の収入として帳簿に記録し、未入金であれば「売掛金」として管理します。入金日基準で処理したい場合は、「小規模事業者の現金主義の特例」(青色申告で前々年の事業所得が300万円以下であることなどが要件)の届出が必要です。自己判断で切り替えずに、要件を確認したうえで処理ルールを統一しましょう。

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まとめ

支払調書は確定申告に添付不要であり、手元になくても申告は問題なく行えます。申告の根拠となるのはあくまで自分の帳簿です。

支払調書が届いた際は、帳簿との照合や源泉徴収税額の確認に活用しましょう。金額に齟齬がある場合は原因を確認したうえで、自分の帳簿を優先して申告することが大切です。



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(編集:創業手帳編集部)

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