正社員雇用で企業はどのようなメリットが得られる?正社員化に活用できる助成金も解説!

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人材確保の選択肢としての方法とは?考えよう


人材を確保する選択肢として「正社員雇用」が挙げられます。その方法には、直接採用と正社員登用制度の2種類があります。
外部から新しい人材を迎え入れるのが直接採用で、アルバイトや契約社員、派遣社員などから人材を選定して昇進させることが正社員登用です。

そこで今回は、正社員雇用で企業が得られるメリットをはじめ、正社員登用のメリットや雇用時に活用できる助成金について解説していきます。
人材確保に関する悩みを解決するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

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正社員雇用で企業が得られるメリット


まずは、正社員雇用をすることで企業が受け取れるメリットを解説していきます。主なメリットは以下のとおりです。

人材が定着し、採用のやり直しを減らせる

正社員雇用を行えば、人材の定着率がアップします。厚生労働省が発表した「令和6年雇用動向調査結果」によれば、2023年度のパートタイム労働者の離職率は23.3%でした。
一方、パートタイム以外の常用労働者となる一般労働者の離職率は12.1%となり、パートタイムと比較すると離職率が大きく違うことがわかります。

一般労働者の離職率が低いとなれば、人材流動性も低くなるため、就職してもらえれば長く勤務し続ける人が多くなります。
その結果、採用のやり直しを減らすことにつながり、無駄なコストを増やすリスクも少なくなるでしょう。

急な業務や属人化しがちな仕事にも対応しやすい

正社員を雇用せずに、繁忙期のみ短期アルバイトや契約社員の雇用を検討する企業も多いかもしれません。
人件費や人材管理の手間を減らせる利点がありますが、急な業務が必要になった時には人手が足りずに苦労するケースもあります。
属人化しがちな業務であれば、仮に非正規雇用のアルバイトやパートが集まったとしても、限られた範囲でしか業務を任されないため、作業をこなせるとは限りません。

そのような時、正社員がいれば社内のことについてもある程度は詳しいため、異なる業務を任せたとしても臨機応変に対応しやすくます。
柔軟性を確保できる点は大きなメリットです。

長期的な人材育成により生産性向上が期待できる

正社員を雇用する場合、長期的に雇用することを視野に入れている企業は多いため、社内教育といった人材育成に関しては時間をかけて様々なことを教えることが可能です。
経営戦略に合った長期的な育成も可能になり、例えば数十年後を見据えた計画を遂行するために正社員に対してスキルを教えるほか、AIやIoTといったデジタル人材の育成も図れます。

雇用される正社員側としても、様々なスキルを習得でき、やる気を持って教わる心構えがあるため、責任を持ち続けながら作業を遂行できます。
その結果、生産性向上も期待できるでしょう。

企業の信用力や組織力の向上につながる

正社員を雇用すれば就労の機会を創出できます。
正社員を積極的に採用している企業は、社会や経済に貢献している印象を外部に与えられるため、社会的な信用力向上が期待できます。
銀行での融資の書類に社員数を記載する欄があるのは、そのためです。
余裕のある企業でないと正社員は雇用できないため、信用力をアップさせたいのであれば正社員雇用を検討してみてください。

また、組織力向上のためにも正社員雇用は役立ちます。社員のスキルに合わせた研修の実施、昇給や昇格に関わる評価の透明化などは、モチベーションを向上させる要因です。
組織力向上のためにも、正社員の安定した雇用を考えていってください。

正社員登用で企業が得られるメリット


ここからは、アルバイトやパートといった非正規雇用者からの正社員登用で企業が得られるメリットを紹介していきます。主なメリットは以下のとおりです。
各メリットを具体的に解説していきます。

入社後のミスマッチを防止できる

企業が求めている人材像と採用した正社員の能力や適性、求職者が抱いている労働環境との間に生じるズレが入社後のミスマッチです。
例えば、以下のような具体例が挙げられます。

  • 想定していた仕事と違った
  • 専門性の合わない作業だった
  • 組織ふう土に馴染めない
  • 待遇が事前の説明とは異なる
  • スキルが不足している
  • スキルが過剰で成果を発揮しにくい

こういったミスマッチが起こると、モチベーションも低下してしまうため生産性にも影響を与えます。
周囲への悪影響も考えられ、職場全体の雰囲気が悪くなる要因です。
また、早期離職になる可能性も十分にあるため、採用や育成にかけたコストがすべて無駄になってしまう危険性もあります。

しかし、すでに自社で働いている非正規雇用者の中から正社員を登用すれば、職場の雰囲気だけではなく作業についても理解があるため、ミスマッチは起こりにくいです。
ミスマッチによるリスクを避けたいのであれば、正社員登用を考えてみてください。

即戦力として活躍してもらいやすい

新しく人材を採用するとなれば、未経験であったり自社での作業に慣れなかったりで、作業が思うように進まない可能性があります。
教育も必要になるため、独り立ちするまでに時間もかかるでしょう。

しかし、正社員登用であればすでに作業についてのある程度の知識は習得しています。そのため、即戦力として活躍してもらいやすいです。
仕事での様子や人柄も理解できているため、信頼性の高い状態で採用できる点も魅力です。

採用コストを抑えながら正社員を確保できる

正社員を雇用するとしてもコストがかかります。分類すると、内部コストと外部コストに分けられるので、どういった費用が発生するのかみていきます。

【内部コスト】
  • 採用関連の人件費:求職者とのやり取りや面接、選考など
  • 採用関連の諸経費:交通費や内定通知書の発送、内定者フォロー関連の費用など
  • その他費用:内定後の宿泊費や飲食費など
【外部コスト】
  • 人材紹介会社利用関連の費用:広告費や人材紹介会社の手数料など
  • 求職者との接点に関連する費用:会社案内制作費や採用イベントへの参加費、会社説明会の会場費など
  • その他費用:採用サイトの制作費や企業説明動画の制作費、採用管理システムの導入費など

上記以外にも、入社後には教育コストが発生するのです。しかし、正社員登用を活用すれば、これらのコストを抑えられます。

もともと社内で活躍している人材を正社員にできるため、上記のようなコストを大幅に抑えることが可能です。
教育に関しても、これまでの実務経験が活かせればゼロベースから育成する手間がないため、コストだけではなく労力も抑えられる利点があります。

正社員雇用に活用できる助成金


正社員を雇用する際にかかるコストを少しでも抑えたいのであれば、助成金の活用を検討してみてください。ここでは、正社員雇用に活用できる助成金を4つ紹介していきます。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者を正社員へ転換した場合に、事業主に対して助成を実施する制度です。
助成金を受けるためには、以下3つの条件を満たす必要があります。

  • 正規雇用労働者に転換する前日までに、キャリアアップ計画を作成・提出する
  • 正規雇用労働者に転換する制度を、就業規則などで規定している
  • 転換後6カ月間の賃金を、転換前6カ月間の賃金より3%以上増額させている

正社員化コースにおけるひとりあたりの助成額は、対象者や企業規模、有期雇用労働者・無期雇用労働者によって変わります。

対象者 企業規模 有期雇用労働者 無期雇用労働者
重点支援対象者 中小企業 80万円 40万円
大企業 60万円 30万円
上記以外 中小企業 40万円 20万円
大企業 30万円 15万円

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

トライアル雇用助成金は、職業経験が不足しているなどの影響で就職が困難な求職者に対し、原則3カ月の試行雇用を行った事業者に対する助成金制度です。
トライアル雇用を設けることで労働者の適正を確認しつつ、常用雇用に移行でき、ミスマッチを防げます。

助成金の支給金額は対象者ひとりあたり月額最大4万円で、最長3カ月間です。
ただし、母子家庭の母または父子家庭の父の場合や、若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の求職者に向けて実施する場合、助成額はひとりあたり月額5万円まで引き上げられます。

トライアル雇用の対象者は、以下の要件を満たしており、また紹介日に本人がトライアル雇用を希望している場合に対象となります。

  • 紹介日時点で就労経験のない職業に就くことを希望している
  • 紹介日時点で学校卒業後3年以内であり、卒業後安定した職業に就いていない
  • 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上転職・離職を繰り返している
  • 紹介日の前日時点で離職期間が1年以上
  • 妊娠や出産、育児などを理由に離職し、紹介日の前日時点で安定した職業に就いていない期間が1年以上
  • 就職の援助を行うにあたり、特別な配慮を要する(生活保護、日雇労働者、季節労働者など)

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)は、中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用の拡大を図った事業主に対して助成する制度です。
ここでいう「中途採用の拡大」とは、中途採用率の拡大または45歳以上の初採用が挙げられます。

支給額は、実施区分ごとに1事業所あたりで決められています。

【中途採用拡大助成】

実施区分 助成額
中途採用率の拡大 50万円
45歳以上の初採用 60万円または70万円

【生産性向上助成】

実施区分 助成額
中途採用率の拡大 25万円
45歳以上の初採用 30万円

早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)

早期再就職支援等助成金のUIJターンコースは、東京圏から地方に移住する人を採用する際にかかった経費の一部を助成する制度です。
対象となる事業主は、採用計画期間中に対象労働者をひとり以上雇い入れる必要があります。対象労働者の要件は以下のとおりです。

  • 東京圏から移住している
  • 地方公共団体が開設・運営するマッチングサイトに掲載された事業主の求人に応募している
  • 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れられる
  • 継続して雇用する労働者として雇い入れられる

助成対象となる経費には、募集・採用時に作成したパンフレットの作成・印刷経費や説明会を実施した際にかかったコスト、外部専門家によるコンサルティング費用などが挙げられます。
助成額はこれらの経費の合計額に助成率(中小企業:1/2、中小企業以外:1/3)を乗じた額で、上限は100万円までです。

正社員を雇用する前に企業が知っておきたい注意点


労働者を正社員として雇用する前に、いくつか注意すべきことがあります。ここでは、雇用前に企業が知っておきたい注意点3つの解説です。

長期的な雇用責任が発生する

正社員として雇用した場合、企業側の判断だけで解雇にすることができなくなります。
労働契約法16条では、解雇について「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、その権利を濫用したものとして無効とする」と定義されています。
つまり、客観的に合理的だと認められない限り、不当な解雇となってしまう可能性が高いです。

このように、正社員として雇用するとなると、企業には長期的な雇用責任が発生するといえます。
トラブルが起きて解雇したい場合でも、まずはその理由を立証するための証拠が必要です。

福利厚生や保険の負担が増加する

正社員として雇用した場合、給与による負担が増加するだけでなく、社会保険料や福利厚生費などの負担も増加してしまいます。
例えば、健康保険料・厚生年金保険料は企業が半分を負担することになります。また、子ども・子育て拠出金に関しては、全額企業側で負担しなくてはなりません。

さらに、会社の都合でリストラなどを実施した場合、一般的には退職金を支払うことになります。
こうした制度なども、正社員を雇用することで利用者が増え、負担が増加する可能性があります。

正社員登用では個人の意見を尊重する

企業側は正社員として雇用したかったとしても、労働者に対して無理に促すのは避けたほうが良いでしょう。
現在の条件より充実した待遇になったとしても、人によって仕事に対する考え方は異なり、家庭の事情など生活環境によっては非正規のまま働きたいという人もいます。

例えば「子どもの送迎があるため、残業がある正社員として働くのは難しい」、「ほかのスタッフをまとめ上げるのが苦手なので、このままの働き方を続けたい」などです。
押し付ける形で無理やり正社員化しても、すぐに離職される可能性が高いので、個人の意見を尊重するようにしてください。

まとめ・正社員雇用を企業成長につなげよう

正社員雇用は人材の定着を促したり、属人化しがちな仕事にも対応しやすかったりするなど、様々なメリットが得られます。
従業員にとっても待遇の改善が期待できるため、正社員雇用を望む人もいるでしょう。
正社員雇用・登用にはそれなりにコストが発生してしまいますが、正社員雇用を促進するための助成金制度もあります。
助成金制度をうまく活用して正社員雇用を増やし、企業の成長へとつなげていってください。

創業手帳(冊子版)では、企業が抱える採用の悩みを解決するアイデアや、活用できる補助金・助成金制度の紹介などを行っています。企業が安定的に運営を続けていくためにも人材は重要です。人材活用や採用などで悩みを抱えている人は、ぜひ創業手帳をお役立てください。

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(編集:創業手帳編集部)

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