円満退職を目指そう!仕事を辞める理由や退職を伝えるタイミングなどをご紹介

創業手帳

円満退職をするためのコツは?退職理由の伝え方に気を付けよう


円満退職とは、会社と従業員の間にわだかまりやトラブルがない状態で労働契約を解除することを指します。
これから起業を考えている人は、その後のためにも円満退職を目指すのが望ましいです。

円満退職を実現するには、辞める理由の伝え方や伝えるタイミングなどに気を付けなければなりません。
今回は、起業を目指す人に向けて、円満退職するためのコツをご紹介します。

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円満退職で得られるメリット


今勤める職場を辞めるにあたり、円満かどうかは気にしないという人もいますが、起業を目指す人は円満退職を目指すことをおすすめします。
円満退職が理想的な理由は、辞めた後のことを考えると大きなメリットがあるからです。

まずは、円満退職で得られるメリットについてご紹介します。

退職までの手続き・引き継ぎがスムーズになりやすい

実際に退職するまで、様々な手続きが発生します。特に、自分がやっている仕事を後続の人に引き継ぐ作業はとても重要です。
周囲からの心象が悪かったり、上司などの間とトラブルが起きていたりすると、各種手続きや引き継ぎ業務がスムーズにいかなくなる可能性があります。

一方、円満退職を目指す場合、周囲は退職することを快く受け止めてくれている状態なので、各種手続きや引き継ぎにも協力的でスムーズに進められます。
ほかの従業員との関係も良好な状態が維持されるので、気持ち良く退職することが可能です。

これまで構築してきた人脈を起業後も活かせる

円満退職には、これまで築いてきた人脈を起業後にも活かせることも大きなメリットです。効率良く事業を展開していくためには、他者の協力も欠かせません。
前職の従業員や取引先など自分と関わりがある人の中に、強力な助っ人となってくれる人がいる可能性もあります。

しかし、前職の人間関係が悪い状態で退職すると、今まで構築してきた人脈を活用するのが難しくなります。
一から人脈を築いていかなければならず、事業が軌道に乗るまでかなりの時間を要することになりかねません。

幸先の良いスタートを切るためには、円満退職で横のつながりを保つことも重要です。

円満退職にするための「仕事を辞める理由」


退職するには、会社に仕事を辞める理由を伝えなければなりません。円満退職を実現するには、仕事を辞める理由も非常に重要となってきます。

退職理由は正直に話すべき?

退職願の退職理由の部分は、基本的に「一身上の都合」と記載すれば良いので、詳しい理由まで書く必要はありません。
しかし、提出した際に上司から理由を問われることが多いです。その場合、正直な退職理由を伝えるのがマナーです。

しかし、理由によっては言葉や伝え方を工夫したほうが良いこともあります。
嘘の理由を伝えるのは避けるべき行為ですが、すべてを正直に話す必要はありません。相手の不安や不快な気持ちを煽る内容は避け、可能な範囲で理由を伝えてください。

また、誠意を持って伝えることも大事です。退職をするということは社内の戦力が減り、他の従業員の負担を増やしてしまいます。

迷惑をかけて申し訳ないという誠意を見せることで、会社側も真剣に退職の決意を受け止めてくれるでしょう。

ネガティブな退職理由はNG

円満退職を目指すのであれば、ネガティブな理由を伝えるのはNGです。
ネガティブな理由には、職場内での人間関係のトラブル、休日出勤や残業への不満、上層部の考えについていけないなどが挙げられます。

退職の理由がネガティブである場合、正直に伝えることが難しく嘘の理由を告げる人も少なくありません。
しかし、嘘の理由を伝えるのは誠意に欠けており、もしも嘘だとバレた場合は心象が悪くなり、円満退職が難しくなる可能性があります。
ネガティブな理由は表現や伝え方を変えて、ポジティブな内容で伝えることが大事です。

例えば、業務に対する不満であれば「新しいことを始めてみたい」、人間関係で悩んでいる時は「別の環境で自分を試してみたい」などの表現に変えられます。

起業はポジティブだが競業避止義務に注意!

起業を理由に退職するのは、どちらかというとポジティブな理由になります。
起業に対する強い意思と、これまでお世話になった感謝を伝えれば、会社側も理解してくれるでしょう。

ただし、起業を理由に退職を伝える際は、競業避止義務に注意してください。
競業避止義務とは、同業の競合会社への転職、同業種で起業することを禁止する契約です。
入社時に署名する契約書や就業規則に、その内容が盛り込まれていることが多いです。

競業避止義務は、元従業員が競合への転職や競業となることで、前職の企業が不利益を被るのを回避するために設けられています。
競業逃避義務に接触している場合、損害賠償を請求される可能性もあります。

退職や起業の前に、前職の活動に損害を与えていないのか、同業種での起業を禁止している期間、禁止される競合行為、活動エリアの制限などの確認が大切です。
誓約書や就業規則の見直し、会社側と直接話し合いで確認し、企業の準備を進めてください。

また、必要に応じて弁護士に相談して、法的な見解を得る方法もあります。

競合避止義務について、詳しくはこちらの記事を>>
退職後に同業種で起業していいの?競業避止義務を理解して過失なく起業する方法とは

退職を伝える最適なタイミング


円満退職を目指すためには、退職の旨を伝えるタイミングも重要です。タイミングを誤ると、職場に迷惑を掛けてしまう恐れがあります。

ここで、退職を伝えるタイミングと伝える相手、内容についてご紹介します。

退職の意志は1カ月前に伝える

退職の意志を伝えるタイミングは、遅くても退職希望日の1カ月前です。
引き継ぎや取引先への挨拶にはそれなりの時間が掛かるので、余裕を持って行動してください。

また、退職日の何日前までに意志を伝えなければならないのかは、会社によって異なります。就業規則を確認し、それに則って退職の意思を伝えましょう。

退職の意志表明を避けるべきタイミングは、新しい組織編制が決まり、公表された後です。
そのタイミングで伝えると人員配置の再調整が必要となる場合があり、会社に迷惑を掛けてしまいます。できるだけ組織編制や人事異動が決まる前に伝えてください。

最初は誰に伝えるべき?

はじめに退職の意志を伝える相手は、直属の上司です。相手の精神的な負担を軽減するためにも、上司や周囲が忙しくない時を狙って伝えてください。

上司に伝える時は2人だけで話せる時間を作り、口頭で伝えます。
メールは文字だけの説明となってしまうので、正確に意図が伝わらない可能性があります。
自分の意図を正しく伝えるためにも、必ず口頭で伝えてください。お互いの都合が合わず直接会う時間が取れない時は、Web会議ツールや電話で伝える方法もあります。

上司に伝えて合意を得たら、次に課長や部長などの上級役職者、最後に人事部の担当者に退職の意志を報告する流れが一般的です。
本人と上司のどちらがほかの役職者に報告するかは、上司に伝える時点で相談して段取りを決めてください。

最初に伝えるべき内容

退職の意志を伝えるのは、覚悟や勇気が必要となり、いざ目の前にするとうまく話せない人も少なくありません。
上司と話をする前に、何を伝えるのか整理しておくことで話を進めやすくなります。最初に伝えるべき内容は以下のとおりです。

  • 退職の意志と理由
  • 退職希望日
  • 自分が関わる業務の状況

上司には、退職の意志と退職希望日を伝えるのがマストです。理由を聞かれた時は、前述したとおりネガティブな理由や会社の不満を伝えるのは避けてください。

また、自分の業務の状況を伝えておくことで、引き継ぎの段取りを相談しやすくなります。

退職理由の伝え方で気を付けたいこと


上司に退職理由を伝える際、内容以外にも伝え方で気を付けたいことがあります。ここで退職の意志を伝える際の注意点をご紹介します。

退職する日も伝える

退職理由と併せて、いつ退職したいのか希望日を伝えてください。退職日は有休消化や引き継ぎのことも考えて、スケジュールを逆算して決めましょう。
明確な退職希望日を伝えると、それだけ本気であることが上司にも伝わり、しつこく引き留められることもなくなります。

ただし、会社側にも都合があります。
一方的に退職日を決めてしまうと人間関係がこじれ、円満退職に至らない可能性があるので、「希望日があるので相談したい」という形で伝えるのがおすすめです。
退職までの段取りを相談し、お互いが納得できる退職日で合意することが大事です。

迷いは見せない

退職を決めたら、迷いを見せずに自分の意思を伝えてください。退職交渉がうまくいかない人は、心のどこかで迷いや不安があります。

それが上司に伝わってしまうと、「引き止められるかもしれない」と思われてしまう可能性があります。
様々な条件を提示されたり、何か理由を付けられたりして引き留められた場合、迷いのある人は断ることに罪悪感があり、退職を断念せざるを得なくなってしまうかもしれません。

起業のために退職を決意したのであれば、退職理由と一緒に夢の実現のために考え抜いた末の結論が退職であり、決意は固いことを伝えてください。

自分から積極的に行動・調整する

引き留めたいと思っている上司は、積極的に退職交渉に応じてくれない場合があります。
退職日の調整期間が長引いてしまうと、引き継ぎに余裕の時間が取れない、開業・起業のスケジュールに遅れが生じるなどの影響が出てしまいます。
そのため、自ら積極的に行動して、退職までのスケジュールを調整することが大事です。

退職の意志を伝えた時に「考え直してくれ」と言われ、その場で合意してもらえないことや時間が経ってから引き止められる場合もあります。
調整を長引かせないためにも、次の打ち合わせ日時を決める、合意後はすぐに退職届を用意するなど、自ら積極的に調整を進め、意思の強さをアピールしてください。

退社するまでの行動も円満退職につながる!


円満退職には、退社するまでの行動も重要となってきます。ここからは、退社までの行動で気を付けたいことやポイントをご紹介します。

有休消化は上司と話し合って申請しよう

有給休暇は、労働者なら誰にでも与えられる権利です。退職が決まっている時点でも残りを消化できるので、今まで忙しくて取れなかった人も安心です。

退社前に有給休暇を取得するのであれば、上司と話し合って申請しましょう。
一方的に希望日を伝えて休んでしまうと、会社に迷惑がかかってしまうので円満退職が難しくなります。

円満退職のためにも、退社までの段取りを決め、業務や引き継ぎに影響のないスケジュールで有給を申請してください。

有休を消化したい時は早めに伝えることが大事なので、退職を伝える際に相談するのがベストです。

引き継ぎは丁寧に行う

退職の意志を伝えた後、後任者に自分の業務を引き継いでもらう必要があります。遅くても1カ月程の余裕を持って、引き継ぎの準備を進めてください。

自分がやっている業務のマニュアルの作成、頻繁にやり取りする相手の連絡先をまとめ、退職後も後任者が困らないようにしっかり準備することがポイントです。
後任がなかなか決まらない時も、先に準備を進めておけば、短い期間でも慌てずに引き継ぎができます。

取引先への挨拶とお礼を忘れない

お世話になった取引先には、退職前に挨拶とお礼を伝えてください。退社前の挨拶は、業務の引き継ぎにおいても大切なことです。
できる限り後任者と一緒に引き継ぎの挨拶を行ってください。
そうすることでスムーズな引き継ぎが可能となり、後任者も安心して引き継いだ業務に取り組めるようになります。

また、しっかり挨拶とお礼をすることで、取引先に良い印象を与えられます。
関係が良好な状態であれば、起業後にその人脈を活かしてビジネスチャンスを掴むことも可能です。

私物の整理・処分をしておく

退職にあたり、私物の整理をしておくことも円満退職のコツです。
会社から借りている備品は返し、私物は持ち帰るか処分して、会社に残したままの状態にしないようにしてください。

残された私物は会社が処分しなければなりません。そのためのコストや手間を負担するのは会社側です。
また、勝手に捨てて良いのか判断できないものであった場合、わざわざ連絡して確認する作業も生じます。

大切なものを会社に置きっぱなしにしていたことが後からわかっても、その時にはもう処分されていて、そのことを巡って会社とトラブルになる可能性もあります。
このようなトラブルを避けるためにも、私物の整理・処分は忘れずに行ってください。

最後まで責任を持って取り組む

退職日を迎えるまで、その会社の一員であることは変わりません。
もうすぐで退社するからと雑な仕事をすると、上司や同僚などの心象を悪くしてしまうので、円満退職となるのが難しいでしょう。

気を抜いて仕事をすると、退職直前に大きなミスが起きてしまう可能性もあります。状況によっては、責任を追及される恐れがあります。

完全に退社するまで会社の一社員という自覚を持ち、最後まで責任を持って取り組むことが社会人としてのマナーです。

まとめ

円満退職は、誰もが望む退職です。
特に起業を考えている人は、前職や取引先との良好な関係を維持できるので、ネットワークを活かしてビジネスチャンスを掴める可能性があります。

退職理由の伝え方やタイミングなどに気を付けて、前職の人達から応援されながら退職できるように準備を進めてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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