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社是・社訓・経営理念の違いとは?

社是とは?
社是とは、企業が自社の経営における方針や主張を明文化し、宣言したものです。「是」には「正しい」という意味がありますので、その会社が正しいと考える方針を掲げ、経営における道筋を作るのが社是を制定する意義となります。

社訓とは?
一方で、社訓とはその企業の従業員が働く上で指針となる心構えやモットーなどを明文化したものです。企業が社是に沿った経営を行うために、一人ひとりの従業員が日々どのように行動すれば良いのか、より具体的なレベルに落とし込んだ方針という考え方もできるでしょう。

社是と社訓の違い
したがって、社是と社訓の最も大きな違いは行動の主体にあると言えます。社是の主体は企業であるため、社是は“会社”がどのような方針や理念に基づいて経営されるのかを表していますが、社訓の主体は従業員であるため、“従業員”が行動すべき内容となっています。

会社以外の場合はどう表現する?
企業以外の事業形態などの場合、社是・社訓は以下のように置き換えることができます。中にはあまり一般的でない言い回しもありますが、誤りではありませんので、業種や事業形態に応じて適切な表現を選択すると良いでしょう。

・店舗:店是・店訓
・士業等の事務所:所是・所訓
・学校:校是・校訓
・病院:院是・院訓
・銀行:行是・行訓

社是の形式や具体例
社是・社訓を定める上で特に決まった形式はありませんが、短い文や熟語、端的なフレーズで表すのが一般的になっています。いくつか列挙している形も多く見られます。
社是や創業の精神を大切にした経営が行われ、企業文化として根付いている企業には、以下のような有名企業があります。社是の参考例として引用します。

京セラ株式会社の社是

“敬天愛人”
常に公明正大 謙虚な心で 仕事にあたり
天を敬い 人を愛し 仕事を愛し
会社を愛し 国を愛する心

(引用元:社是·経営理念 | 京セラグループについて | 会社案内 | 京セラ, 2020/07/07参照)

株式会社デンソーの社是

一、信用を尊び責任を重んず
一、虚飾を排し和衷協力誠実事に當る
一、 研究と創造に努め常に時流に先んず
一、 最善の品質とサービスを以て社会に奉仕す

(引用元:沿革 | 企業情報 | DENSO – 株式会社デンソー, 2020/07/07参照)

サントリーグループ

創業者・鳥井信治郎氏の言葉
「やってみなはれ」

社是
人間の生命の輝きをめざし
若者の勇気に満ちて価値のフロンティアに挑戦しよう
日日あらたな心・グローバルな探索・積極果敢な行動

(引用元:企業理念 サントリー採用情報, サントリーホールディングス株式会社,2020/07/07参照)

他にも、「誠実・信頼・挑戦」などのようにシンプルにまとめている企業も多く見られます。特に形式にこだわる必要はありませんので、内容を重視し、自社の個性や目指す姿がよく伝わるようなフレーズを選んで決めると良いでしょう。

経営理念と社是
社是とよく似た意味の言葉の1つに、経営理念が挙げられます。“理念”は根本的な考え方を意味するので、経営理念は経営の根底となるような考えを明文化したものだと言えます。『広辞苑』(第七版)でも、経営理念は「企業経営における基本的な価値観・精神・信念あるいは行動基準を表明したもの」と定義されています。つまり、単純に言葉の意味から考えるのであれば、会社にとっての「正しい方針」である社是よりも、経営理念の方がより根源的な概念と言えます。
しかし実際には、社是として企業の土台となる信念を掲げた上で、その社是に沿った、より具体化したフレーズを経営理念として示している企業がかなり多く見られます。そのような企業では、社是こそが企業精神を表す最も象徴的なフレーズとして扱われ、従業員教育などにも役立てられています。
したがって、社是と経営理念のどちらを上位の概念とするかは見解が分かれるところですが、実際の企業経営では、社是を根本に置く方が多数派となっているのが現状です。事実、前述のデンソーやサントリーなどでは、創業から早い段階で制定された社是に則り、組織のフェーズや時代に合わせて、後から経営理念が定められています。
このように、社是と経営理念の両方が掲げられている企業は少なくありませんが、必ずしも両方が必須というわけではありません。社是のみ、あるいは経営理念のみでも全く問題ありませんので、創業者や経営メンバーの判断で決めると良いでしょう。

ミッション・ビジョン・バリュー
他に、社是や社訓の類義語としてよく使われる言葉に、ミッション、ビジョン、バリュー、クレドなどがあります。スタートアップやベンチャー企業などの新しい会社では、これらのカタカナ語の方が社是や社訓よりも主流になっている印象です。
ミッション、ビジョン、バリューは3つがセットとなった階層構造の概念とされており、下記のように定義されています。

(最上位)ミッション=社会における会社の使命や存在意義
(2番目)ビジョン=ミッション実現のための会社のあるべき姿、目指す姿
(3番目)バリュー=ミッションやビジョンを実現するための行動指針、価値観

稀に、ビジョンを最上位に定め、その下にミッション、バリューと続いているケースも見られますが、最も一般的なのは上記の考え方です。元々は、経営学者のピーター・F・ドラッカーが提唱した概念だと言われています。
それぞれの言葉の正確な意味は異なりますが、「社是・経営理念・社訓」と「ミッション・ビジョン・バリュー」の関係性や構造には共通する部分が多いと言えるでしょう。

クレド
一方、クレドは会社の「信条」を表す用語として使われています。ラテン語の“Credo”(私は信じる)に由来する言葉です。クレドは、経営理念と同じような意味で使われたり、バリューや社訓のような行動規範として用いられたりしています。そのため、他の言葉と明確に使い分けられていない場合もありますが、クレドの特徴は、より従業員が具体的に実践しやすく、分かりやすい形の指針として定められる点にあります。
「クレド経営」と呼ばれる、クレドを重要視した経営手法があります。これは、会社が一方的にクレドを定めて終わるのではなく、企業文化を醸成するためのツールとしてクレドを有効活用するマネジメント方法です。具体的には、従業員へクレドが浸透するよう教育に注力すると共に、その過程で従業員自身にもクレドの作成や改定に携わらせるなどの手法が用いられます。クレド経営の有名な例には、ジョンソン・エンド・ジョンソンやザ・リッツ・カールトンなどの企業が挙げられます。

大切なのは一貫性と具現化
ここまで解説した通り、会社の基本的な理念を表現する用語には様々なものがあり、企業によって多様な使い方をされている現状があるため、起業家は判断に迷ってしまうかもしれません。
どの表現を用いるにしても、大切なのは、創業の精神を根本的な理念として明確に定め、その理念に沿った上で、具体的な行動に繋がるような方針へ落とし込んでいくことです。上位の理念と具体的な行動方針に一貫性を持たせなければ、理念を具現化することはできません。
また、理念や指針は経営者だけのものにせず、会社全体のものとして共有することが大切です。社員教育や雇用の際にも基準とできるよう、誰が見ても分かりやすい表現にするのも1つの工夫です。
経営者やスタッフが常に拠り所とできるような理念や指針を定めて実践していくことで、会社の成長と共に企業文化が醸成し、強い組織が形成されます。

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カテゴリ 設立・登記
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