潜入取材! PR TIMES 主催の広報勉強会に学ぶプレスリリースの極意【後編】
PRTIMES主催の広報担当者向け勉強会に潜入取材をした。非公開のセミナーの全容が今ここに完結。
プレスリリース配信サービスの最大手 PRTIMES社が主催する「広報勉強会」がある。
PRTIMESのサービス利用者が対象で非公開のセミナーだが、今回、創業手帳 編集部は取材・報道の許可をいただいた。
前編では、第1部のプレスリリース活用法に関してお伝えした。
後編は、いよいよ、今回のメインコンテンツである第2部。2名のゲストスピーカーを招いてのトークセッションだ。
第2部:広報/PR座談会「これからの広報について」
■ゲストスピーカー紹介
・株式会社フリークアウト 取締役COO 佐藤裕介氏 (写真右)
・モデレータ:株式会社PR TIMES 千田英史氏
■トークセッション
中村:社内では、広報と宣伝が連携しています。情報の受け手や顧客とのコミュニケーションという意味では、どちらの部門も同じ役割を担っているからです。
受け手側からすると、入ってくる情報は変わらないですよね。部署を変えるのは、あくまでも企業側の都合です。だからこそ、どうコミュニケートしていくかを広報と宣伝が一緒になって考えるのが大切だと思います。
佐藤:当社では、広報と人事が一体となっています。ベンチャーとしては、広報だけの部署ではブランド作りに不十分で、全社的に意識作りに取り組む必要があるからです。
それにより、当社のブランドに共感する人材の採用までつながるケースもあります。本格的に広報活動を始めたのは、創業後1年ほど経過してからでしょうか。
中村:私は2000年から広報を担当しているのですが、当時はKPIという発想すらありませんでした。マーケティングの人間が、メディアも担当していただけです。ただ、その頃からずっと追いかけている数字が2つあります。
1つは「パブリシティ掲載件数」です。最近のデータから明らかなのは、年々、Webのウエイトが高くなっていることですね。
2011年だけとくに大きく伸びましたが、これは当時、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ある歌手を起用した製品のCMを行っていたので、その効果かと思います。
もうひとつは「広告費換算」。2011年で17億ほどでしょうか。数値がどう推移しているかを理解することは大事ですね。
当社の部内全員で、どこの広告費割合が大きいのかを意識すること。こちらも時系列のデータで把握しています。
中村:昨年の6月からPR TIMESのサービスを利用しており、相当数をWebメディアに出しています。ただ会社として、記者クラブに所属しているので、そちらに投函するのが基本ですね。その上で、Webへ配信しているのが現状です。
出し方は、個別に泥臭く。また、プレスリリースだけが情報発信の方法ではないので、イベントなどの臨場感を伝えるなら、Twitterに投稿した方が良い場合もあります。
SNSへの投稿については投稿前に会社の承諾が必要なケースもあると思いますが、早さではSNS、広がり感を考えるならプレスリリースでしょうか。目的・目標にあわせて手段を選ぶべきと考えています。
佐藤:当社は、事業の性質上、ホットな単語を使うシーンが多いです。いわゆる「トレンドワード」ですね。
例えば最近では「DSP」や「DMP」といったワードがあります。そのようなワードは、インターネット上で検索需要があるので、自社のサイト内でそのワードに関連したコンテンツを作っておけば有効ですよね。
その上でさらに、配信サービスを利用すれば検索にかかりやすくなる。Web上のカバレッジを多くするということですね。記者へのコンタクトはFacebookで個別に行うことが多いです。
中村:当社では、社会文化活動として、ミュージカル「赤毛のアン」を主催しています。それで、アン役の方をPRしなければならないときがありました。
関係者で協議して、結局、CM撮影の経緯をテキストにおこし、それをベースにWebのニュースにしたら、コンテンツとしてかなりの効果がありました。
ホームページ、TV、新聞、PR TIMES でのリリースなど、それぞれのメディアの特性を生かして戦略的に配信したところ、高い効果が得られました。
中村:まず「タイトル」です。いわゆるキャッチコピーで興味をもたせることができるか、ということが勝負になるかと思います。
佐藤:SNSへの投稿基準は特に設けていません。投稿内容により、いわゆる「炎上」する可能性もありますが、物議を醸し出すリスクの一方で、PRとしての価値もあると考えています。
中村:当社も投稿基準は設けていないですね。
中村:PR会社とは基本的には年間契約で行っています。
中には30年近く担当していただいている企業もあります。私が広報を担当する前からです。会社の歴史感というか、当社のことをちゃんと理解しているか、というところが大事になりますね。
記者クラブとの橋渡しとしての役割も担っていただいています。
ただ、「赤毛のアン」のようなイベントに関しては、イベントに強いPR会社にスポットでお願いをしています。
プレスリリース配信に関してはPR TIMES 社ですが、当社や広報担当者を適切にサポートしてくれるのかが選ぶポイントですね。
中村:社内のイントラネットを利用して「お知らせ」としてやっています。
ただ、プレスリリースの内容によってはセンシティブなものもありますので、配信前に社内で周知できないものもあります。悩ましいところですね。
佐藤:当社はまだ拠点数も少ないこともあり、現在は社内チャットを利用しています。
■トークセッション終了後
トークセッション終了後には、ゲストスピーカーと名刺交換をするために参加者の長蛇の列が。また、会場内で出会った方同士で名刺交換するシーンも多数見受けられた。
広報担当者がメディアの方と出会う機会は多くあると思うが、他社の広報担当者に会う機会は少ないように思う。そうした点においても貴重な「交流会」の機会と感じた。
まとめ
前半はプレスリリースの概念や業界情報について。そして後半は、実際に広報を担当されている方によるトークセッション。とても充実した1時間半だった。
広報担当者はもちろんのこと、プレスリリースに関係する人にとって役立つコンテンツが凝縮されていた。
トークセッションで聞いた「広報は戦略的に考える」というコメントが印象に残る。できることなら、あらゆるビジネスパーソンに参加してもらいたい勉強会である。
PR TIMESが”無料”になる「スタートアップチャレンジ」の詳細はこちら
(取材協力:株式会社 PR TIMES)
(編集:創業手帳編集部)
創業手帳ではプレスリリース配信・ニュース配信に関する「広報相談室」を設置しています。 ご希望の方は専門家相談窓口からご連絡ください。