物撮り・商品撮影のコツ3選!ネットショップ・自社サイト・フリマアプリなどで使える撮影ノウハウ
物撮りは売上を左右する!すぐに使える物撮りのコツや撮影カット、おすすめ機材などを徹底解説
幅広い世代がオンラインショッピングやWEBでの情報収集を日常的に行っている昨今、ネットショップや自社サイト、フリマアプリなど、自社商品の販売やマーケティングを行える媒体が豊富に揃っています。
その際に重要なのが商品写真のクオリティです。どれだけ優れた商品であっても、きちんと魅力が伝わらなかったり野暮ったい仕上がりの写真では、売れ行きが悪くなることも少なくありません。売上を左右する物撮りは、販売・販促活動・マーケティングのすべてにおいて力を入れたい作業です。
今回は、物撮りに欠かせない準備や覚えておきたい撮影カットをはじめ、物撮りのコツからおすすめ機材、それぞれの注意点まで解説します。
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この記事の目次
物撮りとは
「物撮り」とは、主に販売やマーケティングへの利用を目的に商品写真を撮影することです。「商品撮影」とも呼ばれています。
物撮りを行う際には、最初に以下の3つのポイントをおさえておきましょう。
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- 販売商品の情報を正しく伝える
- 消費者の興味を引く
- 消費者の購買意欲を促進させる
物撮りにおける、撮影までにおさえておきたい3つのこと
前述の3つのポイントをおさえるにあたって意識すべきなのは「誰に、何を、どうやってアピールするか?」を明確にすることです。
1:「誰に」はマーケティング戦略でのターゲット設定
1つ目の「誰に」は、マーケティング戦略で必須となるターゲット設定にあたります。
商品写真においても、あらかじめ同様のターゲティングを行っておくことが大切です。撮影する商品の購入対象となる顧客の年代や属性、市場規模などを定めておきましょう。
その上で、ターゲット層に人気のあるECサイトやWEBメディアを確認し、どんなテイストの商品写真が好まれていたり豊富に掲載されているか、傾向を掴んでおくと完成形のイメージが湧きやすくなります。
2:「何を」は消費者に知ってほしい販売商品の魅力
2つ目の「何を」は、消費者に知ってほしい販売商品の魅力です。
WEB上で商品を販売、もしくは販売促進やマーケティングを行う場合、スマートフォンやパソコンを通してアピールする必要があります。顧客の反応を見ながら説明可能な対面販売のような手法が取れないため、必然的に商品写真と商品説明ですべてカバーしなければなりません。
まずは消費者に訴えかけて購買意欲を高めるために、販売商品の魅力を具体的にピックアップしましょう。撮影時はその特徴が伝わる絵を撮っていきます。連動させながら掲載する商品説明が作成しやすいカットを意識することがポイントです。
3:「どうやって」は具体的な撮影カットの設定と準備
3つ目の「どうやって」は、より具体的な撮影カットの設定と準備です。
「誰に」で見極めたターゲット層と、「何を」でピックアップした消費者に知ってほしい販売商品の魅力を的確に伝えるために、最適なカットやシチュエーション、利用シーン、フォトスタイリングなどをディレクションします。
いざ本番の撮影時に迷ったり混乱するのを防ぐのにおすすめなのが、商品ごとに必要な撮影カットをすべてイラストで描いておくこと。ざっくりとした絵と、注意点がわかる簡単なコメントを書き添えておくだけで構いません。
また、それらに伴い撮影機材・小道具・素材・環境・モデルを用意しましょう。必ずすべて揃えるのではなく、その撮影に必須なものを準備すれば大丈夫です。
代表的な物撮り・商品撮影の撮影カット
「誰に、何を、どうやってアピールするか?」を踏まえた上で知っておきたい、代表的な物撮り・商品撮影の撮影カットをみていきましょう。
単品商品カット
単品商品カットは、物撮りの中で最も一般的な撮影手法です。1枚の写真に1つの商品だけを写します。商品の全体イメージを伝えやすいメリットがあり、後述する細部を寄りで撮影した詳細カットと一緒に使用するケースが多いです。
なお、Amazonや楽天市場など複合モール型のECサイトでは、単品商品の白背景や白抜きの画像が必須となっています。掲載先のルールに沿った物撮りの場合、あらかじめ白バックで撮影するか、レタッチで白抜き加工を行いましょう。
集合商品カット
集合商品カットは、複数の商品をまとめて1枚の写真におさめる撮影手法です。一般的に同じシリーズの色違いや、セット販売アイテムがある場合に用いられます。並べ方を工夫すれば、アレンジの幅が広がるのも特徴です。
メリットは、ブランドやシリーズをトータルで表現できること。1枚の写真でブランディングや周知を行うことが多い広告やSNSへの投稿に適した撮影カットです。
イメージカット
イメージカットは、ブランドイメージや商品の魅力・特徴を、よりスタイリッシュに演出できる撮影手法です。商品の詳細を伝えるというより、ひと目で消費者を惹きつける目的に適しています。
背景や小物にこだわるだけでなく、撮影後の画像編集で追い込んでいって最終的なイメージに仕上げることがポイントです。ECサイトや自社サイトのTOPページ最上部のバナーをはじめ、広告やSNS運用など、幅広く活用することができます。
シチュエーションカット
シチュエーションカットはイメージカットのひとつで、リビングやキッチン、バスルーム、屋外など、商品の利用シーンを想定しながら背景にまでこだわった撮影手法です。ライフスタイルカットとも呼ばれています。
消費者に対し、日常生活の中で「この商品はこういう使い方ができるんだな」と具体的に想起してもらうための活用にぴったりです。広告はもちろん、商品詳細ページなどフレキシブルに使うことができます。
詳細カット
詳細カットは、柄やロゴ、生地、部品、付属品など、細部にフォーカスした撮影手法です。主にECサイトなどで、前述の単品商品カットとセットで使用するのに適しています。
商品全体やイメージカットでは表現できない、デザインや素材、機能の特徴をクローズアップしアピールすることが可能です。一緒に掲載する商品説明と連動させ、必要な細部を漏らさず撮影していくとよいでしょう。
パッケージカット
パッケージカットは、商品とともに箱や包装を一緒に写す撮影手法です。パッケージにもこだわっている、あるいはブランドやシリーズ展開している商品のトータルブランディングに適しています。
期間限定や季節限定の商品に特別パッケージを用意している場合、販売ページや広告、SNS投稿にパッケージカットをメインとして掲載するのがおすすめです。あわせて限定であることをアピールすれば、消費者の購買意欲促進につなげることができます。
スケールカット
スケールカットは、商品を手に持ったり、日常生活で馴染みのある日用品と並べて一緒に写す撮影手法です。商品写真を目にした消費者が、実際のサイズや使い勝手をイメージしやすくなります。
一般的な商品販売ページでは寸法や容量が記載されていることが多いとはいえ、それだけだとサイズ感がわからず、購入を躊躇するという消費者が少なくありません。特に大きさが判断基準のひとつになる商品の場合、スケールカットを挿入したほうがよいでしょう。
モデル着用カット
モデル着用カットは、洋服や服飾雑貨で多用される撮影手法です。実際に着用したときのサイズやシルエット、印象が購入の決め手となる商品に適しています。
傾向としてライフスタイルに欠かせないアイテムが多いので、利用シーンを想定しながら背景にまでこだわったシチュエーションカットや、着用イメージをダイレクトに伝えるために単品商品カットと組み合わせるなど工夫しましょう。
物撮り・商品撮影のコツ3選
「誰に、何を、どうやってアピールするか?」を明確にし、その商品に合った具体的な撮影カットを理解した上で、物撮り・商品撮影のコツをみていきましょう。
1:ライティングにこだわる
物撮りのクオリティを最も左右するのはライティングと言われています。
ライティングとは、撮影時の光の当て方のことです。大きく分けて、窓から差し込む自然光、LEDやストロボなどの照明機材の2種類があります。
「どんな光を、商品のどの部分に、どれくらいの強さで当てるか?」によって写真の印象を変えることができるのが特徴です。
注意したいポイントは、「自然光とLEDを併用」といったように別の種類の光源を同時に使用しないこと。複数の光が混ざらないようにしましょう。
なお、自然光でも照明機材でも光を照らす角度の種類は共通しています。
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- 逆光・半逆光:カメラの真正面から入る光が逆行、斜め前から入る光が半逆光。輪郭がくっきりと際立つ特徴があり、食品や衣類などの撮影に適している。
- 測光(サイド光):カメラの真横から入る光。陰影がはっきりするので、質感や立体感を表現しやすく、雑貨や小物などの撮影に適している。
- 順光:カメラの真後ろから入る光。全体の輪郭を明確にさせる効果がある一方で、被写体を際立たせたい物撮りにはあまり適していない。
自然光で撮影するコツ
日当たりの良い部屋であれば、機材なしで撮影できるのが自然光の魅力です。
太陽光を使用すると商品写真が柔らかい印象になるため、ふわっとしたイメージやナチュラルな商品に適しています。ただし、デザインをクリアに見せたり、輪郭を明確に表現したい商品には向いていません。
自然光での撮影は、部屋の照明をすべて消し、光が差し込む窓際で行いましょう。光が強すぎる場合、レースなどの透ける素材のカーテンや薄手の白布を窓に貼るなどして光の量を調整してください。
特に自然光での撮影時は、商品を置く位置を調整しながら光を照らす角度を設定することもポイントです。
照明機材で撮影するコツ
LEDライトやストロボを使用すると、商品全体を均一に明るくすることができます。柄や輪郭、素材などの細部まで明確に表現したい場合におすすめです。
照明機材での撮影時も自然光と同様に、部屋の照明はすべて消すようにしましょう。光の種類を混ぜないことが鉄則です。
LEDライトなら、照明機材を置く位置を変えるだけで光を照らす角度を自在にコントロールできるメリットもあります。
2:構図にこだわる
初心者でもこなれた写真に仕上げることができる、代表的な3つの構図を取り入れてみましょう。
日の丸構図
日の丸構図は、被写体をフレームの中心に配置した構図です。
ただ単に中央に置いただけだと野暮ったくなってしまうため、次のポイントを意識して撮影するようにしましょう。
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- 商品と他小物を一緒に撮る場合、一定の距離を置く
- 商品を際立たせたい場合、背景をぼかす
- 印象を変えるには、商品が画像を占める割合を調整する(インパクト重視なら画面いっぱいに。可愛く、またはスタイリッシュに表現したいなら小さめに)
対角線構図
対角線構図は、フレームの対角に線を引き、その線上に被写体を配置した構図です。手前と奥の対角線上に商品を置くことで、奥行きや躍動感を演出できます。
商品を2つ以上、あるいは商品に小物を追加し、組み合わせて撮影する際に対角線構図を選んでみてください。バランスのよい写真に仕上げることができます。
三分割法
三分割法は、フレームを縦と横にそれぞれ三分割し、線の交点に被写体を配置した構図です。プロカメラマンが多用する構図のひとつで、どんな商品でもおしゃれなイメージを演出することができます。
3:カメラ設定にこだわる
一眼レフやミラーレス一眼なら、細かなカメラ設定が可能です。クオリティの高い物撮りを実現するために、ぜひカメラ設定にもこだわりましょう。
絞り値(F値)
絞り値(F値)は、カメラに取り込む光の量を表した数値です。数値を小さくすると絞りが開き、レンズを通る光の量が多くなります。反対に数値を大きくすると絞りが絞られ、レンズを通る光の量が少なくなるのが特徴です。
また、絞り値は撮影写真のぼけの大きさにも影響するのがポイント。絞り値が小さいほど被写体の前後が大きくぼけ、絞り値が大きいほどぼけの範囲が減って背景まで明瞭に表現することができます。
撮影シーンや商品によってベストな値は異なりますが、一般的な物撮りの場合はF8〜F11を目安にするとよいでしょう。
シャッタースピード
シャッタースピードは、シャッター速度を表した数値です。シャッターが開いている時間(秒数)のことで、数値を下げるほど明瞭な写真になります。
手ブレを防ぐには、初心者でもブレにくい1/250秒前後を目安に設定しましょう。三脚を使用する場合は、1秒前後のスローシャッターで明るさを確保するのがおすすめです。
ISO感度
ISO感度は、カメラが光をとらえる能力を表した数値です。
ISO感度を上げるほど暗所でも鮮明に撮れる一方で、ノイズが入りやすくなりボヤけた写真になります。ライティングや絞り値、シャッタースピードの設定をきちんと行うと同時に十分な光源を用意した上で、ISOは100〜200を目安にしておくとよいでしょう。
物撮り・商品撮影におすすめの機材・道具
物撮り・商品撮影をする際におすすめの機材や道具をチェックしておきましょう。
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- 三脚
- ストロボ
- LEDライト
- ディフューザー
- レフ板
- アンブレラ
- ライトスタンド
- 撮影台
- 小道具(洋書・服飾雑貨・花・フード・グラスなど)
- 白背景紙
- カラー背景紙
- 柄背景紙
- 画像編集ソフト
なかでも、最低限用意しておきたいのは三脚です。手ぶれの不安を解消したり、じっくりと撮影カットを作り込んでいくことができます。
撮影位置を固定できるため、撮り直しがしやすい点も三脚を使うメリット。両手が空くため、商品のちょっとした位置調整などもスムーズです。
材質はカーボン製とアルミ製が主流となっています。
スマホで撮影する場合のコツ
一眼レフやミラーレス一眼のクオリティまでは届かないものの、スマートフォンを使った物撮りも可能です。
基本的なコツや用意する機材・道具は変わりませんが、スマホならではのコツをおさえておくと綺麗な商品写真を撮ることができます。
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- グリッド機能をONにし、撮影画面に補助線を表示させる。垂直や水平が保たれているか確認しやすいだけでなく、日の丸構図や三分割法で撮影したい場合にも便利。
- 特にイメージカットやシチュエーションカットの撮影には、被写体を際立たせ、背景をぼかすことができるポートレートモードを選ぶ。おしゃれな仕上がりを求めるときに最適。
- 手持ちで撮影する場合、しっかりと脇を締め、両手でスマホを持つようにする。自分の肩・腕・肘を三脚代わりにするイメージで、手ブレを防ぐ体勢を作ること。
- セルフタイマー機能を利用して、手ブレを避けてシャッターが切れるように意識する。スマートフォンはブレや揺れを起こしやすいため、積極的に活用すること。
- 撮影後、カメラアプリや編集アプリを使ってレタッチを行う。露出やコントラスト、カラーバランスなどを調整し、商品のイメージが上がる写真になるよう丁寧に進めること。
まとめ
慣れていない方にとっては難しく感じるかもしれませんが、ひとつずつポイントをおさえて繰り返し撮影していくうちに上達するのが物撮り・商品撮影です。
WEBやチラシなど媒体を問わず、物撮りは商品の売れ行きを左右します。視覚的に直接訴えることができる商品写真のクオリティが上がれば、売上も伸びていくケースが多いのでぜひこだわってみてください。
デジタルカメラでもスマートフォンでも構いません。まずは積極的にトライしながらコツを掴んでいきましょう。
(編集:創業手帳編集部)