pluszero 小代義行|Chat(チャット)GPT活用は信頼性が鍵になる
Chat(チャット)GPTは「たまに間違えるものしり博士」。信頼性を補完できる仕組みが必要になる
一過性のブームで終わるとも思えない熱狂ぶりを見せているChat(チャット)GPTの人気は、社会を根本的に変革することになる期待感や恐怖感など、さまざまな感情に支えられています。
このブームの最中、「ChatGPTは、結局何ができて何ができないのか」と気になる方も多いでしょう。
AI関連サービスを展開する株式会社pluszero(プラスゼロ)代表取締役会長兼CEOの小代義行氏は、「ChatGPTはたまに間違えるものしり博士」とその本質を喝破します。
「AEI(Artifitial Elastic Intelligence)」という技術コンセプトを掲げ、独自のAI関連サービスを展開している同社は、今後、ChatGPTとAEIを連携させることに大きな可能性を見出しているそうです。
ChatGPTに何ができて、できないのでしょうか。AI関連サービスを展開する専門家、小代氏に聞きました。
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株式会社 pluszero 代表取締役 会長 兼 CEO
東京大学工学部を卒業後、NTTDATA、Microsoftなどの日米のITトップ企業と企業再生ファンド、Venture Capitalなどを展開するINSPiREでの業務を経験。自ら起業したユニークでは17年間に亘り、IT、AI、遺伝子医療、次世代教育、システムトレードなど、先端技術を活かした事業立上に従事。次世代リーダー養成をライフワークとし、これまで30人以上の社長を輩出。2020年6月にpluszeroの代表取締役に就任。
この記事の目次
Chat(チャット)GPTは何ができる?活用する際のポイントとは
小代:「たまに間違えるものしり博士」だと評価しています。また、別の言い方をすると「穴埋め問題のスペシャリスト」とも言えるかもしれません。
事実でも架空の話でも、とにかく穴をそれらしく埋めることができます。穴埋めをするときに、統計的・確率的観点からもっともらしいものを埋めてくれるのが、ChatGPTです。後は、人間のフィードバックを用いた強化学習という技術を使って、人が好むアウトプットを出すことに特徴があります。
あらゆる話題に対して自然な回答ができますが、ブラックボックスになっていて中身が見えなかったり、答えがないものや曖昧なものにも適当に答えてしまったりする場合があるのは要注意です。
小代:主にエンタメなどのクリエイティブ領域や説明責任が問われにくい課題など、信頼性が求められにくい領域で普及していくと思われます。
あるいは、信頼性を自らチェックできる人を補助する役割として普及していくでしょう。検索、要約、プログラミングの補助、資料の叩き台、ブレストの相手などの用途が考えられます。
精度が一定以上に高ければ、どのようにそれを導き出したかを説明できる解釈性は問われにくい画像認識やOCRなどの分野で利用されることもあると思います。
小代:信頼性を自らチェックできない人が結果を鵜呑みにして濫用することは避けなければいけません。ChatGPTのアウトプットの信頼性を補完できる仕組みがまだできていないため、信頼性が必要な領域に適用してはなりません。
また、人間とAIのコラボレーションをする際の役割分担にも気をつけると良いと思います。AIに過度に依存しすぎずに、適切に分担することを考えるべきでしょう。
また、逆に完璧主義になりすぎて、ChatGPTなどの最新AI技術を導入するのに臆病になりすぎるのも考えものです。業務にプラスになるなら思い切って導入することを決断してみることをおすすめしたいです。
Chat(チャット)GPTの信頼性を高めるAEI
「AEI」は当社が提唱する独自の技術コンセプトで、なおかつ、自然言語処理領域のAIです。解釈性の高い状態から推論効率を向上させたり、知識の動的更新をしたり、機械学習を部分適用することで精度を一気に向上させることを目指して開発を進めています。その上で、最終的に「ディープラーニング」や「ナレッジグラフ」に比べて精度を高めることを実現しようとしています。
ChatGPTはAEIにとって強烈な追い風になる、と考えています。信頼性の向上がChatGPT普及の鍵となりますが、AEIはChatGPTの信頼性を高めることができるためです。他方、ChatGPTがAEIの成長を加速させてくれます。相互作用で、AEIをどんどん成長させていくことができるのです。
AEIを活用した当社のサービスである「仮想人材派遣」の実現イメージとしては、ChatGPTを活用することによって、高い信頼性が求められる分野において、人が5人で作業をしている内容を人1人と仮想人材(AI)4人で捌けるようなことを目指しています。
ITやハードウェアの運用保守や製造業の設計・品質チェックなどの分野において活用されることを見込んでいます。
小代:ChatGPTは対象とする業務に必要となる信頼性に応じて使い分けると、より価値を引き出せると感じました。
本当に実用性を高めようとすると、ChatGPTの内部で使われているGPT4やGPT3のような大規模言語モデルの外側の部分が重要です。そのためむしろ、大規模言語モデル部分はコモディティ化し、外側の部分が主戦場となっていくと感じています。
AEIは、その外側の部分をディープラーニングだけでなく、言語学や倫理学や心理学などにも対応できるさまざまな人材を集めて、世界に先駆けて見える化したものになります。
Chat(チャット)GPTを含めたAI分野の最新トレンド
小代:もちろん、ChatGPTなどの生成系AIが伸びていくはずですが、信頼性を自動でチェックできる仕組みと組み合わせて普及するでしょう。それには、弊社の「AEI」などの仕組みが必要になるはずです。
ChatGPTに信頼性のチェックまで任せられるようになれば、日本企業全体の自動化率が向上していくでしょう。
また、ロボティクスとChatGPTを組み合わせた産業適用の分野にも可能性を感じます。マルチモーダル(※)な入力に対応が可能なGPT4と、信頼性を高めるAEIを活用し、ロボティクス分野の進化が加速するでしょう。
さらに、自動化レベルが高いAIがトレンドです。AEIやAutoGPT、AgentGPTなど、自動化レベルが高いAIが未来を切り開いて行くはずです。
(※)マルチモーダル…inputとoutputを含めて2つ以上のモーダル(テキストや音声などのデータの種類のこと)を含むような情報処理を行うことであり、入力に複数のモーダルを取り扱うケースを言及することが多い。ChatGPTの最新モデルであるGPT-4からは、マルチモーダル機能が初めて搭載された。
大規模言語モデル(LLM)を含む生成系AIであることを前提とした上で、人間に寄り添ったアウトプットを出すことができること(Alignment)と、先に述べたAutoGPT、AgentGPTなどの自動化レベルの高い性質を持つことの2点を備えたAI開発に注目しています。
小代:歴史が証明している通り、これからも素晴らしい発明を踏まえて、人間の仕事は変容・進化していくでしょう。
上手く技術と生活が融合し、新たな職業が次々と生まれていくはずです。
食料、エネルギー周りの生産性向上と富の分配の仕組みによっては、人間の可処分時間・可処分所得が増えて、仕事のニーズ自体が希薄化する可能性があります。
「自らが楽しく幸せに生きること」だけが最後に残るでしょう。
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(取材協力:
株式会社 pluszero 代表取締役 会長 兼 CEO 小代義行)
(編集: 創業手帳編集部)