農業で利用できる融資8選!資金調達を成功させるポイントも解説
農業で使える融資を活用して自分の状況に合った資金調達をしよう!
事業を拡大したり持続したりするためには資金が必要です。
しかし、農業に従事している方の中には、「どこに依頼すれば良いのか」「注意点はあるのか」と悩む方がいるかもしれません。
そこで今回は、農業で使える融資制度について解説していきます。
主な融資元をはじめ、おすすめの融資を紹介するため、資金調達に悩む農業経営者の方はぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
農業で利用できる主な融資元
農業で利用できる融資元には様々な選択肢があります。今回は、特に利用しやすい窓口を紹介します。それぞれの特徴を理解し、融資元を決める際の参考にしてください。
銀行や信用金庫などの金融機関
企業が資金調達をする際には、銀行や信用金庫などの金融機関に依頼します。同様に、農業を営む方も銀行や信用金庫などに融資を申し込めます。
地方銀行は独自の融資を提供しており、信用金庫も同じように農業経営者を対象にしたローンを行っています。
ただし、利用条件や融資率は金融機関によって異なるため、居住する自治体にある金融機関の農業用ローンを確認した上で、申し込みを検討してください。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、財務省が管轄している政府系金融機関です。
中小企業をはじめ、個人事業者や農林水産業者を対象にした資金調達をサポートしています。
主なメリットは、金利の低さです。条件次第では、銀行や信用金庫よりも金利が低いケースがあり、返済の負担を軽減できます。
融資制度によって異なりますが、返済期間も長めに設定できます。余裕を持った返済ができるため、農業経営が安定するまで精神的な負担がなく返済を進めることが可能です。
また、融資条件が緩めなケースが多く、ほかの金融機関では融資が難しいと判断された場合でも、融資が受けられる可能性があります。
申請にかかる手続きも民間の金融機関と比較すると少ない傾向にあるため、スムーズな融資が期待できます。
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JAバンク
農林水産業の発展に貢献するための金融サービスを提供しているのがJAバンクです。一般の銀行と同じように口座開設が可能で、農業経営者に有利なローンを利用できます。
また、政府や自治体が農業を支援する融資は、JAバンクで多く取り扱われています。
農業経営に詳しい担当者が多く在籍しているため、資金調達について相談したい場合に優れた窓口です。
資金調達で悩んだ際には、JAバンクに相談すると的確なアドバイスをもらえます。
ただし、ほかの金融機関でも農業に関する融資の取り扱いがあるため、比較検討することが重要です。
農業で使えるおすすめの融資8選
農業関連の融資には幅広い選択肢があるため、どれを選べば良いのかわからないと悩む方も多いかもしれません。
ここからは、おすすめの融資を8つ紹介していくため、参考にしてみてください。
農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)
農業経営基盤強化資金は、日本政策金融公庫が提供している融資のひとつです。「スーパーL資金」とも呼ばれています。
対象は、農業経営改善計画の認定を受けた認定農業者(個人・法人)です。個人の場合は、簿記記帳を行っているか今後簿記記帳を行うことが条件になります。
なお、融資限度額は以下の通りです。
-
- 個人:3億円(特認6億円)
- 法人:10億円(特認20億円、一定の場合30億円)
融資額が大きな点が特徴で、返済期間は25年以内(うち措置期間10年)と長く、利率は一般であれば0.55%~1.10%と低いため、農業経営者にとっては心強い味方となります。
資金の使い道は幅広く、農地取得にかかる資金調達としても活用できます。
また、無担保・無保証人制度となる「クイック融資制度」もあります。
融資額が500万円以下であれば申込める制度で、決算書といった書類を基に基準を満たしていれば無担保・無保証人での融資を受けることが可能です。
農業経営基盤強化資金について興味がある方は、日本政策金融公庫に相談してみてください。
経営体育成強化資金
経営体育成強化資金も、日本政策金融公庫が提供している農業用の融資です。
農業経営基盤強化資金とは異なり、認定農業者以外の農業者にも融資が受けられる制度となっています。
対象となるのは、主業農業者・認定新規就農者・農業参入法人・集落営農組織などです。
なお、主業農業者の場合は、以下の条件を満たす必要があります。
-
- 農業所得が総所得の過半を占めており、もしくは農業粗収益が200万円以上(法人は1,000万円以上)であること
- 個人の場合、農業経営に従事すると認められる青壮年の家族農業従事者がいる
- 法人の場合、常時従事者の構成員がいる
融資額は以下の通りです。
・前向き投資(経営改善)
個人:1億5,000万円
法人・団体:5億円以内
※負担額の80%が上限
・再建整備
個人:1,000万円(特認1,750万円、特定2,500万円)
法人:4,000万円
・償還円滑化
経営改善計画の期間中5年間(特認は10年間)支払われる既往借入金などにかかる負債の各年の支払金の合計額相当
返済期間は25年以内(うち措置期間3年以内)です。
青年等就農資金
青年等就農資金は、新規就農者を対象にした融資制度です。日本政策金融公庫が審査や諸手続きを行います。
対象は、認定新規就農者で、市町村から青年等就農計画の認定を受けた個人と法人ですが、原則として以下の要件に当てはまる方が対象です。
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- 18歳以上45歳未満
- 知識や技能を持っている65歳未満の者
- 上記2つが役員の過半数を占める法人
- 農業を開始してから5年以内
融資限度額は3,700万円(特認1億円)で、返済期間は17年以内(うち措置期間5年以内)です。また、借入れの全期間が無利子となるため負担が軽減します。
農業近代化資金
農業近代化資金は、JAバンクが提供している融資制度です。
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- 認定農業者
- 認定新規就農者
- 農業所得が総所得の過半を占めている、もしくは農業粗収益が200万円以上
- 上記農業者の経営主以外の農業者となる配属者や後継者など
- 一定基準を満たしている任意団体
上記の方が、農業近代化資金を利用できる対象です。
資金の種類は豊富で、建構築物等造成資金・果樹等植栽育成資金・家畜購入育成資金・小土地改良資金・長期運転資金・大臣特認資金などがあります。
借入限度額は個人は1,800万円(特認2億円)、法人(任意団体含む)は2億円です。
また、借入期間は以下の通りです。
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- 認定農業者:15年以内(うち措置期間7年以内)
- 認定農業者以外の農業者:15年以内(うち措置期間3年以内)
- 認定新規就農者が認定青年等就農計画に沿って就農する場合:17年(うち措置期間5年以内)
農業改良資金
農業改良資金は、日本政策金融公庫が提供している制度です。農業経営者の創意工夫によって新たな取組みを支援するための資金で、無利子で貸付けを受けられます。
対象として、認定計画に掲げる事業に取り組む次のような方が挙げられます。
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- 農林漁業バイオ燃料法の認定を受けた農業者
- 米穀新用途利用促進法の認定を受けた生産者
- 六次産業化法の認定を受けた農業者
- みどりの食料システム法の認定を受けた農業者
融資限度額は、個人は5,000万円、法人・団体は1億5,000万円です。
また、返済期間は12年以内(うち措置期間3年以内)で、振興山村や過疎地域、中山間地域などの特定の地域で事業を行っている方や六次産業化法の認定を受けた農業者の据置期間は5年以内です。
農業経営改善促進資金(スーパーS資金)
JAバンクによる融資制度のひとつが農業経営改善促進資金です。「スーパーS資金」とも呼ばれています。
認定農業者のみが対象で、種苗代や肥料代、営農用施設の修繕費、販売促進費など、計画の達成に必要ば運転資金を借入れできる制度です。
なお、融資限度額は、個人は500万円、法人は2,000万円です。限度枠内であれば何度でも借入れが可能で、カードローンと似た仕組みとなっています。
必要な資金を得られる便利な制度ですが、限度額は事業の規模や返済能力によって決定されることに注意してください。
農林漁業セーフティネット資金
農林漁業セーフティネット資金は、日本政策金融公庫で提供されている融資制度のひとつです。
対象となる方は、認定農業者・認定新規就農者・主業農業者・集落営農組織です。ただし、以下のいずれかに該当していなければ制度を活用できません。
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- 台風、冷害、干ばつ、地震などの災害被害に遭った
- 鳥インフル円座やBSEなどの発生によって家畜の殺処分や畜産物の移動制限を受けた
- 森林病害虫などによる行政指導を受けた
- 社会的、経済的環境の変化で経営状態が悪化した
融資限度額は一般600万円、特認は簿記記帳を行っており、特に必要と認められる場合のみ年間経営費の6/12以内の融資限度額となります。
アグリマイティー資金
アグリマイティー資金はJAバンクが提供している商品で、制度融資ではなく一般融資となります。
JAの組合員、農業を営んでいる方、JAが定める一定基準を満たしている方が利用可能です。
借入期間は長期資金であれば原則10年以内(最長20年)で、うち措置期間は3年以内です。一方の短期資金では、借入期間は1年以内となります。
県によって資金の名称や内容に若干の違いがあり、融資限度額も異なります。そのため、詳しい内容を知りたい場合は地域にあるJAバンクに相談してみてください。
農業経営者が融資を成功させるポイント
最後に、農業経営者が融資を成功させるポイントを解説していきます。
認定農業者・認定新規農業者を目指す
金利が低い融資制度を利用したいのであれば、認定農業者や認定新規農業者を目指すことがおすすめです。
制度によっては認定農業者しか利用できないものもあります。
なお、認定農業者になるためには、作成した農業経営改善計画を市町村に申請し、認定されれば認定書が発行されます。
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- 経営規模拡大に対する目標
- 生産方式合理化の目標
- 経営管理合理化の目標
- 農業従事の態様改善の目標
上記4つの項目を農業経営改善計画書に記載する必要があるため、入念に考えてください。
融資の使用目的を明確にする
融資を活用するためには、何の事業のためにどのような設備を購入し、どの程度の資金が必要になるかなど、使用目的を明確化させることが重要です。
使用目的や金額は、事前に見積もりを出した上で書類にまとめて提出すると審査を受けられます。
きちんと金額を出すためにも、使用目的を詳細に計画して、発生する費用を設備メーカーなどに問い合わせをしなければいけません。
審査に通るためにも、相手がわかりやすく説明することを心掛けてください。
事業計画書や収支計画書をしっかり立てる
融資を受けるためには、審査に通る必要があります。審査に受かるためには事業計画書や収支計画書をきちんと立てなければいけません。
金融機関は融資を行う際に返済能力の有無を調べる必要があり、事業計画書や収支計画書を確認、調査します。
なお、収支計画書を作成する際には、以下のポイントを押さえておけば審査通過率がアップしやすくなります。
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- 5年先の計画が立てられている
- 売上げや経費といった数字に根拠がある
- 経費を差し引いても生活費が十分に出せている
返済計画がなければ、毎月の支払いを続けられないかもしれません。事業計画書や収支計画はしっかりと立ててから提出してください。
面談の準備をする
融資を受ける際には、担当者との面談が実施されます。融資決定に影響を与えるため、入念な準備が必要です。
なお、面接時の回答は明確であることがポイントです。資金使途や融資金額、収支の見通しを正確に返答できるよう準備しておいてください。
また、言葉遣いにも注意が必要です。専門用語はできるだけ使用せず、誠実さが伝わるようにコミュニケーションを図ることが大切です。
まとめ・農業の資金調達に融資を活用しよう
今回は、農業の資金調達として活用できる融資制度について解説してきました。
農業は日本を支える重要な業種であり、農業経営者を対象にした融資制度は様々な種類が用意されています。
金利や返済期間など、経営者にとって有利になる制度でもあるため、必要であれば融資の内容を理解してから申し込みをしてください。
創業手帳(冊子版)では、農業を始めようと考えている方や農業経営者に向けて、資金調達方法以外にも様々な情報を掲載しています。農業に興味のある方や新規就農者として事業を始めたばかりの方は、経営に役立てるためにもぜひ参考にしてみてください。
(編集:創業手帳編集部)