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Pathfinder 小野﨑 悠介|片道専用レンタカーを利用者とマッチングする「カタレン」で注目の企業

近年、移動手段の多様化が進む一方で、レンタカー利用においては「乗り捨て料金」の高さや移動の効率性が課題となっています。

そんな中、注目を集めているのが「カタレン」。片道専用レンタカーを利用者とマッチングすることで、移動コストを抑え、レンタカー会社にとっても効率的な車両運用を可能にするサービスです。都市部の渋滞緩和や地域の交通格差解消など、社会的課題の解決にも貢献することが期待されています。

「カタレン」を運営するPathfinder株式会社の小野﨑悠介さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

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・この事業の特徴は何ですか?

カタレンは、出発店舗と返却店舗が固定された「片道専用レンタカー」を利用者とマッチングするサービスです。

この仕組みによって、通常のレンタカー利用で発生する高額な「乗り捨て料金」を大幅に削減することができます。また、レンタカー会社にとっては、車両を効率的に移動させる手段として機能するため、両者にとってメリットがあります。

カタレンは特定の目的地への車両移動が求められる場合や、片道の移動が多いユーザーに特化したニッチでありながら需要の高い市場をターゲットにしています。

・どういう方にこの事業を知ってもらい、活用してもらいたいですか?

カタレンは、どなたでもご利用いただけるサービスを目指していますが、特に以下のようなお客様に最適です。お客様のメリットは大きく3つあります。

片道利用の柔軟性:他の移動手段との組み合わせがしやすく、帰りは別の交通手段を選択可能。
プライベート空間と荷物の利便性:荷物の運搬がしやすく、快適なプライベート空間が確保されます。
自由なルート設定:車ならではのルート自由度があり、寄り道も思いのままです。

これらの特徴から、次のような4タイプのお客様に特におすすめです

20代のグループ旅行者:気軽に立ち寄りたい場所が多い旅行プランに最適。
小さなお子様連れのファミリー:移動中も快適でストレスの少ない旅が可能。
大きな荷物を運ぶ方:スムーズで効率的な移動手段を確保。
インバウンド観光客:自由に観光地を巡りたい海外からのお客様。

また、片道の旅程を計画中の旅行者や、異なる都市への移動が必要なビジネスパーソンにも最適です。さらに、自家用車を持たない方や、公共交通機関のスケジュールに縛られることなく自由な移動を楽しみたい方にもぴったりのサービスです。

・この事業の解決する社会課題はなんですか?

この事業の解決する社会課題は以下の2点です。

持続可能な移動社会の実現

カタレンは、モータリゼーションが生んだ負の側面を解消し、稼働率の向上による最小限の車両運用や、無駄な移動の削減でエネルギー効率化を図ります。また、移動データを活用し、最適なタイミングで最適な場所に車両を配置することで、近未来の自動運転時代にも対応した効率的な移動を可能にします。

都市と地域の移動課題解決

都市部では過剰な集中や渋滞を緩和し、移動コストを削減することで利便性を高めます。一方で、地域では交通機関が不足するエリアへのアクセスを改善し、駅から離れた観光資源や地域資源への到達を容易にすることで、都市と地域の交通格差を埋める役割を果たします。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

創業期に大変だったことは、以下の3点があります。

サービスの認知度向上
カタレンという新しいサービスの価値を、ユーザーやレンタカー会社に理解してもらうのが大変でした。そのため、地道なマーケティング活動やレンタカーとの提携などを進めて、少しずつ信頼を築いていきました。

提携企業の確保
特に大手レンタカー会社との提携交渉が最初のハードルでした。創業メンバーが直に企業と交渉し、成功事例や具体的なデータを基に提案を行うことで、信頼を得ることができました。

運営資金の確保
サービス開発や運営に必要な資金を確保するために、複数の出資者を探し、事業モデルの将来性にご理解いただきました。また、補助金や助成金の活用も乗り越える一助となりました。

・今の課題はなんですか?

現在の課題は「採用」です。事業が順調に拡大している中で、サービスを安定的に運営し、さらなる成長を支える人材の確保が急務となっています。

特に、新規エリアへのサービス展開や地方での事業拡大には、地域の特性を理解し、地域に密着した営業担当やマーケティングのスペシャリスト、そしてサービス全体の運営を支えるオペレーション人材が必要です。

また、企業としては、現状の事業運営のスピード感に対応できる即戦力となる人材に加えて、長期的に会社の成長を共に支えていける成長意欲の高い人材も求めています。

単なる片道レンタカーサービスではなく、将来的に自動運転が普及した社会において、移動の効率化や社会課題の解決に貢献する基盤を築く企業であることを目指しています。そのため、こうしたビジョンに共感し、情熱を持って挑戦できる人材が必要です。

このビジョンに共感し、共に成長していける人材を集めるために、採用戦略の見直しや企業ブランドの強化を進めています。

今後は、働きがいを感じられる職場づくりや魅力的なキャリアパスの提示を通じて、優秀な人材の獲得に注力していきます。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

カタレンは今後、より多くの人々に利用され、社会に大きな価値を提供するサービスを目指しています。

そのためには、まずサービスエリアを拡大し、都市部だけでなく地方や観光地など、片道レンタカーの需要が高いエリアでの展開を進めたいと考えています。

また、提携するレンタカー会社や関連事業者の数を増やし、ユーザーが選択できる車両やルートの幅を広げていきます。さらに、アプリやウェブサービスの利便性を向上させ、予約プロセスや利用体験をよりスムーズで快適なものにすることも重要な取り組みです。

最終的には、単なるレンタカーサービスに留まらず、移動の効率化や交通課題の解決を目指す社会インフラとしての存在を確立していきたいと考えています。

会社としても、根底にある考えはカタレンと同じく、自由と自律分散かつ生産性を上げる組織を目指しています。

BtoCの車両オペレーション・カスタマーサポート等はトップダウンの組織形態が残るかもしれませんが、そのほかはボトムアップ型の自由で自主自律を重んずる組織です。すでにエンジニアなどリモートメインで進めている組織もあります。

カタレン皆様の移動の自由度を上げつつも、効率化や交通課題解決を行うように、会社としては自由度高い組織でも、生産性や新しい事ができる会社にしていきます。

・読者にメッセージをお願いします。

起業していく中で、様々な困難があります。私も日々綱渡りを続けています。

そんな中でもある日、非連続な成長機会が訪れます。その瞬間会社が沸き立ち、今までの苦労が報われた気分になるのです。

その気分をまた味わいたいがため、苦労を買ってでもしている感があるくらいです。

革新的なサービスでモビリティや旅を変え、世の中を真に変えたい方は是非ご連絡ください。

会社名 Pathfinder株式会社
代表者名 小野﨑 悠介(おのざき ゆうすけ)
創業年 2020年1月
社員数 30名
事業内容 MaaS及び関連サービス/研究開発
サービス名 片道レンタカーサービス「カタレン」
所在地 東京都
代表者プロフィール 東京生まれ。東京農工大学大学院卒業後、豊田通商に入社し、技術や事業開発分野でキャリアを積む。その後、複数のスタートアップを立ち上げ、自動運転や物流領域の経験を活かし、2020年にPathfinder株式会社を創業。片道レンタカー「カタレン」を展開し、移動の未来を創造するMaaS(Mobility as a Service)に挑戦している。
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カテゴリ 有望企業
関連タグ MaaS Pathfinder カタレン モビリティ 地域活性 小野﨑悠介 旅行 自動運転
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