注目のスタートアップ

化学薬品不使用・短時間の加水分解技術を保有する「日本ハイドロパウテック」が3.1億円調達

company

2022年4月1日、日本ハイドロパウテック株式会社は、総額3億1,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

引受先は、フェアトレードカカオなどを取り扱う商社である株式会社立花商店などです。

日本ハイドロパウテックは、化学薬品を一切用いず短時間で加水分解を行う技術と、加水分解工程後の含水した対象物の乾燥と粉末化を効率よく行う技術を保有しています。

この技術により、各種醸造品の製造に必要な時間・コストが削減され、また化学薬品を用いないため、原材料そのものの表示が可能となります。

また、2020年からチョコレートの製造に関する研究開発を行っており、短時間、衛生的、低コストでチョコレート原料の製造を実現しています。全粉乳を代替する植物性加水分解物を用いることでアレルゲンフリーのチョコレートの開発にも成功しています。

今回の資金は、工場の拡張や機械設備の導入による生産体制の強化に充当されます。

加水分解とは、反応物が水に反応して起こる分解反応です。食品では発酵や醸造といった現象が知られていますが、この過程でも酵素による加水分解が発生しています。

食品の領域、特に醤油の製造において加水分解の研究は進んでおり、大豆や小麦グルテンなどを塩酸によって加水分解して製造されたタンパク加水分解物(アミノ酸液)というものが使われていることがあります。

タンパク加水分解物は非常にうま味・こく味が強く、食品の味を引き立てる力を持っています。また、安価かつ大量生産でき、長期間の保存ができることから、醤油だけでなく、即席麺、スナック菓子などの加工食品に広く利用されています。

タンパク加水分解物は、食べられる食品由来から作られた純度の高いアミノ酸、つまり昆布や鰹節などからとれる出汁と同じです。うま味のもととなるグルタミン酸を知っている人は多いと思いますが、これアミノ酸の一種なのです。

一方でタンパク加水分解物は塩酸によって化学的な方法で製造され、微量ながらもクロロプロパノールという物質ができてしまうことがあります。この物質は健康への悪影響がないとの調査結果がでており、さらには製造工程で除去されていますが、不安に思う消費者も少なからず存在しています。

日本ハイドロパウテックは、この加水分解において、化学薬品を一切使用せず、短時間、低エネルギーを実現しているため、既存の塩酸を使った加水分解を革新する技術であるといえます。

この技術によって製造された食品は「タンパク加水分解物」ではなく、原材料そのものの表示が可能であるため、食品表示を気にする消費者に訴求することも可能です。

研究開発型のビジネスは、資金調達が非常に重要です。「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど詳しく解説しています。

カテゴリ 有望企業
関連タグ 原料 技術 株式会社 発酵 資金調達 醸造 食品
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
【2025年最新】起業・開業の強い味方!補助金・助成金おすすめ15選
有限会社とは?なぜもう設立できないのか?
家族を従業員にする4つのメリットと注意するべきポイント
起業するには何から始める?ゼロからできる起業のやり方【5ステップ解説】
合同会社の設立方法を徹底解説|費用・手続き・必要書類まで分かりやすく解説!
【2025年最新】クラウドファンディングのやり方とは?仕組み・種類・始め方の手順ガイド

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

ブロックチェーン×OSSによる開発者収益化サービス「Dev」運営の「フレームダブルオー」が資金調達
2019年9月27日、フレームダブルオー株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。 ブロックチェーン×OSSによる開発者収益化サービス「Dev」を運営しています。 トークン・エコノミーを活用す…
超音波モーターと搬送用自律移動ロボットを開発・販売する「Piezo Sonic」が「神田工業」と資本業務提携
2022年7月22日、株式会社Piezo Sonicは、神田工業株式会社と、2022年7月7日に資本業務提携契約を締結したことを発表しました。 Piezo Sonicは、ロボットや医療機器での利用に適…
D2Cアパレル「SOÉJU」運営の「モデラート」 D2Cビューティブランド「IMAI」を3月以降にローンチへ
2022年3月15日、モデラート株式会社は、2022年3月下旬以降、新たにビューティ事業に参入しD2Cビューティブランド「IMAI(アイマイ)」をローンチすることを発表しました。 モデラートは、シーズ…
整形外科・接骨院・整体向けCRMツール提供の「リハサク」が1.1億円調達
2019年12月23日、株式会社リハサクは、総額1億1,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 整形外科・接骨院・整体向けのCRMクラウド・サービス「リハサク」を提供しています。 運動指導…
AI英語学習アプリ「マグナとふしぎの少女」を提供する「ミントフラッグ」が資金調達
2025年9月11日、ミントフラッグ株式会社は、資金調達を発表しました。 ミントフラッグは、AI英語学習アプリ「マグナとふしぎの少女」を提供しています。 ゲームやアニメを通じて楽しみながら英語学習がで…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集