個人農家が農作物を販売するには?許可や販売ルートについて解説!

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販売ルートや売り方を知れば利益につながる!


個人農家の悩みとしてよく挙げられるのは「農作物をどこで販売すれば良いのか」という点です。
育てた野菜などを販売して利益を出したいものの、どこで売ればいいかわからない人もいるでしょう。
また、そもそも個人農家として野菜を販売するのに許可が必要なのか知りたい人もいるかもしれません。

そこで今回は、個人農家が農作物を販売する方法やルート、許可が必要かどうかを解説します。
個人で育てた野菜・果物を販売したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

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個人農家が農作物を販売するのに許可は必要?


個人農家が農作物を販売するためには、許可や届け出などは必要なのでしょうか。
結論からいえば、基本的には許可や届け出をする必要はないものの、場合によっては必要となるケースもあります。

加工していない農産物の販売に許可はいらない

個人農家が育てた野菜・販売を加工せず、そのまま販売する場合、許可は必要ありません。
農作物を個人が収穫・販売することは、食品の採取業の範囲内にあると厚生労働省の資料でも示されており、営業許可や届け出、HACCP(衛生管理における国際的手法)に基づく衛生管理などは対象外となっています。

また、農作物を販売する場所が自宅の敷地内でも許可は不要です。
例えば圃場に簡易的な小屋をつくり、棚や台の上に野菜を並べて販売する程度であれば、許可は不要となります。
ただし、自分が所有する敷地内でも200㎡以上ある農業用倉庫を直売所として活用する際は、農地法の規定から許可が必要です。

農作物の販売で許可が必要となるケース

基本的に加工していない農作物の販売には許可は不要となりますが、必要となるケースも存在します。

ほかの農家から農産物を仕入れて販売する場合

自分が育てた農作物ではなく、ほかの農家から農作物を仕入れて自分の敷地内で販売する場合、野菜果物販売業の届け出が必要です。
さらに、食品衛生責任者の資格も取得する必要があります。これは個人ではなく共同で販売する場合にも同様の届け出・資格が必要です。

野菜果物販売業は、野菜・果物を仕入れて小売り販売する業態を指します。
届け出自体は無料で行うことができますが、HACCPに基づく衛生管理が義務付けられており、この届け出を提出するには食品衛生責任者の資格を持っていなくてはなりません。
食品衛生責任者の資格は1日程度の講習を受け、確認試験に合格することで取得できます。

農作物を加工して販売する場合

農作物を加工して販売する場合、営業許可の申請と食品衛生責任者の資格が必要です。加工食品は主にジャムやジュース、漬物などが挙げられます。
加工食品は衛生管理の問題から、施設の構造・面積、換気など基準がいくつも定められています。
そのため、自宅で農作物を加工して販売することはできません。施設がある地域を管轄する保健所に相談して、営業許可を申請してください。

なお、加工食品の中でも常温かつ相当期間保存できるようなもの(ジャム・ドレッシングなど)は、密封包装食品製造業の許可が必要です。
こちらも保健所に相談することで営業許可を申請できます。

自分の敷地内以外で農作物を販売する場合

自分が所有する敷地以外で農作物を販売したい場合は、許可が必要になってきます。
例えば軽トラやキッチンカーなどを活用して野菜を販売する場合、営業する場所の許可が必要です。
もし公道に車を止めて営業する場合は、その地域を管轄する警察署長から道路の使用許可を得なくてはなりません。
ショッピングモールの駐車場で販売する場合も、その駐車場を所有する運営元と契約することになります。

個人農家が農作物を販売する3つの方法


個人農家が農作物を販売する方法は、主に3種類に分けられます。各販売方法の特徴を知っておきましょう。

委託販売

委託販売とは、商品を業者に預けて販売する方法です。主に農作物の直売所や道の駅などは委託販売の形式をとっています。
売り場が用意されており、商品を並べたり売ったりする作業はすべて業者に任せられます。
農作物が売れたら利益が入ってきますが、代わりに販売手数料を支払う必要があります。

委託販売のメリットは、販売手数料の相場が約15%と低めであることです。販売手数料が低ければその分個人農家に入ってくる利益も大きくなります。
ただし、販売手数料が低い代わりに閉店後も野菜が売れず、残ってしまった場合には売上につながりません。
売れ残ってしまった場合に店側が責任を取ってくれないのは、委託販売のデメリットといえます。

買取販売

買取販売とは、商品を業者に買い取ってもらい、買い取った上で販売する方法です。主に加工業者との契約や飲食店との直接取引きなどは買取販売の形式をとっています。
委託販売とは異なり、お店に商品を買い取ってもらうのが大きな特徴になります。
買い取った時点で農作物は相手が所有することになるため、売れ残ってしまった場合でも引き取る必要はありません。
個人農家にとっては買取販売だと安定した売上げにつながるため、将来的に買取販売を目指したいと考える人も多いです。

直接販売

直接販売とは、個人農家が消費者に対して直接農作物を販売する方法です。
生産者と消費者の間に卸売業者などは入らないため、どのような形式で販売するかは農家側が自由に選べます。
消費者も農家から直接購入できるため、安全で新鮮な農作物を手に入れられることもあり、人気のある販売方法ともいえます。

ただし、直接販売を行うにあたり、農作物の洗浄や小分け作業、包装作業、販売まですべての作業を農家が行わなくてはなりません。
生産業務とこれらの業務を並行して行うことになるため、少しでも手間を減らすための工夫が必要となります。

個人農家が活用できる販売7つのルート


個人農家は以下の販売ルートを活用することが可能です。それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握し、自分に合った販売ルートを見つけてください。

販売ルート メリット デメリット
農協(JA) ・出荷する農作物をすべて買い取ってもらえる ・高い品質が求められる
・農家側で価格を決められない
・日によって買取金額が異なる
スーパーなどの小売業者や飲食店 ・安定かつ高収益を確保しやすい ・自然災害などで数を確保できなくなるリスクがある
道の駅 ・幅広い客層に向けて販売できる
・値段を自分で決められる
・販売手数料がかかる
・売れ残ったら自分で処分をしなくてはならない
無人販売 ・生産業務に集中できる ・盗難されるリスクがある
・認知されにくい
個人の直売所 ・売上げがすべて収入として入ってくる ・販売業務やマーケティングなどすべて自分で行う必要がある
移動販売 ・許可が取れれば出店場所は比較的自由 ・天候や販売場所の影響を受けやすい
モール型ECサイト ・集客効果が高く、出店直後から売れる可能性がある ・競合が多い
・契約プランによって手数料がかかる
産直販売のプラットフォーム ・初期費用・月額費用が無料のケースも多い
・高い集客効果が見込める
・販売手数料がかかる
・出店するには審査に通らなくてはならない
フリマアプリ ・ユーザーが多く、集客効果が高い ・出品者も多く、商品が埋もれる可能性が高い
自分が運営するECサイト ・初期費用・月額費用・販売手数料などが抑えやすい
・サイトのデザインも自由に決められる
・ほかのインターネット販売の方法に比べて認知度が低い

農協(JA)

農協(JA)が運営する直売所に農作物を持ち込んで販売する方法になります。加工食品でなければ特に許可を取得する必要がありません。
農協を選択するメリットとして、出荷する野菜・果物をすべて買い取ってもらえる点が挙げられます。
最初にすべて買い取ってもらってから店頭に並べられるため、万が一売れ残ってしまったとしても個人農家が損をすることはありません。

ただし、農協の店頭に並べられる農作物は品質の高さが求められ、少しでも虫に食われていたり規格に満たなかったりすると出荷できなくなってしまいます。
また、農作物の値段を農家側が自由に決めることはできません。これは農協が決めた金額によって市場全体の価格にも大きく影響が出てしまうためです。
同じ品質の農作物だったとしても、その時々で買取金額に差が出てしまう点は事前に把握しておきましょう。

スーパーなどの小売業者や飲食店

スーパーや生活協同組合(生協)などの小売業者や、飲食店と直接取引きをして農作物を販売するルートです。
価格を決めるのは基本的に小売業者や飲食店側になりますが、付加価値のある農作物を一定量安定して確保したい業者と契約栽培として受注することで、農家側も安定かつ高収益を確保しやすくなります。
また、食品加工業者との契約栽培なら、値段を決めてから販売することも可能なので、より安定的な収益が期待できます。

デメリットは一定量の農作物を納品することが契約で決まっているため、自然災害などが発生すると数を確保するのが難しくなる点です。
個人農家同士で連携をとり、リスク管理を行いながら一定量の農作物を納品できるようにすることが大切です。

道の駅

道の駅は、安全かつ快適に道路を利用するための道路交通環境の提供と、地域のにぎわいを創出することを目的につくられた施設です。
道の駅にはその地域の特産品を販売するスペースが設けられることも多く、新鮮な野菜や果物が並んでいる場合もあります。
道の駅は地元の人から観光客まで、多くの人が利用するため幅広い客層に自分がつくった農作物を販売できるというメリットがあります。
また、自分で価格を自由に決められるのも魅力です。

ただし、販売手数料がかかってくる点や売れ残った場合は自分で処分しなくてはいけない点、人気のある販売方法になるためほかの農家との競争が激しくなりやすい点には注意してください。

無人販売

無人販売はその名のとおり無人で農作物を販売する方法です。加工食品ではなく、自分が所有する敷地内で無人販売を行うのであれば、許可を取得する必要はありません。
収穫した野菜や果物を無人販売のスペースに並べておき、商品がなくなれば補充していくだけなので、営業時間に何かする必要はなく生産業務に集中できます。

ただし、誰にも見られていないことから盗難の被害に遭う可能性があります。
また、立地が悪くほとんどの人に無人販売所があることを認知されていなかったり、雨が降ったりすると売上げが落ちてしまう可能性も高いです。

個人の直売所

既存の直売所で販売するのではなく、個人で新たに直売所をオープンして販売する方法もあります。
自宅や圃場の敷地内に直売所を開けば、特に許可を取ることもなく販売することが可能です。
また、個人の直売所なら手数料を支払う必要もなく、売上げがすべて収入として入ってきます。

個人の直売所を設けるデメリットは、販売業務やマーケティング施策などもすべて自分で行わなくてはいけない点です。
ただ野菜を並べただけでは売れない可能性もあるため、売るためにはどうすればいいかを考える必要があります。

移動販売

決められた場所に直売所を設けるのではなく、軽トラなどを活用して移動販売する方法もあります。
移動販売はその場所ごとに許可を取る必要があるため、移動販売を始める前にまずはどこに許可を取るのか調べてから始めてください。

移動販売のメリットは出店場所が比較的自由になるため、色んな地域の消費者に農作物を届けられる点が挙げられます。
直売所があるところまで行けない人にも、移動販売で近くに寄った時に購入してもらえる可能性があります。

一方で、移動販売は基本的に屋外で買い物をすることになるため、天候の影響を受けやすいという点がデメリットです。
また、販売場所によっても売上げが左右される傾向にあるため、どこに出店すべきか考える必要もあります。

ネット販売

近年はインターネットを活用して農作物を販売するケースも増えています。ネット販売による方法は大きく4種類に分類することが可能です。

モール型ECサイト

モール型ECサイトとは、数多くのネットショップが集結するECサイトで、Amazonや楽天市場などが挙げられます。
モール型ECサイトは多くのユーザーが利用していることから、出店した直後でも人が集まりやすく、購入してもらえる可能性が高いです。
契約プランによっては手数料がかかったり、多くの競合が存在するため差別化を図らなくてはいけなかったりするなど、デメリットもあります。

産直販売のプラットフォーム

産直販売のプラットフォームでは、産直食材を主に取り扱っており農作物のほかに肉類や魚介類、卵、お米なども販売されています。
もともと産直食材に興味がある人がサイトを訪問しているため、高い集客効果が期待できます。
初期費用・月額費用などは無料になりますが、販売手数料はかかってしまうため注意が必要です。また、出店するためには審査に通らないといけません。

フリマアプリ

メルカリやラクマなどのフリマアプリから出品して販売する方法です。
フリマアプリでは基本的に要冷蔵の商品や生の肉類・魚介類などの取引は禁止されていますが、野菜や果物などは出品できます。
フリマアプリも利用者が多く、集客効果が見込めますが、出品者の数も多いため時間が経つとどんどん他の商品に埋もれてしまい、消費者の目に留まらなくなる可能性があります。

自分が運営するECサイト

自分でECサイトを制作・運営する方法もあります。
自分が運営するECサイトはほかのネット販売の方法に比べて初期費用や月額費用、販売手数料なども抑えることが可能です。
また、サイトのデザインなども自由に決められることから、自分好みのECサイトにすることもできます。
ただし、ほかの方法に比べると認知度が低くなってしまい、思うように集客が増えない可能性もあるので、集客対策を講じる必要があります。

まとめ・多様な販売ルートを活用して利益の拡大を目指そう

個人農家は自分の敷地内で加工せずにそのまま農作物を販売するのであれば、許可を取る必要はありません。
しかし、販売する場所や加工の有無によっては資格や許可が必要な場合もあることを知っておきましょう。
また、個人農家が活用できる販売ルートも多岐にわたります。各販売方法やルートのメリット・デメリットを把握しつつ、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

創業手帳(冊子版)は、個人農家にも役立つ経営に関する情報をお届けしています。今回紹介した販売方法や経理に関する情報なども紹介しているので、ぜひお役立てください。

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(編集:創業手帳編集部)

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