個人事業主のインボイス対応は会計ソフトを活用しよう!

資金調達手帳

個人事業主におすすめのインボイス対応会計ソフトについて解説


インボイス制度が始まり、個人事業主やフリーランスも対応を迫られる場面があります。
具体的にどう対応すればいいのかわからない、会計は良くわからないといった人もいるでしょう。
そのような時には、インボイスなどの法令改正に自動対応してくれる会計ソフトを検討してください。

インボイス制度で個人事業主に何が求められるのか、どういった対応が必要なのかをおすすめ会計ソフトとともに紹介します。

創業手帳では、税理士監修の『インボイス登録ガイド』をリリースしました。未だ多くの方が登録すべきかどうかで悩んでいるインボイスですが、制度の基本から、職種別によるケーススタディや、登録すべきかどうかの判断の参考になるフローチャートなど、多くのコンテンツをご用意!無料でご請求可能ですので、是非登録に迷われている方は、こちらも参考にしてみてください。


インボイス登録ガイド

大久保写真創業手帳・代表 大久保のコメント

創業手帳には毎月多くの起業家が登録されますが、最近インボイスの話題が多いです。
多くの起業家や個人事業主の開業を応援してきた現場の視点からコメントしますね。

インボイス対応に反対している個人事業主さんもいてニュースになっていたりします。
わからないとなんとなく嫌だな~と思うかもしれません。

一方でインボイス自体は先進国では基本的に全て導入されていて、日本でもいずれにせよ導入が進むのは間違いありません。

このままインボイス制度が無くなってしまえば面倒じゃないのに、という淡い期待も頭をよぎりそうですが、対応は不可避になりそうです。

一方で、個人事業主の方には経理周りを整備する機会にもなります。

会計ソフトを使った記帳については、売上や利益が見える化されること、今後もし融資など資金調達をする場合も圧倒的にやりやすくなるので、この機会に会計ソフトは、導入しておくことをおすすめします。

それでは、インボイス対応で何が変わるのか、どういう会計ソフトがあるのかなどを見ていきましょう。

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個人事業主がインボイス(適格請求書等保存方式)対応すると何が変わる?


インボイス制度は、2023年10月から導入の消費税額を正確に把握するために設けられた新しい制度です。正式には適格請求書保存方式といいます。

インボイス制度が始まるまでは区分請求書等保存方式と呼ばれる、消費税率の違いによる区分経理対応の帳簿や請求書が使われてきました。
しかし、2023年10月からのインボイス制度がスタートすることで、区分請求書等保存方式の記載内容に加え事業者登録番号や適用税率、税率ごとの消費税額を記載した適格請求書、つまりインボイスに移行します。

個人事業主もインボイス制度が始まることで少なからず影響を受けます。
会計ソフトであれば自動対応してくれるものもあるので、効率を重視する事業者におすすめです。

請求書の様式が変わる

インボイス制度が始まることで、請求書の様式が変わります。
インボイス制度が始まるまでの請求書に記載されている項目に加えて新しい項目を記載しなければいけません。

インボイスに記載する項目は以下のものです。

  • インボイス発行事業者の氏名または名称および登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨も記載)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率
  • 消費税額など
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

変更になったのは、インボイス発行事業者の登録番号の記載が必要になることと、税率ごとに区分した消費税額、区分して合計した適用税率の記載です。
上記の項目が記載されていれば、様式はレシートでも問題ありません。

会計ソフトであれば、必要な項目を記載した適格請求書を作成できます。

記帳の種類が増える

インボイス制度によって、経理業務も煩雑さを増します。
適格請求書発行事業者から受け取るインボイスだけでなく、免税事業者との取引きがある場合には、区分して集計しなければいけません。

また、税率をどのように計算するかによって会計処理も変わります。
会計ソフトを使用する場合は、記帳する時に請求書を区分で分ける機能があるか必ず確認してください。

適格請求書発行事業の申請が必要になる

インボイス制度が始まると、売り手は買い手の求めに応じてインボイスを交付することになります。
一方で、買い手は受け取ったインボイスを保存して仕入税額控除を受けます。

仕入税額控除は消費税の二重払いを防ぐための制度で、買い手から預かる消費税を仕入れ時に支払った消費税を差し引いて差額を納税する制度です。
インボイス制度が始まってからは、仕入税額控除を受けるためにはインボイスを受け取って保存しておかなければいけません。

課税事業者としてインボイスを発行するには、適格請求書発行事業者となる申請が必要です。

適格請求書発行事業者になる登録申請には期限は設けられていません。
もしも適格請求書発行事業の申請が済んでいないのであれば、早めに対応してください。

あわせてお読みください
インボイス制度についての記事一覧
インボイス制度の経理業務変更点について、詳しくはこちらの記事を>>
インボイス制度の経理業務変更点!早めに備えておこう

個人事業主のインボイスの準備


「インボイス制度が始まっても個人事業主だから関係ない」、「今まで消費税の手続きをしたことがない」といった人もいるかもしれません。
しかし、実は個人事業主こそインボイス制度によってビジネスに大きく影響があります。

日本において事業者は、課税事業者と免税事業者に分けられます。課税事業者は、消費税の納付義務がある法人や個人事業主です。

原則として事業を営む法人と個人は消費税を納付しなければいけませんが、一定の条件を満たすことで消費税納税の義務が免除されます。これを免税事業者と呼びます。

免税事業者だからインボイス制度が無関係とはいえません。
取引相手に課税事業者がいる場合、いままで免税事業者だった個人事業主も課税事業者となって適格請求書発行事業者になるかどうかの判断を求められます。

以下で詳しい内容を紹介します。

適格請求書発行事業者になるかどうか判断

インボイス制度が始まると、適格請求書発行事業者である売り手は買い手からの求めがあればインボイスを発行しなければいけません。
買い手はインボイスを受け取って保存、集計して仕入税額控除を受けます。

しかし、買い手がインボイスを発行できない免税事業者から仕入れた場合には仕入税額控除が受けられません。
買い手の目線に立てば、適格請求書発行事業者から仕入れをしていたほうが仕入税額控除が受けられるぶんだけ免税事業者から仕入れるよりもお得になります。

その結果、免税事業者は取引きで不利な立場に立たされてしまうかもしれません。
消費税を納税することになるコストと、取引きで得られる利益を鑑みて適格請求書発行事業者になるかどうかを判断します。

適格請求書発行事業者への登録

適格請求書発行事業者になるには、登録申請書を税務署に提出してください。
申請から登録番号の発行までには一定時間がかかるので、できるだけ早めに手続きを済ませるようおすすめします。

もともと課税事業者である個人や法人は適格請求書発行事業の申請だけですが、免税事業者の場合は原則として「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となる必要があります

取引先の状況確認と情報共有

インボイス制度への対応は自社だけでなく他社間との取引きにも影響を与えますので、
取引先が適格請求書発行事業者になるかどうかを確認してください。

取引先が適格請求書発行事業者にならない場合、取引きの見直しも検討することがあるかもしれません。
また、自社の予定や登録番号を先に取引先に伝えておくと後からスムーズです。

従業員へインボイス制度について周知

インボイスは領収書の扱いや会計業務、経費の精算にも関係します。

会計の担当者だけでなく、全従業員にどういった対応が必要か周知してください。
社内で勉強会を開いたり、説明資料を配布して理解を推し進めます。

会計ソフトや請求書作成ソフトなどツールを導入

インボイス対応は売り手としての対応と買い手としての対応の両方が求められます。
インボイスを発行できる会計ソフトやインボイスを保存できるサービス、税計算のツールも事前に揃えてください

会計ソフトなどの新しく導入するツールは、操作方法も確認しておきます。

インボイス対応に必要な会計ソフトの機能とは?


インボイス制度が始まることで、企業の経理業務は変わります。また、それに対応する形で会計ソフトもインボイス対応が求められます。

どのような機能が求められるようになるのか、以下で確認してください。

インボイスの発行

インボイス制度に対応するには、第一にインボイスをスムーズに作成、発行できなければいけません。

今まで請求書などもExcelで作っていた会社もあるかもしれません。しかし、インボイスには消費税を細かく記載することになります。
そのため、計算ミスや記載漏れが起こってしまう可能性があります。
会計ソフトを使えば計算しなければならない項目も含めて、インボイスの記載項目を自動で作成可能です。

消費税の帳簿入力

インボイス制度が始まることで帳簿付けも変わります。売上げや経費を記帳する時に、消費税率などを入力します。
取引きによって消費税率や請求書の区分を分けて記録することで、集計の手間も減らすことが可能です。

また、インボイス制度が始まってすぐに免税事業者からの仕入税額控除が受けられなくなるわけではありません。経過措置の期間は、一定の控除を受けられます。
2023年10月1日~2026年9月30日は仕入税額相当額の80%、2026年10月1日~2029年9月30日までは仕入税額相当額の50%が受けられます。
経過措置を受けるには、「80%控除対象」といった文言を記載しておかなければならないので、経過措置にも対応している会計ソフトが必要です。

消費税の確定申告

インボイスに対応するために課税事業者になる場合、消費税の納付もスタートします。
消費税を納付するには、所得税だけでなく消費税の確定申告も行わなければいけません。

消費税の確定申告は、所得税の確定申告と比較して複雑です。
会計ソフトでも対応していますが、取引数が多い場合には専門家に依頼することも検討してください。

簡易課税制度に対応

消費税の申告には手間もかかります。中小企業事業者の事務負担を減らす目的でインボイス制度には簡易課税制度も設けられました。
これは事前申告しておけば、消費税の申告の時に簡易的な方法で計算できる制度です。

簡易課税制度を利用できるのは、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の期間です。
申告の時に提出書類が違うので、会計ソフトが対応しているかどうか確認してください。

軽減税率に対応

事業者によって複数の税率のものを取引きすることもあります。その場合には、軽減税率・標準税率を区分して会計できるソフトを選ばなければいけません。

さらに、小売業や飲食業のような少額で多数の取引きがある事業者の場合は適格簡易請求書を利用することになります。
適格簡易請求書も税率や消費税額を区分するため、対応しているかチェックしてください。

改正電子帳簿保存法に対応

インボイスは電子データでの発行も認められています。事務の煩雑化を防ぐためにも、電子データでの発行を検討する企業もあるでしょう。
インボイスは7年間の保存義務があります。改正電子帳簿保存法に対応していて、請求書の自動保存ができる会計ソフトであれば手間もかかりません。

改正電子帳簿保存法は、税金に関わる書類を電子データで保存することを認める法律です。
電子取引きで発行や受領をしたインボイスはインボイス制度と改正電子帳簿保存法の両方に関係しています。
インボイス制度も改正電子帳簿保存法も両方が商標の管理や運用に関わる法令なので両方に対応できるシステムを選ぶようにしてください。

個人事業主におすすめインボイス対応会計ソフト


個人事業主が、会計ソフトを使わずにインボイス対応するのは大変です。
Excelや手書きでミスなく要件を満たそうとすると、手間も時間も大きくなってしまいます。

手間をかけずにインボイス対応するのであれば、インボイス対応の会計ソフトを検討してください。

インボイス対応を任せられる会計ソフトを5つ紹介します。

弥生のクラウド会計ソフト


クラウド会計ソフトの中でもシェアが高く、個人事業主が使いやすいのが弥生のクラウド会計ソフトです。
低価格でありながらも使いやすく、白色申告者向けの「やよいの白色申告 オンライン」と青色申告者向けの「やよいの青色申告 オンライン」の両方がインボイス対応しています。

姉妹サービスの「Misoca(ミソカ)」を使ってのインボイス作成も可能です。記帳画面もシンプルで、会計初心者でも操作しやすいツールになっています。

やよいの白色申告オンラインや、やよいの青色申告オンラインについて詳しく知りたい方はこちらもお読みください
帳簿とは? 帳簿の付け方はエクセル・手書き・会計ソフトどれがいいの?
e-Taxで確定申告するメリットと注意点まとめ

freee会計


freee会計は、会計ソフト導入をきっかけに業務効率化を進めたい事業者向けの会計ソフトです。
インボイス対応しているだけでなく、記帳の自動化など高機能なスマートフォンアプリを使って、日々の会計業務の負担を減らしてくれます。
レシートを撮影するだけで自動読み込みしたり、口座やクレジットカードの明細を自動で取得したりと面倒な作業から解放してくれる優れものです。

インボイスの作成は、freee請求書からできます。
最安のスタータープランでは消費税の申告書は作れないので、希望する場合には上位プランのスタンダードかプレミアムを選択してください。

クラウド会計ソフトfreeeについて詳しく知りたい方はこちらもお読みください
freeeは電子帳簿保存法に完全対応。経理のペーパーレス化推進に最適
freeeの基本機能とは?メリット・デメリットやプランもご紹介

マネーフォワード クラウド


マネーフォワードクラウドは、バックオフィス業務を一気に導入したいと考えている個人事業主におすすめです。
「クラウド確定申告」や「クラウド請求書」さらに「クラウド勤怠」、「クラウド給与」などまとめてリーズナブルに導入できます。

「クラウド請求書」ではインボイスを発行してそのままメールで発送でき、さらに郵送依頼も可能です。
消費税申告はパーソナル以上のプランを選択してください。

インボイス王


会計ソフト「会計王」などを提供するソリマチでは、請求書作成アプリ「インボイス王」を使うことでインボイス制度に簡単に対応した請求書は発行できるようになります。請求書10枚までは0円でご利用が可能で、枚数制限なしプランについても月額550円(税込み)でできるプランや年額プランもあるため、試してみたい方はお気軽にご利用できます。

また、会計王などの会計ソフトと連動させることで、請求書の発行あるいは受領したものを会計ソフトに仕訳として取り込み、仕訳は自動で行ってくれるのでさらに効率化が図れます。

FXクラウドシリーズ


TKCは全国で1万人を超える会計士のネットワークをもち、「FXクラウドシリーズ」を始めとする、様々な会計システムを展開しています。インボイス対応としては、紙のインボイス対応以外にも電子インボイスの対応についても完全対応しており、デジタル庁より「ペポルサービスプロバイダー」として国内初の認定を受けています。またFXシリーズにおいては、電子帳簿保存法にも対応したJIIMA認証も満たしています。

会計・税務の専門家が、インボイス制度をはじめ、業績向上を支援してくれるのは非常に心強いでしょう。

まとめ

インボイス制度がスタートすることで、個人事業主の働き方も影響を受けます。
これからどのような働き方でどれだけの利益を出すのか、インボイス発行事業者になることでメリット・デメリットはどの程度あるのかシミュレーションしなければいけません。

インボイス制度の導入は、会計業務を見直しするきっかけにもなります。どの会計ソフトが良いか、機能や料金を比較して選ぶようにしてください。

創業手帳では、税理士監修の『インボイス登録ガイド』をリリースしました。未だ多くの方が登録すべきかどうかで悩んでいるインボイスですが、制度の基本から、職種別によるケーススタディや、登録すべきかどうかの判断の参考になるフローチャートなど、多くのコンテンツをご用意!無料でご請求可能ですので、是非登録に迷われている方は、こちらも参考にしてみてください。


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大久保写真創業手帳・代表 大久保のまとめ

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(編集:創業手帳編集部)

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