過少申告加算税とは?発覚するケースや課されないための対策について解説
個人・法人を問わず過少申告加算税が発生するリスクはある

確定申告や法人税申告では、税額を正しく申告しているつもりでも、計算ミスや認識違いによって本来より少ない税額を申告してしまうケースは少なくありません。
このような「過少申告」が税務調査などで指摘された場合、追加で税金を納めるだけでなく、「過少申告加算税」が課される可能性があります。
過少申告加算税は、故意でなくても発生する点が特徴で、個人事業主はもちろん、法人にも等しく適用されるペナルティです。
「うっかりミスだから大丈夫」「金額が小さいから問題ない」と思っていると、思わぬ負担につながることもあります。
この記事では、過少申告加算税とは何かという基本から、どのような場合に課されるのか、課されないための対策方法までわかりやすく解説していきます。
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この記事の目次
過少申告加算税とは?

過少申告加算税とは、確定申告で確定させた納税額が、実際に納める税額よりも少なかった場合、過少に申告したとして課される追徴課税のひとつです。
冒頭でも紹介したように、個人事業主や法人、会社員など、納税義務がある人・事業者すべてが対象であり、わざとではなかったとしても税負担が増加する可能性があります。
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過少申告が発覚する主なケース

過少申告が発覚するケースとして、主に以下の5つです。
税務調査が入った
税務署は納税義務がある個人事業主や法人に対して、税務調査を実施しています。
税務調査では確定申告の内容が本当に正しいのか、きちんと税金を納めているかなどを調査するものです。
この税務調査で契約書や請求書、領収書・レシートなどと帳簿の内容が正しいかどうかを確認します。ここで、過少申告が発覚する可能性があります。
調査官は何度も税務調査を経験してきた人が携わることから、誤魔化そうとしてもすぐにバレてしまうでしょう。
取引先の税務調査で矛盾が見つかった
自社に税務調査が入らなかったとしても、取引先の税務調査で矛盾が発覚したことで、自社の過少申告が発覚するケースもあります。
税務調査では書類と帳簿の内容を確認するだけに留まらず、取引相手や取引内容についても詳しく調査されます。
例えば税務調査で取引先に多額の支払い履歴があるにも関わらず、受け取ったはずの金額が正しく申告されてなく矛盾が生じた場合は、過少申告加算税が課されるかもしれません。
銀行の入出金・資産状況から発覚した
税務署は金融機関の口座を調査する権限を持っており、資産や入出金の状況を把握することが可能です。また、法務局から登記情報を得ることもできます。
例えば事業収入を赤字として申告したにも関わらず、法人口座や個人事業主の口座に不自然な入出金履歴を発見された場合、「過少申告を行っているのではないか」と疑いの目をかけられる可能性があります。
また、不動産を購入することで過少申告がバレてしまう可能性も少なくありません。
確定申告などの申告内容と照らし合わせた際に、不動産の購入資金はどこから来たものか疑われ、結果的に過少申告が発覚してしまいます。
関係者から密告があった
社内の事情を知る関係者が不正に過少申告している事実を知ったことで、税務署へ内部告発をしたり、取引先や競合他社などが不正行為に気づいて密告したりする場合もあります。
国税庁のホームページには過少申告や脱税などに関する情報の募集をかけており、専用の情報提供フォームも用意しています。
情報提供フォームでは氏名・連絡先などの入力欄はあるものの、任意となっているため匿名での密告が可能です。
税務署はここで情報提供を受けると、該当する法人・個人事業者に対して詳しい税務調査を実施することから、そこで過少申告がバレてしまう可能性があります。
SNSの投稿でバレた
SNSの投稿から税務調査の対象となり、過少申告が発覚する可能性もあります。
例えば、SNSで会社の経営に関する数字や実績などを公開し、明らかに申告内容と矛盾している場合は、税務調査につながる可能性が高いです。
また、プライベートについてSNSで気軽に投稿する人もいるでしょう。
高級ブランドの洋服やバッグをたくさん所有している様子を自慢していたり、都心のタワーマンションに住んでいる様子を投稿したりすると、調査官の目に留まりやすくなります。
経営者個人のアカウントだったとしても、発信する内容には十分に注意することが大切です。
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過少申告加算税が課されるパターン

過少申告加算税は、基本的に本来納めるべき税額より少なく申告した場合に、過少申告加算税の対象です。
例えば、計上しなくてはいけない売上げの記載漏れや、計算ミスによって過少申告加算税が課されてしまう可能性があります。
また、税務調査などで申告していた経費を否認されてしまった場合、売上げから差し引ける金額が減ってしまい課税額が増えてしまうことにより、過少申告加算税が発生します。
確定申告を提出した後で過少申告だったことが判明した場合、修正申告によって修正をすることも可能です。
ここで更正処分を受けてしまった場合、過少申告加算税も発生することになります。
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過少申告加算税の計算方法

過少申告加算税はどれくらいかかってしまうのか気になる人も多いかもしれません。過少申告加算税は、増差本税に過少申告加算税の税率を乗じることで求められます。
増差本税とは、申告した税額と本来納めなくてはいけない税額の差額を指す言葉です。修正申告や更正の際に追加で納める税額です。
増差本税に適用される税率には、通常分と一定要件を満たした場合に上乗せされる加重分を合計したものになります。
通常分の税率は原則10%で、税務調査の通知後に更正の予知なく修正申告を行った場合は5%です。
加重分の場合、増差本税の金額が期限内申告税額または50万円のいずれか多いほうの金額を超えた場合、その超過分に通常分に5%を加重して金額を求めます。
例えば期限内申告税額が30万円、本来納めないといけない税額が90万円、増差本税が60万円の場合、通常分と加重分をそれぞれ計算すると以下のようになります。
【通常分】
60万円×10%=6万円
【加重分】
期限内申告税額30万円<50万円
増差本税60万円-50万円=10万円
10万円×15%=15,000円
通常分6万円+加重分15,000円=75,000円
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過少申告加算税が特に注意すべき人

個人事業主や副業収入がある会社員、現金取引きが多い業種に従事する人は、過少申告が起きやすいため特に注意が必要です。
例えば個人事業主の場合、売上げや経費を自己判断して計上するケースが多く、慣れていないと計算ミスや記載漏れが起きる可能性もあります。
副業収入がある会社員も、本業とは別で得た収入の申告を忘れてしまい、過少申告加算税が課されるリスクもゼロではありません。
また、飲食業・小売業といった現金での取引きが多い業種の場合、売上管理が煩雑になりやすく、実際の入金状況と帳簿の内容に差が生じてしまうこともあります。
これらはすべてわざとではなかったとしても、過少申告と判断されてしまう可能性があるため、日頃から正確に記帳し、忘れずに申告するよう意識することが大切です。
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過少申告加算税が課されない場合もある

本来であれば過少申告加算税が課される場面でも、一定の条件を満たすことで課税されないケースもあります。
過少申告加算税が課されないのはどのようなケースになるのか解説します。
更正を予知せず自主的に修正申告をした場合
国税通則法第65条第5項にて、更正を予知せず自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税は適用されないと規定されています。
例えば税務調査の事前通知がされていない状態で、自ら修正申告を提出し、本来納めるべき税額を追加で納めた場合、過少申告加算税はかかりません。
逆に、税務調査を受けた後で修正申告をした場合や、税務署から申告税額の更正を受けてから修正申告を行った場合は、過少申告加算税が発生することになります。
そのため、過少申告に気づいた時点で早めに修正申告を提出することが大切です。
過少申告加算税が5,000円未満だった場合
過少申告加算税を含む加算税には、「少額不徴収」というルールが設けられています。
少額不徴収とは、納付すべき税額が5,000円未満だった場合、全額切り捨てるというものです。
ただし、過少申告加算税が5,000円未満で切り捨てとなるのはあくまで端数処理の結果であり、加算税そのものが課されないわけではありません。
「正当な理由」と認められた場合
国税通則法第65条第4項において、正当な理由と認められた場合に過少申告加算税は課されないことが規定されています。
「正当な理由」とは、主に納税者を責められない客観的な事情を指します。
例えば納税者が税務署で申告内容について質問したにも関わらず、担当者が間違った指導を行った場合、正当な理由として認められる可能性が高いです。
また、税法の解釈が改変されたことによって修正申告が必要となった場合や、国税局に勤める人物が編集・監修した解説書に従ったにも関わらず過少申告となった場合は、正当な理由として認められる可能性があります。
なお、正当な理由は税務署や第三者が立証・主張をするものではなく、あくまで納税者側が主張する必要があります。
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過少申告加算税に追加で発生する可能性のある税金

過少申告を行ってしまった場合、過少申告加算税だけでなくほかにも追加で発生する可能性がある加算税もあります。
延滞税
延滞税は、法定期限までに納めなくてはいけない税金を納付していなかった場合に発生する税金です。
過少申告加算税が課税される際、超過した期間に応じて延滞税も同時に課されることから、納付が遅れれば遅れるほど高額な延滞税を納めなくてはいけないことになります。
延滞税は、未納額と納期限からの日数、さらに年ごとの利率によって税額が変動します。
なお、延滞税を計算した結果1万円に満たない場合には、延滞税は発生しません。
重加算税
過少申告だけでなく不正や隠蔽などが発覚し、悪質だと判断された場合には、過少申告加算税に代わって重加算税が課されることになります。
過少申告はあくまで計算ミスや計上漏れ、見解の違いなど、誤って申告してしまった場合に適用されるものであり、意図的なものに関しては重加算税が課される可能性が高いです。
重加算税は加算税の中でも特に重い措置であり、税率は法定申告期限までに申告した場合は35%、期限までに申告しなかった場合は40%となります。
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過少申告の修正申告をする方法・流れ

過少申告が発覚した際は、早めに修正申告を行う必要があります。修正申告の方法・流れは以下のとおりです。
1.修正申告書を作成する
2.税務署に提出する
3.追徴税を納める
修正申告は基本的に確定申告書と同じ様式を使用します。
第一表の上部にある「令和○年分の所得税及び復興特別所得税の××申告書」の「××」に「修正」と記入し、「種類」欄の「修正」に丸をつけてください。
「修正申告」の「修正前の第3期分の税額」には、修正申告前に申告していた税額を記入し、「第3期分の税額増加額」に納めるべき金額との差額を記入します。
第二表も同じように作成しますが、「特例適用条文等」の欄に修正申告が発生してしまった理由を記載してください。
例えば売上げの計上漏れが発覚した際には、自社名と住所、売上げ、源泉徴収の有無を書き、「売上○○円の計上が漏れていたため」と数字を含めて記載します。
作成した書類は税務署へ持参または郵送によって提出します。なお、e-Taxから修正申告をすることも可能です。
後は修正申告によって増えた分の納税額を、確定申告と同様の方法で納めてください。
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過少申告加算税が課されないようにする対策方法

過少申告加算税を防ぐためには、申告直前だけでなく、日々の業務や管理体制から意識することが重要です。
単純なミスや確認不足が原因で課税されるケースも多いため、基本的な対策を積み重ねることでリスクを大きく下げることができます。
計算ミス・記載漏れを防ぐ
過少申告の原因として多いのが、税額計算の誤りや申告書への記載漏れです。手計算や手入力に頼っていると、入力ミスや転記ミスが起こりやすくなります。
会計ソフトや申告支援ツールを活用し、自動計算やチェック機能を使うことで、人為的なミスを減らすことが可能です。
また、申告前には必ず複数回見直しを行い、可能であれば第三者の目で確認するのも効果的です。
日々の帳簿付けや会計処理から気を付ける
申告時だけ正確にしようとしても、日々の帳簿付けが不十分だと、結果として過少申告につながりやすくなります。
売上げや経費は発生したタイミングでこまめに記録し、後回しにしないことが大切です。
特に、現金取引きや小口の支出は漏れやすいため注意が必要です。日常的に正しい会計処理を行っておくことで、申告時の負担が軽減され、ミスの防止にもつながります。
必要書類は適切に保管しておく
領収書や請求書、契約書などの証憑書類が不足していると、経費として認められず、結果的に申告内容の修正を求められる可能性があります。
税法で定められた保存期間を守り、書類を整理して保管しておくことが重要です。
紙の書類だけでなく、電子データの場合も保存方法や要件を確認し、いつでも提示できる状態にしておくことで、税務調査時のリスクを抑えられます。
専門家に相談する
税務や会計のルールは複雑で、毎年のように改正も行われます。自己判断で申告を行うと、知らないうちに誤った処理をしてしまうことも少なくありません。
税理士などの専門家に相談すれば、自分の状況に合った適切な申告方法をアドバイスしてもらえます。
特に、取引きが増えてきた場合や制度の適用判断に迷う場合は、早めに専門家を活用することで、過少申告加算税のリスクを大きく減らせるでしょう。
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まとめ・過少申告加算税が課されないように正しく申告しよう
過少申告加算税は、本来納めなくてはいけない税額よりも少なく申告した場合に課される税金になります。
過少申告に気づき、更正の予知をせず自主的に修正申告を行った場合、過少申告加算税が課されない場合もあるため、気づいた時点で素早く修正申告を提出することが大切です。
また、そもそも過少申告とならないように、日頃から計上漏れや記載ミスが発生しないよう、対策を講じておくことも重要となります。
過少申告加算税が課されないよう、正確な申告が行える体制・仕組みづくりを徹底してください。
(編集:創業手帳編集部)







