メルカリやフリマアプリで確定申告が必要になるケースとは?申告時のポイントも解説
メルカリで得た所得額で確定申告すべきかが変わる
メルカリは、個人間で気軽にものを売買できるフリマアプリです。年代を問わず多様なユーザーに利用されており、ビジネスに活用している人も少なくありません。
ただし、メルカリで得た一定の所得は確定申告の対象となることに注意が必要です。
一定の所得があれば、その所得金額に対して税金を支払わなければなりません。
確定申告は、確実に税金を納めたり払い過ぎた税金を還付してもらったりするために必要な手続きです。
そこで今回は、メルカリで稼いでいる人に向けて確定申告が必要・不要なケースや申告時のポイント、申告しないリスクなどについて紹介します。
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この記事の目次
メルカリの売上で確定申告が必要になるケース
メルカリでものを販売して売上を得ている人は、働き方や所得額などによって確定申告が必要かどうかが変わってきます。
具体的に確定申告が必要になるのは、以下5つのケースです。
メルカリが副業で所得が20万円を超えている場合
メルカリでの販売が副業の場合、その年間の所得額(収入から経費を差し引いた金額)が20万円以上であれば確定申告の対象です。
本業の給与に対しては年末調整がありますが、副業の所得は年末調整の対象になりません。
そのため、20万円の所得があれば自分で確定申告をする必要があります。
反対にメルカリの所得が20万円未満であれば、原則確定申告が不要です。
ただし、ほかにも副業をしていて、合計の所得額が20万円となる場合は確定申告の対象となることに注意してください。
また、確定申告をすると自分が住む自治体に住民税の申告が自動で行われます。しかし、副業の所得が20万円以下となる場合、住民税の申告を自分でする必要があります。
メルカリが本業で所得が48万円を超えている場合
メルカリでの事業が本業であれば、年間所得額が48万円以上になると確定申告の対象です。
48万円の基準は、所得控除のひとつである基礎控除額が48万円となっているためです。
基礎控除額の範囲であれば所得税は発生しませんが、基礎控除額の範囲を超えるとその分に対して所得税がかかり、納税が必要となります。
また、メルカリ以外のYahoo!オークションなどのプラットフォームで、本業として商品の販売をしている人も注意してください。
たとえメルカリの売上が48万円以下であっても、ほかのプラットフォームでの売上を合算して48万円を超えれば確定申告が必要です。
扶養に入っていて所得が48万円を超えている場合
扶養に入っている専業主婦や学生でも、年間の所得が48万円を超えている場合は確定申告が必要です。
扶養に入っている場合、所得税の納税者に対して配偶者控除や扶養控除を適用できます。
48万円までは控除が適用されますが、それを超える所得があると親族からの経済的な援助は不要と判断され、扶養から外れてしまいます。
扶養から外れると、確定申告をして自分で所得税を支払う必要があります。
配偶者控除・扶養控除が適用されないので、納税者が納める税金の負担も増える点にも注意してください。
1個の売上が30万円を超えている場合
不用品をメルカリで販売した時、1個の売上が30万円を超えると確定申告が必要です。
貴金属や宝石、美術品など1個30万円を超えるものを売ると、その所得は課税対象の譲渡所得となります。
譲渡所得には1年間に50万円の特別控除額であるため、その範囲を越えなければ非課税となりますが、原則確定申告が必要になることに注意してください。
営利目的での販売をした場合
メルカリで営利目的でものを販売している場合は、確定申告の対象です。
例えば、自主制作したハンドメイド作品の販売や希少価値の高い商品の販売は、営利目的と見なされ、所得が課税の対象となります。
そのため、確定申告を行って所得額に応じた税金を納めなければなりません。
メルカリの売上で確定申告が必要ないケース
メルカリでものを販売しても、必ずしも確定申告が必要になるわけではありません。確定申告が不要となる2つのケースを紹介します。
生活用物品を売っただけの場合
メルカリで生活用物品を売っただけであれば、ほとんどの場合確定申告の対象にはなりません。
衣服や家具などは生活動産に該当します。国税庁によると生活動産の譲渡は非課税となっているので、原則確定申告は不要です。
例えば、生活用物品を処分する目的でメルカリを通じて販売するのであれば、生活動産の譲渡に該当します。
ただし、貴金属や宝石などの高価なものは、生活に必須なものではないので課税対象です。
本やCDといった生活用物品でも希少価値が高く、1個30万円以上の値段がつくようであれば課税対象となる可能性があるので注意してください。
営利目的でないと判断された場合
メルカリでの販売が営利目的ではないと判断された場合も確定申告が不要です。
例えば、生活用物品の売却行為を継続的かつ反復的に行っていると、利益を得ることを目的にしていると捉えられる可能性があります。
その場合、営利目的と判断されるので、所得税の課税対象となり、確定申告をする必要があります。
商品を仕入れて、定価よりも高い金額でメルカリにて販売する行為も完全な営利行動となり、生活用物品の譲渡と見なされないので注意してください。
メルカリにおける確定申告のポイント
メルカリでものを売っている人の中には、確定申告が初めてで不安なことや疑問があるという人も多いかもしれません。
続いては、メルカリで利益を得ている人が押さえておきたい確定申告のポイントを解説します。
所得の種類がどれか確認する
まずはメルカリで得た所得が、どの種類に該当するのか確認してください。メリカリで得た所得は、事業所得・譲渡所得・雑所得のいずれかに該当します。
事業所得 | 農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業・ほかの事業から発生する所得 |
譲渡所得 | 土地・建物・ゴルフ会員権・金塊などの資産を譲渡することで発生する所得 |
雑所得 | 事業所得や不動産所得などの各種所得や一時所得に当てはまらない所得 |
メルカリでの販売が副業であれば雑所得、本業であれば事業所得に該当します。また、貴金属や絵画など高価なものを販売した時の所得は、譲渡所得となります。
所得の種類によって、損益通算ができるかどうかが異なることに注意してください。損益通算とは、赤字が発生した際に黒字の所得で相殺できる制度です。
雑所得の場合、ほかの所得との損益通算ができませんが、事業所得であれば可能です。譲渡所得の場合、譲渡所得同士での損益通算ができます。
経費を計上して節税する
事業を行う上でかかった費用を経費計上することで、所得を減らせます。所得税は所得額に応じて変動するため、所得が減ることで節税につながります。
ただし、すべての費用が経費として認められるわけではありません。メルカリなどでの転売で経費として認められるものの例は以下のとおりです。
-
- 販売手数料
- 振込手数料
- 資材梱包費
- 送料
- 商品を買い付ける際の交通費
- ガソリン代
- 商品の仕入代
- 光熱費
- パソコンやスマートフォンの通信費
- セミナーの参加費
- 事業に関連する書籍代
ビジネスに関わる出費であれば、幅広く経費にできます。
ただし、通信費や光熱費、ガソリン代など、日常生活でも使われる費用であれば、事業で使った分だけが計上となるので注意してください。
レシートは処分せずに保管する
事業で支出が発生した時、レシートや領収書は捨てずに保管してください。レシートや領収書は、何に対してどのくらい使ったのかを証明するものとなります。
税務署から経費の使い道に関して説明を求められた際には、レシートを提示することで経費である事実を証明することが可能です。
なお、確定申告をする際に、レシートや領収書を提出する必要はありません。
しかし、7年間の保管義務があるので、受け取ったレシートは確定申告後も一定期間は厳重に保管してください。
変換したメルカリポイントも所得に含める
メルカリの売上金は、メルカリポイントに交換して利用することが可能です。
この場合、ポイントという名目で売上金を獲得している状態になり、ポイントも所得に含まれます。
確定申告をする際は、変換したメルカリポイントを所得に換算して所得税を求めてください。
なお、友達紹介やキャンペーンなど売上金以外で得たメルカリポイントは、所得に該当しないことがほとんどです。
所得に含めるべきか迷ったら、税理士に相談してみてください。
事業所得であれば青色申告ができる
メルカリの売上が事業所得であれば、青色申告が可能です。青色申告の場合、最大65万円の特別控除を適用でき、大幅な節税になります。
ただし、特別控除を適用するためには、複式簿記での記帳や電子申告が必要になるなど、細かい要件があるので注意してください。
ほかにも赤字を3年間繰り越せることも青色申告のメリットです。青色申告をしたい場合、開業届と一緒に青色申告承認申請を提出してください。
メルカリでの確定申告方法
1月1日から12月31日までにメルカリで得た所得に対して確定申告が必要になった時、翌年2月16日から3月15日までの間に申告と納税が必要です。
確定申告をする際に、主に必要となる書類と大まかなステップは以下のとおりです。
【主に必要な書類】
確定申告書 | 税務署の窓口や国税庁のホームページから入手可能 |
売上台帳 | メルカリの売上に関する詳細な情報(日付・商品名・売上金額など)を記録した台帳 |
経費を証明する書類 | 仕入費や発送費などの経費を証明できるレシートや領収書 |
源泉徴収票 | 本業や副業で給与所得を得ている場合に必要 |
その他関連書類 | 医療費控除や寄附金控除など各種所得控除を適用するための関連書類 |
【確定申告の流れ】
1.売上台帳をもとに総売上と経費を求め、「収入-経費」で所得を算出する
2.確定申告書に必要事項を記載して、所得税を計算する
3.確定申告書を提出する(税務署の窓口・郵送・e-Taxによる電子申告)
4.期限内に納付または還付を受ける
確定申告書は、窓口で直接提出や郵送で送る方法もありますが、電子申告であればオンラインでスムーズに提出できます。
ただし、e-Taxを利用する場合、マイナンバーカードとそれを読み込むためのICカードライタか読み込みに対応したスマートフォンが必要です。
メルカリの所得を申告しないリスク
メルカリの所得が確定申告の対象でありながら、申告をしなかった場合にはリスクを背負うことになります。申告を怠ったことで起こるリスクは、以下のとおりです。
会社に副業がバレる可能性
副業としてメルカリで物販・転売をしている場合、確定申告を怠ったことで会社に副業をしていることがバレるリスクがあります。
会社に副業がバレてしまう理由は、住民税の増額です。
本業がある場合、住民税は毎月の給与から天引きされて納税されています。
副業で所得が増えると住民税が増えるため、給与は変わっていないにもかかわらず天引きされる分が増えます。
その結果、会社に副業をやっていることがバレてしまうのです。
副業を禁止している企業の場合、就業規則を違反したと見なされ、ペナルティの対象になる可能性があることに注意してください。
副業バレをしたくなければ、確定申告で住民税の納税方法を自分で納める「普通徴収」を選択しましょう。
ペナルティが課せられる可能性
確定申告を怠ると、無申告課税や延滞税といったペナルティが発生する可能性があります。
期限内に確定申告や納税を行わなかった場合、本来支払う所得税に加えて無申告課税が発生します。
無申告課税の税率は、未納税額が50万円以下であれば15%ですが、50万円以上300万円以下は20%、300万円以上は30%です。
また、申告までの期間に応じて延滞税も発生します。申告を放置する時間が長いほど、加算される延滞税は増えるので注意してください。
未申告・未納税の状態であれば、本来支払う所得税よりも税金の負担が大きくなるため、期限内に忘れず申告・納税を行うことが大切です。
まとめ・メルカリで所得を得たら正しく確定申告しよう
メルカリの使い方にもよりますが、一定の所得を得ると確定申告が必要です。特に営利目的でメルカリを利用している人は、確定申告の対象になる可能性があります。
申告や納税を怠れば、会社に副業バレしたり、税金の負担が増えたりするリスクがあります。
そのため、メルカリを活用して事業を始めるのであれば、確定申告について理解を深めて、一定の所得が得た時は正しく確定申告をするようにしてください。
確定申告は、対象者については年に1回必ずやらなければいけない作業です。しかし「難しい」「面倒」と大半の人は思いがち。また自分が対象なのかどうかもわからないという人も中にはいるのではないでしょうか。そんな確定申告について多くのギモンをわかりやすく解説した「確定申告ガイド」を創業手帳では無料でお配りしています。毎年やっている人であっても、変更点などには注意が必要です。こちらのガイドブックをお読みいただき、早めの対応を!
(編集:創業手帳編集部)