【2024年最新】小規模事業者持続化補助金の採択率は低下傾向?採用のポイントと申請方法などをご紹介

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小規模事業者持続化補助金は経営維持に役立つ補助金制度


小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)とは、小規模事業者が経営を見直し、持続的な経営を行うための経営計画を作成した上で、販路開拓・生産性向上などの取組みをサポートする補助金制度です。
小規模事業者にとっては、長期的な経営を目指す際に役立つ補助金制度ではありますが、審査があり、申請した人が全員補助金を受け取れるわけではありません。
小規模事業者持続化補助金の採択率は毎年公表されていますが、近年は低下傾向にあるといわれています。

今回は、第16回の採択結果と、これまでの採択率推移を比較しつつ、採択の傾向について紹介します。
また、採択率を上げるためのポイントや採択事例なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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小規模事業者持続化補助金の採択率


2024年8月8日に第16回の採択結果が公表されています。ここからは、公表内容についてみていきます。

第16回(2024年8月8日発表)の採択結果

第16回公募では7,371件の申請があり、審査の結果2,741件の採択事業者が決定しました。採択率は約37.2%です。
中小企業庁が運営する補助金制度の事業再構築補助金やものづくり補助金なども低採択率を更新していることから、小規模事業者持続化補助金の採択率も低採択率を記録したといえます。

また、第16回公募では申請受付から締め切りまでのスケジュールが非常にタイトだったことも、採択率の低下につながったと考えられます。
第16回は募集を開始してから締め切りまで19日間しかありませんでした。そのため、申請件数もこれまでの約半数に減っています。

これまでの採択率推移と比較

申請件数 採択件数 採択率(%)
第1回 8,044 7,308 90.8
第2回 19,154 12,478 65.1
第3回 13,642 7,040 51.6
第4回 16,126 7,128 44.2
第5回 12,738 6,869 53.9
第6回 9,914 6,846 69.0
第7回 9,339 6,517 69.8
第8回 11,279 7,098 62.9
第9回 11,467 7,344 64.0
第10回 9,844 6,248 63.4
第11回 11,030 6,498 58.9
第12回 13,373 7,438 55.6
第13回 15,308 8,729 57.0
第14回 13,597 8,497 62.5
第15回 13,336 5,580 41.8%
第16回 7,371 2,741 37.2%

第1回から第16回までの採択率推移を見てみると、第4回からは採択率が落ちたものの、第6回から60%前後で推移していることがわかります。
その後、第15回には40%台まで低下し、第16回では37%まで低下しています。
第15回で低下した理由は、電子入力形式での事業計画書作成が開始されたことが影響しているとされています。
なお、16回までの平均採択率は約59.2%です。

小規模事業者持続化補助金の採択率をチェックする際のポイント


小規模事業者持続化補助金の採択率をチェックする上で、いくつか念頭に置いておきたいことがあります。ここではチェック時のポイントを紹介します。

採択率は予算ごとに変動する

1年で補助金の採択率が変動しているのは、その年の予算が影響しています。予算を超えれば補助金が出ません。
申請者が少なければ補助金を出せる企業も増えますが、反対に申請者が増えれば良い事業計画書を作成したにも関わらず、審査に落ちてしまうケースもあります。
採択率は予算による影響を受けることを覚えておいてください。

実質倍率は上がる可能性もある

小規模事業者持続化補助金の倍率は、第16回で約37%となっていますが、実質倍率は上がる可能性があります。
補助金を申請するためには事業計画書を作成する必要があり、審査を通過できるよう詳細な部分まで作り込まなくてはなりません。
本業を行いながら事業計画書も作成することになるため、諦めてしまう人が一定以上いれば、実質倍率が上がる可能性は高くなります

小規模事業者持続化補助金の採択率を上げるポイント


ここからは、小規模事業者持続化補助金の採択率を上げるためのポイントについて解説します。

どこを見て審査されるのか確認しておく

小規模事業者持続化補助金の採択率を上げるためには、審査基準を知っておかなければなりません。
審査では、第三者の有識者などで構成された審査委員会が実施しており、採択審査自体は非公開で行われます。
提案内容についてヒアリングが行われることはなく、すべて書類や資料で審査されるため、提出書類に不備が見つかると落とされてしまう可能性があります。

なお、基礎審査では次の要件をすべて満たさなければなりません。

  • 必要な書類、資料がすべて提出されている
  • 補助対象者や補助対象事業、補助上限、補助対象経費などの要件や記載内容に合致している
  • 補助事業の遂行に必要な能力を有している
  • 小規模事業者が主体的に活動し、技術・ノウハウなどを元にした取組みである

加点項目も忘れずに確認する

審査では一定の条件を満たす事業者に対して加点も行われます。主な加点項目は「重点政策加点」と「政策加点」の2つに分かれています。

重点政策加点 赤字賃上げ加点
事業環境変化加点
東日本大震災加点
くるみん・えるぼし加点
政策加点 パワーアップ型加点(地域資源型、地域コミュニティ型)
経営力向上計画加点
事業承継加点
過疎地域加点
一般事業主行動計画策定加点

加点項目については経営計画書や補助事業計画などの申請書類にチェック欄が設けられており、チェックすることで申請が可能です。
一部の加点項目には追加の記入項目や提出書類が必要となるため、詳しくは公募要領を確認してみてください。

事業内容と補助金の使用目的の一致をアピールする

各補助金制度にはそれぞれ目的が設けられています。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓などの取組みにかかる経費の一部を補助することで、生産性向上と持続的発展を目的としています。
補助金制度の目的と事業内容が一致していなければ、審査に落ちてしまうことがあるかもしれません。
そのため、補助金の目的と自社の事業内容が一致していることを事業計画書などでアピールすることが大切です。

審査項目は事業計画書にしっかり盛り込む

公募要領に記載されている審査項目を確認しながら、事業計画書に盛り込んでいくことが大切です。
第16回の公募要領では、計画審査の観点として以下の項目が挙げられています。

  • 自社の経営状況分析の妥当性
  • 経営方針・目標と将来的なプランの適切性
  • 補助事業計画の有効性
  • 積算の透明性・適切性

なお、過去の補助事業の実施回数などに応じて、段階的に減点調整も行われています。これまで何度も全国対象の補助事業を受けている場合は注意してください。

【業種別】小規模事業者持続化補助金の採択事例


ここからは、業種別の採択事例をご紹介します。

【飲食業】販路開拓

北海道にあるカフェはこれまで観光客を中心に集客を実施していましたが、地元客にも喜んでもらえるよう、補助金を活用してフードプリンターを導入しました。
フードプリンターの導入によって、ケーキに子どもの写真を載せられるようになり、その結果、クリスマスシーズンのケーキの注文数が増加し、売上増加にもつながっています。

また、ご当地キャラクターをプリントしたオリジナルクッキーを製造しお土産品として販売することで、町のPRにも貢献しました。
新しい設備を導入したことで新たな販路を開拓できたケースといえます。

【理容業】設備投資

町内の男性客を中心に幅広い年齢層をターゲットとしている理容業者は、地域で在宅介護者の出張理容サービスを提供するために、補助金を活用して移動式リクライニングチェア・移動式シャンプーユニットを導入しました。
また、出張理容サービスを宣伝するためのパンフレットの作成も行いました。

出張理容サービスの展開にうより、在宅介護者のニーズや、ケアプラン外の業務対応が問題となっていた介護現場でのニーズに対応でき、約7カ月で新規顧客を35名程度獲得できています。
売上高は前年と比較して30%程度増加しました。

【サービス業】広報

福島県で1941年に創業した写真館は、学校関連の売上が全体の35%を占めており、業界内や地域内での認知度は高い傾向にあります。
こちらの写真館では、新たな写真撮影プランとして、貸ドレスとヘアメイク、撮影、アルバム作成までをセットにしたプランを販売しました。
このプランをより多くの人に知ってもらうために、補助金を活用して新聞の折込みチラシを作成し、さらに屋外壁面に特大ポスターパネルを設置しました。

また、利用者がどういったプランかイメージしやすいよう、アルバムサンプルも複数作成したようです。
補助金を活用したPRを実施したことで、問い合わせ件数が15件、チケットの購入は2件ありました。
これまで学校に関連した仕事が多くあったものの、今回のPRによりドレス姿での撮影ができるという認知度が高まったようです。
結婚式や成人式などの撮影でドレス撮影も追加する人が増加し、客単価が20~30%アップしました。

【食品加工業】展示会・商談会

栃木県で自家米の生産・販売と、玄米コーヒーや玄米スナックなどの商品を開発・販売している企業では、補助金を活用してブランドイメージを向上させるために、統一感のあるロゴの作成とパッケージ改良を行いました。
さらに、パッケージ改良を行った上で物産展に出展し、認知度の向上と販路開拓を目指しました。

物産展では自社ブランドの認知向上につながり、新たに5社と取引きを開始しています。
その後、継続的に10社と商談中であり、さらに販路を拡大することが期待されています。今後も展示会や商談会に積極的に参加し、販路拡大を狙いたいとしています。

小規模事業者持続化補助金の申請サポート


小規模事業者持続化補助金を申請する際に、書類作成を代行できないかと考える方もいるかもしれません。
ここでは、小規模事業者持続化補助金の代行の可否と、申請サポートを受けられるかどうかを解説します。

申請代行を依頼することはできないが、申請時のサポートを依頼することはできる

結論、小規模事業者持続化補助金の書類作成や申請手続きの代行は依頼できません。
小規模事業者持続化補助金では電子申請を採用しており、第三者が電子申請システムを使って申請することは不正アクセスとみなされてしまいます。
ただし、第三者に申請時のサポートを依頼することは可能です。申請時にサポートを依頼できるのは、以下の内容です。

  • 提出書類の確認や申請枠の要件確認
  • 経営計画書・事業計画書を作成する際のアドバイス
  • 申請書作成のアドバイス
  • 電子申請システムの入力サポート

特に重要なのは、提出書類の確認です。審査に通過するためには、提出書類や資料に不備がないことが前提です。
不備なく確実に提出できるよう、第三者にチェックしてもらうことで、採択率を上げられます

商工会議所や専門家などに申請サポートを依頼可能

小規模事業者持続化補助金の申請サポートは、商工会議所や専門家に相談するのがおすすめです。
商工会議所・商工会では、事業支援計画書を発行するためのアドバイスを受けられます。
また、税理士や行政書士など、それぞれの士業が得意とする分野のアドバイスも受けやすくなります。
ほかにも、民間のコンサルタントや国からの認定を受けている認定支援機関からもアドバイスをもらうことが可能です。

注意点として、悪徳業者に騙されて不当なアドバイス料金を請求される可能性があります。
商工会議所や国の認定を受けている認定支援機関以外でアドバイスを受ける際は、十分に注意してください。

まとめ・小規模事業者持続化補助金の採択率推移から申請のポイントを確認しておこう

小規模事業者持続化補助金の採択率は低下傾向にあるものの、今後も採択率が落ちるとは限りません。
採択されるためには、書類や資料を不備のない状態で提出したり、作成時には審査項目や加点項目なども盛り込んだりすることが大切です。
この記事を参考に、小規模事業者持続化補助金の採択を目指してください。

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