自宅でカフェを開業する方法!必要な手続きや成功のためのポイントを解説
自宅でカフェを開業するには営業許可を受けるための準備が必要
カフェを始めようとする時にネックになるのが資金や場所の問題です。そこで注目されている選択肢が、自宅カフェです。
しかし、自宅カフェはどうやって始めたらいいのか悩む人もいるでしょう。
ここでは自宅カフェを開業したいと考えている人に向けて、営業許可や開業準備についてまとめした。カフェ開業を考えている人はぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
自宅でカフェを開業する「自宅カフェ」とは?
自宅カフェは、名前からもわかるように自宅のスペースを活用したカフェのことです。
つまり、自宅の一部をカフェスペースとしてお客様に開放して、飲み物や食品を提供します。
自宅カフェを開業するためには、自宅スペースとカフェスペースを区切ったり、営業許可を取得したりするなどの準備が必要です。
改造工事の費用はあるものの、自宅カフェであれば初期費用を抑えながらカフェを始められます。
必要な手続きについては後述のとおりで、カフェをスモールスタートできる点から注目されている開業方法です。
自宅でカフェを開業するメリットは?
自宅でカフェを開業するメリットとして、低リスクで始められる点が挙げられます。
カフェ開業に必要な資金は規模や工事の有無によっても異なりますが、一般的には100万円から500万円程度は必要といわれています。
店舗を借りる場合でも、賃料以外に礼金や保証金、さらに厨房設備などの工事が必要です。
一方、自宅カフェの場合には、カフェを開業するために物件を借りる家賃や敷金などが新しく発生することはありません。
賃貸物件に住んでいる場合でも、もともと支払っていた家賃だけで済みます。
借りた店舗の場合、売上げが少ないと賃料の支払いにも困ってしまいます。自宅カフェは賃料を節約しているため、売上げにこだわらなくても継続することが可能です。
週末だけ営業したり、副業としてお試しでスタートしたりするなど、好きなように営業できます。
自宅でカフェを開業するまでの準備や手続きは?
カフェを開業する場合には、所定の手続きが必要となります。自宅カフェを開業するまでの流れを紹介します。
開業場所をリサーチして決定する
自宅カフェを開業するにあたって、まず確認しなければいけないのが自宅の用途地域です。
今まで住居として使っていた建物を飲食店として使う場合には、事前に自宅での営業が可能かどうかや、用途地域の確認をしてください。
用途地域とは、暮らしやすさや景観を守るために土地計画法で土地利用の用途を定めたものです。商業地域や工業地域、住居専用地域などに区分されています。
例えば、第一種低層住居専用地域では店舗兼住宅であり、店舗の床面積が50㎡以下かつ建物の延べ面積のうち、2分の1未満のもののみ営業可能です。
用途地域は、役所の窓口に問い合わせて確認できるほか、役所がインターネットで用途地域がわかる地図を公表しているケースがあります。
また、用途地域に問題がなくても、利益を出せる場所かどうかを判断しなければいけません。
マンションに住んでいる場合には、営業利用不可になっていることがあります。
一戸建ての場合にも、間取りによってはカフェスペースと自宅スペースを区切れないことがあるかもしれません。
住宅地やマンションでの集客は難しいこともあるものの、近くに駅や商店街があれば飲食店の需要があると想定できます。
周辺をリサーチして、どういった年代や志向のお客様が集まりやすいか、競合店の有無なども考えてみてください。
保健所への事前相談
自宅カフェといっても、自宅のリビングやキッチンを使ってカフェ開業することは禁止されています。
あくまで店舗兼住居であり、店舗は店舗として独立して営業できる設計でなければいけません。
店舗付き住宅に住んでいる場合を除いて、自宅カフェを始める場合には工事が必要です。
施工業者と相談して店舗の設計が決まったら、必ず保健所に図面を持参して事前相談してください。
保健所の検査を工事終了後に通過できない場合、追加工事の費用や時間がかかってしまいます。
あらかじめチェックしてもらってアドバイスを受けたほうが、後の申請や検査もスムーズです。
飲食・喫茶店営業許可の申請
飲食店や喫茶店を始めるには営業許可を取得しなければいけません。
営業許可を得るためには、食品衛生責任者の設置と保健所の検査をクリアして営業許可証を取得していることが求められます。食品衛生責任者は、食品の衛生管理の責任者です。
営業許可を取るために、営業許可の申請者や営業設備の平面図、食品衛生責任者の資格を証明する書類などが必要です。
また、申請費用も用意します。申請料金は、飲食店の営業形態や地域によっても違いますが、1万円~2万円程度必要です。
一例として、東京都新宿区の場合は、新規の飲食店営業許可取得に必要な費用が18,300円です。
また、パンやお菓子のテイクアウト、卸売業をメインにするのであれば菓子製造業許可申請が必要になります。
菓子製造業許可の場合には厨房設備に求められる要件も変わるので注意しなければいけません。
厨房設備の工事にも関わることなので、保健所に相談する時にはどの業種に該当するかも一緒に確認してください。
営業許可は、取得してからも定期的に更新が必要になります。営業許可証の下部に営業許可期限が記載されているので、忘れずに手続きしてください。
保健所による審査を受ける
自宅カフェを開業するには、飲食店営業許可が必要になります。
保健所による審査が必要になるため、工事を完了する2週間から10日前を目安に管轄の保健所に申請してください。
設備完成後に保健所の立会検査が入るので、スケジュールについても打ち合わせが必要です。
立会検査で、設備が申請通りかどうかや、飲食店として営業するための基準を満たしているかどうかを検査されます。
具体的にどのような点をチェックされるのか、以下のとおり一例を紹介します。
・シンク
2槽以上あり、手洗い用のシンクには、石鹸や消毒用エタノールを常備している。
・冷蔵庫
温度計を設置していること。
・ガスレンジ
ガスレンジを覆う換気扇フードがあること。
・食器棚
衛生を保つための大きさや、天井との間に隙間がないことが必要。
・ゴミ箱
蓋付きで網目状になっていないもの。
・明るさ
客席は10ルクス以上、作業を行う場所は50ルクス以上の明るさ。
基準を満たしていれば、許可証交付予定日に保健所で交付を受けることが可能です。
必要な資格を取っておく
カフェ開業には様々な資格が必要になります。食品衛生責任者は、カフェだけでなく飲食店を開業するために必ず取得する資格です。
各都道府県にある食品衛生協会が主催する食品衛生責任者養成講習会を受講して取得できます。営業許可申請にも必要な資格なので早めに取得してください。
防火管理者は、収容人数が30名以上の飲食店を開業する場合に必要な資格で、一般社団法人日本防火・防災協会による講習会を受講して取得可能です。
カフェの営業と聞くと調理師免許が必要と思うかもしれませんが、それは間違いです。
調理師は国家資格ではありますが、飲食店営業に直接関係しているわけではありません。ただし、保有していればお店の信頼にはつながります。
同様に、必須ではなくても栄養士やバリスタのライセンスなど、付加価値となる資格は様々あります。
お店の魅力をアピールでき、カフェ開業に役立つ知識を学べる資格があれば取得を目指してみてください。
自宅カフェを開業するおすすめの物件とは?
自宅でカフェを営業する場合、自宅と店舗部分は明確に区切られている必要があります。
つまり、現在住んでいる物件をカフェとして営業できるようにリフォームするか、もとから店舗として使えるような物件を選ぶかのどちらかです。
マンションに住んでいる場合には、営業利用ができて、さらに改装工事が可能かどうか管理規約をチェックします。
一戸建てに住んでいる場合には、1階と2階といった上下に分離して営業するか、建物の置くと入り口で分離する方法があります。
自宅カフェを開業するにあたって、お店のイメージを考えつつ、どのような工事が必要になるのか施工業者と相談してください。
自宅カフェの開業に必要な資金は?
自宅カフェは、比較的低コストで始められる方法ですが、それでもある程度の資金準備が必要です。
自宅カフェの開業に必要な費用は主に以下のものです。
・内装、設備費
内装工事費用 300万円程度
設備や備品費用 150万円程度
消耗品 30万円程度
・運転資金
材料費や水道光熱費、人件費など月当たりで10万円~30万円程度
経営が安定するまでの運転資金を用意しておく
上記で簡単に説明しましたが、必要な工事や設置する設備、厨房機器によっても違いがあります。
また、運転資金も物件や提供するメニューによっても変わります。運転資金として半年から1年程度の資金は準備しておくことがおすすめです。
事業を開始するまでにどれだけのランニングコストがかかるのか、売上げをどれだけ出せば利益になるのかをシミュレーションしておきましょう。
自宅カフェを開業したら利益はどのくらい?
お店を開業するにあたって、どれだけの利益が見込めるかは必ず考えなければいけません。一般的なカフェの利益率は5%~10%です。
カフェで一杯当たりの利益を増やしていくためには、上手にブランディングして付加価値を高めたり、効率的な経営を行ったりするなどの工夫が必要です。
例えば、人件費や家賃といった経費を下げることも利益率を高めるための施策です。
飲食店では、家賃は売上げの10%程度、人件費は売上げの30%程度が相場といわれています。
自宅カフェは自宅なので別途家賃が発生することはない上、人を雇わなければ人件費はかかりません。
そのため、自宅カフェは利益率を高めやすく、利益率30%も目指せます。
テナントなど家賃や出店料が発生するようなケースだと、最低限必要な売上げをクリアしなければ経営を続けられません。
しかし、自宅カフェは少ない売上げでも営業を続けやすい点が魅力です。
自宅カフェの開業を成功させるポイントは?
自宅カフェは、手軽に始められる一方で、成功して継続できるケースばかりではありません。自宅カフェの開業を成功させるためのポイントをまとめました。
費用を抑える工夫をする
開業時にできる工夫として、極力費用は抑えるようにしてください。
自宅カフェは、家賃や契約時の仲介手数料はかからないものの、リフォームや内装工事、厨房設備にお金がかかります。
費用を抑えるためには、内装工事の棚や看板など自分でできる範囲でDIYしたり、設備や備品はリースを利用したりする方法があります。
コンセプトや強みを決めておく
競合する飲食店がある中で集客を成功させるためには、コンセプトや強みを決めておきましょう。
例えば、食材や専門性を高めることも手法のひとつです。
茶葉やコーヒー豆の仕入れからこだわったり、からだにやさしいメニューを提供したりと得意分野を定めましょう。
また、インテリアもコンセプトにあわせることによって、見た目でもお客様をおもてなしできます。
コスト意識を持っておく
自宅カフェであってもビジネスである以上、利益や採算は無視できません。コスト意識を持って、削れる費用は削るようにしてください。
飲食メニューの提供に必要な材料費を削減すると、クオリティを下げてしまうかもしれません。
例えば、材料費を減らさず、集客やSNS、HPなどの広告費を減らすといった経費の切り分けが必要です。
何にどれだけの経費がかかっていて、利益がどれだけあるのかというコスト意識を常に持つようにしてください。
自宅カフェを開業する時の注意点は?
自宅でカフェを開業する場合、注意しなければならない点も多数あります。どういった点に注意するのかあらかじめ確認してください。
物件の改装は専門業者へ依頼する
カフェを開業するにあたって、店舗部分を作る必要があります。
物件の改装は、今までに自宅カフェを施工したことがある専門業者に依頼することがおすすめです。
一般的なカフェの内装工事と自宅カフェのリフォームでは、発生しやすいトラブルや課題も違います。
専門業者を探す時には、ホームページなどで施工事例を確認しましょう。
店舗のセキュリティを強化する
自宅カフェはセキュリティも強化しなければいけません。店舗に空き巣が入ると住居部分にまで侵入されてしまいます。
また、自宅カフェを始めることで、自宅に不特定多数の人が出入りすることになります。
リフォームする時には、プライベートエリアと切り離したり、ロック機能を追加したりするなど、セキュリティ強化に努めてください。
近所へ配慮した営業をする
自宅カフェは居住地でカフェを開業するため、近所への配慮も必要です。
食品の中には匂いが強いものもあったり、多くの人が出入りすることで騒音が問題になったりする可能性もあります。
駐車トラブルが起きないように公共交通機関で来るように周知したり、営業時間や提供メニューを変更したりするなどの工夫もしてください。
まとめ・自宅カフェの開業のために必要な手続きと準備をしておこう!
自宅カフェは、自宅のスペースを活用したカフェです。
開業するには、店舗と自宅を分けるためのリフォーム工事や営業許可を取得する手続きが必要になります。
手間と資金はある程度かかりますが、家賃がかからず開業資金を抑えられる点は大きなメリットです。
通常の店舗との違いを把握して、しっかり計画を練ってください。
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(編集:創業手帳編集部)