2017年版|確定申告のやり方/書き方を徹底解説します!
(所得税及び復興特別所得税編)
(2016/12/14更新)
年が明けたら確定申告のシーズンです。必要書類を揃えるなど準備が整ったら、いよいよ提出書類を作成していきましょう。細かい作業になりますが、順を追って進めていけば決して難しい作業ではありません。
この記事の目次
確定申告で納める税金は
確定申告は「所得税及び復興特別所得税」「消費税/地方消費税」に関して行います。
しかし、消費税の制度では課税事業者となるのは最短でも起業して翌年、通常翌々年からになります。そのため今回が新規に起業して「はじめての確定申告」の個人事業主の方は確定申告の対象外です。(消費税課税事業者選択届出書を提出している場合を除く)
ただし、2016年の課税売上高が1,000万円を超えた方は「消費税課税事業者届出書(基準期間用)」を提出する必要があります。
まずは、「所得税及び復興特別所得税」(以下、「所得税」と略します)の確定申告をマスターしましょう。
所得税は国に納める税金、「国税」ですが、個人事業主に課される税金は他に、地方自治体に納める「地方税」の住民税、個人事業税などもあります。しかし、地方税は所得税の確定申告で申告した情報をもとに各自治体から請求されますので確定申告は1回だけで済むようになっています。
ただし、収入状況などにより確定申告の対象にならない場合でも住民税は課税される場合があります。その場合は別途市区町村などへの申告が必要になりますので、お住まいの自治体に問い合わせてください。
また、確定申告は文字通り、1年分(今回は2016年1月1日~12月31日)の収入・所得などの確定した金額を申告するものですので、あらかじめ1年分の収支や決算をまとめておく必要があります。
【重要】今年度からマイナンバーの記入が必要です。
2016年1月からマイナンバー制度が導入されたため、今回(平成28年度分)から申告書にはマイナンバーの記入が必要になります。
そのため確定申告書の書式も変更になりますが、この記事作成時点(2016年12月)では確定版の様式が公表されていませんので、以下に掲載する申告書のイメージは変更される可能性があります。記入する際は実際の様式をご確認ください。
また、従業員、扶養親族のマイナンバーも把握しておきましょう。
申告のしかたを決めましょう。
確定申告のしかたは主に3通りがあります。
①PC画面上で作成して印刷したものを提出
②電子データで送信(e-Tax)
③申告書に書いて提出
参考>>確定申告を郵送で行う方法。ミスしやすい「控え・封筒・宛名・消印」
①PC画面上で作成して印刷したものを提出
国税庁がウェブサイト上に「確定申告書作成コーナー」を用意しています。こちらを利用すると、画面上で必要な項目を入力すると税額などが自動的に計算された状態で印刷できます。
②電子データで送信(e-Tax)
電子証明書の取得など若干準備は必要ですが、「電子データで送信(e-Tax)」も便利です。
ウェブサイト上で入力から送信まで完結することができます。
しかし、この記事では、基本の“キ”としてあえて「③申告書に書いて提出」する場合を想定して説明していきます。基本的な流れや必要事項はウェブサイト上で処理する場合も同じですので、ウェブサイトを利用する予定の方も目を通していただくと、処理の流れやイメージがつかめると思います。
参考>>2017年版|ネットで完結!e-TAXで確定申告するための具体的手順と注意点
では、手順に沿って進めていきましょう。
「申告書」と「確定申告の手引き」を入手しましょう。
まず申告書を入手しましょう。
国税庁のウェブサイトの「申告・納税手続」メニューの中の「各種様式:確定申告書等」の中から最新版の申告書をダウンロードします。「平成28年分確定申告特集」ページの中にも同じものがあります。(この記事作成時点ではまだ準備中になっています。)税務署でも配布しています。
申告書には「申告書A」と「申告書B」の2種類がありますが、事業をされている方は「申告書B」を使用します。Aは事業収入などの項目が省略された簡易版ですので、どちらか迷ったら“どなたにでも使用できるB”を取りましょう。
申告書には「第一表」「第二表」とそれぞれの控え、添付書類台紙が付いています。
税務署から紙で配布される申告書用紙は複写式になっていますが、ウェブからダウンロードした場合は、記入後にコピーを取って控えを作ると簡単です。
また、あわせて「平成28年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」(以下「手引き」と略します)を必ず入手しましょう。
それぞれの項目についての説明があるほか、穴埋め式の計算欄もありますので、ダウンロードした場合は印刷しておくと便利です。(例年30ページ以上のボリュームがありますので、税務署で配布している印刷版をもらうのがお得です)
関係する資料や書類を集めましょう
「申告書」「手引き」を入手したら、記入を始める前に各項目に必要な資料、根拠となる書類を手元に用意しておきましょう。主なものをリストアップしました。
参考>>2017年版|確定申告の必要書類と持ち物【A様式/B様式】それぞれ解説
収入・所得に関するもの
- 青色申告決算書(青色申告の場合)
- 収支内訳書(白色申告の場合)
- 源泉徴収票(給与、年金等がある場合。なお、2016年中に退職した方の場合は前勤務先が発行した源泉徴収票)
- 支払調書
控除に関するもの
申告書を作成しましょう
準備が整ったら、申告書を作成しましょう。
お手元に「手引き」を手に入れた方はびっしり書かれた内容にちょっと打ちのめされた方もいらっしゃるかもしれませんが、それだけおひとりおひとりの多様な事業や暮らしの状況に対応する仕組みになっているとも言えます。
この記事では多くの方に共通しそうな項目や初めての方が迷いがちな点を中心にかいつまんでご紹介していきますが、最終的にはご自身の状況に応じて必ず「手引き」を参照しながら作成してください。
申告書を作成していて不明な点や、処理に迷うことがある場合は、
国税庁「確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A」
国税庁「タックスアンサー」
上記にも該当がない、わからない場合は所轄の税務署に電話相談窓口などに問い合わせましょう。
税についての相談窓口
また、確定申告期間中は各税務署の相談コーナーに係が待機しています。ただ、たいへん混みあう場合がありますので、できる限り各自で調べたうえで、ポイントを絞って相談しましょう。
申告の全体的な流れ
所得税の計算はおおざっぱに言うと、「収入」から費用や控除などを引いた「所得」から、さらに社会保険料など各種「控除」を引いた金額に税率を掛けるなどして計算したものが「納めるべき税金」になります。
申告書としては、およそ左上の欄から記入していくと「税金の計算」欄の下にある「納める税金」欄にたどり着く流れになっています。
住所、氏名などはまず書いてしまいましょう。
【第一表】上の欄外
つい後回しにしがちな欄外ですが、忘れずに記入しましょう。
所轄の税務署名を記入します。
住所氏名等
押印
右上に押印欄があります。シャチハタでなければ、認め印でも大丈夫です。
住所
個人事業主で自宅以外に事務所・店舗などがあって、管轄税務署が違う場合は記入の仕方に注意点があります。「手引き」を確認しましょう。
平成 年1月1日の住所
2016年(平成28年)中に引っ越しした方はこの欄の記入が必要です。
屋号・雅号
開業届に記入した屋号などを記入します。
生年月日
一番左の1マス目は元号欄です。つい「昭和のS」「平成のH」と書きたくなりますが、ちょっと待って!正しくは“数字”で「昭和は3」「平成は4」です。間違えないように気を付けましょう。
種類
青色申告の方は「青色」欄に忘れずに○を入れましょう。
整理番号
はじめて確定申告する方は記入不要です。税務署が番号を割り当てて、次年度に送られてくる申告書には印字されます。
2年目以降も、ダウンロードした申告書などを使う場合は空欄のまま提出しても問題ないようですが、記入しておくと還付の手続きなどが早く進むようです。
翌年以降送付不要
確定申告をするようになると、毎年時期になると税務署から書類一式が送られてくるようになりますが、不要な場合はここに○をつけると送付が止まります。
[第二表]にも住所、屋号、氏名欄があります。
最初に記入してしまいましょう。
収入金額等と所得金額
申告書の左側はまずこの2つの項目。
「収入」と「所得」・・・日常の言葉としては同じ意味に使われることもある二つの言葉ですが、確定申告をはじめ、税金にかかわる場面でははっきり使い分けられています。
青色申告決算書や白色申告用の収支内訳書の用紙を見るとわかりやすいですが、個人事業主の場合はざっと言うと
- 収入:得たお金の全体、「売上額」にあたる金額
- 所得:収入から原価、経費、控除額などを差し引いて手元に残った金額
といったことになります。
したがって「収入金額等」と「所得金額」には似たような項目が並んでいますが、青色申告決算書、収支内訳書を参照して、両方に記入が必要です。
事業(営業等)
個人事業主の方はまずここですね。
青色申告の方は
[青色申告決算書] [確定申告書第一表]
売上(収入)金額 = 収入金額等の事業(営業等または農業)
所得金額 = 所得金額の事業(営業等または農業)
白色申告の方は
[収支内訳書] [確定申告書第一表]
収入金額欄の計 = 収入金額等の事業(営業等または農業)
所得金額 = 所得金額の事業(営業等または農業)
給与
起業と並行してアルバイトなどの収入があった場合はこちらに記入します。
また、2016年中に前勤務先を退職した方の場合、1月から退職時までに受け取った給与を申告します。
源泉徴収票に書かれている「支払金額」を[第一表]収入金額等欄の「給与」欄に記入します。
並行して[第二表]の「所得の内訳」欄にも同じ収入金額と源泉徴収税額を転記します。
[第一表]所得金額欄の「給与」欄の記載は勤務先で2016年12月の年末調整をしたかどうかで変わります。
- 年末調整済みの場合は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を転記します。
- 退職済などで年末調整していない場合は、「手引き」に掲載されている給与所得の計算欄にあてはめて求めた金額を記入します。
雑(雑収入・雑所得)
国民年金、厚生年金などを受給されている方はこちらの「公的年金等」に記入します。
個人事業主の場合、よくある問題はその下の「その他」です。
ちなみに「手引き」には、雑所得とは「他の所得に当てはまらない所得」として「原稿料、講演料、印税、出演料」などが例示されています。
「おや、ではライターの私が受け取った原稿料は雑収入?」と惑わされるところですが、個人事業開業届を提出するなどして、事業として得た収入の場合は名目が原稿料であっても「事業収入(営業等)」になります。
計上する場合は[第二表]「雑所得(公的年金等以外)、総合課税の配当所得 譲渡所得、一時所得に関する事項」に内訳を記載します。
雑所得の計算で差し引くことができる必要経費は「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる」ものに限られますので、国税庁のウェブサイトの注意事項を確認してください。
一時(収入)
字面だけ見ると、「たまたま1回だけ頼まれて書いた記事の原稿料は一時収入?」と考えてしまいがちですが、「手引き」には
「臨時・偶発的なもので対価性のない次のような所得
● 賞金や懸賞当せん金、競馬や競輪の払戻金
● 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金」
とされています。「対価性がない」点がポイントで、本業ではない「1回だけの原稿料」も、「原稿を書いた対価」にあたりますから雑収入です。
所得から差し引かれる金額(控除)
「控除」(読みは「こうじょ」です)も日常の話し言葉ではあまり使わない単語かもしれませんが、「各納税者の個人的事情を加味」(国税庁)して所得金額からそれぞれの項目に該当する支出を差し引くものです。控除額があることで所得税額は減ることになりますので、自身に該当するものは漏れのないように確認しておきましょう。
【書き忘れ注意】基礎控除は必ず記入しましょう。
申告書のリストの順番としては一番下に書かれていますが、「基礎控除」はすべての人に適用される控除ですので、最初に記入してしまいましょう。一律に38万円です。
医療費控除
1年間に支払った医療費が10万円を超した場合(または総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額の5%を超した場合)に控除対象になります。ただし条件がありますので、該当しそうな方は「手引き」を確認しましょう。
社会保険料控除
個人事業主の方であれば、国民健康保険料、国民年金保険料、介護保険料などが該当します。
2016年中に勤務先を退職した方は、前職の源泉徴収票に記載されている「社会保険料等の金額」も忘れずに記入しましょう。
生命保険料控除
生命保険、介護医療保険、個人年金保険に支払った保険料が控除対象になります。
この控除は保険を契約した時期によって、「新」「旧」の制度が混在している状況です。保険会社から送られて来る保険料の支払額の証明書に、ご自身の保険が新旧どちらに該当するか書かれていますので、それに応じて、[第二表]の生命保険料控除欄を記入し、「手引き」の計算式にあてはめた計算結果を[第一表]を記入します。
地震保険料控除
損害保険(いわゆる火災保険等)のうち、地震保険部分の保険料・掛金が控除対象になります。(2006年以前に契約した長期損害保険料の一部も対象です。)
火災保険でも地震保険が含まれていないものは控除対象になりません。また、2年以上の複数年契約の場合に保険料を契約時にまとめて支払っていても、確定申告では1年分ずつ控除していくことになりますので保険会社から送られてくる証明書を確認してください。
寄附金控除
ふるさと納税、特定の政治献金、公益法人、社会福祉法人、認定NPO法人等に2,000円超の寄附をした場合は控除対象になります。寄附した団体などからの領収書、受領証等の添付が必要です。
領収書、受領書、添付資料等に「寄附金控除の対象になります」などと書かれていれば問題ありませんが、記載がない場合は寄附先の法人等に控除対象かどうか確認してください。
[第二表]の寄附金控除欄に記入したうえで、「手引き」の計算式にあてはめた金額を[第一表]寄附金控除欄に記入します。
また、寄附金は所得税だけでなく、一部が住民税からも控除できますが、控除対象になる法人等の指定状況は自治体ごとに違います。事前に寄附先の団体に問い合わせるか、お住まいの自治体がウェブサイトに掲載している寄附金控除対象法人の一覧表などを確認する必要があります。(それによって[第二表]の「住民税・事業税に関する事項」欄の記載のしかたが変わってきます)
ちなみに寄附金を控除するやり方としては、この「所得から差し引かれる金額」欄に計上する方法と、「税金の計算」欄の「政党等寄附金等特別控除」欄に計上する方法の2パターンがあり、申告する人が選べることになっているのですが、どちらが有利(より税額が減る)かは、所得額、寄附額によって変わってきます。2016年にある程度まとまった金額の寄附をした方はご自身で2パターンのシミュレーションをしてみることをおすすめします。
寡婦・寡夫控除
夫または妻と死別・離婚した後、再婚していない方(または生死不明など)が控除対象になります。「寡夫」の場合は子供がいる場合に限られるなど、「寡婦」と「寡夫」で微妙に条件の違うところもありますので、該当する方は「手引き」を確認してください。
勤労学生、障害者控除
障害者控除はあなた自身や、配偶者、扶養親族が障害者である場合の控除です。
勤労学生控除は働きながら学校に通っている「勤労学生」で1年間の合計所得金額が65万円以下などの条件を満たす場合に控除が受けられます。主にはアルバイト収入などが考えられますが、学生起業家も条件に合えば対象になる可能性があります。
配偶者(特別)控除
配偶者の合計所得が38万円以下の場合は配偶者控除、38万円超~76万円未満で条件を満たす場合は配偶者特別控除の対象になります。
配偶者特別控除は配偶者の合計所得金額によって控除額が変わりますので、「手引き」を参照しながら、該当する場合は「区分」欄に「1」を記入したうえで、控除額を記入します。
ちなみに配偶者(特別)控除は夫妻問わず対象になりますので、例えば「共働き夫婦の夫が独立開業したけれども、思うように収入が増えなかった」場合などは条件に合えば妻の所得に配偶者控除を計上することができます。
なお、配偶者控除、配偶者特別控除とも、配偶者が「事業専従者」(「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出している場合、白色申告収支内訳書の事業専従者の氏名等欄に該当する場合)になっている場合は控除を受けられませんので、夫婦で起業した方は特に注意が必要です。
扶養控除
「配偶者以外の親族で納税者と生計を一にしている合計所得金額が38万円以下の人」がいる場合に控除の対象になります。例としては、16歳以上の子供、両親、義理の両親などがいる場合に控除対象になります。対象者がいる場合は、子供や高齢者の年齢によって控除額が変わりますので、「手引き」を確認してください。
「生計を一にしている」というと、日常の言葉としては「一緒に暮らしている」イメージですが、確定申告の場合、同居はもちろん、別居していても例えば生活費、療養費を仕送りしている場合などは「生計を一にしている」ととらえられます。逆に、仕送りをしている大学生の子供がアルバイトを頑張って所得金額が上限を超えると扶養控除対象から外れることになります。
扶養控除では1人の親族を重複して2人以上が扶養控除の対象にはできないことになっています。具体的には、夫が扶養控除の対象にしている子供は同時に妻の扶養控除の対象にはなれない、といった場合です。共働き夫婦、なかでも、どちらかが会社勤めで年末調整をして、もう一方が確定申告する場合、書類を作る時期がずれることになりますので、「あれ?どうしたっけ?」とならないように確認しておきましょう。
また、配偶者控除の場合と同様に、「事業専従者」になっている場合は控除対象外です。
税金の計算
いよいよ右の列、税金の計算に入ります。あと一息です。
ここまでに計算してきた「所得金額」の合計欄から「所得から差し引かれる金額」の合計を差し引いて「千円未満を切り捨てたもの」をまず一番上の段、「課税される所得金額」欄に記入します。
次に、計算式に従って、税額を計算します。この計算式は「課税される所得金額」によって7パターンありますので、必ず「手引き」を確認してください。(株や土地取引などがある場合はさらに別の表の作成が必要です。)
税額控除
その下には、またも各種の「控除」と書かれた項目が並びます。こちらは今計算した税額から差し引かれる項目です。住宅の改築や耐震改修など、2016年中に該当するものがあれば記入して、さきに計算した「税額」から差し引いた金額を「差引所得税額」に記入します。
謎?の空欄と「区分」欄
配当控除の下に1行、謎の空欄がありますが、実は事業主の方には見逃せない欄です。青色申告の方に限られますが、「事業所得等の特例に係る税額控除」を記入する欄で、機械等を取得した場合など事業に関連して該当するものがあれば、控除対象になります。
政党等寄附金等特別控除
寄附金を税額控除に計上することを選択した場合はこちらに記入します。
「所得から差し引かれる金額」の寄附金控除と重複しては受けられません。また、寄附先が政党以外の認定NPO法人、公益法人等の場合もこの欄に記入します。
災害減免額
ご自身が災害減免法の対象になる場合は「災害減免額」を差し引き、「再差引所得税額」欄に記入します。
災害減免に該当しない方は「差引所得税額」をそのまま「再差引所得税額」に転記します。
【書き忘れ注意】復興特別所得税額
東日本大震災復興のための財源確保のために作られた税金です。書き忘れが多発しているようですので、忘れずに記入しましょう。
所得税及び復興所得税の源泉徴収税額
2016年中の勤務先、アルバイトなどあらかじめ源泉徴収されている税額がある場合はここに記入します。
所得税及び復興特別所得税の申告納税額
納税額を記入します。
ここまでに計算してきた所得税額から源泉徴収税額を差し引いた時に、金額がプラス(正)になっていれば、それが納税額です。もしも差し引いた時の金額がマイナス(負)になっていれば、その分が還付(払い戻し)されます。
計算結果がマイナスの場合は「△」または「-」記号を付けて記入しましょう。
所得税及び復興特別所得税の予定納税額~第3期分の税額
前年度の所得が一定以上の方など、予定納税をされている場合はこちらの欄に記入します。
その他
それぞれの項目に該当する申告内容がある方は記入します。
配偶者の合計所得金額
配偶者特別控除を申告する場合
専従者給与(控除)額の合計額
事業専従者がいる場合
青色申告特別控除額
青色申告で特別控除額がある場合
雑所得・一時所得等の所得税及び復興特別所得税の源泉徴収額の合計額
雑所得、一時所得に関する源泉徴収額がある場合
未納付の所得税及び復興特別所得税の源泉徴収額
還付を受ける場合で、顧客から受け取った報酬、料金等の支払調書の支払金額、源泉徴収税額欄に未納付分が分けて書かれているものがある場合はこの欄に記入します。
これは例えば、報酬の支払が月末締め翌月末払の場合に、12月分(1月末払)の源泉徴収分が支払調書作成時に「未納付」になっていると発生します。
この欄に記入した金額は、還付金から差し引かれますので、後日「源泉徴収税額の納付届出書」を提出して、この分の還付を受けましょう。
本年分で差し引く繰り越し損失額
青色申告の方が前年分から繰り越した損失額を差し引き、翌年以後に繰り越す損失額がない場合はこちらに記入します。
平均課税対象金額
「平均課税」は、収入の変動が大きい人の税負担を緩和する制度です。
具体的には、作家、作曲家、漁業、養殖業などの変動所得、まとまった契約金が支払われるような契約を交わす場合(例えばプロ野球選手のような場合や、不動産貸借など)などの臨時所得が含まれます。
変動所得、臨時所得で急に収入が増えた場合には検討しましょう。
延納の届出
こちらに記入して申告することにより、納めるべき税額の50%以下の範囲で、5月末まで期日を延期することができます。(ただし、一定額以上の延納には利子税が加算されます。)
還付される税金の受取場所
還付される税金がある場合はこちらに記入した銀行等の口座に振り込まれます。
また、並行して還付の通知が郵送されてきます。
[第二表]の記入
ここまでにもそれぞれの項目で[第二表]を記入してきたところですが、最後に「住民税・事業税に関する事項」を記入します。
住民税
別居の控除対象配偶者・控除対象扶養親族・事業専従者の氏名・住所
所得税で控除対象配偶者などとした専従者
所得税と住民税で取り扱いが異なるために記入する欄です。
16歳未満の扶養親族
所得税では16歳未満の子供は扶養控除の対象外でしたが、住民税では扶養親族に含まれる場合があるために必要な項目です。
給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択
ここで「給与から差引き」を選択すると、勤務先からの報告と確定申告に基づいて合算した支払うべき住民税額が勤務先に通知されることになります。
「自分で納付」を選択すると、確定申告分の住民税の納付書は直接送られてきます。
会社等の勤務を続けながら副業を起業した方には見落とせない項目です。
事業税
非課税所得など
事業税非課税の特定の事業からの所得がある場合は「手引き」を参照して記入します。
損益通算の特例適用前の不動産所得
不動産所得から差し引いた青色申告特別控除額
事業用資産の譲渡損失など
それぞれ、該当するものがある場合は記入します。
前年中の開(廃)業
2016年中に開業された方は開始に○をつけて、月日を記入します。
他都道府県の事務所等
他都道府県にも事業所を構えた方は○をします。
添付書類を用意します。
申告書の「添付書類台紙」に必要な書類をのりづけしていきます。
提出しましょう。
申告書、添付書類などを揃えて所轄の税務署に提出します。
通常の開庁時間は月曜~金曜日(祝日除く)の8:30~17:00ですが、一部の税務署では確定申告期間中の特定の日曜日など、臨時に開庁する場合がありますので、各税務署に確認してください。時間外は「時間外収受箱」に投函することもできます。
参考>>確定申告する場所は本当にその税務署でいい?提出先と受付時間も確認
税務署の一覧
提出窓口では一見して明らかな不備(例えば押印がない、添付書類がないなど)以外は、その場で細かい間違いを指摘されるわけではありませんが、問題があると後日修正申告が必要になったり、場合によっては延滞税など余計な費用が発生することもあります。
申告内容に不明、不安な点がある場合は相談コーナーの係に相談しましょう。
郵便、信書便で送付も可能です。消印が提出日とみなされます。
控えの返送を希望する場合は切手を貼って宛名を書いた返信用封筒を同封します。
ちなみに、確定申告書は「信書」なので、メール便等では送れません。
納税します。
納税は現金・口座振替・e-Taxの3つの方法があります。
現金納付
現金納付の場合は納期限3月15日まで、つまり確定申告の期限と同じです。申告書第一表に延納の申告をした場合は、延納分の納期限は5月31日になります。
税務署や金融機関に備え付けてある納付書を使って納付します。
口座振替
口座振替の場合は3月15日までに、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を税務署または金融機関に提出します。この場合の振替日は4月20日ですので、現金納付に比べて約1か月猶予が持てることになります。
e-Tax
e-TaxはインターネットバンキングやATMから納税する方法です。
参考>>2017年版|ネットで完結!e-TAXで確定申告するための具体的手順と注意点
まとめ
これで今回の確定申告は終わりです。細かい項目が多いですが少しずつ慣れていきましょう。
なお、この記事では書ききれない適用条件、計算式の枝分かれなどが多数ありますので、繰り返しになりますが、それぞれの項目を計算、記入する時は必ず「手引き」を参照して作業してください。
また、最近のニュースでは配偶者控除制度の見直しが話題になっていますが、何かしらの税制改正は毎年行われています。確定申告の際は必ず最新の「手引き」「申告書」などを使用することが大切です。
(執筆:創業手帳編集部)
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