法人設立時に必要な届出一覧!提出書類から期日など徹底解説

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法人設立時の届出は前もって確認しておこう


法人を設立する際には様々な届出が必要です。会社を設立した後は、事業の立ち上げで忙しい時期ですが、期日に定めがある届出もあるので注意してください。
税務署や都道府県、市町村などあらゆる機関に届出を提出するため、あらかじめ覚えておくとスムーズに申請ができます。

そこで今回は、法人設立時に行うべき届出を一覧にしてご紹介していきます。どのような届出が必要になるのか分からない方は、ぜひ参考にしてください。

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法人設立時に必要な届出一覧


法人を設立した際に必要な届出は以下のとおりです。

【税務署に提出する書類】

提出書類名 添付資料 期日
法人設立届出書 ・定款の写し
・設立の登記事項証明書
・株主名簿
・設立時の貸借対照表
・設立趣意書等(作成済みの場合)
設立登記日から2カ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 なし 随時
青色申告の承認申請書 なし 法人設立日以降3カ月を経過した日または最初の事業年度の終了日いずれか早い日の前日まで
給与支払事務所等の開設届出書 なし 事業所を開設した日から1カ月以内
棚卸資産の評価方法の届出書 なし 設立後、最初の確定申告提出期限日まで
減価償却資産の償却方法の届出書 なし 設立後、最初の確定申告提出期限日まで
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書の帳簿価額の算出方法の届出書 なし 設立後、最初の確定申告提出期限日まで
申告期限の延長の特例の申請書 なし 申告期限延長の特例を最初に受けようとする事業年度終了の日
開廃業の届出書 なし 開廃業の日から1カ月以内
所得税の青色申告の取りやめ手続き なし 青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日まで
消費税課税事業者選択届出書 なし 適用を受ける課税期間初日の前日まで

【都道府県・市区町村に提出する書類】

提出書類名 添付資料 期日
法人設立届書 ・定款の写し
・履歴事項全部証明書
など
会社設立日から2カ月以内(各都道府県によって異なるケースあり)

【労働基準監督署に提出する書類】

提出書類名 添付資料 期日
労働保険関係成立届 ・履歴事項全部証明書
・事業所の賃貸借契約書
従業員を雇用した翌日から10日以内
労働保険概算保険料申告書 労働保険の保険関係成立届 従業員を雇用した日から50日以内
就業規則(変更)届 労働者代表の意見書 作成後遅滞なく
適用事業報告書 なし 事業開始後遅滞なく

【ハローワークに提出する書類】

提出書類名 添付資料 期日
雇用保険被保険者資格取得届 ・労働者名簿
・賃金台帳
・出勤簿またはタイムカード
従業員を雇用した
翌日から10日以内
雇用保険適用事業所設置届 ・履歴事項全部証明書
・労働者名簿
・賃金台帳
・出勤簿またはタイムカード
従業員を雇用した
翌日から10日以内

【年金事務所に提出する書類】

提出書類名 添付資料 期日
健康保険・厚生年金保険新規適用届 ・履歴事項全部証明書
・事業所の賃貸借契約書
・賃金台帳
・労働者名簿
など
事実発生から5日以内
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 なし 事実発生から5日以内
健康保険被扶養者(異動)届 ・国民年金3号被保険者資格取得書
・被保険者となる者の収入状況がわかる書類
など
事実発生から5日以内
国民年金3号被保険者資格取得届 被扶養者届と共に提出

法人設立時に税務署に提出する届出一覧


法人設立時に税務署に提出すべき届出の詳細を解説していきます。

法人設立届出書

会社を設立した後に提出が必要となる書類の1つが法人設立届出書です。株式会社をはじめ、一般社団法人や合同会社など、法人であれば必ず提出しなければなりません。
ただし、非営利型法人の場合は提出不要となっています。
また、税務署以外にも、都道府県税事務所や市町村役場に提出が必要です。提出する先によって届出書のフォーマットや期限、添付書類が異なるので注意してください。

消費税関係の届出書

法人を設立した場合、消費税関係の届出も必要です。消費税の免税事業者が課税事業者になるために提出する書類が消費税課税事業者選択届出書です。
所轄の税務署に持参する他、郵送での提出、e-Taxでの提出と3つの提出方法があります。

提出期限は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までです。提出が間に合わない場合、所轄の税務署長の承認を受ければ課税期間前に提出したとみなされます。
ただし、災害などのやむを得ない事情のみなので、提出を失念した場合は認められません。

青色申告の承認申請書

会社を設立して利益が出たら法人税を納める必要があります。
法人税は白色申告と青色申告の2種類がありますが、税務上のメリットが大きい青色申告を選んで提出をする会社が多いです。
青色申告の承認申請書を提出していれば、赤字が生じたとしても翌期以降9年間繰り越すことが可能で、翌期以降の黒字と相殺できます。
税務署の窓口で提出するほか、郵送やe-Taxを活用した提出方法があります。
郵送の場合は開業届と控え、本人確認書類やマイナンバーがわかる書類のコピーなども同封してください。

給与支払事務所等の開設届出書

役員や従業員に対して給与を支払う事業所を開設したことを届ける書類です。
1人社長であっても自身に役員報酬を支払うため、提出が必要になります。提出先は、従業員を雇用する事務所の所在地を管轄している税務署です。

提出しないことでのペナルティはありませんが、提出をしないと源泉徴収をした所得税を納付するための用紙を受け取れません。
納付書がなくてもクレジットカードでの支払いができますが、納付書があったほうが納付忘れを防止できるので安全です。

棚卸資産の評価方法の届出書

会社で所有している棚卸資産をどういった方法で評価をするか申告するための書類です。
棚卸資産とは、商品として仕入れたものの、その期のうちに売れなかった在庫を指します。評価方法によって所得金額が変わる点が特徴です。
評価方法は、それぞれにメリット・デメリットがあります。事業形態によって有利なものが異なります。税理士に相談をして自社に合った方法を選択してください。

減価償却資産の償却方法の届出書

土地を除いた固定資産の老朽化などに合わせて価値を減額する手続きを減価償却と言います。
減価償却による固定資産の減額分は、減価償却費として計上できるので税務面でプラスとなります。

償却方法は、定額法と定率法があり、採用する方法は届出によって選択可能です。
定額法は、毎年一定額を費用にしていく方法ですが、定率法は、毎年一定の割合で減少するように費用計上していく形となります。
届出をしないと自動的に定率法になりますが、初年度の償却費の負担が重くなるケースもあるので、自社の状況に合わせて定額法か定率法を選択してください。

有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書

有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法を、移動平均法もしくは総平均法かを選択したい場合に提出する書類です。
確実に提出が必要な書類ではありませんが、移動平均法の場合は取得をするたびに計算が必要となるので、有価証券の売買を頻繁に実施する場合は総平均法を選択したほうが事務的にもメリットがあります。
提出しないと自動的に移動平均法が選択されます。変更したい場合は、管轄の税務署に書類を提出してください。

申告期限の延長の特例の申請書

法人税は、決算日の翌日から2カ月以内に申告し、納付しなければなりません。
申告や納付期限を過ぎると無申告加算税や延滞税といった付帯税が課される危険があるので注意が必要です。
しかし、申告期限の延長の特例の申請書を提出すれば法人税の申告期限を1カ月間延長できます。
納付が間に合わないと判断したら、所轄の税務署に申請書を持参もしくは送付してください。

開廃業の届出書

個人事業者が株式会社といった法人に成り代わった場合に個人事業を廃止するために提出する書類が開廃業の届出書です。
提出では、廃業日をいつにするかで悩まれる方もいます。
法人を設立した日や法人口座を開設した日、法人として営業を開始した日など、合理的な日を選択して廃業日として決定してください。
提出は、事業を廃止した日から1カ月以内です。期限内に忘れずに提出してください。

所得税の青色申告の取りやめ手続き

所得税の青色申告の取りやめ手続きも個人事業者が法人成りをした場合に必要となる届出です。
個人事業で青色申告の承認を受けており、法人化によって青色申告を辞めたい場合に提出を行います。
提出期限は、青色申告を取りやめる年の翌年3月15日までです。提出期限が土曜日・日曜日・祝日にあたる場合は翌日が期限となるので注意してください。

法人設立時に労働基準監督署に提出する届出一覧


次に、労働基準監督署に提出をする届出をご紹介していきます。

労働保険保険関係成立届

労働保険の適用事業となった際には、まず労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署もしくは公共職業安定所に提出します。
労働関係が成立した日の翌日から起算して10日内までの提出が必要です。提出は、所轄の労働基準監督署に行います。
届出を実施することで、労働関係の手続きに必要となる労働保険番号がもらえるようになります。成立届を出さなければ他の届出ができないため早めに申請してください。

労働保険概算保険料申告書

労働保険料を納付するための申告書が労働保険概算保険料申告書です。保険関係成立届と一緒に提出もしくは保険関係成立届の手続きが終了してから届出を行います。
提出期限は、保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内です。
所轄の労働基準監督署、都道府県労働局、日本銀行のいずれかで申請してください。

就業規則(変更)届

法人を設立して就業規則を作成した際には就業規則(変更)届を提出しなければなりません。
管轄する労働基準監督署への提出が必要ですが提出期限に定めはないため、作成した段階で提出するようにしてください。

ただし、就業規則の届出の義務は、常時10人以上の労働者を使用する会社のみです。
正社員だけではなく、パートや契約社員も含まれますが、常時10人もいない会社であれば提出の必要はありません。

適用事業報告書

労働基準法の適用を受けるようになった場合に管轄の労働基準監督署にその事実を報告するための書類が適用事業報告書です。
従業員を1人でも雇用した事業所は提出が必要になります。
雇用があれば遅滞なく提出する必要がありますが、提出を失念すると30万円以下の罰金に科せられる可能性もあります。提出漏れのないように注意してください。

法人設立時にハローワークに提出する届出一覧


ここからは、法人設立時にハローワークに提出する書類を解説していきます。提出不足のないよう参考にしてください。

雇用保険被保険者資格取得届

従業員を雇用して雇用保険の適用事業所になったことを届け出るための書類です。保険関係成立届の申請をした後に提出します。
届けを出す際には雇用保険被保険者資格取得届に加えて、労働保険関係成立届の事業所控えと労働者の雇用実態、賃金の支払い状況を証明できる書類の提出が必要です。
労働者名簿や賃金台帳、出勤簿などを用意してください。

また、事業所の実在や種類、事業開始日、経営の状況、社会保険の加入状況を証明する書類なども必要です。
添付忘れのないよう、あらかじめ必要な書類を把握しておくとスムーズに申請できます。

雇用保険適用事業所設置届

雇用保険の被保険者となる従業員を雇用した際に提出する書類です。
雇用保険は、労働者が失業をして収入がなくなった際に必要な給付を実施し、労働者の生活や再就職の支援を行うための制度なので、手続きを怠ってしまうとペナルティが課せられる危険性があります。
被保険者を雇用した日の翌日から10日以内までに必ず提出するようにしてください。

法人設立時に年金事務所に提出する届出一覧


最後に、法人を設立した際に年金事務所に提出すべき書類をご紹介していきます。

健康保険・厚生年金保険新規適用届

健康保険・厚生年金保険の適用を事業所が新たに受ける場合に提出するための書類です。
事業主のみを含む常時従業員を使用する法人事業所
常時5人以上の従業員が働く事業所、工場、商店などの個人事業所
以上の事業所が対象です。事実が発生してから5日以内までが期限となっており、窓口・郵送・電子申請の3つの方法で手続きを行えます。

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

健康保険や厚生年金保険に加入すべき従業員を採用した際に申請する書類が健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届です。
事実発生から5日以内に事業者が届出を行います。
添付する書類は原則必要ありませんが、60歳以上の従業員が退職後に1日の間もなく再雇用された場合や国民健康保険組合に引き続き加入し一定の要件に該当する場合は、それぞれに応じて添付書類が必要となるので、あらかじめ確認しておいてください。

健康保険被扶養者(異動)届

雇用した従業員に扶養者がいる場合に提出すべき書類です。
申請をする際には、被扶養者となる者の収入状況が分かる書類や、同居要件が必要な場合は住民票などを添付する必要があります。
提出期限は、事実が発生してから5日以内です。窓口・郵送・電子申請のほか、CDやDVDなどの電子媒体といった提出方法があります。

国民年金3号被保険者資格取得届

雇用した従業員の被扶養者が第3号被保険者に該当する場合に提出すべき書類です。基本的には、健康保険被扶養者(異動)届と一緒に提出します。
届出用紙は日本年金機構のホームページからダウンロードが可能です。窓口への持参のほか、郵送や電子申請で提出可能です。

添付書類として、被扶養者の戸籍謄(抄)本、住民票の写しを用意してください。
また、収入要件を満たしているか確認するためにも、退職証明書や年金額の改定通知書の写しが必要になるケースもあります。

まとめ・法人設立時には届出が多数あり!一覧をチェックして準備をしよう

法人設立時には届出が必要な書類が複数あります。提出期限が定められている書類もあるので、あらかじめ必要な書類を把握していれば申請忘れを防げます。
どのような届出が必要なのかあらかじめ確認しておき、不明な点があれば各機関に問い合わせをして相談してみてください。

会社設立にはやるべき事がたくさんあります。準備に追われる起業家のために創業手帳では「創業カレンダー」を作成致しました。起業予定日を起点に前後1年間においてのやることリストをカレンダー形式に確認ができるアイテムですので、「創業カレンダー」をうまく活用し、準備を進めていくことをおすすめします。


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(編集:創業手帳編集部)

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