ブロガー・作家 はあちゅう|「まずは手放す!」新しい本の在り方に挑戦する。やりたいことをやるための発想法
新しい本の売り方を創りたい
(2018/01/17更新)
「本は出版すればするほど売れなくなっている。」出版不況と言われて久しい現代では、SNSの登場などの影響で、既存のメディアである本が苦境に立っています。
そんな中、本とブログやSNSを掛け合わせて、新たな本のあり方を追求し続けている作家がいます。先日、「自分への取材手帳」を出版した、はあちゅうさんです。
「ブログからたくさんのチャンスをもらった」と語るはあちゅうさん。今回は、自身が本を出版するに至った経歴や、コンテンツ作りの際に周りの人を巻き込む方法について、お話を伺いました。
ブロガー・作家。慶應義塾大学法学部政治学科卒。
在学中にブログを使って、「クリスマスまでに彼氏をつくる」「世界一周をタダでする」などのプロジェクトを行い、女子大生カリスマブロガーと呼ばれる傍ら、レストラン、手帳、イベントをプロデュースするなど、幅広く活動。
2009 年電通入社後、中部支社勤務を経て、クリエーティブ局コピーライターに。
2011年12月に転職し、トレンダーズで美容サービス、動画サービスに関わる。
2014年9月からフリーで活動中
ブログは、読者との強い絆を作ることができる
はあちゅう:「ブロガー・作家」です。「ネット時代の新しい作家」をスローガンにして活動しています。
はあちゅう:慶應大学に在籍している時に、ブログを開設しました。その反響が大きくて、当時から様々なメディアに出させていただきました。
卒業後は電通に就職して、そこで3年ほど働きました。その後、トレンダーズに転職し、トレンダーズを退職した後は、起業して今に至ります。
はあちゅう:そうですね。思い返してみると、ブログを始めたことが大きな転機だったと思います。
ブログを始める前は、自分の生活が誰かに見せられるようなものではないと思っていました。ですが、淡々と自分の劣等感まみれの日常をブログに綴っていたら、それがいつのまにか読者にとって時に「羨ましい」と思われるようなものであることを知りました。「自分自身のことは私が一番よく知っているはずなのに、誰かから見た自分は全然違う」ということがわかったんです。そこから、「自分の見え方が最高値になるような場所に身を置けば、自分自身がどんどん更新されていくんじゃないか?」と考えたんです。
まずは「バズるブログを書く」ことを目標にする
はあちゅう:それは確かにあります。私が大学生の時に初めてお仕事をいただいたのも、ブログがきっかけでした。これからレストランを始める方が、たまたま私のブログを見つけて「女子大生に意見を聞いてみたい」とコメントをくれたんです。その縁で、レストランのコンサルティングをやらせていただきました。
そのことを発信していったら、「こういう仕事はどうですか?」という具合で、どんどんお仕事が広がっていって、「女子大生プロデューサー」と名乗って活動していくことができました。
私は「レストランのコンサルティングをやろう」と思ったことは無かったんですが、私自身を世の中の目に見えるところに置いておくことで、誰かが自分の価値を発掘してくれるんだ、ということを強く感じました。
だから、SNSなどの人の目に触れるメディアに、自分のプロフィールを載せておくことは重要だと思います。
はあちゅう:そうかもしれません。
本って出版することのハードルが高い割に、レスポンス率はあまり良くないと思っています。しかも、一度出版してしまうと修正がききません。
本を買ってもらうハードルのことを考えると、本の出版を目指している人は、「一冊の本を出す」ではなく「バズるブログを書く」をまず目標に設定した方が良いと思います。
情熱が人を動かす
はあちゅう:そうですね。まず、Facebookは友達と繋がっているので、自分への同意を求める投稿や人間関係が絡んだ投稿が多いと思います。
一方でTwitterだと、自分の半径5メートルの外の人に投稿が拡散され、叩かれるリスクが大きいかもしれません。
Instagramは比較的優しい空間だと思います。自分のギャラリーを理想的に整理している人が多く、「理想の自分同士」で接するコミュニティだからこそ、優しい空間になっているんだと思います。
はあちゅう:人を巻き込むコツは、「これがやりたいんだ!」という情熱しかないと思っています。企画の中心にいる人は誰よりも熱が入っていないといけません。そうしないと、周りの人たちに熱を伝えることができません。
本を売る時もそうです。「本を売ろう!」と思って意識を集中させると、周りの人がふわーっとその熱に付いてきてくれます。
覚悟が決まると、チャンスを引き寄せる
はあちゅう:会社を辞める時には、やっぱりドキドキしました。
私の父親はしっかり会社員をしていて、私の周りには自由に生きている人ってあんまりいなかったんです。その影響からか、「会社を辞める」ということが、自分の人生で起こるなんて思ってもいませんでした。
ただ、「いつか独立しよう!」という気持ちが最高潮に達した時に会社を辞めたので、退職後は意外と楽しめました。収入が会社員での給料より上回っている状態で退職することができたことも、楽しめた要因ですね。
起業するかどうかを決める時に出てくる不安の半分は、お金に関わることだと思うんです。私は石橋を叩いて行動する性格だったんで、ちゃんと目処を立てて起業しました。その点はサラリーマンの家庭に育った影響かもしれませんね。
はあちゅう:そうですね。覚悟が決まると、チャンスを引き寄せてくれると思います。独立してから、自分の夢が叶う土壌が出来てきました。
アイディアの種は、常に貯めておく
はあちゅう:普段から素材をたくさん貯めておくことです。
アイディアというものは、ゼロから生まれるものではありません。1+1で生まれてくるものなので、元となる素材がないと完成しないんですね。
なので、普段から情報に接して、「これ、何かに使えそうだな」という「1」の部分を探しておくんです。そういう素材を貯めておくために、メモとか手帳をものすごく使っています。
はあちゅう:そうですね。例えば「本を売りたい!」って考えた時に、「そういえば、前にメモしたコレとコレを組み合わせてみようか」とか「これを題材にしたイベントをやってみよう」といったアイディアが生まれてきます。
保管しておいた素材たちが必然的に組み合わさって、企画になることが多いです。なので、アウトプットをしたい人は、インプットをしっかり仕込んだほうが良いですね。
はあちゅう:2017年に手がけたことでしたら、旅のオンラインサロンはすごく面白かったし、印象に残っています。
「旅の本を作る」という企画をいただいたのですが、出版社さんがまだ体制を整えられていない状況だったので、制作費が出なかったんです。とはいえ、旅の本でオールカラーだったので、制作費がかなり掛かります。
そこで、旅費を作るためにオンラインサロンを作って、「旅の本をいつか作りたい」という方のために情報を発信することにしました。
はあちゅう:そうですね。この企画で感じたことは、作り手と受け手の距離がものすごく近くなっている、ということです。
新しいことを始めるときは、まず手放す
はあちゅう:実は、2017年の12月に全て閉鎖しました。
はあちゅう:私の場合、新しいものを生み出すためには、安定したものを手放す必要があるんです。
今の自分の仕事をずっと続けているだけだったら、自分の価値がどんどん下がってしまうんです。なので、仕事をやっていても、常に「どこが断捨離できるだろう?」と考えています。
はあちゅう:そうですね。
なるべく身軽になっていたいし、がんじがらめになっていると「これだ!」って思ったやつを見つけてもすぐに動けないので、常に「ちょっとヒマな状態」を意識して作っています。
起業した時は、雑務に追われて大変な時期だと思います。
仕事している気になってしまうこともありますが、生み出すことと、進めることが仕事です。処理をするのは作業なので、それを見極めて新しいものを作り続けないと、淘汰されてしまうと思います。
「自分への取材手帳」は「手帳のドリル」
はあちゅう:以前、「週末野心手帳」という手帳を出版した際に、「手帳に何を書けばいいかわからない」という方がいました。
その時に、「手帳に何を書くかが書いてあるドリルがあったらいいかも?」と思ったことがきっかけでした。
はあちゅう:青い手帳の方は、使い方の部分を見て欲しいですね。
どういうことを定点観測していけば、話が面白い人になれるか?とか、考えが深まる人になるか?といったことを考えて、項目を決めていきました。
ネットで見つけて良かったものをあとから思い出せるように、検索ワードだけでも書いておけば、時間が経ってからも出会うことができます。
なので、まずは項目だけでもとりあえず埋めてみよう、って思ってくれたら嬉しいです。
自分にしかできない、本の新しい形を創りたい
はあちゅう:過去の自分を思い返してみたら、起業したときは夢があって楽しかったです。起業家のみなさんも、自身の夢の実現のために突き進んでください。
あとは、プロフェッショナルの知識はケチらずにお金で買うといいと思います。
今は、時間や経験はお金で変える時代です。要するに、苦手なことはその道のプロにお任せした方が良い、ということです。
外注することで、時間にも余裕ができたし、ストレスも減りました。
起業したばかりだと、なんでも自分一人でやって節約してやろう、と思う方がいるかもしれませんが、私は登記からプロにお任せしました。そうすると、得意なことにフォーカスすることができるので、質の高い仕事をすることができると思います。
はあちゅう:本をずっと出し続けたいと思っています。
本は出版すればするほど売れなくなっていく、ということがある意味宿命なんですが、そんな中でも本を売り続けたいです。
あと、紙の読者をネットに、ネットの読者を紙に、という循環を作りたいです。
本の新しい売り方を創っていきたいですね。
(取材協力:はあちゅう)
(編集:創業手帳編集部)