会社設立にかかる期間は?最短期間や手続きの流れを紹介します
会社設立まで10日前後は必要になるのでスケジュールに余裕を作っておこう
会社設立にかかる期間は、準備をどこまで進めているか、法人の形態をどうするかによって変わります。
完全に準備が整った状態から始めれば、1日で手続きを完了させることも不可能ではありません。
ただし、これは必要事項を決定しておくほか、印鑑や書類の準備も整った状態ですべての手続きがスムーズなケースに限られます。
できるだけスピーディーに会社を設立するためには、必要書類を間違いなく準備してオンラインでの申請も活用してください。
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この記事の目次
会社設立までのスケジュール
会社設立までのスケジュールは、実際に着手してみないとわからないことがたくさんあります。
会社を設立するまでに、具体的にどの程度の時間がかかるか知らない人も少なくありません。
ここでは、会社を設立するまでのスケジュールとそれにかかる期間を紹介しています。
会社設立に関わる期間は、会社の規模や業種、発起人の数によっても違いますが、ここではまったく準備をしていないような状態から、会社を設立するまでに最低限必要な工程をまとめました。
①事前準備
会社を設立するといっても、まったくアイデアも何もないような状態からは設立できません。
会社設立前とはいえ、事前準備をどれだけ周到に行っておくかによって、この後の工程が円滑に進むかどうかが変わります。
以下では、どのような準備が必要なのか紹介しています。
事業内容等の決定
会社を設立するにあたって、事業の内容や目的、理念は明確にしておきます。
事業内容や起業の目的を決定していないと、設立の手続きに影響するだけでなく、経営し始めてからも問題となる可能性もあります。
特に、複数人で会社を設立する場合には、どのような事業内容なのか、コーポレートミッションは何なのかを決め、創業に関わる全員が共有するようにしてください。
会社所在地の決定
定款には、会社の本店の位置を書きます。
自宅にすることも可能ですが、賃貸の場合には、法人の本店として使用できるかどうかを確認してください。
また、コワーキングスペースを活用する方法もあります。
個人の印鑑登録
会社を設立するためには、設立者の印鑑も使います。会社設立時には、印鑑登録済みの印鑑が必要です。
後からの手続きをスムーズにするためにも、事前に印鑑登録を行っておいてください。
会社の資本金額の決定
会社運営では資本金も重要です。
資本金は、1,000万円以上にすると消費税の課税事業者になるので、理由がない限りはそれ以下にすることをおすすめします。
実印の発注
会社の実印も会社として取引や契約をする際に必要となります。
必要になってから作成しても構いませんが、事前に会社の実印を作成しておくと流れがスムーズです。
会社の印鑑登録は設立登記が終わった後になるので、まずは実印を発注しておきましょう。
株式に関わることの決定
設立するのが株式会社の場合には、株式についてもあらかじめ決定しておきます。
まず、株式を何株発行するのか、どれだけの持分で誰が保有するかも考えておきましょう。
また、一株当たりの株価も事前に考えなければなりません。
株式を使った資金調達、エクイティファイナンスは多くの場面で使われます。
株式の発行数と一株当たりの株価は慎重に協議して決定してください。
②定款の作成と認証
会社を設立する時には、定款を作成します。
定款は、会社の基本的なルールを定めた書類です。
会社法によって、記載すべき事項や公証人役場での認証などが規定されています。
定款の作成
定款を作成するには、公証役場に出向くか公開されているテンプレートを利用して作る方法があります。
定款を自分で作成することもできますが、会社のルールやあり方に関わる重要な書類なので、司法書士や弁護士といった専門家に依頼することも検討してください。
公証人役場での認証
株式会社を設立する場合は、定款を作成してから公証役場で認証を受けます。
用意するのは、定款2部と発起人全員の印鑑証明書、実印です。
また、認証手数料50,000円と、謄本代が250円×定款のページ数を現金で用意して、収入印紙を40,000円用意してください。
電子定款にする場合には、収入印紙代が不要でその分のコストを削減できます。
ただし、電子証明書付きのマイナンバーカードと、電子署名ソフト、ICカードリーダライタ、電子署名プラグインソフトを用意しなければなりません。
定款やそのほかの書類が用意できたら、本店所在地がある都道府県内の公証役場に連絡して公証人と訪問日時を決めます。
あらかじめ書類に間違いがないかどうかチェックしてもらうと当日の認証もスムーズです。
③資本金の手続き
定款の認証が確定した日以降に資本金の払い込みも行います。
登記前でまだ法人口座がないため、発起人の個人名義の口座を使用してください。
資本金を振り込んだだけでは、まだ資本金として認められません。
登記申請をする時には、資本金の払い込みを証明できる書類が必要です。
通帳の表紙と1ページ目、資本金の振込内容が記載されているページをコピーし、準備してください。
④登記申請
資本金を振り込んだら、いよいよ登記申請に進みます。
法務局に必要な書類を提出します。
法務局のホームページから自分が設立する会社の形式を選んでください。
登記申請はマイナンバーカードを使ってオンラインで登記申請が可能です。
ICカードリーダライタを用意する必要はありますが、電子証明書を使って電子証明を行うため、一部の添付書類の提出は不要となります。
また、電子証明書を持っていない場合であっても、QRコード(二次元バーコード)付き書面申請は利用可能。
オンライン登記申請については、操作概要を説明する動画も公開されているので、前もって手順を勉強しておくのがおすすめです。
登記を申請して不備がなければ登記が完了して、会社設立となります。
登記登録が完了するまでにかかる日数は、管轄する法務局や時期によっても違います。
おおよそ1週間〜2週間程度が目安ですが、あらかじめ登記完了予定日を問い合わせると安心です。
登記が完了して初めて、法人として取引が可能になります。
また、会社謄本(現在事項全部証明書)が取得できるようになるのも登記が完了してからです。
資金調達などで必要な場合も、登記が完了するまで待ってください。
会社設立後に必要な手続き
会社を設立すればすべての工程が終わるわけではありません。
会社設立の登記が完了しなければ、進められない作業も多数あります。登記を完了したら、すぐに次に必要な工程を見据えておいてください。
どのような手続きが必要になるのかまとめました。
印鑑証明書の取得
会社の登記が完了すれば、会社であると正式に認められ、会社の印鑑を作成、印鑑証明を取得できるようになります。
会社同士のやり取りや契約において、印鑑証明がある印鑑で書類を作成する機会も増えていくはずです。
印鑑証明書は、早めに取得する必要があるということを忘れないでください。
法人銀行口座の作成
法人として事業を開始する場合、多くの場合は法人口座を使用します。
個人名義の口座で取引したとしても、法的には問題ありません。
しかし、個人口座と混同してしまうと会計処理で混乱してしまうほか、会社のお金をプライベートのお金として使っていると疑われる可能性もあります。
社会的信用を維持するため、管理しやすくするために法人を設立した場合は、会社のお金や経費だけを扱う法人用口座を作成するようおすすめします。
法人口座を開設する時は、個人口座よりも厳格な審査が行われることもあります。
事業をスムーズに進めるためにも、早い段階で法人口座を準備してください。
営業許可等の申請
事業の内容や業種によっては、営業許可を取得しなければならないこともあります。
例えば、中古品を扱うのであれば古物商許可、建設業であれば建設業許可が必要です。
会社設立をサポートしている業者の中には、会社設立と一緒に営業許可申請を請け負っている業者もあります。
会社設立のサポートを受ける場合には、そのほかの許可申請を請け負っているかどうかも質問し、不明点を解消してください。
税金の手続き
会社を設立した場合には、申請書を所轄税務署長に提出しなければなりません。
具体的には以下の書類です。
-
- 法人設立届出書
- 源泉所得税関係の届出書
- 消費税関係の届出書
また、必要に応じて以下の書類も提出が必要です。
・青色申告の承認申請書
青色申告にすることで、各種の特典が受けられます。
設立第1期目から青色申告の承認を受けるためには、設立の日以後3カ月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日との、いずれか早い日の前日までに手続きをしてください。
期限日が休日になった場合には、休日の明けの日が提出期限です。
・棚卸資産の評価方法の届出書
棚卸資産の評価方法を選定して、届け出る場合に提出する書類です。
設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までに提出してください。
・減価償却資産の償却方法の届出書
減価償却資産の償却方法を選定する場合にはこの書類を提出します。
設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限までが提出期限です。
・有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出
有価証券を所有していなかった法人が新しく有価証券を取得した時、または所有していた有価証券と区分及び種類が違う有価証券を新しく取得した場合に、一単位当たりの帳簿価額の算出方法を選定して届け出る場合に届出を行います。
提出期限は、有価証券を取得した日が属している事業年度の確定申告書の提出期限までです。
社会保険の手続き
社会保険は、健康保険や厚生年金、労災保険、雇用保険、国民健康保険といった公的保険の総称をいいます。
会社を設立した場合、法によって社会保険への加入が義務付けられます。
未加入が発覚した場合には、過去にさかのぼって保険料と延滞金を徴収されたり、罰則を受けたりといったペナルティを受ける可能性もあります。
健康保険と厚生年金の加入は、会社設立から5日以内に所轄の年金事務所に届け出ます。
窓口に書類を持参するほか、郵送や電子申請もあるので都合に合う方法を選択してください。
労災保険は、従業員を雇用した場合に加入が必要です。
管轄している労働基準監督署に提出してください。
雇用保険も同様に従業員を雇った場合に加入しますが、雇用保険は週20時間以上勤務する従業員を雇用した場合のみ加入対象です。
書類は管轄のハローワークに提出してください。
1日で会社は設立できる?
事業計画段階ですでに売上の予測、契約などの見込みがある場合、できるだけ早く会社を設立したいと考えるかもしれません。
しかし、どれだけスムーズに手続きが進むかによって設立にかかる時間は違います。
一方で、最短1日で会社を設立できるといった広告も見かけるかもしれません。
実際に、1日で会社を設立することは可能なのでしょうか。
準備がすべて終わった段階であれば1日で会社設立は可能
会社を設立するための手続きは、書類なども多く煩雑に感じられるかもしれません。
しかし、会社の基本事項や事業内容がすでに決まっていて、資本金の振込なども当日に行うことができれば1日で会社を設立手続きを完了するのは不可能ではありません。
スピーディーな会社設立が可能になった背景には、手続きがオンラインで可能になったことが挙げられます。
出向かずに手続きできる工程も増えたため、会社設立にかかる所要時間は短縮されました。
ただし、どれだけ条件を揃えていたとしてもタイミングなどが原因となり、1日で会社を設立できない場合も多いあります。
登記申請から取引スタートまでに1週間は見積もっておく
会社の設立にかかる期間は、事前準備を整えてから専門家や業者に代行を依頼する方法で短縮化できます。
特に、まったく会社設立の知識がない状態から手続きに進む場合には、専門家のアドバイスを受けたほうがスムーズに進行可能です。
ただし、それでも即日での会社設立は現実的には難しい場合があります。
会社設立をする時には、すぐにできると考えることなく、余裕をもってスケジュールを設定するようにおすすめします。
合同会社であればより早く設立できる
会社設立までの期間を短縮化するのであれば、合同会社を設立することも検討してください。
合同会社は、経営者と出資者が同じ会社のことをいいます。
合同会社は経営者と出資者(株主)が違う株式会社とは違って、出資者だけで経営や利益配分を判断可能です。
合同会社の設立手続きでは、定款の認証は不要です。
公証役場での手続きが不要な分、スピーディーとなり設立手続きにかかる時間が短縮化できます。
また、合同会社は、設立費用が安くなる点も大きなメリット。
定款認証の手続きがなく、登録免許税も安価なので費用面に不安がある場合にも合同会社をおすすめします。
まとめ
会社の設立には、多くの手続き、書類の提出が求められます。
今まで会社を設立したことがない人にとっては、見慣れない書類も多く、手続きには時間がかかってしまうかもしれません。
また、書類を提出してからも申請が受理されるまでの時間があるため、会社を設立するまで1~2週間程度は必要と考えておきましょう。
できるだけ早めに会社を設立するためには、合同会社を選択するほか、オンライン申請を選択するようにしてください。
(編集:創業手帳編集部)