営業車にかかる税金とは?金額や自家用車との違いについて解説
営業車にかかる税金(自動車税)は自家用車と金額が異なる!
営業者と自家用車は、同じ車種であっても使用目的やナンバープレート、税金など多くの面で異なる点があります。
中でも税金の扱いは経費に直結するため、把握しておくようにしてください。
また、自家用車を営業用に使っている場合も、経費計上するための処理が求められます。
これから起業する人も、自家用車と営業車でどのように扱いが異なるのか知っておきましょう。
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この記事の目次
営業車にかかる税金について
営業先に出向く時や商品の運搬など、営業車が欠かせない業種は多くあります。営業車にかかる税金が負担になっている事業者も多いかもしれません。
ここでは、営業車にかかる税金についてまとめています。これから起業する人も、事業に必要な費用として知っておいてください。
自動車税
自動車を保有することで、自動車税や自動車重量税が発生します。
自動車税種別割は、毎年4月1日時点の車の所有者が支払う都道府県税です。
その自動車を廃車にした場合や、人に譲った場合であっても、抹消登録しなければ車検証の所有者に課税され続けます。
軽自動車を保有している場合には、軽自動車税種別割が課せられます。軽自動車税種別割は、課税団体が市区町村である以外は自動車と同じです。
自家用車は総排気量によって税額が決まり、電気自動車やハイブリッドカーのような環境配慮車は、翌年度の税額が軽減します(軽課)。
また、新車新規登録(軽自動車では届け出)から一定年数を経過した自動車は、税率が重くなります(重課)。
環境性能割
環境性能割は、自動車取得税の代わりに導入された税金です。
自動車を購入したり、譲り受けたりした場合には、自動車の燃費性能に応じて課税されます。
税率は、自動車が3%、軽自動車は2%です。
環境性能が高い低排出ガス車やハイブリッド車は税金が低減される仕組みで、燃費性能に応じて自動車であれば0~3%、軽自動車は0~2%になります。
購入時の諸費用を抑えるだけでなく、燃費が良いことによって毎月のガソリン費の節約にもなるので、自動車を購入する時に考慮してください。
自動車重量税
自動車重量税は、取得する自動車の車種や重量、経過年数に応じて課税されます。
自動車の新規登録(軽自動車では新規検査)や車検の際に、車検証の有効期間分をまとめて納付する形です。
自動車重量税の金額は車両の重さによって金額が変わります。車両重量0.5トンごとに年間4,100円を納付し、軽自動車の場合は車両の重さに関わらず定額で年間3,300円です。
新車の新規登録から13年以上経過すると税額が上がります。
18年以上でさらに税額が上がり、軽自動車以外の自動車は13~17年目は車両重量0.5トンごとに年間5,700円、18年目以降は0.5トンごとに年間6,300円です。
軽自動車も、13~17年目は定額で年間4,100円、18年目以降は年間4,400円です。
印紙税
自動車の新規登録では、申請手数料と新規検査手数料として印紙税を支払います。車を所有していると2年に一回車検を受けることが必要です。
車検時には検査や車検証の発行手数料を支払うため、収入印紙や収入証紙の費用が発生します。
印紙税は条件や車検の種類によって異なり、車検の種類は受ける目的によって、新規検査、継続検査、構造等変更検査の3種類に分けられ、それぞれ金額が異なります。
構造等変更検査は、乗車定員や排気量の変更といった保安基準に影響する改造を行う時に受ける検査です。
車検期間が残っていたとしても、改造があれば新しく検査を受けて印紙税を支払わなければなりません。
印紙税の支払い方は車検の方法で変わります。
車検を業者に依頼する場合には、車検業者が印紙を用意して所有者が業者に代金を支払います。
ユーザー車検では、自分で印紙と証紙を準備しなければなりません。
営業車の税金を経費で落とす方法
事業のために支払った費用は経費として計上できます。ただし、プライベートでも使用している車など経費処理が必要なものもあります。
事業に使っている車に関わる税金を経費にするための会計処理についてまとめました。
自動車税は「車両費」の勘定科目として処理
自動車税を経費として計上する時、一般的には税金の支払いに使用する「租税公課」で会計処理します。
しかし、自動車を使う機会が多い場合など、自動車関連の費用がどれだけ経費として発生しているかわかるように「車両費(車両経費)」として計上する方法もあります。
勘定科目の決め方は、企業ごとの判断に任される部分も多く明確な規定はありません。
しかし、一度勘定科目を決めたら、会計の連続性を保つために同じ費用には同じ勘定科目を使い続けることになります。
自家用車と営業用車を兼用する場合には、後述する家事按分の処理も必要です。家事按分の方法も、最初に決めた方法を使い続けるようにしてください。
営業車の税金は自家用車とどのように違う?
同じ車種であっても、事業用の営業車と自家用車は法律で明確に分けられています。見た目には同じ車であっても、営業車と自家用車は別物です。
税金面での自家用車と営業車の違いを以下でまとめています。
営業車・自家用車の自動車税の種類
自動車税は、車の種類ごとに分けて税額が設定されています。
-
- 普通乗用車 自家用 営業用
- 軽自動車 乗用(自家用・営業用)
- 軽自動車 貨物用(自家用・営業用)
- 軽三輪自動車
- 乗車定員4人未満のトラック 自家用 営業用
- 乗車定員4人以上のトラック 自家用 営業用
- バス 自家用 営業用
- けん引車・被けん引車 自家用 営業用
- キャンピングカーを含んだ特殊用途車
さらに、以下の分類でも自動車税が設定されています。
-
- 250cc以下のバイク(原動機付自転車)
- 250ccを超えるバイク
- 軽二輪や雪上車などの軽自動車
- 農耕作業用やその他用途の小型特殊自動車
営業・自家用乗用車の税金額
営業、自家用乗用車の税金額は以下のものです。
ここでは、2019年9月30日以後に新規登録された自家用乗用車の金額を記載しています。
区分 | 営業用乗用車 | 自家用乗用車 |
1リットル以下 | 7,500円 | 25,000円 |
1リットル超~1.5リットル以下 | 8,500円 | 30,500円 |
1.5リットル超~2.0リットル以下 | 9,500円 | 36,000円 |
2.0リットル超~2.5リットル以下 | 13,800円 | 43,500円 |
2.5リットル超~3.0リットル以下 | 15,700円 | 50,000円 |
3.0リットル超~3.5リットル以下 | 17,900円 | 57,000円 |
3.5リットル超~4.0リットル以下 | 20,500円 | 65,500円 |
4.0リットル超~4.5リットル以下 | 23,600円 | 75,500円 |
4.5リットル超~6.0リットル以下 | 27,200円 | 87,000円 |
6.0リットル超 | 111,000円 | 110,000円 |
営業・自家用軽自動車の税金額
軽自動車税は市町村税であるため、自動車税とは扱いが異なります。
以下の表よりも高い市町村の場合もあるので、正確な金額は管轄する市区町村に問い合わせてください。
営業用軽自動車 | 自家用乗用車 | ||
用途区分 | 税額 | 用途区分 | 税額 |
乗用(5ナンバー)の業務用 | 6,900円 | 一律 | 10,800円 |
貨物(4ナンバー)の業務用 | 3,800円 |
※2015年4月1日以後に最初の新規検査を受けた軽四輪車
自家用車を営業車にできる?
上記で説明したように自家用車と営業車では扱いが異なります。では、自家用車を営業用に使う場合にはどのように扱うのでしょうか。
自家用車と比較して営業車のほうが税額が低いため、営業車として登録を希望する人もいるかもしれません。
道路運送法では、道路運送法では「自動車運送事業者がその自動車運送事業の用に供する自動車」と定められています。
自家用車は営業車として登録できますが、会社名義にした自動車でも事業用として使っていなければ自家用車扱いです。
営業車用ナンバーが必要なケースは?
自家用車と営業車では、ナンバープレートも異なります。営業車につけるナンバープレートは、事業用ナンバーまたは営業車用ナンバーなどと呼ばれています。
ただし、事業で使うすべての車に営業車用ナンバーをつけなければならないわけではありません。
例えば、自社の商品や資料を積みこんで取引先周りをするようなケースは事業用の自動車ではあるものの、積載するのは自社商品や自分の荷物だけです。
積載自体に賃金が発生しない貨物を乗せる営業車には、事業用のナンバーは必要ありませせん。
一方で、お客様からお金を受け取って荷物を運ぶ、運賃をもらって乗車させるような場合には営業車用用ナンバーが必要になります。
具体的には、タクシーやバス、貨物自動車などであれば営業車用ナンバーを取得しなければいけません。
営業車用ナンバー取得の流れ
営業車用ナンバーの取得は以下の流れで行います。
①運輸支局で運送業許可の申請
②法令試験
③許可証交付
④運行管理者及び整備管理者の選任届
⑤事業用自動車等連絡所の交付
⑥営業車用ナンバーへの変更
事業用のナンバーを取得するには、最低で6人の社員がいなければいけません。これは、運転手が5人、運行管理者が1人必要だからです。
運転手は運行管理者を兼ねることはできませんが、運行管理者が整備管理者を兼ねることは認められています。
さらに、事業用の自動車やトラックも最低で5台必要です。営業車用ナンバーを取得する時には、取得する条件を満たしているかを確認してください。
軽貨物自動車なら営業車用ナンバーが短期で取得できる
営業車用ナンバーの取得は、手続きのために手間や時間が多く発生します。
しかし、黒字の黄色文字の軽貨物営業車用ナンバーであれば比較的簡単に取得できます。
管轄の運輸支局で手続きが必要ですが、軽貨物の場合には1台から申請可能です。自動車を用意する負担を少なく抑えられ、個人の小規模事業にも適しています。
さらに、普通車での営業車用ナンバーは許可制であるのに対して、軽貨物自動車では届出制で法令試験もありません。
早ければ申請日に手続きが終わるので、すぐに営業車用ナンバーを用意したい時にも適しています。
家事按分で一部を経費計上できる
個人の事業の場合には、自動車をプライベートとビジネスの両方で使用することがあります。
この場合は、自動車税を経費として計上可能です。ただし、自動車税全額を計上できるわけではありません。
家事按分して、事業と私事の割合を決め事業用の部分だけを経費に計上可能です。
按分方法に明確に決まりがあるわけではなく、合理的な方法であれば自由に選択できます。
按分方法は、走行距離か利用回数、利用時間のどれかで按分するのが一般的です。
よく使われているのは、走行距離で事業に使う都度走行メーターを確認して運行記録表で管理する方法です。
例えば、年間の走行距離が10,000kmで事業での走行距離が6,000kmの場合には、自動車税額の6割を経費として計上できます。
営業車と自家用車の税金以外の違い
営業車と自家用車では、税金以外にも様々な違いがあります。どのような違いがあるのか紹介します。
ナンバープレートの違い
自家用車と営業車は、車両だけでは判別できません。しかし、ナンバープレートを見れば判別できます。
自家用車は、軽自動車は黄色地に黒文字、それ以外は白地に緑文字です。
一方で、事業用の軽自動車は黒地に黄文字、それ以外の事業用自動車は緑地に白文字です。
ナンバープレートには、地名の隣に数字が表示されています。この数字は分類番号で車の種別を表すもので、種別では営業車なのか自家用車なのかを判別できません。
使用目的の違い
営業車と自家用車との一番の違いは使用目的です。
事業者が仕事で使うものが営業車で、個人がプライベートで使用するものが自家用車です。
自分の移動や荷物の運搬に使うものは自家用車ですが、仕事として人や荷物を運べば営業車となります。トラックの運送業やタクシー、路線バスなどが代表的な営業車です。
まとめ:営業車と自家用車の税額の違いを知って税金対策を考えよう!
営業車と自家用車では、使用目的やナンバープレート以外にも税金面で違いがあります。営業車なのか自家用車なのかによって、これから支払う税額や会計処理に影響します。
自動車を購入する時や、プライベートの自動車を転用する時には、営業車にすることを明確してください。
また、自動車保険や車検、定期点検でも違いがあります。
今後支払う費用が異なるため、自動車をどのように扱うかを考えておくことがおすすめです。
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(編集:創業手帳編集部)