メルマガやステップメールに活かしたい!効果を生むメールマーケティングとメール配信システムの活用方法

創業手帳

メールマーケティングの重要性や手法、メール配信システムの機能や選び方について運用経験者が具体的に解説

メールマーケティングによるリスト管理と分析

(2020/08/21更新)

さまざまな種類のメールによって、顧客への情報提供を行い購買活動に結びつけるメールマーケティングは、企業規模を問わず非常に重要なマーケティング方法です。創業間もない企業や規模の小さな企業では、人員に限界があるため、効率よく顧客との関係を維持し、営業に結びつけるためにも効果的です。

しかし、メールマーケティングは正しく行わなければ、手間ばかりがかかって、効果を実感することができません。利用するメール配信システムも、自社のニーズに合わせて選定する必要があります。

本記事では、メールマーケティングの運用経験者が、メールマーケティングの重要性やメール配信システムの機能・選び方について具体的に解説します。

創業手帳(冊子版)は、資金調達や販路拡大など起業後に必要な情報を掲載しています。起業間もない時期のサポートにぜひお役立てください。

メールマーケティングの目的と手法

メールマーケティングによる販路拡大
まず、メールマーケティングを行う目的を明確にし、行うべき手法について確認してみましょう。

メールマーケティングの目的は、売上と利益を上げること

メールマーケティングを行う目的は、根本的には売上と利益を上げることです。しかし、業務として担当していると、「メールを配信することが目的」になってしまいがちです。売上と利益を上げることを目的に、以下のような観点・指標にブレイクダウンして考える必要があります。

CTA:顧客の購買行動

CTA(Call To Action:行動喚起)は、Webページの閲覧数やメールの開封数から、意図したアクションがどの程度の割合で行われたかを示す指標です。この指標が良いほど売上にも結びつきやすくなります。

開封率・解約率:顧客との関係作り

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)では、顧客との関係(信頼度やブランドなど)の構築を目指しますが、そのためにメールによる情報発信を行うケースがあります。送信メールに対する開封された割合を示す開封率や、メルマガなどの解約率は、顧客との関係を示す指標です。

マーケティングでは「新規顧客の獲得は、既存顧客の維持の5倍のコストがかかる」という「1:5の法則」と呼ばれるものがあります。メールによる情報提供は、顧客との関係維持を低コストで実現する手段としても注目されています。

売上高・購買頻度:顧客育成

顧客の売上高や購買頻度は、マーケティング活動を行う際に非常に重要なデータとなります。売上も高く、購買頻度も高い「お得意様」をいかに多く有するかが大切ですが、そうそう都合のいい顧客はいないものです。メールによる情報提供を通じて、顧客のニーズを喚起したり、自社の個性やノウハウを発信したりしながら、クロスセル(※1)やアップセル(※2)などの提案につなげることができます。

また、メルマガの購読者に対し、NPS(Net Promoter Score)(※3)の測定を行うことで顧客満足度やロイヤリティの調査を行うこともあります。

※1 クロスセル:顧客の購買履歴をもとに、関連する別の商品・サービスを提案して顧客単価を上げる手法
※2 アップセル:顧客の購入した商品・サービスの上位モデル(高単価)を提案して顧客単価を上げる手法
※3 NPS:Net Promoter Scoreの略。顧客ロイヤリティを示す指標で、「あなたはこのブランド(または、商品、サービスなど)を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」を0~10点で評価してもらう

メールマーケティングの手法

上記のような目標を達成するために、メールマーケティングでは次のような手法がとられています。

メールマガジン

メールマガジン(メルマガ)は、メールを通して、購読者に対して継続的に情報発信を行うマーケティング手段です。基本的には読み物として提供され、トレンドやノウハウの紹介を行ったり、DMの代わりとして送信したりします。顧客との関係作りの目的で利用されることが多いです。

ステップメール

ステップメールは、シナリオを持った一連のメールのことで、メルマガの一形態です。ステップメールでは、顧客に提供したい情報をシナリオ化し、指定したタイミングで分割提供します。

たとえば、「商品を購入してから7日後に便利な使い方、よくある疑問などの情報を提供する」「30日後など、商品を使い切る少し前のタイミングで会員向けセールの案内をする」といった使い方が可能です。自動車や保険など、定期的な検査・見直しがある商品のフォローと特に相性が良いとされています。

また、購買前の顧客に対し、「こんな困りごとありませんか?」「よくあるトラブルの原因と対策」「他社での事例」「弊社での対応事例」などの順番で自社のノウハウやサービスを徐々に紹介し、興味を引きつつ購買活動につなげるといった使い方もできます。

テキストメールとHTMLメール

メルマガやステップメールでは、テキストメールとHTMLメールによる配信が可能ですが、現在はHTMLメールが主流です。昔は受信側のデバイスやネットワークへの配慮やセキュリティ上の問題でテキストメールが推奨されていましたが、現在はHTMLメールでも問題なく受信できますし、セキュリティ技術の向上により必要なメールがスパム扱いされることも減っています。

HTMLメールは制作に技術と時間が必要ですが、その分反応も良くなりますので、できるだけHTMLメールで作成することをおすすめします。

メールマーケティングに欠かせない「メール配信システム」とは?

メール配信システムが持つ機能
メールマーケティングでは、メールの配信先リストの作成や管理、メール本文の作成、成果測定などを継続的に行うことが必要です。配信先リストが大きくなるにつれ、すべての作業量が膨大になっていくため、Excelなどの表計算ソフトでは作業が追いつかなくなっていきます。

そのため、メールマーケティングでは「メール配信システム」と呼ばれる専用のシステムを利用するのが一般的です。メール配信システムを利用することで、担当者1人でも数万人の顧客の管理が可能になります。

メール配信システムとは?

メール配信システムは、メールアドレスや年齢、性別などの顧客情報を管理するデータべースと、その分析のためのプログラム、メール送信機能を備えたシステムです。

昔は個人情報の管理に配慮し、自社内にメール配信用のサーバーを設置して利用するケースが多く見られましたが、今はインターネット上のクラウドシステムを利用する形態が一般的になり、コスト面・機能面でも有利になっています。

メール配信システムの利用目的と主な機能

メール配信システムを利用する目的や、その目的達成のための機能について紹介します。

送信先リストの作成

送信先リストの作成はメールマーケティングの大事な仕事です。毎日数人くらいであれば手入力でもリストを作成できますが、数十人、数百人となってくると作業者の他業務への影響は避けられません。

メール配信システムでは、Webサイトなどのオンラインで取得したデータや、オフラインで取得してきた顧客データなどのファイルをインポートできる機能が備わっています。入手経路が違うデータをインポートすると、データの中には重複したものが含まれている場合もあるため、自動的に照合・削除してくれる機能があると便利です。

送信先リストの管理

「メルマガは大規模な顧客リストを持っているかが大事」というのは昔の話で、今は「いかに質の高い顧客リストを持っているかが大事」です。たとえ1万件の顧客リストがあったとしても、開封率が100件にも満たなかったり、すでに利用されていないメールアドレスが大多数だったりすれば意味がありません。それどころか、利用されていないメールアドレスが多い場合、メールフィルタでスパム扱いされてしまうこともあるので注意が必要です。

質の高い送信先リストを作るためには、リストの管理を継続的に行う必要があります。送信拒否などへの対応が遅れると、イメージダウンになるばかりか、メールがスパム扱いされる原因にもなるため、システムで自動的に対応してくれるものを選ぶとよいでしょう。また、重複の可能性があるデータを自動的に抽出して教えてくれる機能を持つシステムだと便利です。

基本的にクラウド型のシステムの場合は、リスト数やメール送信数に応じて課金されますので、リスト管理は費用対効果を高めるためにも大切です。

メールの作成

現在のメール配信システムの多くが、システム内でメールの作成機能を提供しています。HTMLメールは、担当者にHTMLやデザインの知識が要求されるため、テンプレートやボタンなどのパーツの素材や、サポート機能があると非常に便利で、作業時間が半分以下にまで短縮可能です。

メルマガの場合、相手のデバイスに合わせて横幅や画像サイズなどの設定を検討する必要がありますが、テンプレートを使うと適切なサイズで表示されるように調整してくれます。また、一度作ったメールや、ボタン、バナーなどの素材を保管し繰り返し使えるため、使い込むほど効率的になります。

システムによっては、ステップメールに対応したものもあります。送信タイミングや送信先の条件について設定しておけば、自動的にメールを送ってくれるので担当者の手間がかかりません。システムを選ぶ際には、シナリオの設計や管理がしやすい画面か、設定できるシナリオ数は十分か、送信の条件はどのようなものが設定できるのかを事前に確認しておくとよいでしょう。

一斉メールの送信

一斉メールの送信は非常にシステムやネットワークに負荷のかかる作業です。社内にシステムを設置する場合、時間帯などに配慮しないと、数十分にわたり社内のシステムやネットワークが停止したり、ダウンする原因になるため十分に注意してください。

送信先リストの規模やメールのデータ量によって、送信にかかる時間はさまざまです。数分、数十分かかるケースもあります。作業時はメールを一斉送信するだけでなく、送信結果にも留意します。使用されていないアドレスやブロックされている場合、すぐに該当のアドレスを知らせてくれるシステムだと便利です。

効果分析

メール配信システムの目的(売上向上など)のために、最も大切なことがメール送信後の効果分析です。到達率や開封率、CTAなどを送信後数日にわたって追いかけ、効果を分析します。

メール配信システムの勘所と言ってもよく、リアルタイムに効果分析ができ、また使用できる指標が多いほど、担当者の負担は減り、効率的なマーケティングが可能になります。分析レポートをExcelやPDFなどで出力できると、担当者の資料作りがずっと楽になります。

さまざまな属性別にデータを分析するなど、設定されている指標以外の分析方法や結果の出力にも対応できるシステムは使いやすいです。特に、ステップメールを使う場合は、ステップメールのどの段階でどのようなアクションが行われているか、しっかりと追跡できるシステムが望ましいです。

セキュリティ対策

メール配信システムを利用する目的には、個人情報の塊ともいえる送信先リストを安全に管理することも含まれます。システムで提供される安全な形式でのメール送信、誤送信の回避、アクセス管理された場所での送信先リストの保管といった機能は、自社で準備するのは大変です。

システムを利用することによって、高度なセキュリティ対策が低予算・短期間で得られることも、メール配信システムを利用する大きなメリットと言えるでしょう。

厳選!使いやすいおすすめメール配信システム

メール配信システムのサービス比較
ここでは、これからメール配信システムの導入を検討している企業や、古いシステムからの乗り換えを検討している企業向けに、コストや使いやすさの観点からおすすめのメール配信システムを紹介します。

高度なメールマーケティングを実現できる「WiLL Cloud」

「WiLL Cloud」は高度なメールマーケティングの実現に必要な機能を備えたメール配信システムです。豊富な機能と堅牢なセキュリティを有し、メールマーケティングの効率化をサポートします。メールのターゲットを詳細に設定できるほか、ステップメールも利用可能。エラーメールや配信停止はシステムが自動的に処理してくれますし、HTMLメールや絵文字メールも送ることができます。効果分析に使える指標も多数準備されているほか、Google Analyticsと紐付けることも可能です。必要な機能がほぼすべて入っている「全部入り」のサービスなので、予算に問題がなければ一番のおすすめです。
<価格>

プラン名 初期費用 ランニングコスト 備考
シンプルプラン ¥0 ¥4000/月 ※配信メール数に応じて追加課金
プレミアムプラン ¥0 ¥10000/月 ※配信メール数に応じて追加課金

<主な機能>
ターゲットメール配信、ステップメール配信、HTMLメール作成、オプトインメール配信、配信予約、テストメール機能、メールテンプレート、メール分析、Google Analytics連携、その他

<URL>
https://willcloud.jp/

契約数NO.1のメール配信システム「ブラストメール」

「ブラストメール」はトップクラスの契約数を誇り、高速なメール送信と多機能が特徴のメール配信システムです。多機能で料金プランを柔軟に変更できるため自社に合った規模やコストで利用でき、メールの配信数ではなく登録しているアドレス数で料金が決まります。業界や企業規模を問わず、多くの企業が導入しているほか、APIによって顧客リストの同期や効果分析などをシステム間で連携できるため、アイデア次第で利用の幅が広がります。使いやすさや操作感の良さは多くのメール配信システムの中でも指折りで、メールの作成や配信など担当者の業務効率化に大きく貢献してくれるでしょう。

<価格>

プラン名 初期費用 ランニングコスト 備考
料金プラン ¥10,000 ¥3,000~/月 ※登録アドレス数に応じて費用は変化

※無料お試し(7日間)、追加オプション(要問い合わせ)あり

<主な機能>
ターゲットメール配信、HTMLメール作成、空メール登録、配信予約、テスト送信機能、メールテンプレート、メール分析、API連携、QRコード作成、その他

<URL>
https://blastmail.jp/

メールマーケティングの効果を高める「配配メール」

「配配メール」は、メールマーケティングを効果的にする機能が豊富なメール配信システムです。対象を指定したメールや、ステップメールが利用できます。また、メールの作成サポート機能が豊富で、HTMLメールの作成だけでなく、QRコードの作成やファイルの添付も可能です。加えて、メール経由でWebサイトに訪問した顧客に自動でメールを送付する「トリガーメール」もフォローに効果的で、ECサイトで効果的です。また、メールに対する反応からグループへの振り分けやステップメール送信を自動的に振り分けるシナリオメール機能はCTAを高める効果が期待できる特徴的な機能です。
<価格>

プラン名 初期費用 ランニングコスト 備考
Lightプラン ¥10,000 ¥10,000/月
Standardプラン ¥30,000 ¥20,000/月
Premiumプラン ¥50,000 ¥30,000/月
Bridgeプラン ¥100,000 ¥50,000/月

※上記は一例。詳細は登録アドレス数などによる。要問い合わせ

<主な機能>
セグメントメール配信、ステップメール配信、シナリオメール、HTMLメール作成、多言語配信、予約配信、クーポン配信、メールテンプレート、QRコード作成、メール分析、Google Analytics連携、その他

<URL>
https://www.hai2mail.jp/

低コストのメールマーケティング運用なら「ワイメール」

メールマーケティングをまずやってみたい、もしくはメール配信システムのコスト削減を考えるなら、「ワイメール」がおすすめです。初期費用は必要ですが、どれだけ使ってもランニングコストが定額のサービスですので、コストを重視したい場合には重宝します。低コストで運用できますが、他社のメール配信サービスと比較しても遜色ないレベルの多機能・高性能のメール配信サービスで、リスト管理からメール作成、効果分析までの各ステップに豊富な機能を揃えています。他社ではステップメールは上位プランに限定されているケースが多いため、低費用でステップメールを使いたい場合にも検討したいサービスです。
<価格>

プラン名 初期費用 ランニングコスト 備考
料金プラン ¥10,000 ¥4,980~/月

※月額費用は月払い、6カ月前払い、12カ月前払いで料金が変わります。

<主な機能>
ステップメール配信、テスト配信、HTMLメール作成、多言語配信、予約配信、QRコード生成、メール分析、ストーリー稼働&停止(シナリオメール)、その他

<URL>
https://www.y-ml.com/

メール配信システムで効率的なメールマーケティングを実現しよう

コロナウイルスの拡大によって、リモートワークやネットショッピングが拡大している今、メールマーケティングは顧客との関係作りや売上アップのために重要性が高まっています。

メールマーケティングは継続と研究が大切で、続けることでその効果が高まっていきます。方向性がしっかり定まっていれば、続けているうちに、営業マン数人分の案件獲得や売上に貢献してくれるようになります。ただし、継続する中で担当者への負担は大きくなっていきますので、システム環境を整備していくことが継続や成功には欠かせません。

メール配信システムは、利用目的や送信先リストの量によって最適なシステムが異なります。今回紹介したものは汎用的で、さまざまな規模・状況の企業で使えるサービスですので、ぜひご検討ください。無料トライアルを行っているものも多いので、本格導入前にテスト運用してみてもよいでしょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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