DIGGLE 山本清貴|企業の成長可能性を掘り起こす!予実管理クラウド「DIGGLE」で産業と社会の在り方を革新
組織の距離を縮め、企業の未来の質を上げる。経営のインフラである予実管理のクラウド化に成功
経営目標通りに実績が伴っているか確認し、打ち手を検討・実行するために行う予実管理は、経営の意思決定において不可欠な役割を担っています。
予実管理の実態は、一般的に普及しているソフトウェアという点からエクセルを利用している企業が少なくありません。ところが、手作業が膨大で分析作業に時間をかけることができなかったり、管理が属人化しやすくなるなど、あらゆる弊害が指摘されてきました。
この問題を解決する予実管理クラウドをリリースし、脚光を浴びているのがDIGGLE(ディグル)です。
同社は「組織の距離を縮め、企業の未来の質を上げる。」をプロダクトビジョンに掲げ、企業の予実管理を行うSaaS型の経営管理プラットフォーム「DIGGLE」を提供しています。
今回は代表取締役を務める山本さんの起業までの経緯や、予実管理の重要性について、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。
DIGGLE株式会社 代表取締役
早稲田大学ファイナンス研究科修了。11年間にわたって米系ERPベンダーPeopleSoft、Oracle、Inforにて、会計・CRM・SCMなど業務系アプリケーションのセールス、およびアライアンスに従事。その後、デジタルマーケティングスタートアップにてセールスを率いた時に予実管理に苦しむ。その経験からDIGGLEを創業。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
予実管理の問題に直面。外資系大手IT企業でのセールスキャリアを活かし、独立を決断
大久保:山本さんは11年間、大手IT企業でご経験を積まれたんですよね。
山本:日本オラクルやインフォアジャパンをはじめとするアメリカ系ERPベンダーにて、主に会計・CRM・SCMなど業務系アプリケーションのエンタープライズ向けセールスとしてキャリア形成しました。
大久保:そこからスタートアップにジョインされています。その理由についてお聞かせください。
山本:そろそろ40歳が見えてくる38歳のタイミングで「このまま外資系で続けるかどうか?」を熟考しながら自分のキャリアを棚卸しした結果、「違うな」と。
外資では個人のスキルを高めると同時に、成果主義のためやりがいもあったのですが、これからは培った経験をチームに還元しながらチームとしてひとつの目標達成を目指すような仕事がしたいと考えました。
そこで夜間のビジネススクールに通いMBAを修了したのち、40歳のときに動画マーケティングのスタートアップに参画しました。
大久保:そのご年齢でスタートアップに飛び込むとは、素晴らしいバイタリティですね。大手外資系で培ったハイレベルのセールスメソドロジーを活かして貢献しようというお考えだったのでしょうか?
山本:はい。これまでずっと営業一筋でしたので、ゼロイチでなにかを作り上げるより、素晴らしいプロダクトを世の中に広める領域のほうが自分の力を思う存分発揮できると考えました。
さらにせっかくMBAを取得しましたので、スタートアップの発展に貢献することで社会をより良く変えていきたいと思ったんですね。
大久保:このときにエクセルで売上のKPIやコストなどの管理を行い、非常にご苦労なさったと伺っています。
山本:当時勤務していた企業のフェーズでは「売り方やKPIになにをおくか?」などの最適解を模索中で、度重なる管理エクセルのアップデートが必要だったこともあり本当に大変でした(苦笑)。
営業キャリアが長いのでそれほどエクセルが得意ではないということを差し引いても、「予実管理を担当されている方々は、毎日こんなにしんどい思いをしながら業務にあたっているのか」と愕然としたんです。
それでふと、インフォア時代に予実管理のプロダクトを扱っていたことを思い出しました。同社で提供していたのは大手企業向けの高価格帯製品でしたので、中小企業やスタートアップでも利用しやすい手頃なツールはないかな?と探してみたところ、まったくなかったんですね。
ちょうど財務会計分野でfreeeやマネーフォワードが市場に浸透しつつある時期だったこともあり、管理会計分野である予実管理領域のクラウドサービスもニーズが高いはずだと確信を抱くようになりました。
大久保:それが起業のきっかけになったんですね。長年IT業界でご尽力されてきた原点に立ち返るという側面もありますね。
山本:おっしゃる通り、ITから離れて動画マーケティングを約3年経験したことで、あらためてITのダイナミズムや強みに気づきました。部署横断で会社全体を改革できるのがITなんですね。
「やっぱりITをビジネスドメインにしたい」という想いが芽生えたことと、現在弊社のCTOを務める水上と出会ったことが原動力となり「起業しよう」と決意しました。
2016年6月9日にタシナレッジを設立。それから「DIGGLE」を開発し、ローンチしました。2018年2月28日に社名をDIGGLEに変更しています。
予実管理クラウドの市場展開における障壁を打破。「DIGGLE」成功の鍵はコンサルティング
大久保:テクノロジーサービスは世界トップシェアを誇るGAFAMが圧倒的に強いといわれているなかで、日本特有のニーズにきめ細やかな対応をしたスタートアップが日本市場を席巻しているという実情があります。御社もそのひとつですよね。
山本:ありがとうございます。おかげさまで弊社の予実管理クラウド「DIGGLE」は大手企業から中小、スタートアップまで幅広く導入いただき、順調にシェアを伸ばしてきました。
「DIGGLE」が軌道に乗った要因には、国内市場でビジネス展開する企業の経営企画が抱えるお悩みに合わせた機能やコンサルティングがあげられます。
予実管理は非常に難しい業務で、実はコミュニケーションが最も重要なんですね。
各部署から必要な経営情報をすべて吸い上げ、それらの情報を確認したうえで適宜その後のアクションや予算に修正を加えるなど、経営と事業部が密に連携しながら業務を進める必要があります。経営企画はその中心的役割として「会社の頭脳」という特性をもっているんです。
私が知る限り、日本における予実管理ツールは20年ほど前から存在していて、それらはアメリカの大手企業のプロダクトでした。ところが、いずれも日本の市場には浸透しなかったんですね。
なぜなら、業種・業態だけではなく、管理する対象が非財務情報にも及び、各社の管理したい内容やレポートの個別性が高いため、日本の企業が自分たちで導入し、かつ使いこなすとなると高い壁が発生するからです。
そこで弊社ではどういうアプローチをとっているか?というと、先ほど申し上げた通り、「DIGGLE」と共にコンサルティングサービスを提供しています。
弊社はシステムベンダーながら経営企画出身者が従業員の30%以上を占めていて、予実管理の実務にあたっていたプロフェッショナルがカスタマーサクセスで活躍していることが大きな特長です。
大久保:予実管理ツールを導入し浸透させるための障壁を取り除く手段として、コンサルティングでカバーされているんですね。
山本:おっしゃる通りです。顧客と密接に関わりながら、業務フローの作り替えや事業部活用の支援まで幅広い領域をサポートしています。
業務コンサルティングでは、ただ単に予実管理ツールの導入支援だけではなく、DIGGLEを活用することで本来複雑な予実管理業務がしっかりと回るように運用支援まで行っています。
もちろん導入後も、組織が変わるごとに構造を調整するなど、同じ担当者が常に伴走する体制を構築。カスタマーサクセスをうたっているものの、その中身はプロフェッショナルサービスのクオリティです。
そのため「DIGGLE」は顧客満足度が高く、約99%の継続率を達成しています。
エクセルからの脱却。ホワイトスペースが多い予実管理クラウドサービス市場
大久保:御社の「DIGGLE」は急速に市場拡大していますが、今後の予実管理領域がどう進化していくのかについてお聞かせください。
山本:エクセルからクラウドサービスにほぼ完全移行すると予測しています。
CRMをはじめ、会計、人事労務と各業務領域でクラウド化が進んでいますが、この流れはさらに広範囲にわたって浸透するはずです。
こうした現状を踏まえ、じゃあ経営管理業務だけがエクセルを使い続けるのか?というと、さすがに考えにくいなと。10年20年と経過したときに、この分野だけDXが進まないというのは起こり得ないと思うんですね。
大久保:他領域よりクラウド化のスタートが遅れただけで、今後は一気に加速する可能性が高いというわけですね。
山本:はい。先ほども申し上げましたが、営業情報・会計情報・人事情報などの各領域でクラウドサービスが浸透した現在では、それらの経営情報を基に行う予実管理でもDX推進が加速していくでしょう。
弊社では予実管理のクラウド化が進むなかで、私たちがどのように大きな変化を起こせるか?その流れをリードできるか?に焦点を置いています。
これまで長いことエクセルで業務を行ってきた影響で、予実管理のクラウドサービス市場はホワイトスペースが非常に多いんです。弊社は同市場のトップランナーとしてイニシアチブをとっていきたいと考えています。
「DIGGLE」が目指すのは「組織の距離を縮め、企業の未来の質を上げる。」こと
大久保:予実管理のクラウドサービス市場において、御社の「DIGGLE」を広めていくにあたっての展望についてお聞かせください。
山本:「DIGGLE」は「組織の距離を縮め、企業の未来の質を上げる。」をプロダクトビジョンに掲げているのですが、「組織の距離を縮める」とはどういうことか?について社内で議論を繰り返しています。
この「組織の距離を縮める」ためのポイントは主に2つです。
1つ目は、予実管理のデータを一元管理することで、経営層から現場スタッフまで、全員がデータの共有スペースとして活用できる場を提供すること。
「DIGGLE」にアクセスするだけでそれぞれが必要としているデータをスムーズに確認および活用できる環境構築をしたいと考えています。
ファイルのバージョン管理が発生するエクセルはこの環境づくりが困難で、現場で日々改定されるバージョンアップされたファイルと、経営層が閲覧するバージョンが異なるといったケースが頻繁に発生してきました。こうした課題を解決するのが狙いのひとつです。
そして2つ目は、社内のコラボレーションが活性化するように促すことです。
経営層と各事業部が質の高い意思決定をしていくためのコミュニケーションを円滑にしたり、現場で発生した周知事項を入力するだけで即座に経営層にも伝わる仕組みにするなど、あらゆる側面からバックアップを行っていきます。
大久保:「DIGGLE」でそれを実現することで、組織の距離を縮めることができるわけですね。
山本:はい。そして組織の距離が縮まることで、それぞれの企業が描いている理想の未来が実現できるだけでなく、さらに未来の質が上がっていくと確信しています。
理想の未来は「売上を伸ばす」や「従業員満足度を高める」など、企業によって多種多様です。そうした理想の実現のために事業計画が存在し、その計画に向かってどう進んでいるか?を数値化し確認・修正するのが予実管理の役割なんですね。
こうした観点で考えていくと、組織の距離が縮まれば、おのずと理想の未来の実現可能性が高まります。じゃあ具体的に組織の距離を縮めるためにはどういう機能が最適解か?を基準に、弊社はこれからもプロダクトを磨き上げていきたいです。
すべての起業家の伴走者に。経営管理領域のデファクト・スタンダード化を狙う
大久保:最後に、起業家に向けてメッセージをいただけますか。
山本:弊社は経営管理領域において「DIGGLE」のデファクト・スタンダード化を狙っています。
起業家の皆さんが会社運営を行ううえで、IPOは大きなマイルストンのひとつではないでしょうか。
近年IPO審査のなかでも予実管理に関する項目の重要度が増しており、自社の状況を正確に分析するためには疎かにすることができなくなりました。
皆さんが予実管理を意識するきっかけは「IPOを視野に入れてきちんと行う必要がある」「投資家に対する説明責任を果たさなければならない」「ガバナンス強化に取り組もう」など、それぞれで違うと思いますが、その際のファーストチョイスが「DIGGLE」でありたいと願いながら日々尽力しています。
すべての起業家をサポートする存在を目指し、今後も「DIGGLE」を進化させていきますので、ぜひ予実管理に関するお悩みやご希望がありましたらお声がけいただけるとうれしいです。皆さんの伴走者として共に成功する日を楽しみにしています。
(取材協力:
DIGGLE株式会社 代表取締役 山本 清貴)
(編集: 創業手帳編集部)