新型コロナで資金繰りにあえぐ経営者必見! 国の事業者向け支援のポイントまとめ

資金調達手帳

財務省が発表した新型コロナ関連の支援策をまとめました

(2020/03/19更新)

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の影響拡大を受けて、国による事業者向けの新たな対応策が続々発表されています。新型コロナで資金繰りに難が生じている経営者向けに、各制度のポイントを簡潔にまとめて解説します。

また、創業手帳の「資金調達手帳」では、事業の資金繰り改善に活用できる資金調達手段をまとめて紹介しています。こちらも併せて参考にしてみてください。

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政府による対応の大枠

まず、政府による対応の大枠をまとめます。

財務省は、2020年2月、新型コロナへの対応第1弾として、日本政策金融公庫などに緊急貸付・保証枠として、5,000円億円を確保する措置を発表しました。

その後、第2弾として、第1弾の緊急貸付・保証枠を+1000億円程度拡大。また、実質無利子・無担保の「新型コロナウイルス感染症特別貸付制度(5000億円規模)」を新たに創設。

さらに、日本政策投資銀行・商工組合中央金庫による金融支援(2,040億円)と、国際協力銀行による金融支援(2,500億円)も行うと決めました。

現状、1.6兆円規模の金融措置が取られています。

各資金繰り支援の概要

ここからは、各資金繰り支援の概要を見ていきましょう。

新型コロナウイルス感染症特別貸付

日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫が実施。

新型コロナの影響で一時的に業況が悪化している中小企業・小規模事業者向けに、無担保で特別貸付を行います。最近1ヵ月の売上高が、前年or前々年の同期と比べて5%以上減少している事業者が対象※です。

※業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の事業者は、「最近1ヵ月の売上高」について

  • 過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
  • 令和元年12月の売上高
  • 令和元年 10 月から12月の平均売上高

のいずれかと比べて、5%以上減少している方が対象となります。

融資の限度額は国民生活事業が6000万円中小企業事業が3億円となっています。

相談先は日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫です。

新型コロナウイルス感染症特別貸付 ~特別利子補給制度~

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を受けた事業主の中で、フリーランスを含む個人事業主や、売上高が急減した事業者向けに利子補給※があります。

※利子補給…借入者の利子負担を軽減するため、行政が利子の一部または全額を給付すること

対象となる事業者は、特别貸付を受けた融資に対してかかる利率について、3年間利子が補給されます。つまり、借入後3年間は、実質無利子になる恩恵を受けられるのです。対象となる事業者の要件は、以下の通りです。

  • 個人事業主(フリーランス含み、小規模に限る)→要件なし
  • 小規模事業者※(法人)→売上高15%減少
  • 中小企業者(1、2を除く事業者)→売上高20%減少

※小規模の要件は、製造業、建設業、運輸業、その他業種は従業員20名以下、卸売業、小売業、サービス業は従業員5人以下です。事業規模によって適用の要件が変わるので注意しましょう。

特別利子補給制度の実施期間や具体的な手続きについては、現状未定です(3月26日現在)。詳細が固まり次第、中小企業庁のHPなどで公表される予定となっています。

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)・生活衛生改善貸付の拡充

日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫が実施。

マル経融資は、商工会議所などで経営指導を受け、商工会議所などの長の推薦を受けた小規模事業者が、無担保・無保証で融資を受けられる制度です。

生活衛生改善貸付は、「生活衛生関係の小規模事業者※」向けに、経営改善に必要な資金を無担保・無保証で貸付ける制度です。

※生活衛生同業組合などから経営指導を受け、かつ生活衛生同業組合などの長から推薦を受けていることが条件です

新型コロナの影響を受け、直近1ヵ月の売上が、前年又 は前々年の同期と比較して5%以上減少している事業者は、通常の融資枠(融資限度2,000万円)にプラスして“別枠で”追加の資金(1,000万円が限度)を借りることができます。

衛生環境激変対策特別貸付

日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫が実施。

衛生環境激変対策特別貸付は、感染症等の発⽣による衛⽣環境の著しい変化に対して、生活衛生関係営業者の経営安定を図るために設けられた、特別貸付制度です。

対象は、⼀時的な業況悪化で資金繰りに⽀障が出ている旅館、飲⾷店・喫茶店を営む事業者です。

  • 最近1ヵ⽉間の売上⾼が、前年⼜は前々年の同期に⽐べて10%以上減少しており、かつ、今後も減少が⾒込まれる※
  • 中⻑期的に業況が回復し発展することが⾒込まれる

※業歴3ヵ月以上1年未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の売上高の平均額に比較して10%以上減少していることが要件です。

という2つの要件に該当する場合、運転資金として別枠で1,000万円(旅館業の場合は3,000万円)の融資を受けられます。貸付期間は運転資金7年以内(うち据置期間2年以内)です。

セーフティネット貸付

日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫が実施。

セーフティネット貸付は、社会・経済環境の変化など“外的要因”により、⼀時的に経営が悪化しているものの、中期的には業績が回復すると⾒込まれる中⼩企業者を対象にした融資制度です。

融資限度額は、中⼩事業が 7.2億円、国⺠事業が4,800万円。貸付期間については、使途が設備資金の場合15年以内運転資金の場合8年以内となっています。

今回、新型コロナを受けて、「売上高が5%減少」といった数値の要件に関わらず、今後の影響が見込まれる事業者も含めて融資対象になりました。融資の条件が緩和された形ですね。

セーフティネット保証4号・5号

セーフティーネット保証は、経営に支障が生じている事業者に対して、一般保証とは別枠で、最大2.8億円を利用できる資金繰り支援制度です。4号・5号の概要は以下の通りです。

  • 4号:特定地域の災害等により影響を受けている事業者(借入債務100%保証)
  • 5号:全国的に業況が悪化している業種を営む事業者(借入債務80%保証)

4号については、2020年3月2日から全都道府県が対象になりました。5号については、2020年3月13日の緊急追加指定によって、508業種が対象になりました。

利用するためには、市区町村に対して本店等所在地の認定申請を行った後、希望の金融機関または最寄りの信用保証協会で保証付き融資を申し込む必要があります。

危機関連保証

民間金融機関が実施。

危機関連保証は、未曾有の社会的危機時に、全国・全業種を対象に、通常の保証限度額(2.8億円)及びセーフティネット保証(2.8億円)だけでなく、さらに別枠で2.8億円の借入債務を100%保証する制度です。

対象は、

  • 最近1か月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少している
  • その後2か月間を含む3か月間の売上高等が、前年同期比で15%以上減少することが見込まれる

という2つの要件を満たす中小企業者です。売上高などの減少については、市区町村の認定を受ける必要があります。

つまり、これまで紹介した保証と合わせると、

【一般保証限度額(2億8,000万円以内)】+【セーフティネット保証限度額(2億8,000万円以内)】+【危機関連保証限度額(2億8,000万円以内)】=最大限度額8億4,000万円

となります。保証額の限度が大幅に拡充される形です。

危機対応業務

日本政策投資銀行(DBJ)と商工組合中央金庫が実施。

危機対応業務は、金融秩序の混乱や大規模な災害、感染症など、民間金融機関による資金供給に限界がある状況にあたって、指定金融機関から必要な資金の貸付けなどを行うサポートです。

現在の指定金融機関は、日本政策投資銀行(DBJ)と商工組合中央金庫です。

国税の納付の猶予制度

納税に関しても、新型コロナに影響した対応が行われます。

  • 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる
  • 納税について誠実な意思を有すると認められる
  • 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がない
  • 納付すべき国税の納期限(注1)から6か月以内に申請書が提出されている
  • 原則として、担保の提供がある(担保が不要な場合もある)

以上の要件全てに該当する場合、原則1年以内の期間で納税が猶予されます。

また、新型コロナにあたって、新たに猶予が認められる「個別の事情」も設けられました。事業に関する事情は、

  • 新型コロナにより財産に相当な損害が生じた
  • 新型コロナにより、事業を廃止または休止した
  • 新型コロナにより、事業に著しい損失を受けた

などが該当します。ケースによって個別の対応となるので、まずは直轄の税務署に相談しましょう。

まずは各制度の実施機関に相談を

財務省が発表した対応の概要を紹介しました。新型コロナの影響で事業の資金繰りに難が生じている場合は、各制度の実施機関に詳細を問い合わせてみましょう。

また、創業手帳の「資金調達手帳」では、事業の資金繰りに活用できる手段をまとめて紹介しています。こちらも併せて参考にしてみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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