法人の抱えるリスクに対応する「法人保険」の種類と選び方

創業手帳

法人保険選びのポイントは「経営状況にあった保険」を選ぶこと

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(2017/01/21更新)

経営者には責任とリスクがつきもの。そんなリスクに対応するために「法人保険」があります。今回は、法人保険とはなにかといったことから、法人保険の種類・選び方まで解説します。

法人保険とは?

会社の経営者は、多くの責任を抱えています。

特に中小企業は経営者が万が一の事態になった時の経営リスクはかなり大きく最悪、倒産してしまうという事態にもなりかねません。また事業を継続していくためには、経営者が健康であるということが何よりも一番大切です。

しかし、万が一の事態の備えとして、後継者の育成や事業承継、経営者が万が一死亡しても、会社が存続できるだけの事業承継資金が必要不可欠です。

また、経営者は様々なリスクがありますが、労災、社会保険、企業福祉保険が従業員と比較すると、保障が薄いのが一般的です。企業として経営者に対する保障準備をしていくことも、大切な要素となります。

そしてそのリスクをカバーすることができるのが法人保険です。

法人保険はどう活用するの?

では具体的に法人保険はどんなことに活用される保険なのか。具体例を挙げていきましょう。

法人保険は主に2つのリスク対策になります。ひとつは経営者個人のリスク、もうひとつは法人としてのリスクです。

経営者個人のリスク

経営者個人のリスクを挙げると、

  • 遺族の保障
  • 老後の保障
  • 退職金対策

大きくこの3点になります。

経営者は、万が一の保障だけではなく、生存のリスクとして退職金の準備を生命保険によって活用することができます。

法人のリスク

そして、法人のリスクは

  • 事業承継資金
  • 節税対策
  • 資金繰りの改善
  • 銀行の借り入れ対策
  • 赤字の補填
  • 緊急資金として現金を借り入れができる 等

以上のことから、生命保険でかなり幅広く活用ができるということがわかると思います。

特に、事業承継資金については、経営者が万が一に亡くなってしまったら急に事業が立ち行かなくなってしまったということも少なくありません。経営者が亡くなっても残された従業員が迅速に経営を引き継ぐことと、事業を継続していくために、経営が再び安定するまでの資金は経営者の大きな責任です。

法人保険はどんな種類があるの?

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法人保険は数多く存在しています。

その中でも代表的な保険が長期平準定期保険や逓増定期保険です。また、中小企業倒産防止共済という共済があります。

長期平準定期保険とは、

長期の保険期間を設定するものを言います。保険期間が 非常に長く、終身保険に近い死亡保障が得られます。解約返戻率が高くなるため、長期平準定期は役員退職金の準備としても活用されることが多い保険です。(法人保険ナビより)

逓増定期保険とは、

ご契約後、保険期間満了までに保険金額が契約当初の金額から5倍まで増加する定期保険を言います。満期保険金がない掛け捨ての保険ではありますが、解約返戻率がご契約後早い段階で高率になることが逓増定期保険の特徴です。この特徴を活かし、法人の財務強化対策や役員退職金の準備として活用されることが非常に多いです。(法人保険ナビより)

関連ページ>>中小企業倒産防止共済とは。掛金や解約時の注意点などを解説します

経営者は、これらの保険を活用することによって様々なリスクに備えることができます。

法人保険を選ぶ際の注意点

しかしながら、すべての会社が保険で解決できればそれで万事解決となるのですが、現状はそうではありません。

日本の中小企業の実に70%以上の会社が赤字と言われています。

経営が好調で財務にも余裕があれば、退職金の準備や節税対策も可能となりますが、企業の経営状態によっては保険をかけることができない、または加入している保険を解約しなければならないという会社もあります。

そして、事業承継、後継者不在が問題となっており、法人保険の果たす役割がより重要だと言えるでしょう。

法人保険選びのポイントは「経営状況にあった保険」を選ぶこと

加入する保険を選ぶ際のポイントは、今の会社の経営状況を見極めながら選ぶということです。特に、必要な保障額と、会社で支払える保険料とのバランスが重要になります。

法人保険を有効に活用し、加入するべき保険をしっかり見極めれば、税金対策になったり、会社が赤字の状況に陥れば積み立てた保険から借り入れをしたり、一部解約によって資金を捻出することも可能となります。

法人保険の経理処理はどうする?

法人保険を活用することで避けては通れないのが経理処理です。

法人が支払う保険料の経理処理は原則、

  • 貯蓄性の保険(養老、終身保険)
  • 貯蓄性のない保険(定期、医療保険等)

で変わってきます。

貯蓄性の保険は資産計上となり、貯蓄性のない保険は損金参入となります。

しかし、受取人が遺族となると給与扱いと処理されるなど、経理は非常に複雑になりますので注意が必要です。

法人保険を上手に活用するには、税理士選びが重要

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以上のことを全て経営者が把握し、適切な選択をするのは至難の技です。そこで便りたいのが顧問税理士。法人保険の活用方法に詳しい顧問税理士が居れば、専門知識がなくても適切な選択ができるでしょう。

  • 担当税理士が法人保険をどれだけ理解して説明できるのか
  • 契約している保険担当者がしっかり経営者と密に連携して保険プランニングをしたのか

これらが法人保険を活用する上で最も肝となるところです。

税理士にも得意不得意がある

残念ながら、税理士も保険会社の担当者もどうしても質に差があります。必ずしも保険の活用に関するアドバイスをしてくれるのかわかりません。

それだけに、経営者は多忙であっても、法人保険の概要だけでもいいので多少は勉強することが必要になります。概要を理解して、経営状況を顧問税理士と相談して、保険担当者に希望するプランニングを見積もる事が重要です。

それが、自らの資産を形成して会社を守ることにも繋がるのです。

最後に、法人保険の基本は

法人保険も、個人で加入する生命保険も、法人と個人の違いはあれど、基本的に考え方はほとんど同じです。

法人保険は、残された家族に残すお金のことはもちろんですが、従業員や会社がこの先も存続していくために必要になる資金を算出して、不足になっている分を保険によってカバーするリスク対策法なのです。

社労士Hの「人を雇用すると発生する社会保険と労働保険のお金」に関する話
起業家必見!知らないとヤバイ「社会保険」「労働保険」入門

(監修:FPサテライト 代表 町田萌
(編集:創業手帳編集部)

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