BtoBとは?事例や成功させるためのポイント、似たような用語との違いを解説
BtoB『起業独立に失敗しないためのマーケティング講座』
起業したい、独立したいと考えている方は、BtoBの事業をすることが多いでしょう。この記事では、BtoBとは?BtoBの特徴や事例、成功するためのポイントを解説していきます。
あわせてBtoCやその他のビジネスモデルとの違いも解説。
起業、独立で失敗したくない方は、マーケティングをしっかりと行う必要があります。なぜなら、顧客のニーズを理解しておらず、他社との差別化もできていない商品やサービスは、どんなに頑張って売り込んでも売れないからです。
ぜひ本記事をお読みいただき、起業、独立した後も成功し続けられるようBtoBの本質について理解しておきましょう。
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この記事の目次
BtoBとは
BtoBとは、『Business to Business』の略で、法人と法人が取引をする企業ビジネスのことを言います。企業と企業は、お互いのビジネスの目的を達成するためだったり、自社だけでは実現できない課題を解決したりするために取引を行います。
例えば、自動車の部品メーカーなどは代表的なBtoBとなります。製造した自動車部品(例えばエンジンのパーツ)は、自動車メーカーに納品されます。個人を相手にしたビジネスではないので、小売りすることはありません。
また、業務用の加工食品メーカーなどもBtoBとなります。大量に生産した加工食品をスーパーや飲食店に卸します。個人向けに少量のロットを生産することはないので、小売りすることはありません。
このように、法人と法人が取引することで、次の新しいビジネスへと展開されるのがBtoBの特徴です。ちなみに法人が個人に対してビジネスを行うことを、BtoC『Business to Consumer』と言います。
BtoBは、ビジネスの基本的な形態であるため、BtoBに関わる人も非常に多いです。BtoBはビジネスの世界ではよく使われるキーワードですので、どんな特徴があり、より具体的な事例を紹介していきます。
BtoBの特徴
ここではBtoBの主な特徴である以下の3つについて解説していきます
- 市場規模が大きい
- 取引単価が大きい
- 取引が安定する
市場規模が大きい
BtoBの市場は、企業と企業が取引するので規模がとても大きいです。電子商取引におけるBtoCとの市場規模の違いを見ていきましょう。
(引用元:令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)・https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf)より引用
電子商取引におけるBtoBの市場規模は、2020年においては約334兆円となっています。一方、電子商取引のおけるBtoCの市場規模は、2020年においては約19兆円となります。
(引用元:令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)・https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf)より引用
この統計は電子商取引における市場規模なので、BtoB及びBtoCの市場全体の比較ではありません。したがって、それぞれのEC化率から全体の市場規模を推計すると以下のようになります。
電子商取引の市場規模 | EC化率 | 全体の市場規模(推計) | |
---|---|---|---|
BtoB | 334兆9,106億円 | 33.5% | 999兆7,331億円 |
BtoC全体(下記の合計) | 158兆4,468億円 | ||
BtoC物販 | 12兆2,333億円 | 8.08% | 151兆4,022億円 |
BtoCサービス | 4兆5,832億円 | 4兆5,832億円 | |
BtoCデジタル | 2兆4,614億円 | 2兆4,614億円 |
取引単価が高い
BtoBは取引単価が高いという特徴があります。個人が消費する金額は毎月数十万円程度です。一度の買い物で多くても数万円程度。毎日の買い物となると、数百円から数千円程度です。何百万、何千万という家や車などの高額商品を購入することもありますが、頻繁でありません。
しかし、企業間取引では何百万、何千万、億単位での取引が日々行われています。BtoBは一度の取引単価が大きいのです。
取引が安定する
BtoBは取引が安定するという特徴もあります。企業間取引では、取引先の選定は慎重に行いますが、一度取引が始まれば継続的なビジネスになることが多いです。
企業が取引先を決定するには、時間と労力がかかります。相手先企業を比較検討し、実績や信頼を調査し、費用対効果や品質、安定性なども重視します。
こうした検討の末に決定した取引先なので、継続的に取引する方が効率が良いのです。取引のたびに、いちいち業者選定からやり直していたらスピード感のある事業展開ができないからです。
したがって、BtoBで取引が始まると継続的なビジネスになることが多いです。BtoBでお得意様の企業が増えれば増えるほど、自社の取引が安定していきます。
BtoBの特徴 まとめ
BtoBは市場規模が大きく、取引単価も高く、取引も安定します。起業独立する人が大きなビジネスを安定的に行いたいのであれば、BtoB市場への参入が適していると言えます。
BtoBの具体的な事例
BtoBのビジネスについて、イメージを深めていただくために、より具体的な事例をいくつか紹介していきます。
サプライチェーン企業
BtoBの代表的な事例はサプライチェーン企業と言えるでしょう。サプライチェーンとは、製品の原材料や部品の調達、製造、配送、販売、消費までを一連の流れのことを指し、サプライチェーン企業とは、一連の流れの中で原材料の調達や部品の製造などを行う企業を言います。
例えば、半導体生産の企業は、半導体部品の調達や製造を行い、完成した半導体をさまざまな企業に納品しています。高品質の半導体を、できるだけ低コストで製造し、たくさん販売することで企業として存続し続けることができます。
企業向けのメーカー
また、企業向けに製品を作るメーカーも代表的なBtoBです。
大型のトラックやバスを作るメーカーは、さまざまな企業から原材料や部品を調達しながらトラックやバスを製造し、完成品は運送会社やバス会社に納入されます。個人向けに大型トラックやバスを納品することはありません。
システム開発
IT企業の中でもシステム開発を行う企業は、企業からシステム開発の案件を受注し、システムを企業に納品することによってビジネスを成立させています。個人向けのアプリを開発する企業もありますが、納品先は発注元の企業となるケースが多いです。
このように考えると、身近にある会社の多くがBtoBであることがわかります。個人に向けた商品やサービスの提供を行っている企業は意外と少ないのです。メーカーや卸、サプライヤー、システム開発、広告、物流、メンテナンスなど、世の中にある多くの企業がBtoBでビジネスを成立させています。
BtoBで成功するためのポイント
BtoBで成功するためのポイントを解説していきます。BtoBで成功するためには、マーケティングを行うことが大切です。
起業や独立をする人は多いものの、ビジネスに失敗してしまうケースもあります。ビジネスに失敗してしまう原因は、自社の製品やサービスにこだわるあまり、顧客ニーズを見誤ってしまったり、他社との差別化ができなかったりするからです。
BtoBで成功するためには、以下の3点に注意をしていきましょう。
- 顧客のニーズを理解する
- 他社との差別化を明確にする
- 信頼を第一とする
それぞれを解説していきます。
顧客のニーズを理解する
BtoBでは顧客が法人となります。取引先となる企業のニーズを正確に理解して、継続的な取引が実現できれば、BtoBで失敗する確率を減らすことができるでしょう。
顧客となる企業のニーズはさまざまです。とにかく安さを求める企業もあれば、安さよりも安全性や品質を求める企業もあるでしょう。問題解決の提案力が求められる場合もあれば、取引のスピードが求められる場合もあります。
顧客が抱えている課題を、自社の製品やサービスが解決できるのか?そして、それはなぜ自社でなければいけないのかを追求していきます。
顧客が求めていないことをしても、ビジネスは決して継続できません。
顧客の求める価値が提供できてこそビジネスは成立します。したがって、自社視点で考えるのではなく、顧客視点でビジネスを考えて、顧客の本質的なニーズを理解していきましょう。
他社との差別化を明確にする
BtoBで成功するためには、他社との差別化を明確にしておきましょう。企業間取引においては、価格や品質、実績などが比較検討されます。
他社との明確な違いがなければ、比較のしようがなく真っ先に候補から落とされてしまいます。
顧客から良い評価を受けているポイントは何なのかを把握します。そして、自社の強みを尖らせて、他社との差別化をしていきましょう。
信頼を第一とする
BtoBで成功するためには、信頼を第一とすることが大切です。取引実績がない企業への新規開拓営業であっても、すでに取引のある企業へのアップセル活動であっても、自社の企業としての信頼がなければ、ビジネスが成立しません。
顧客への報連相を早くする、納期は絶対に死守する、最高のクオリティで納品するなど、できる努力を最大限に行いましょう。
信頼は一日にしてならずです。顧客からの評価を上げられれば、その信頼が次の新しいビジネスに繋がっていきます。
BtoCとは
BtoBとよく似た言葉で、BtoCがあります。
BtoCとは、『Business to Consumer』の略で、法人が個人に対して商品やサービスを提供するビジネス形態を言います。
代表的なBtoCとしては、スーパーやホームセンターなどの小売業、レストランや居酒屋などの飲食店、病院や美容院、鉄道、住宅、自動車、ホテル、電化製品、スマホのアプリやゲームなどもBtoCとなります。
個人を相手にビジネスを展開しますので、社会的な認知度やブランド力、必需性、購入単価の低さなどが求められます。
BtoBとBtoCの違いとは
BtoBとBtoCの違いをまとめました。それぞれの違いをしっかりと認識したうえで、自社のビジネス展開や戦略を考えていきましょう。
B2B | B2C | |
---|---|---|
商品 | 原材料や部品、サービスの一部を納入することが多い | 完成品を納入することが多い |
取引金額・単価 | 大きい | 小さい |
意思決定 | 複数人が検討し、社長や部門長が決定 | 本人が独断で決める。家族と相談する。 |
購買理由 | 実績、信頼、費用対効果 | ブランド、衝動買い、必需性 |
チャネル | 営業、DM、展示会、Web広告など | 店舗、TVCM、ECサイト、SNSなど |
会社知名度 | 一般には知られていない会社が多いが、知る人ぞ知る業界のトップなどが存在する | 一般人に広く認知される必要がある |
その他のキーワードとの違い
ビジネスの多様化や顧客ニーズの変化により、BtoB、BtoC以外の形態も増えてきています。BtoBを正しく理解するためにも、他のキーワードもチェックしておきましょう。
「CtoC」
CtoCとは、『Consumer to Consumer』の略で、個人間取引という形態になります。
例えば、ヤフオク!のようなネットのオークションでの取引やメルカリのようなフリーマーケットアプリなどがCtoCとなります。
ココナラのように個人間でスキルを売買するようなビジネスにも人気が集まっています。
「BtoG」
BtoGとは、『Business to Government』の略で、国や自治体などを相手にしたビジネス形態になります。
例えば、国や自治体が発注する公共事業や備品などの調達案件などに対応するビジネスです。BtoBやBtoCと違って、入札を行うことがルールとなっています。
公共性の高い事業なので、入札に対応できる価格競争力と信頼や実績などが求められます。
「DtoC」
DtoCとは、『Direct to Consumer』の略で、メーカーが仲介業者を通さずに、顧客に直接販売を行う形態を言います。
例えば、ユニクロやニトリのように商品の企画、製造、販売までを一括で行うような事業がDtoCです。
顧客のニーズや声をダイレクトに集め、それを自社の製品やサービスに活かすことで、スピーディーで変化に強い経営ができるようになります。
マーケティングや販売チャネル、配送やカスタマーサポートなどのコストはかかりますが、中間マージンを省くこともできるので高い利益率を確保できるのも魅力です。
「BtoE」
BtoEとは、『Business to Employee』の略で、企業が従業員に向けて提供するサービスのことです。
社員教育や社員食堂、社員寮、スポーツクラブの優待などが挙げられます。従業員満足度を高め、社員の定着率アップや人材確保などを目的としたサービスです。
企業が提供するBtoEを狙ってビジネスを展開することも可能です。例えば、オフィスでいつでも手軽にお菓子が食べられるオフィスグリコなどは、従業員満足度を高めつつ、企業側の手間も省ける人気のサービスとなっています。
「GtoC」
GtoCとは、『Government to Consumer』の略で、国や自治体が企業が個人に向けて提供するサービスのことです。
例えば、ワクチンパスポートや住民票の発行、学校や図書館の運営、道路や水道の整備などはGtoCとなります。
少子高齢化による地方創生の必要性が高まっており、GtoCを狙ったビジネスを展開することも良いかもしれません。
起業独立に失敗しないためにマーケティングを知ろう
起業独立を目指している方は、自社のプロダクトの完成度を高めたり、販売チャネルの開拓に力を入れているケースが多いです。
しかし、起業独立で失敗しないためには、マーケティングが重要です。マーケティングをしっかりと行えば、顧客が本質的に求めるプロダクトを作り上げたり、販売チャネルを無理に広げなくても、売れるようになるからです。
「マーケティングの理想は、販売を不必要にすること」ピーター・ドラッカー
マーケティングの知識やノウハウは本やネットで調べれば、たくさんの情報をすぐに見つけることができます。しかし、マーケティングは市場調査や広告、営業行為などの部分的な戦術ではありません。顧客の分析、他社との差別化を行い、自社の強みをどう打ち出すのかを戦略立てて考えることです。
起業独立に失敗しないためにも、ぜひマーケティングに時間を割いていきましょう。
起業独立を目指す方なら、無料で手に入れることができるので、ぜひ取り寄せておきましょう。
まとめ BtoBとは?事例や成功させるためのポイント、似たような用語との違いを解説
本記事ではBtoBについて解説しました。
BtoBは企業間取引のことです。企業のニーズはさまざまです。市場の変化も早いので、しっかりとマーケティングを行って、BtoB市場に参入するようにしましょう。
また、BtoBとあわせて、BtoCやDtoCなど、その他のビジネス形態についてのキーワードも理解しておきましょう。新しいビジネスチャンスを逃さないためにも、最新のビジネス用語は常にチェックしておきたいものです。
起業独立を目指す方は、自社のプロダクトの完成度や販売チャネルの開拓も大切ですが、その前にしっかりとマーケティングを行いましょう。顧客が求める商品やサービスを作れず、競合他社との差別化ができず、自社の強みを活かせなければ、起業独立に失敗してしまうからです。
(編集:創業手帳編集部)